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2011年2月27日日曜日

県民のための県政へ切り替えを

兵庫県は十四日、来年度予算案と「第二次行革プラン」(最終案)を発表しました。

二〇一一年度県予算案:「厳しさ」を強調するが

予算案の規模は、一般会計で二兆一千二百八十五億円(前年比3・4%減)、特別会計八千七百十八億円(前年比10・3%減)、企業会計千七百億円(前年比2・0%増)、合計三兆一千七百三億円(前年比5・2%減)となっています。

法人の税収はのびるものの、地方交付税等が減額されており、県は「厳しさ」を強調。一般事業費を一割カットする「第二次行革」実行予算となっていますが、一部に運動の反映も見られます。

また、麻生自公政権と、政権交代後の民主党政権下で、国補正が連続し、その財源による事業や経済対策基金(八百二十六億円)も、様々な使途で活用されます。県民のための事業がすすむようにチェックも必要です。

県民の運動と日本共産党議員団の論戦の成果

日本共産党が県民と連携し署名など運動をすすめてきたこども医療費助成は、通院について小学校六年生まで拡大。

また、児童虐待などに対応する県こども家庭センターの体制強化、公営住宅へのLSA(高齢者の生活援助員)の二十四時間配置モデル事業も実施されます。

深刻な未就職者問題で、百人の臨時県職員採用の予算も計上されています。

「ダムの実質中止」となった武庫川では総合治水対策として、下流の築堤と新規遊水地事業が盛り込まれました。

大企業への補助金や不要不急の事業は温存

パナソニックなど大企業立地補助金は削減なく「聖域」として三十七億五千万円を計上。

日本共産党が不要・不急の事業として指摘をしている播磨臨海地域道路計画の調査費として、関連道路も含めて一千万円、東播磨南北道路は、八幡南以北の第二期事業のための環境調査の予算が計上されています。

現在十六ある県立高校の通学区の拡大をすすめるため検討委員会の最終報告を準備中で、説明会も開かれました。「新たな通学区」のための「リーフづくり」の予算も。

「通学が困難」「受験競争がますますひどくなる」など、各地での懸念の声を無視してすすめる姿勢です。


経済対策基金の主なもの
・安心こども基金
・妊婦健康診査支援基金
・緊急雇用就業機会創出基金
・社会福祉施設等対策基金
・介護職員処遇改善基金
・私立高校授業料減免基金


県「第二次行革プラン」:開発のツケ県民に押し付け

県議会に請願する西武庫公園の存続を
求める会の人々と日本共産党県議団
予算案と同時に発表された「第二次行革プラン」最終案は〇八年からすすめてきた「新行革プラン」三年目の点検をしてつくられたものです。

県民からの批判をあびている「こどもや障害者の医療費助成の所得制限強化」は、来年度以降に先送りとなりました。

しかし、西武庫・明石西公園などの県立都市公園の廃止方針は、撤回されていません。

財政難を理由に、県民にさらなる〝痛み〟を押し付けようとしていますが、県の五兆円を越える借金の中身をみると、41%が建設・農業などの土木事業、12%が学校や施設など、18%が臨時財政対策債(地方交付税の振り替え制度で、国が返済分を措置する)となっています(グラフ)。

よく「社会保障が財政を圧迫している」と言われますが、借金の肥大化の原因は、主に九〇年代に「自治体の開発会社化」がすすみ、兵庫県が大規模開発をすすめたせいです。

この借金の返済がふえ、財政が硬直化しているために、県民にツケを押し付けているのです。


グラフ=二〇一一年度末 県債残高の主な内訳
土木事業 41%
臨時財政対策債 18%
学校や施設など 12%
その他 29%



TPP加入想定の対策か

日本共産党県委員会・県議団は昨年末、「TPP(環太平洋連携協定)の兵庫県への影響調査と県民への公表、政府への反対申し入れ」を県に強く求めました。

これに対し県は、一月末にやっと影響試算結果を発表しました。農業生産額が半減するなど兵庫の農業に壊滅的な被害をあたえるものでした。

しかし、兵庫県の予算案では、取り組みを強めている農業関係者と連携して、政府にTPP参加反対を迫るのではなく、「国内外の競争に勝てるひょうごの農業」「輸出促進」「ブランド指導」「経営能力強化」など、TPP加入を想定して対策をするかのような新規施策が並んでいます。

兵庫県議会での「TPP加入の慎重な対応」を求める意見書にも逆行する予算案ではないでしょうか。


(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

赤穂市が国保税 一世帯当たり一万円引き下げ

兵庫県赤穂市では、市国保運営協議会が開催され、国保税額を一世帯当たり平均一万円引き下げる市長提案を了承しました。協議会の答申を受けて、条例改定案を三月定例会(三月七日開会)に提出します。

長引く景気の低迷や、雇用情勢の悪化など、市民の生活は厳しさを増し、国保税について、「高すぎて払えない」の声が上がっているなか、日本共産党市議団は、繰り返し保険税の引き下げを求めてきました。

二〇一〇年度の診療報酬改定の影響や、団塊の世代の退職に伴う加入者数の増加により、今後、医療費の増大が予測されること、また、赤穂市の国保被保険者一人当たり医療費が、県下の市で一位となっているなど課題はあるものの、財政調整基金の活用などにより被保険者の負担軽減を図るとして、国保税引き下げが提案されました。

あわせて提案された課税限度額の見直し案は、一〇年度の法令で定められている額まで引き上げることになりますが、中・低所得者の負担軽減を図る内容となっています。
(小林篤二・赤穂市議)

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

県春闘共闘 11春闘勝利決起集会

賃上げと雇用安定へ団結


兵庫県春闘共闘委員会主催「11春闘勝利決起集会」が2月17日、神戸市勤労会館でひらかれ、約100人が参加しました。

主催者挨拶で、兵庫労連の津川知久議長は「いよいよ春闘本番。誰でも月額1万円以上時給100円以上の賃上げを実現しよう。国民ぐるみ、県民ぐるみの春闘にしよう」と呼びかけました。

小田川義和全労連事務局長が「賃上げと雇用の安定は経済再生・活性化の中心課題」と題して講演しました。小田川事務局長は、国連の報告書を示し「輸出中心・外需依存の経済ではなく、内需拡大を求めているのが世界的状況。国際比較でも賃下げは日本だけ。ドイツのフォルクスワーゲン社は3%賃上げを実現している」「非正規労働は3人に1人。年収200万円以下が4人に1人。賃金の底上げで、格差と貧困をなくし、国民の懐を暖める政策を実現させよう」と述べました。

各組織が決意表明。「ことしを春闘再生元年にしよう。全労働者の賃上げと地域経済活性化めざし、リレーストライキを提起する予定」(JMIU兵庫地本)、「公務職場の半数以上が非正規。『市場化テスト』の名による丸投げもおこなわれている。運転業務は予定価格の約半額で落札され、年金受給者しか働けない賃金が実態」(県国公)と訴えました。

写真:春闘勝利へ「団結ガンバロー!」を唱和する決起集会参加者たち

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

「子ども子育て新システム」反対パレード600人

保育の市場化 マジやばい!


保育の「新システム」に反対する「兵庫保育パレード」(実行委員会主催)が2月20日、神戸市中央区でおこなわれました。

政府は待機児童解消を理由に、保育を従来の認可制から指定制に変え、設備・人員基準も大幅後退させる「子ども子育て新システム」を13年度から導入しようとしています。

「守ろう保育制度、つくろう保育所、すべての子どもによりよい保育を」を合い言葉に神戸市役所花時計前に保育士や保護者、子どもたちら約600人が集まりました。

イメージカラーは黄色。スカーフや手作りの飾り、ゼッケン、プラカードも黄色。ピカチュウぬいぐるみも加わりました。

ラップ調「保育の市場化マジやばい」のシュプレヒコールや「ももたろう」の替え歌を歌いながら、センター街から元町大丸前までパレード。終結点で宣伝をおこないました。

神戸市須磨区から2歳3カ月の鈴蘭(れいら)ちゃんの乳母車を押して参加した作田菜津子さん(26)は「安心して子どもを預けられるよう、保育所を充実させてほしい。いまより悪くするのは反対です」と話していました。

写真:「保育制度を変えないで!」、パレード出発式で声を合わせる参加者

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県日本共産党後援会が総会


兵庫県日本共産党後援会の第三十三回定期総会が二月十九日、新長田勤労市民センターで開かれました。

総会では、すべての行政区で後援会を確立すること、地域・職場・学園などすべての党支部に対応した単位後援会をつくること、ニュースを定期発行し、得票目標にみあう会員数を得ること、などの方針を確認し、いっせい地方選挙を勝利し、国政選挙での巻き返しへスタートを切ろうと意志を固めあいました。

いっせい地方選挙候補者と堀内照文兵庫国政委員長も決意を述べました(写真)。

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

兵庫革新懇が総会:閉塞する政治変えよう

兵庫革新懇は二月六日第三十一回世話人総会を開催。公開記念講演では二宮厚美神戸大学教授が「二〇一一年日本の経済の行方とくらし」をテーマに講演しました。

二宮氏は菅民主党内閣が完全に行き詰まっていることを指摘し、貧困と格差の広がり、内需不振に起因するデフレ不況、税制空洞化による深刻な財政危機などをくわしく解明。その上で所得の上下の再配分こそ重要であり、逆行する消費税の増税を許してはならないと強調しました。

総会では入山明代表世話人が、発足三十年となった二〇一〇年度の活動報告と一一年度の運動方針案を提案、閉塞状態の国政を国民本位の政治に変えるため革新三目標に基づく幅広い革新懇運動の発展がいまこそ重要であると呼びかけました。

討論では岡正信日本共産党兵庫県委員長がいっせい地方選挙をめぐる情勢と意義について発言、つづいて兵庫労連など参加団体代表が活動報告を行いました。

最後に四人の新代表世話人を含む役員を選出、新たな事務局体制を確認し閉会しました。

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

青年の雇用確保を:青年ユニオン、民青同盟、日本共産党が兵庫県と神戸市に要請


兵庫青年ユニオン~波~と、民青同盟兵庫県委員会、日本共産党兵庫県委員会は、大学門前やハローワークなどで集めた学生・青年の雇用の実態三百十二人分をまとめ、学生の就職難打開、若者の雇用確保・生活改善などをもとめ二月十四日に兵庫県に、十七日に神戸市に要請しました。

県要請には、姫路市や尼崎市など県内各地から十人の青年・学生が参加。日本共産党のねりき恵子県議団長、堀内照文兵庫国政委員長らが同席しました。参加した青年からは、「七十社受けても受からず傷つけられ、引きこもり状態になっている大学四年生もいる。実態を調査し、改善につとめてほしい」(関西学院大学学生)「ハローワークでは二年以上定職につけていない青年、いじめにあい退職を余儀なくされた青年などもいた。労働者の権利パンフを学校などにも配ってほしい」(姫路の青年)など実態をまじえ要請しました。

市要請には、西ただす市会議員が同席。介護職場で働く青年や生活保護を受けながら仕事を探している青年が、実態を話し、雇用拡大などを求めました。市担当者は、「寄せられている声を受けとめ、改善へ努力したい」と答えました。

写真:神戸市に要請する青年たち

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

住民の足・神鉄粟生線守れ:日本共産党が国、県、神戸市、神鉄に要請

日本共産党は、神戸電鉄粟生線問題で兵庫県、神戸市、近畿運輸局、神戸電鉄に要請を十五日から十八日にかけて行いました。

三木、小野、神戸の三市を中心に「粟生線活性化協議会」を設立、三カ年の事業を二〇一〇年度からはじめた矢先、補助を約束していた国が打ち切りを決定。神戸電鉄が廃止も含めて今年度中に判断するとの新聞報道で地元では大変な衝撃と不安が広がっています。

同線は、減っているとはいえ七百万人近くが利用。通学では三木、小野両市内の県立高校だけでも三千人。神戸市域では小学生も通学手段として利用しています。

もし廃線となれば、バスなどの代替機関ではとうてい無理な規模であり、交通渋滞も懸念されます。

行政も「通勤・通学の足など重要な生活路線だと認識している」(県)「大事な路線だ。この点は三木、小野両市と共通している」(神戸市)との回答ですが、独自の支援策は行っていません。

日本共産党は今回の要請で、京都など他府県では活性化協議会に財政支出している例も示し、兵庫県も支援の強化をと訴えました。国には公共交通の果たすべき役割にふさわしい支援を行うこと、神戸電鉄には維持への努力を行うことを求めました。

▽この要請には星原さちよ・新町みちよ両県議、南原富広・金沢はるみ両神戸市議、大まゆ均三木市議、鈴垣元小野市議、森ひろし北区県政対策委員長、松本勝雄西区県政対策委員長、花房ふみこ西区市政対策委員長、藤原あきら小野市政対策委員長、板東しょうご三木市政対策委員長らが参加しました。

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党神戸市議団が予算懇談会

日本共産党神戸市会議員団は二月十八日、新長田勤労市民センターで予算懇談会を開き、約八十人が参加しました。

挨拶に立った松本のり子団長は、市議団と民主団体が協力して市政を変えるために運動してきたことを強調。昨年、多くの団体が協力して開いた市民集会などの成果をうけて、今日の懇談会を計画したと報告。市民の運動が新年度予算案にも反映されていることを紹介しながら「春の市議選でどうしても勝利し、市政を変える運動をさらに広げたい」と、支援を訴えました。

森本真政調会長が、新年度神戸市予算案の特徴について報告。「市民の安心と暮らしを守る」などといいながら、実際は空港や医療産業都市構想に多額の予算をつぎ込んでいる姿勢を批判。同時に、市民の運動の成果として、西区・井吹北小学校(仮称)建設や、子どもの医療費助成制度の拡充、小規模事業所向けの信用保証料補助について、融資額五百万円以下の全額を公費負担とする制度が継続されることなどを紹介しました。

参加者からは「紙芝居で、要求書き込み運動をしている。子育て世代では、子どもの医療費無料化と中学校給食の要求が強い。高齢者は敬老パスの改善を求める声が多い」(新婦人)「市民との約束を破って新都市会計から神戸空港への繰り入れを始めた。このお金は市民のために」(ストップ!神戸空港の会)「市長は借り上げ住宅に十五億円を負担するのがいやだとして、高齢者の命を削るのか。入居者の命を守るためにも頑張る」(借上げ災害公営住宅入居者)など、神戸市政に対する多様な意見、要求が出されました。

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが

まさかマニフェストも「方便」?

段 重喜


(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

県平和・友好団体有志後援会:「世界の流れをどうみる」学ぶ

兵庫県平和団体・国際友好団体有志日本共産党後援会のつどいが2月18日、神戸まちづくり会館でひらかれました。約70人が参加しました。

地方選挙候補者を代表し、井村ひろ子兵庫区県議候補が挨拶。8人以上の県議団になるよう、さらなる支援を訴えました。

森原公敏党国際委員会事務局長が「世界の流れをどうみるか」と題して講演。チュニジア、エジプトはじめ中東で、人間の尊厳をかけた国民の闘いが、歴史を動かしている状況を述べました。

また、09年9月のG20首脳会議で「経済発展・繁栄には異なるアプローチがある」と確認した点を「違いを初めて認めた画期的なもの」と評価。世界の構造が変化し、武力を紛争解決の手段にせず、地域の共同による発展に積極的な東南アジア諸国連合や中南米諸国の姿を紹介しました。

行動提起では、党候補者の政策や実績、経歴を1人でも多くの人に知らせようと話しあいました。

写真:「『アメリカの時代』は終わった」と語る森原さん

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県民法協11春闘学習会:貧困・格差社会の是正へ

兵庫県民主法律協会の春闘学習会が2月16日、神戸市勤労会館でひらかれ、約40人が参加しました。

二宮厚美神戸大学教授が「春闘をめぐる情勢と労働運動の課題」と題して講演しました。

二宮教授は、内政外交とも支持率回復の兆しがまったくない菅・民主党政権を評し「明らかに自滅過程に入った。いまこそ政治的力関係を変える必要がある。どういう形で民主党政治を終わらせるのか、はっきりさせる運動が今春闘の課題」と語りました。

また、消費税の増税ではなく、大企業や富裕層から税金を吸い上げる垂直型再配分へ、税制再構築の闘いを突破口に「貧困・格差社会の是正へ、国民や労働者の目が一致して向くような運動をおこしていこう」と強調しました。

写真:「福祉・教育を正す闘いを」と語る二宮教授

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

アスベスト行政訴訟 原告尋問

神戸港で石綿を扱う船内荷役に22年間従事した労働者が、肺ガンを発症。健康管理手帳を発行しても、時効を理由に労災申請を認めない国を相手どり、休業補償不支給処分取消を求めている裁判の第7回弁論が2月17日、神戸地裁第6民事部(矢尾和子裁判長)でひらかれました。

原告・松本博さん(77)への本人尋問がおこなわれました。

「なぜ労災は時効なのか」

五嶋組、神戸荷役など下請け会社の労働者だった松本さんは、当時の状況を説明。「職場のホコリが危険だと会社からの説明はなかった。マスク着用の注意もなかった。手鉤を使って運び、袋が破れることもあった。看貫が袋に『石綿』と書くのを見たが、綿の一種と思った。作業着は家で家族が洗濯した」「97年肺ガン手術。息苦しく咳が出ると止まらず働けなくなった。06年健康管理手帳を取得。医師から石綿が肺ガンの原因と言われた。休業補償の時効は、何が理由なのか納得できない」と述べました。

最終弁論は5月12日です。


(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

社会保険神戸中央病院を守る住民の会総会

公的病院として存続・充実を

社会保険神戸中央病院を守る住民の会(田中章之代表)第3回総会が2月19日、神戸市北区すずらんホールでひらかれ、約60人が参加しました。

社会保険病院・厚生年金病院などの「公的存続法」は昨年の174通常国会で審議未了、廃案になりました。再度、住民たちが全国連絡会をつくり、国の責任による公的医療機関として存続と充実を求める署名運動をとりくんでいます。

一方、施設の売却・譲渡を進める健康保健福祉施設整備機構法は175臨時国会で2年延長されました。

開会挨拶で田中代表は「医師の減少で、産婦人科がなくなり、眼科も週2回になった。北区住民の命を託せる病院なのか。公的病院として存続させ、安心して医療を受けられる病院に育てていこう」と訴えました。

徳島県医労連書記長の井上純さんが記念講演。健康保険鳴門病院の公的存続・充実を求め、政党枠を超え、広く住民を巻き込んだ運動を紹介しました。

街頭・病院前での署名宣伝活動をいっそう拡げる、国会要請行動への代表派遣など、事務局が運動を提起しました。また金沢はるみ神戸市議が地域医療の状況を報告しました。

写真:地域医療の状況を報告する金沢はるみ市議

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

風力発電:市民にやさしい淡路市政をつくる会が講演会

問題点未解決のままの建設計画見直しを

市民にやさしい淡路市政をつくる会は講演会「風力発電の理想と現実」を2月13日、北淡震災公園セミナーハウスで開催、110人が参加しました。

三重県で風力発電の環境問題にとりくむ歯科医師の武田恵世さんが講演。風力発電が、火力発電抑制につながらない現状や、騒音、低周波音による睡眠障害など健康被害が世界27カ国で発生し、動物にも影響が出ている実態を紹介しました。

北淡路の風力発電を考える会の丸井洋二代表は、淡路市で建設を計画している関電エネルギー開発が、データの捏造や隠蔽を行っている実態を報告しました。

南あわじ市津井中津浦の元自治会長、波戸賢一さんは、同市に風力発電所ができた経緯とインターネットに「風力発電」掲示板を設けたとりくみを報告。

風力発電施設近くの住民からは、耳鳴りや目まい、突発性難聴などを発症、風力発電反対署名を400筆以上集めた経験が語られました。

建設予定地近くの住民も、健康被害を知らされないまま、建設が進むことへの不安を訴えました。

「やさしい会」は淡路市や市議会、関電エネルギー開発への申し入れを予定しています。

写真:講演する武田恵世さん(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

「古墳時代」講演会:日中友好協会加古川支部

日中友好協会加古川支部は講演会「中国の歴史書から読む古墳時代」を2月19日、加古川市内で開催、68人が参加しました(写真)。

講師の来村多加史阪南大学教授は、3~5世紀ごろの中国大陸と朝鮮半島に、日本が関わった歴史を、手製年表や「宋書・倭国伝」などをもとに、わかりやすく説明しました。

また当時を知る貴重な文字資料「好太王碑文」を紹介。韓国ドラマ「太王四神記」が高句麗中興の英雄、好太王の半世を描いた作品であると語りました。そして中国から持ち帰った土産品、好太王碑のミニチュアを示し、現地でのエピソードを交えて話しました。

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

議員定数と民主主義を考える(4)


神戸学院大学法科大学院教授 上脇博之

議員定数を増やして、議会を“住民の縮図”に!

地方公共団体の執行機関には、その長(首長)がいます。都道府県知事や市町村長も住民による直接選挙で選任されます。また、地方公共団体の議事機関である議会も各地方公共団体にあり、それらの議員も住民が直接選挙で選任されます。つまり、内閣総理大臣を直接国民が選任しない国政と違い、地方政治においては、行政の首長も議会の議員も住民が直接選任する仕組みなのです。これは二元的代表制と呼ぶことができます。

言い換えれば、首長だけが民意を代表しているわけではないし、議会だけが民意を代表しているわけではありません。それなのに首長が議員定数削減を主張するのは、単に都合の悪い議会を自分の都合のよい翼賛的議会にしたいだけなのでしょう。

議会は住民の代表機関であり議事機関で、条例や予算について審議して決定しますから、国会と同じように、議会制民主主義の理念に基づくべきです。

そもそも民主主義とは、本来、直接民主主義のことを意味していますが、有権者全員がどこか一カ所に集まって、じっくり議論し、物事を決定することは、事実上不可能です。そこで、やむをえず、議会制(代表制)を採用しているのです。

今は、人口の数%しか選挙権を有しない制限選挙を否定して普通選挙が採用され、人口の8割が選挙権を有しています。一部の民意しか議会に反映しないようであれば、普通選挙を採用している意味はありません。直接民主主義に近づいて初めて議会主義は議会制民主主義と評価できるのですから、議会制民主主義を実現するためには“住民の縮図”を地方議会につくることが必要になります。

また、議員の法定上限数を実際の議員定数が下回っているということは、民意が地方議会に十分反映していないことになります。また、議員定数が削減されれば、都道府県や市町村の首長に対する議会のチェック機能を弱体化させてしまいます。議会の機能不全は、議員定数を削減しても回復できません。議員と議会の質を高める改革をすべきです。

ですから、第一に、条例定数は法定上限数と同じにすべきです。

第二に、選挙区は法律を改正して都道府県全域、市町村全域にするか、または、選挙区を複数設ける場合には、各選挙区の議員定数は大きくし、少数意見を切り捨てる1~3人区は採用すべきではありません。

第三に、政党や会派が発達している議会においては、無所属の立候補は保障したうえで、民意を正確・公正に反映する比例代表選挙を採用し、また、そうでない議会で同じ政党の公認候補が複数立候補しているところでは、当選者の当選票を超えた分の票を同じ政党の候補者に委譲することを認める仕組み(移譲式)の採用を目指すべきです。

このような改革を実行すれば、政策選挙が実現し、議員の質を高め、ひいては議会の実質的審議能力を高める可能性が生まれるでしょう。もちろん最終的には、政策能力のない無能な候補者を当選させず、政策能力のある有能な候補者を当選させる有権者の判断能力が問われます。(



(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

昨年十一月、兵庫県が発表した「第二次行革プラン(案)」は、重度障害者医療費助成の所得判定単位を「同一世帯内の最大上位所得者」から「世帯合算」に変更するとしていました▼先日、精神の障害をお持ちの方から相談がありました。自立したいと思っても仕事はなく、あっても障害のため長続きしない。親の近くに家を借りて一人で住み、二級障害基礎年金と父親からの支援で何とか生活をしている。三カ所の病院に通院しているが県の助成で医療費は月額三千六百円▼これでも負担は大きいのに「新行革」で改悪されたら多分三割負担になりそうだ。親にこれ以上負担をかけるわけにはいかない、と考えると夜も眠れない日が続いている、とのこと▼三月議会に向け県は、実施を当面一年程度延期すると発表したが根本は変わらず。この人の障害がさらに悪化するのではないかと心配です▼県は、乳幼児等医療費助成、こども医療費助成も障害者に併せて見直し、五万人を超える人が助成対象外となります▼「応益負担」は廃止すべきとの運動が広がり、低所得者の負担軽減の方向に動いているとき、流れに逆行する県の「行革」に強い憤りを覚えます。 (N)

(2011年2月27日付「兵庫民報」掲載)