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2011年3月6日日曜日

神戸市議会代表質問:日本共産党・西下勝市議

空港よりも雇用・暮らし・福祉を

二月二十三日に開かれた神戸市議会本会議で、日本共産党議員団を代表して西下勝議員が質問にたち、雇用、住宅リフォーム助成、国民健康保険、敬老パス、借り上げ災害公営住宅、神戸空港、医療産業都市問題などについて、矢田立郎市長らの政治姿勢をただしました。西下議員は、新年度予算案について、「市民の暮らしを応援する」予算になっていないと指摘。福祉や市民サービスを削減する一方、神戸空港や海上アクセスなどムダづかいをすすめていることをあげ、暮らしと福祉を応援する政治への転換を求めました。



雇用助成金の創設、住宅リフォーム助成実施を

雇用問題について西下議員は、医療産業都市構想や土地造成による企業誘致など、「呼び込み型」に偏重している姿勢を改め、地元中小業者が高卒者や不安定雇用で働いている人などを正規雇用すれば助成する「雇用助成金制度」などの創設を提起しました。

三菱重工神戸造船所の商船部門の撤退については、市長自らが三菱重工業東京本社と直接交渉するよう求めました。

神戸市内の中小業者の仕事確保については、全国的にも注目されている住宅リフォーム助成制度の実施を要求しました。

秋田県や相模原市など全国百八十をこえる自治体に広がり大きな経済効果をあげており、特に阪神・淡路大震災から十七年目になる神戸市では、震災直後に建設した住宅が改修時期を迎え、住宅リフォーム助成制度への期待が大きいとして、実施を決断するよう迫りました。
答弁で市長らが「現段階では一般的なリフォームではなく、耐震、バリアフリー、省エネなど住まいの基本部分に助成することが公共としては意義があると考えている」と答えたのに対し、西下議員は再質問で「住宅リフォーム助成は国会でも菅総理が交付金を活用して進めるよう答弁している」と指摘し、実施を強く求めました。

しかし、再答弁でも「一般的なリフォーム助成を実施している自治体も一部にはあるが、どんなリフォームにでも助成となると、個人資産形成部分になり、趣旨にあわない」などと、市長らはまともに答えようとしませんでした。

国保への繰り入れ増やせ、子どもの通院も無料に

国民健康保険については、日本共産党神戸市議団が実施した「市民アンケート」で「税金や医療費・国保料などの軽減」を求める声が最多だったことを紹介しました。

国保料が高すぎて払いたくても払えない市民が増えている実態を指摘し、保険料を引き下げるため、法定外繰り入れを増やすよう迫りました。

政令市平均では一人当たり約一万四千円の法定外繰り入れが行われていますが、神戸市は三千四百七十円にすぎません。西下議員は、政令市平均額を繰り入れすれば、一人あたり一万円の引き下げが可能だと指摘し、増額を求めました。

子どもの医療費については、議員団のアンケートでも、全体で四割、四十代以下の子育て世代では七割が「子どもの医療費の無料化」を求めているとの結果を示し、拡充の必要性を強調。新年度予算案で小学校六年生まで助成対象を拡大するとされているものの、市民の要望からは不十分であり、通院も含めて中学校卒業まで無料とするよう求めました。
市長らは「法定外繰り入れが平均よりも少ないことで国保料が高いとはならない」と答えました。

新都市整備資金は敬老パスにこそ生かそう

西下議員は、多くの市民が敬老パス制度を「無料に戻してほしい」と望んでいることが議員団が実施したアンケートの結果にも表れていることを紹介。

また、敬老パスの有料化・値上げによって、敬老パスの発行枚数は増えているものの、利用者は有料化前の半分近くに減っていることを指摘しました。

こうした実態から、高齢者の外出支援という役割が果たせていないとして、本来の敬老パス制度に戻すため、空港に投入しようとしている新都市整備事業会計の資金は、敬老パス制度にこそ活用すべきだと迫りました。
しかし、市長らは、「交付枚数が増え、交通事業者の理解がないと維持できない。利用者の一部負担はやむを得ない」などと答弁しました。

借り上げ公営住宅継続へ市長は決断を

民間借り上げ災害公営住宅について、西下議員は、「二十年間の契約期限」を盾に転居を迫る神戸市の姿勢を厳しく批判しました。

神戸市自身が策定した「神戸の住まい復興プラン」(九六年)でも「被災者の恒久住宅への早期移転を図り、公団住宅や民間賃貸住宅の借上げ等に鋭意取り組み、被災者が一日でも早く恒久住宅に落ち着き、ぬくもりと安らぎの中で暮らせるよう取り組んでいきます」と、明確に「恒久住宅」として位置づけている点を強調。被災者に転居をせまる根拠はないと追及しました。

入居者もオーナーも「契約の継続」を望んでいるとの議員団アンケートの結果も示し、入居者が安心して住み続けられるよう「買い取り」「契約延長」などを決断すべきだと迫りました。
質問に対し、市長らは「緊急措置として実施した。契約を結べば延長は可能との国の見解は確認したが、補助率が三分の二から二分の一になり、市の負担が増える」などとと答弁しました。

西下議員は再質問で、「宝塚市長は、直接入居者と話をして(継続入居できる対策を)決めている。数の問題ではない。市長が決断すべきことだ」「借り上げ入居者からのアンケートに、ふるえる字で『人生さいごまでお世話になります』と書かれている。この思いをくんで施策をすすめるべきだ」と批判。

地方自治法の精神で対応するためにも、借り上げ公営住宅の継続をと再度、強く市長らに求めました。

市民の財産を空港赤字の穴埋めに使うな

開港から五年が過ぎた神戸空港は、マスコミでも「独立採算破綻」などと報じられているように、「赤字空港」ということが明らかになっています。

ところが、神戸市は「空港で市民負担をかけない」との市民との約束を破り、新年度予算案で、新都市整備事業会計から空港事業に巨額の費用を支出しています。

「支援」内容は、神戸空港管理収支の赤字穴埋めに三億八千万円、スカイマークの格納庫用地代の立て替えなどで十五億八千万円、ターミナル会社支援に約一億五千万円です。いずれもこれまでの開発団地の造成・売却で得た利益を積み立てた新都市整備事業会計の資金です。

西下議員はこうした点を示し、神戸空港がすでに「市民の財産を食いつぶす大きなお荷物」になっていると指摘。「新都市整備事業会計の資金は市民共通の財産。空港の赤字穴埋めに使うのをやめ、市民の暮らしの応援に使うべき」だと迫りました。

また、医療産業都市構想に関連して、神戸市が神戸国際フロンティアメディカルセンター病院の土地賃料を減額するなど、支援しようとしていることを批判。医師会との合意も得られていないことも指摘し、支援中止を求めました。


西区井吹北小建設など市民要求も一部実現へ:神戸市予算案

市民要求の実現へ「子育てアンケート」などにとりくむ
日本共産党市議団=昨年五月
二〇一一年度神戸市予算案では、市民が実現を求めていた要望もいくつか予算化されています。

過大規模校となっていた西区の井吹東小学校の過密を解消するため、「(仮称)井吹北小学校」が建設されることになりました。

保育所待機児童解消では、不十分ながら、民間保育所の新設も含めて四百六十人の受け入れ枠が拡大されています。また、病児・病後児保育も一カ所増やしています。一時保育は、百二十九カ所から百三十二カ所に増えています。

子どもの医療費助成は、現在、小学校三年生までとなっている外来助成が、小学校六年生まで拡充されました(四年から六年までは、外来三割負担が二割負担に)。

小規模事業所向けの信用保証料補助について、融資額五百万円以下の全額を公費負担とする制度が継続されます。

分別収集のために、全世帯向けワケトンカレンダーが作成されます。

摩耶ケーブルも存続の方向で調査が行われます。夜型観光ルートの開拓なども予算化されています。



(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

県議会一般質問:日本共産党・新町みちよ議員

地域経済と暮らし守る予算を

兵庫県議会で二月二十三日、日本共産党の新町みちよ議員が一般質問に立ち、一万六千通の県民アンケートに寄せられた声をもとに、地域経済と暮らしを守る予算を求めました。

大企業立地補助やめ、住宅リフォーム助成の創設を

新町議員は、県内で身勝手な、もうけ本位の大企業撤退が相次いでいることについて「県がしっかりものをいうべき」だと迫り、「大企業を呼び込めば、そのおこぼれで地域経済がさかえる」と巨額の補助金を出してきた県を批判。県予算の0・3%に過ぎない中小企業予算の増額こそ必要だとのべました。

明石市などが実施する住宅リフォーム助成について、経済効果が大きく短期間で全国の自治体に広がっていることや、首相が国の「社会資本整備交付金を活用できる」と述べていることを指摘し、県としての実施を知事に強く迫りました。

国保料の引き下げ、医療費負担の軽減を

国民健康保険料や医療費負担軽減を求める多数の県民の声をとりあげ、一人当たり四百円にすぎない県の市町国保への独自補助増額を要求。一九七〇年代には無料だった老人医療費助成を二割負担(低所得者は一割)にまで改悪してきた上、来年七月から、所得制限で対象者をたった12%に減らす「行革」を厳しく批判し、元に戻すよう要求しました。

また、子どもの医療費助成の所得制限を強化し、約五万五千人を対象外にする計画を撤回し、中学校卒業まで無料にすることを求めました。

介護保険料軽減、特養ホーム増設を

新町議員は、高い介護保険料の一方、要介護認定を受けていてもサービスを受けられない人が2割にのぼり、中でも特養ホームの待機者は二〇〇九年度で二万五千人で、県が「緊急度が高い」とみなしている人だけでも三千五百人もいると指摘。

施設整備を抑制する国の「参酌標準」に従ってきた県を批判し、〇九年度から二千三百床が増えるだけの現在の見込みでは間に合わないとして増設を求めました。

明石などで生産緑地制度導入を

「宅地並み課税」に苦しむ都市部の農家の負担を軽減し、貴重な緑地を残そうと、JA明石・兵庫南などが署名にとりくんでいる「生産緑地制度」導入の促進を求めました。

県は、農地の保全の必要性を認め、導入の具体化を約束しました。

少人数学級拡大を

新町議員は、民主党政権が来年度「少人数学級を一、二年生で実施」としていたにもかかわらず、一年生のみの実施で、しかもすでに配置されている加配教員の活用などで実質的な教員増はわずかしかないもと、県の努力で少人数学級をさらに広げるのか、国がやらないからと手をこまねいて待つのか問われると指摘。中三まで計画的に拡大するよう迫りました。

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

二つの加古川市民病院の存続と充実を求める会結成

加古川市民病院と神鋼加古川病院の統合・再編計画に対し

加古川市は、市西部にある市立の加古川市民病院(四百五床)と市東部にある民間の神鋼加古川病院(百九十八床)とを統合・再編、ことし四月一日付で地方独立行政法人(非公務員型)としての「加古川市民病院機構」を設立し、その後六年先をめどに約六百床規模の新病院を「市内適地」に新築移転する計画を進めています。

日本共産党加古川市議団は、「加古川市民病院統合・再編問題についての報告と懇談会」を、昨年十二月と今年一月の二度にわたり行い、のべ七十人あまりの市民が参加しました。

この懇談会で、党市議団は、二病院の統合再編計画には、現在の市民病院を充実させ、今の場所で残して欲しいという市民の願いが全く盛り込まれていないことや新病院建設に伴う膨大な資金の返済計画が市民に明らかにされないまま進められているなどの問題点を報告しました。

二月六日には、統合・再編で現在の医療を後退させないよう市民が声を上げようと、運動団体の結成準備会が開かれ、「二つの加古川市民病院の存続と充実を求める会」の結成を呼びかけました。


二月二十日の結成総会には約七十人が参加。記念講演に招かれた自治労連の高田なお子氏は、全国的に統合・再編後の病院経営は医師や看護師の退職・経営破綻・指定管理者制度導入等の厳しい現実が多いとの事例を紹介しました。

その後の結成総会では会則や役員を決め、病院前や駅頭各町での宣伝活動・署名活動・学習活動・会員拡大などの組織活動・ニュース発行などの活動方針を確認しました。また、「財政負担の大きい新病院の建設を撤回し、市民の生命と健康を守るセーフティネットを築くために医師の確保に全力をあげ二つの病院を存続・充実させることを求めていく」とのアピールを採択しました。

総会では日本共産党の星原さちよ県議も激励の挨拶をしました。

(岸本たてき・加古川市議)


写真:結成総会参加者(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

トムソン解雇撤回・正社員化裁判:地裁判決

慰謝料支払い命じ一部勝訴/被告・会社の雇用責任は認めず

JMIU日本トムソン支部の組合員が、解雇撤回と正社員化を求めている裁判で、神戸地裁姫路支部(中村隆次裁判長)は2月23日、被告・会社の法違反を認定しながらも、慰謝料支払いだけを命じる判決を出しました。

ベアリング製造企業の日本トムソンが「生産減」を理由に、姫路工場(姫路市書写)で働く、プレミアラインから派遣された労働者の09年3月末雇い止めを発表したのは、わずか1カ月前。契約期間満了まで5カ月を残していました。正社員採用が長年おこなわれず、技術継承を危ぶんでいたベテラン社員たちは20代、30代の派遣社員たちを歓迎、指導していた矢先でした。

雇い止め通知の相談を受けたJMIU日本トムソン支部(前尾良治委員長)は、退職者を除く13人をすぐ組合に迎え入れました。即刻、兵庫労働局に直接雇用の指導・勧告を求めて申告。同年3月23日、兵庫労働局は日本トムソンとプレミアラインに職安法違反、派遣法違反を認定し、雇用の安定をはかるよう指導しました。

会社は希望した10人を6カ月間の有期社員として直接雇用しましたが、09年10月以降の延長を拒否。組合員9人が地位保全を求めて提訴していました。

裁判弁論のなかで、工場長自らが、採用時に9人を事前面接し、賃金や諸手当を決めていた事実も明らかになっています。

しかし判決は「被告に派遣社員採用関与は認められない。解雇の権限もなかった。雇い止め、更新拒絶は無効ではない」としながら「出向から業務委託、さらに派遣へと契約形態を変化させながら、5年の長きにわたり違法な労働者派遣が実施されていたことは明らか。違法行為を認定できる」と4人の原告に各50万円の慰謝料を支払うよう、会社に命じました。
判決を受けて、原告団、弁護団、労働組合は連名で声明を発表しました。「日本トムソンの『違法の重大性』を認めながら雇用責任を認めず、原告の『正社員として働きたい』という切実な願いを否定するもの。『金さえ払えば労働者の首を切れる』との風潮が生じる事態も懸念される」とし、ただちに控訴すると述べています。

報告集会で、吉田竜一弁護士は「09年12月の松下プラズマ最高裁判決に乗っかった腰の引けた判決。違法行為をやったのは会社側。原告らに何の落ち度もない」と強調しました。

原告らも挨拶。「違法状態で働いてきた4年近い期間を、50万円ですまされたことに怒りを感じている」「これで俺たちが諦めては、後につづく人に顔向けできない」などそれぞれの思いを語り、ひきつづく支援を訴えました。

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連が兵庫労働局に要請:安定・良質な雇用を

兵庫労連(津川知久議長)は2月25日、今春闘地域総行動の一環として、兵庫労働局に安全・安心な労働環境の実現を求める要請をおこないました。県下各地の労連傘下労組代表ら20人が参加しました。

要請は①雇用破壊をただし、安定した良質な雇用実現へ労働法規の見直し②登録型派遣・製造業派遣の全面禁止など、労働者派遣の実態にもとづく法改正③最低賃金を1千円に引き上げ、全国一律最賃制度導入④今春卒の大学・高校生の就労場確保へ雇用拡大策⑤事業者への高齢者雇用安定法指導⑥大企業の工場移転・閉鎖計画の見直し―について国や県、関係先へ申し入れるよう求めました。

労働局職業安定部の担当者ら9人が対応。「安心・安定して働きたいの声をハローワークの現場でも聞いている」「工場移転は地域経済に影響。良質求人の減少を危惧している」などと答えました。

意見交換で兵庫労連は「日本トムソンの派遣労働者裁判で、労働局の指導が大きな焦点になった」「就職希望高校生の4分の1が未定で、求人そのものがない。兵庫県は大企業に補助金を出しているのだから、雇用拡大を知事自ら働きかけてほしい」と要望しました。


写真:人間らしく働けるルールの確立を求め県労働局(手前)に要請する兵庫労連

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

姫路市網干 たんぽぽ祭り

住民交流今年で10回目

姫路市網干地域住民の恒例行事「たんぽぽ祭り」(実行委員会主催)が2月27日、網干市民センターでひらかれました。ことしで10回目をかぞえ、1千人を超す参加者でにぎわいました。

展示コーナーでは、憲法を守り活動している九条の会西ひめじ、エコパークあぼし爆発事故の情報公開を求めている明日を語る西姫路住民懇談会、アフガニスタン義肢装具支援の会などが活動をパネルで紹介。書道や水墨画、ちぎり絵、写真の愛好家たちも自慢の作品を出展しました。

大ホールでは「子育て支援で住みよいまちに」のテーマでフォーラムがひらかれました。里親活動8年の女性や、引きこもりの見守りをつづけているNPO代表らが発言。大脇和代共産党姫路市議が司会を務め、子どもたちの成長発達を大切にしない政治の実態が語られました。

またステージでは、子どもたちから熟年層まで幅広いグループが日ごろの練習成果を披露しました。踊りだけでもフラダンス、クラシックバレエ、朝鮮舞踊、民舞、社交ダンス、カントリーダンスなどがプログラムに並びました。

屋外のバザー会場もにぎわいました。


写真:多彩なプログラムの1つ、新婦人相生支部のフラダンス

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

三月に入ると確定申告の期日が気になります。法人税や大資産家の税率は下がっていることを思うと庶民の重税感はぬぐえません。「税金は大金持ちからとれ」とは古典的ながら今ピッタリのスローガンです▼民主党政権は「税と社会保障の一体改革」を言っていますが、世論調査によると、これを支持している人たちが過半数あることに驚きます。これが消費税引き上げを意味していることを知らないのでしょうか▼政府のごまかしに迷わされているだけとも言えません。消費税を必要悪と思っている人たちも少なくないのです。消費税には「逆進性」があり、貧乏人ほど負担率が高くなることに気付いていないのです▼私たちの運動の不足です。「消費税引き上げ反対」は「軍事費」は決して減らさない政府予算の暴露とともに言う必要があります。日本共産党は「政府予算の組み替え要求」を発表。「大企業・大資産家向けの大減税やめ、暮らし応援の予算へ」という庶民の声に応えるものです▼三月十一日には県下各地で重税反対統一行動が行われます。「税金は大金持ちからとれ」「消費税引き上げ反対」を言う人たちを増やし、いっせい地方選挙でも前進を。(Ts)

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々:治安維持法による弾圧犠牲者(6)

全評・金星社から人民戦線弾圧まで

相次ぐ弾圧のあと

一九三三(昭和八)年の検挙は全国で送検一万八千三百九十七名、起訴一万二千八十五名という最高の数を記録する。兵庫でも送検四百八十六名、起訴四十八名であった。

この年の三・一〇弾圧以後、労働運動では神戸のゴム産業で全協がストライキを指導し、海員刷新会も再建した。青年学生では甲南高校の飯沼修(後の永井智雄)らを中心に共青市委員会を再建、神戸高商や神戸中央電報局にも班がつくられ、反戦・軍事教育反対、学問の自由を掲げて闘ったが、相次ぎ検挙された。

一九三四年二月以降の弾圧で党と全協の組織はほとんど壊滅していた。既に救援会(モップル)も潰されていた。

しかし、合法分野の左翼労働組合として全国評議会(全評)が残り神戸地評があった。また、合法左翼の人たちが親睦団体「友愛倶楽部」に集まっていた。倶楽部の青年部的な文化団体「金星社」がありコミュニストが多かった。

反ファッショ統一戦線

一方、海員刷新会の流れを継ぐ船舶通信士会、プロレタリア・エスペラント(プロ・エス)グループ「マルシュ」が存在した。マルシュはプロ・エスの国際活動の全国的中心になっていた。

この人たちによって伝えられたのがコミンテルンの人民戦線戦術であった。

一九三五年、コミンテルン第七回大会が「反ファッショ統一戦線」を呼びかける。ヨーロッパでは独伊におけるファシズム台頭に対し人民戦線がつくられフランス・スペインでは政権を獲得していた。

日本ではこの年、軍部ファシストによる二・二六事件が起き、軍国主義は強まる。コミンテルンの方針が伝えられると労農無産団体協議会結成が全国各所で進められた。

二次の人民戦線弾圧

この統一戦線的な動きに対し特高警察は三六年暮れに全国で千三百名検挙。神戸では金星社、プロ・エスを含め久留島義忠ら七十七名が検挙された。彼らはコミンテルンの指示で動いたとされ、治維法の目的遂行罪に問われた。第一次人民戦線事件と呼ばれる。

翌三七年三月に左派社会民主主義者による日本無産党が結成された。七月には中国への全面侵略開始。そして年末には無産党・全評や労農派学者らが全国で四百名、神戸で青柿善一郎ら二十一名が検挙される。この事件では社会民主主義もマルクス主義から出ているという論法が使われた。

この間に「新興教育」会員を組織していた神戸の御蔵小学校教師倉岡愛穂が御影署で虐殺されている。

(治安維持法犠牲者国賠同盟県本部・戸崎曽太郎)

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

第64回解放運動無名戦士合葬者

平和と民主主義、国民の生活と権利、政治革新をめざす運動なかばで昨年亡くなった方がたを顕彰する第64回解放運動無名戦士合葬追悼会が3月18日、東京新宿の日本青年館と青山霊園「解放運動無名戦士の墓」前でおこなわれます。兵庫からは47人が合葬されます。合葬者の氏名、享年、住所、おもな活動歴は新聞版をご覧ください。
解放運動無名戦士合葬追悼兵庫県実行委員会は、中央実行委員会分担金や宿泊費、オルグ活動、諸費用にあてるため、募金を呼びかけています。☎078・351・0677、郵便振替01140・7・3866国民救援会兵庫県本部(通信欄に「合葬募金」と明記してください)

(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(463)



(2011年3月6日付「兵庫民報」掲載)