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2011年3月13日日曜日

東北地方太平洋沖地震の被災者支援募金

11日に発生した東北地方太平洋沖地震の被災者を支援するため、日本共産党兵庫県委員会は救援募金を訴えます。

各地の党事務所の他、郵便振替でも受け付けています。
口座番号:01130-9-31116
加入者名:日本共産党兵庫県委員会
通信欄にかならず「救援募金」と書き添えてください。

ぜひ、ご協力ください。


なお、救援物資・ボランティアについては、被害状況や余震・津波などの状況が明らかになってから対応することにしています。





検証:県政と県議会:教育

少人数学級

一人ひとりを大切にする教育の土台となる少人数学級。兵庫県では、二〇〇四年に小学校一年生の三十五人学級が導入され、現在小学校四年生まで実施されています。

当初、「なぜ県において単独で対応しなければならないのか」など、実施に否定的だった知事や、「効果」を疑問視する県教委を動かしたのは、県民の運動とむすんだ日本共産党県議団の百回以上にわたる議会質問でした。

拡大に背をむける自・民・公

民主党が政権につき、新年度には、国が教員を増やして少人数学級を実施・拡大することが期待されました。ところが、国の予算案がでてみると、小学校一年生のみの実施。しかも、すでに地方に配置されている加配教員を活用するなど、実際に増やすのは全国でたった三百人。「米軍への『思いやり予算』は“満額回答”なのにひどい」と怒りが広がっています。

そのもとで、県議会の自民・民主・公明は、いまも少人数学級の拡大に否定的です。

昨年一二月議会に出された少人数学級の拡大を含む教育条件の改善を求める請願に対し、「小学校五年生と六年生には教科担任制を導入すべきであるというわが党のスタンスと相容れない」(自民)、「すべて県の責任で…実施することは、現時点の厳しい財政環境下では困難」(民主)、「既にそれ相応の措置がなされているものや、今後実施される予定があるものも多数含まれている」(公明)などとして反対しました。

正規の教員増やし小中全学年で実施を

日本共産党は、「国がやらないからと手をこまねくのでなく、県として小学校五・六年生、中学校に少人数学級拡大を」(二月議会)と求めています。

小学校五・六年生での少人数学級実施に必要なのは、約十五億円。パナソニックへの県補助金二十五億円(年間)より少ない額で可能です。

同時に、正規の教員を増やす運動ととりくみも必要です。国が定数改善を行わず、県も単独の予算を増やさないまま、加配の活用のみの学級数増や、定数くずし(〇一年の法改悪で導入された、数人の非常勤の任用を常勤の教師一人と換算できるしくみ)を行ってきた結果、臨時任用教員や非常勤講師が大幅に増え、不安定な働き方を強いられています。

いっせい地方選挙は、こうした状況をかえるチャンスです。


経済的格差と高校教育

公立高校の授業料無償化が実現しました。しかし、これですべての子がお金の心配なく高校に通えるようになったかというと、そうではありません。

広がる公私間格差

高校「無償化」にあたって、私立高校にも国の就学支援金制度ができ、これに県単独の授業料補助が上乗せされて、一定の補助が行われいます(年収二百五十万未満世帯は県内私立高校の平均授業料相当額の約三十一万円、生活保護世帯は全国平均授業料相当額の約三十六万円など)。

しかし、兵庫県の私立高校生の学費平均負担額は、八十四万円で全国四位の高さ(〇九年文部科学省調べ)。まだまだ負担は重く、先月も県議団に「失業で授業料を滞納し、このままでは卒業させてやれない」と相談が寄せられました。

「行革」で私学予算を削る兵庫県

兵庫県は、国の制度ができたときに、私立高校授業料補助の予算を、〇九年度の十二億一千四百万円から一〇年度は六億二千百六十九万円へと、約半分に減らしてしまいました。他の多くの県が、予算を増やし、上乗せを厚くしたのと対照的です(グラフ1)。

また、県は、「新行革」前の〇七年度までは年収七百七万円以下だった所得制限を五百七十万円未満程度とし、対象を狭くしました。しかも、県外校に通う生徒は県内校の半額しか補助されなくなりました。

県は、「行革」で私立学校に対する経常費補助も削減しつづけてきました(グラフ2)。さらに新年度予算でも削減。授業料へのしわよせが心配されます。

公立高校生も

公立でも、負担がゼロになったわけではありません。

〇九年度高等学校教職員組合の調査では、県内の十六校の全日制公立高校で、入学金、各種の学校納付金、制服代、体操服代、教科書代など、授業料以外の初年度保護者負担の平均額は、男子で二十三万四千四百二十七円、女子で二十三万六千三百二十四円にのぼります。

定時制高校でも七校平均で三万七千八百五十円、最高六万一千五百円となっています。

通学交通費だけで年間四十二万円もの負担になった世帯もありました。

給付制奨学金創設を

日本共産党は、貸与しかない県の奨学金制度を改善し、返さなくていい給付制の奨学金を繰り返し要求してきました。

しかし、県は「生徒の自己責任や、自己意識の確立を促すこと、また、自らの責任において返還することを認識させるという教育的な意義がある」などと時代遅れの答弁を繰り返しています。国から配分されている高校修学支援基金も、県の負担が大きいからと十分活用していません。


グラフ1 私立高校生学費支援」のデータ
2010年度予算での支援額と前年度からの増減

  • 東京都:43億3千7百万円(9億5千7百万円増)
  • 京都府:9億8千5百万円(885百万円増)
  • 大阪府:65億1千6百万円(1千7百万円増)
  • 兵庫県:6億2千2百万円(5億9千2百万円減)
  • 和歌山県:2千4百万円(3百万円増)
  • 広島県:5億7千2百万円(6千7百万円増)


グラフ2 「新行革」で私学経常費補助を削減」のデータ
生徒1人当たりの県補助額は、

  • 1999年に72,069円だったのが、
  • 47.5%カットされて、2011年は37,809円。


公立高校の学区拡大

県教育委員会は、これまで、“特色ある高校づくり”“高校を自由に選べる”を看板にした「高校教育改革」を県民に押しつけ、総合選抜制度をなくし複数志願制を導入する入試制度改悪や、普通科つぶし、定時制高校の廃止などをすすめてきました。

その“総仕上げ”としてねらわれているのが、現在十六ある高校の通学区を再編し、六~七学区に拡大することです。それを、県民の傍聴できない「検討委員会」で議論し、来年度中に決めようとしています。

一つの学区が広大になれば、通学時間や通学費の負担が大きくなります。また、高校の「ランク付け」がすすみ、競争の激化や、「不人気校」つぶしで地域がさびれる心配もあります。

すでに全県一学区になった滋賀県では、大規模な高校統廃合計画が、現実に進められています。

これに対し、各地の議会が意見書をあげ、但馬では市長・町長が要望書を提出するなど、反対の声が広がっています。


低い予算配分

兵庫県は、類似他府県にくらべ、普通会計に占める教育費の割合が低くなっています(グラフ3)。

大企業・大型開発優先で教育を犠牲にする県政から、教育条件を整備し一人ひとりを大切にする教育をすすめる県政に切り替えることが求められています。







グラフ3 歳出に占める教育費の割合」のデータ
普通会計ベース・2009年度決算での類似府県比較
  • 埼玉県:32.0%
  • 神奈川県:32.1%
  • 千葉県:28.8%
  • 静岡県:26.3%
  • 京都府:24.7%
  • 愛知県:24.8%
  • 広島県:24.8%
  • 福岡県:24.0%
  • 大阪府:23.3%
  • 兵庫県:21.0%(最下位)



(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

たつの市も子どもの医療費を完全無料化

通院・入院とも中学三年生まで、所得制限も撤廃

たつの市は三月一日、開会した定例会初日で提案した二〇一一年度予算案の中で、子どもの医療費を中学卒業まで完全無料化することを発表しました。

たつの市では一〇年度から、小学校四年生から中学三年生までの子どもの入院が無料化されましたが、所得制限が付けられていました。

私は、昨年九月議会での一般質問で、子どもの医療費無料化の全国的な流れや、一〇年三月の衆院予算委員会で志位和夫議員(党委員長)が国としての制度化を求め、当時の鳩山由起夫首相が優先課題としての検討を約束したことを紹介するなど、たつの市での完全無料化を求めてきました。

今回の提案は、所得制限などの条件を撤廃、通院も含めた子どもの医療費を完全無料化するというものです。対象となる子どもは六千九百人増を見込み、七千万円増の約二億七千万円を予算計上しています。(堀ゆずる・たつの市議)

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

後期高齢者医療広域連合議会

怒りの声を真摯に受け止め後期高齢者医療制度は直ちに廃止を:日本共産党議員が論陣


兵庫県後期高齢者医療広域連合議会の二〇一一年第一回定例会が二月十九日に開かれ、一一年度予算案などが審議されました。


広域連合議会として国に意見を

一般質問に立った藤原敏憲議員(日本共産党養父市議)は、後期高齢者医療制度を直ちに廃止すると公約しながら一二年度まで先送りし、保険料の引き上げももたらした民主党政権を批判。「新制度」案は国保・健保に戻すとしているが、国保の広域化も狙っており、都道府県運営になれば現在自治体が独自で行なっている保険料軽減策もできなくなるなどの問題点を指摘。「高齢者の強い怒りを真摯に受け止め、いまこそ広域連合として国に意見をあげるべき」だと主張しました。

これに対し、西田正則連合長は「指摘されたような点も考慮して国に対して申し上げていきたい」と答弁しました。

すべての市町で人間ドック助成を

大まゆ均議員(日本共産党三木市議)は、議案質疑と一一年度特別会計予算案の反対討論に立ちました。

議案質疑で大まゆ議員は、後期高齢者の人間ドック受診助成について、三木市で昨年九月の補正予算で助成費がついたのをはじめ一〇年度は九市四町六百十四人、前年度の四倍の受診数となっていることをあげ、すべての市町で人間ドック助成が行なわれるよう働きかけよと求めました。

高額医療費については、現行の後日払い戻し制では負担が大きく払えないとの声を紹介し、後期高齢者医療でも他の保険と同様に貸し付け制度の創設をと求めました。

答弁では、人間ドック助成について市町からの申請があれば特別調整交付金の対象になること、高額医療費の貸し付け制度は一二年度に国が現物支給制度を導入すればすぐに実施できること―が明らかにされました。

後期高齢者の医療費の支払いなどを含む特別会計予算案についての討論で、大まゆ議員は、後期高齢者に対する差別医療が行なわれていること、保険料も平均で年千五十四円の値上げとなっていること、短期保険証の発行が行なわれていることなどの問題点をあげ、反対しました。

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

姫路市議会―おおわき議員が代表質問

雇用奨励金は正規雇用対象に

エコパーク工事再開前に市民への説明会を

三月四日の姫路市議会本会議で日本共産党のおおわき和代議員が代表質疑を行いました。

「エコパークあぼし爆発事故」について、おおわき議員は、▽なぜ過去の度重なる日本共産党の土壌調査要求にこたえなかったのか▽市独自の調査結果を隠したのはなぜか▽土質関連業務調査報告書が公開されていれば、事故は防げたのではないか▽美化センター建屋の下にガスだまりはないのか―などを追及。網干健康増進センター施設の工事再開前に市民説明会を行なうよう要求しました。

答弁で石見利勝市長らは、「事件の全容解明を検討委員会に求め、職員の責任が確認されれば私も含め厳正な措置を行う」と述べたものの、あくまで「建設業者の責任だ」とし、発注者としての市の責任を回避する姿勢に終始しました。

「正規雇用限定に」と市長ら答弁

新年度予算案については、雇用対策では新規雇用拡大は正規を基本にすすめ、市役所が民間のモデルになるよう努め、企業に社会的責任を求めること、企業立地促進条例の見直しを行い雇用奨励金は正規社員を対象にすること―を求めました。

また、国保料のさらなる引き下げを求めるとともに、子ども手当の滞納差し押さえはやめよと迫りました。

農業問題では、姫路の農業を壊すTPPに反対すること、市街地農業者への固定資産税軽減制度(生産緑地制度)を導入すること、学校給食での地産地消を推進すること―を求めました。

教育については、少人数学級の推進、公立図書館のない小学校区の図書室に司書を配置し、地域に開放すること、小・中学校の給食を拡充すること―を求めました。

また、度重なる市役所不祥事への取り組みに市長のリーダーシップ発揮を求めました。

雇用奨励金について石見市長らは、「期間雇用ではなく正規雇用に限定する方向で検討する」と前向きに答弁しました。

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連、県過労死弁護団が「110番」

過酷な労働実態 法の不備

労働者の解雇や賃金不払い、長時間労働などの問題について、専門家が無料で応じる相談活動が先週末、おこなわれました。労働団体と弁護士らが主催。それぞれ深刻な事例が寄せられました。

労働相談ホットライン

「解雇・雇い止め、賃金・残業不払い、全国一斉労働相談ホットライン」が3月4日、兵庫労連と東阪神、西播の、計3カ所の労働相談センターでとりくまれました。

9時間で計18件、電話と来所による相談を受けつけました。

兵庫労連労働相談センターの窓口では、兵庫県民主法律協会の弁護士延べ6人が座り、対応しました。

相談者は男性11人、女性7人でした。年齢層は、30代、40代が中心でした。雇用形態は正社員が半数以上でした。

来所した女性は「服飾業の営業で働き1年。残業代がきちんと支払われない。社会保険や年金、雇用保険もなく不安。その上会社から契約書にサインを求められている」と相談。持参した書類から、実態は直接雇用でありながら「1人事業主」扱いの委託契約へ変更する内容です。

対応した白子雅人弁護士は「この契約は今後、従業員として扱わない、雇用ではない、委託契約の解消であって解雇ではない、というもの。脱法的と言わざるをえない」と説明し、1人加入できる労組を紹介しました。

電話では「会社が倒産。社員30人が2月分の給料を受けとっていない」もありました。

この日、相談してきたなかで、福祉施設で働く2人が、地域労組神戸と福祉保育労組に加入しました。

写真:相談を受ける弁護士と兵庫労連役員


長時間労働の電話相談

過労死自殺の原因になる、長時間労働・職場ストレス問題の相談を受けつける「110番電話」が3月5日、神戸合同法律事務所内に設けられました。

兵庫県過労死弁護団の弁護士、精神保健福祉士ら10人が対応。約5時間に8人(男性5人、女性3人)から相談がありました。年齢は30代から50代です。50代の息子の健康を心配する90代父親からの電話もありました。

看護助手(パート)の女性は「常勤にするという約束で働きだしたが、夜勤をしないならクビと言われた。母子家庭なので困っている」と相談。弁護士は「労働条件の一方的な変更はできない」と説明しました。

トラック運転手の男性は「長時間勤務で、休ませてもらえない。睡眠は平均1日2、3時間。常に眠い。組合をつくって職場をよくしたい」と訴えました。

事務局の増田祐一弁護士は「過酷な労働を強いられている実態がわかった。危険な働かせ方は使用者の責任。非正規労働者の立場の弱さは法体制不備が問題」と語っています。

写真:職場の状況を聞き、対応策を助言する弁護士たち
(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

兵庫教組第46回定期大会

憲法いかす政治・教育実現へ

「全教・兵庫教組を大きくすることが、くらしと平和と教育を守る確かな道につながることを確信しよう」―兵庫教職員組合の第46回定期大会が3月5日、神戸市勤労会館でひらかれました。

今大会のスローガンは①憲法・子どもの権利条約を生かす学校と教育を②憲法改悪を許さず、憲法をいかす政治と教育の実現を③教職員の長時間過密労働を解消し、健康で人間らしい生活の実現を④対話と共同をすすめ、兵庫教組を大きく―です。

とりくみの総括では▽授業時間数の増加や「愛国心」育成強制など改訂学習指導要領の問題点を教育実践のなかで明らかにしてきたこと▽高校学区拡大反対▽教員免許制度の廃止を要求するとともに、1人の失職者も出さない運動▽30人学級、ゆきとどいた教育を求める署名運動▽教職員の定員増、35人学級の小学5年生以上・中学校への拡充▽民間委託化など学校給食「合理化」反対―ほかが報告され、今年度もひきつづき力を入れて運動をすすめることを確認しました。

またことしの春闘を「我がこと春闘」と位置づけて、県知事・県教委・県人事委員会に「春闘要求書」を提出し、回答を求めます。

討論では「但馬では校長を含め教科担任制を受けないと表明している学校がある」などの発言がありました。

選ばれた新役員は次の通りです。桑原敦文執行委員長(再)、大下浩副委員長(再)、竹上道邦副委員長(新)、岸本和人書記長(再)、酒井邦雄書記次長(再)

写真:役員選挙前、自己紹介する新役員立候補者

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

尼崎アスベスト訴訟:公害型・労災型

工場内外へ飛散明らか:弁論でクボタと国を追及

尼崎クボタアスベスト訴訟(公害型)の第20回弁論が3月1日、神戸地裁第5民事部(下野恭治裁判長)でひらかれ、支援の会など約50人が傍聴しました。

原告代理人の本上博丈弁護士らが、被告クボタの主張「石綿を入れた麻袋の繰り返し利用は考えられない。袋からの飛散・放置はあり得ない」に反論。神戸港で55年ごろ働いていた労働者の証言をもとに、石綿袋は脆弱で手鉤使用により荷役作業中も大量に飛散・漏出していた事実を示しました。

また旧神崎工場内処理過程で「空気輸送された石綿繊維の大部分は自重により沈降。一部分のみがバックフィルターで捕捉される」とするクボタの主張に対しても拡散理論をもとに不合理性を指摘。石綿のほぼ全量がバックフィルターにかけられ「集塵効率99%」としても、大量の残り1%の石綿が、工場外の大気に放出された実態を明らかにしました。

次回弁論は5月11日です。



尼崎アスベスト訴訟(労災型)の第7回弁論が3月4日、神戸地裁第1民事部(長井浩一裁判長)でひらかれました。

クボタ旧神崎工場で働き、石綿粉塵曝露が原因の肺ガンを発病、死亡した労働者の2遺族が国とクボタに謝罪と損害賠償を求めている裁判で、支援の会約50人が傍聴しました。

原告代理人の八木和也弁護士は、クボタの「61年当時、製造工程の改善で大量の石綿粉塵曝露はありえない」との主張を「事実とまったく違う」と指摘。出入り業者や元従業員、地域住民から得た証言をもとに「工場内は高濃度の石綿が充満していた」と述べました。

その上で「国は労基法に基づく権限行使を怠っていた。61年の時点で、対策をとるだけの工学的知見は存在していた」と強調しました。次回弁論は5月13日です。

写真:報告集会で経過説明する八木和也弁護士=3月1日

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

「堀江川」 江口慶一さん追悼公演

劇団四紀会 3月25日から劇団スタジオ
人情喜劇を6年ぶり再演

稽古の一場面
劇団四紀会(村井伸二代表)が、昨年末亡くなった前代表の江口慶一さん追悼として、北条秀司作「堀江川」を今月末、劇団スタジオで公演します。

作者が約50年前、松竹新喜劇のために書きおろした、人情喜劇です。

舞台は明治から大正に変わってすぐの大阪堀江。東京で歌舞伎役者として名をあげた香次郎が、生まれ故郷の舞台に立つため戻ってきます。10年前に別れた父親との再会をずっと夢見てきました…。

6年前の初演で江口さんは、渋谷天外の当たり役、口のきけない父親、七五郎を演じました。病気療養に入る最後の大役でした。出世した息子に会いたい思いと、いまさら会えないという思いで揺れる親心を、台詞はなくても、からだ全体で演じました。熱演が語りつがれています。

追悼公演では、長年ともに劇団を支えてきた仲間のひとり、久語孝雄さんが七五郎を演じます。演出は前回と同じ岸本敏朗さん。ほかの配役は、ほぼ初演通りです。

「人情劇の理屈ぬきのおもしろさ、時代背景の妙味を味わってほしい。お客さんに喜んでもらえる芝居を、これからもとりあげていきたい」と岸本さんは語っています。


江口慶一追悼公演「堀江川」/北条秀司作、岸本敏朗演出/3月25日(金)19時30分、26日(土)13時・18時、27日・4月3日(日)12時・17時/元町プチシアター(四紀会スタジオ)/会員1,500円(入会金別途500円、当日入会可)、一般3,000円/☎078・392・2421(夜)

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

宮崎県民支援の歌「みんなの力で」

作曲家・原田義雄さん音楽CD製作

ボーカルグループ「フリーダム」を結成して32年、現在は岡山県蒜山高原が拠点の原田義雄さんが、口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳噴火と被害がつづく宮崎県を支援しようと音楽CDを作り普及を呼びかけています。

原田さんは「いとし子よ」「母さんたちのおくりもの」の作詞・作曲家です。視力を失い白杖が支えですが、温かく心にしみる曲を生みだしています。

「元気になる歌を作ってほしい」、原田さんは、妻千恵美さんの故郷宮崎の音楽仲間から頼まれました。宮崎県の赤旗まつりに出演するなど、以前から交流がありました。

「ふるさと宮崎」「みんなの力で」を作曲。作詞は宮崎の民主主義文学会員、吉田笙子さん。演奏は「フリーダム」、ピアノ伴奏に兵庫のピアニスト大上結歌さんも参加。題字は兵庫県平和美術家協会員で宮崎在住の平部成さん。林学作曲「誇りを胸に」などを加え、5曲入りにしました。

これまでの売上分を今月初め、JA宮崎思いやり基金に送金しました。「手放しで頑張れとは言えない。でも宮崎県民に寄り添えるものにしたかった」と話す原田さん。

1枚1千円。送料180円。10枚以上は送料無料。申込はファクス078・277・1392(大上)まで。

写真:CDを作った(左から)原田義雄さんと大上結歌さん

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々―治安維持法による弾圧犠牲者(7)

戦時下の弾圧…ともし続けられる灯


すでに党中央は存在せず、関西で党再建を目指した共産主義者団が一九三八(昭和十三)年九月に一斉弾圧を受け、それと関係ありとして、翌年、「関西学院新聞」と「橡の会」の関学生ら九名が検挙された。

同年に神戸の中尾猛らの「若草読者回覧倶楽部」九名が党再建容疑で検挙され、また「兵庫県唯物論研究会」三名も。

四〇(昭和十五)年二月の「京大俳句事件」でも兵庫県職員二人が検挙され、同三月には、「神戸詩人クラブと学生映画連盟」弾圧があり、十四名が治安維持法で検挙された。

岸本茂雄らの活動

三・一五で十年服役して神戸に帰った岸本茂雄が「コミュニスト・グループ」を結成し、約二年間、阪神間の工場労働者に働きかけている。それも四〇(昭和一五)年九月、十九名が検挙され、ついに息の根を止められる。敗戦で釈放された岸本茂雄は戦後初代の党県委員長となるが、五年で病死した。

戦争が激化してからも活動はあり、弾圧は続いた。四一(昭和十六)年には「姫路読書会」二名、四二年「プロレタリア短歌運動」で内海繁ら二名。四三年明治学院左翼学生として八名。同年に「神戸商大新聞部」三名が検挙。さらに日鉄広畑という軍需大工場で「共産主義グーループ」として六名が検挙されている。

四四(昭和十九)年「東方同志会」という右翼団体を偽装して農民組合を続けていた長尾有・古森茂(戦後県党幹部)ら十名が検挙された。

若干の補遺

本稿は「党史」でも「労農運動史」でもないので歴史記述は断片的になっている。弾圧についても全てを記述できたわけではない。尼崎地域や他府県についてはほとんど述べていない。ただ党幹部について若干の補足をしておきたい。

間庭末吉 『海上労働運動不屈のあゆみ』の田中松次郎記述には「一九二四秋に間庭に出会った」とある。間庭の検事調書にも二四年には日本にいたとある。本連載①で、結党直後、神戸にオルグを送ったと書いたがその年である。

田中松次郎  下級船員を組織して海員刷新会を結成。海員組合幹部を批判したので組合除名。四・一六弾圧(二九年、連載②)で検挙投獄された。戦後執行部に招かれ、中央闘争本部長として海員ゼネストを指導。五〇年代後半に党県委員長。

田中清玄  二月事件(三〇年、連載④)のような大量検挙を招いたのは当時党中央部にいた田中清玄らの極左冒険主義の誤りによる。なお二月のビラまき当時、田中は武庫郡、神戸市(平野)、明石郡にいて直接指導していた。

多田留治  高砂製紙で労働運動をしていたが、共青中央委員長に抜擢され上京、そこで検挙された。七〇~八〇年代に県委員長。

(『日本共産党の七十年』、兵庫県委員会刊『兵庫県党のあゆみ』などにより戸崎曽太郎記)

第一部終わり。(第二部=学生・文化・宗教=は四月中旬から三回連載の予定です)


(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが

二百十八億円ご用意してあります



宮崎潤二

(2011年3月13日付「兵庫民報」掲載)