Web版の発行はしばらく休止します

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2011年2月6日日曜日

日本共産党演説会:志位委員長/市田書記局長/こくた国対委員長来演

2月24日19:00/明石市民会館/市田忠義ほか

3月10日18:30/神戸文化大ホール/志位和夫ほか

3月13日15:00/姫路市民会館/こくた恵二ほか

3月13日19:00/加古川市民会館/こくた恵二ほか

3月16日19:00/宝塚ホテル/市田忠義ほか

時刻は開会時刻です。

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

検証:県政と県議会:福祉医療と「県行革」


いっせい地方選挙の県議選は間近。県民の実態に県政と県議会各会派はどう向き合っているのか、4回シリーズで考えます。


医療費増が暮らしを悪化

日本共産党の県議団・市議団の行ったアンケートによると、「暮らしが悪くなった」という答えが約六割。その「原因」として、四割を超える人が「医療費支出増」を「一位」にあげています。

自・公旧政権のもとでも、民主党政権のもとでも、給与・年金や売り上げがあがらないのに、医療費などの支出が増え、生活が苦しくなっている住民の実態が浮かびあがっています。

また、表1のように高い国保料、窓口負担のもとで、経済的理由のために満足に病気の治療を受けられない、命が脅かされている実態も明らかになっています。


表1受診抑制実態調査:経済的理由による治療の中断・中止が
  • あった:37%
  • なかった:33%
  • わからない:30%
兵庫県保険医協会が2010年7-8月、会員を対象に実施した実態調査の結果から
(詳細は本紙2010年9月26日付に掲載しました)


県民に痛みおしつける県「行革」

しかし、兵庫県は、県民の暮らし・福祉の願いに応えるどころか、さらに「痛み」を押し付けてきました。

二〇〇〇年からはじまった「県行革」を振り返ると、国の医療改悪に沿って、「財政難」を口実に、県単独の福祉医療制度、特に老人医療費助成を相次いで改悪してきました(表2)。

この県の改悪によって、共同で制度を実施している県下市町も、改悪が一気にすすみました。

残念ながら、国の悪政の「防波堤」としての地方自治体の役割は発揮されませんでした。

世界では医療費ゼロがあたり前

日本では、国でも地方でも、医療費の窓口負担が三割となり、その根拠として「受益者負担」や「構造改革路線」がまかりとおっていますが、世界の先進国では逆に、窓口負担ゼロはあたり前で、あっても少額の定額制です。

イギリス・ドイツ・フランスなどヨーロッパ諸国をはじめ、OECDでも三十カ国中十二カ国が無料で、日本のような三割負担は異常です。

社会保障給付費の対GDP比も、ヨーロッパの主要国の20%台に比べ、日本は17%と低いレベルに抑えられているのが現状です。


表2老人医療費助成の歴史

1972年
県民の運動で老人医療費無料化

2000年(貝原県政)
有料化:1割負担

2004年(井戸県政)
負担増:2割負担
対象狭める:6万人削減

2008年(井戸県政)
さらに対象狭め13万人削減(17万人→4万人)



こども医療費を拡充させた議会内外の取り組み

日本共産党県議団は、「高い国保料の引き下げ」「老人・こども等の医療費窓口負担を無料に」など、本会議などの質問のたびにとりあげ、毎年度の予算組み替えでは「県行革」で削られた福祉医療を元にもどすことができることを建設的・具体的に提案しています。

こども医療費の中学校三年生までの無料化では、独自の条例提案(〇六年十二月)を行うなど、県民の世論と運動と一体となって、県議会のなかで、制度の拡充を追求しつづけてきました。

その成果があらわれているのが、こども医療費です。通院・入院含め中学校卒業まで無料化などが市町で広がり、兵庫県も動かざるを得なくなって、昨年は入院の一部補助が中学校三年生まで、今年十月からは、通院の一部補助が小学校六年生まで拡大される予定となっています。

「行革」すすめる自民、民主、公明の議席か、医療費ゼロをかかげる日本共産党の議席か

井戸県政を支える与党として「県行革」を含めた予算にすべて賛成し、福祉切り捨ての「行革推進条例」までつくって行政と一体になって「行革」をすすめているのが自民、民主、公明です。

みんなの党は現在、県議会に議席を持っていませんが、「行革」ではより積極的な姿勢です。

「行革」をすすめるこれらの党では、医療費無料化や軽減を期待することはできません。

一方、「医療費無料化へ」「財政難というのなら、巨大な企業補助金やムダな公共事業にメスを」と主張し、県民の味方としての県議会の役割を確実に強くすることができるのが、日本共産党の議席です。


いっせい地方選挙では、「県行革」「構造改革路線」でなく、県民の要求にこたえ、世界であたり前の窓口負担ゼロの社会保障制度を地方からつくっていく議席を増やすのかが問われています。




写真:「子ども署名」「いきいき署名」の二つの署名に取り組む日本共産党県議団(右は堀内照文兵庫国政委員長)


(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

明石―新町県 議、辻本市 議が海苔工場訪問

一月二十日午前一時半、新町みちよ県議と辻本たつや明石市議が市内の漁港に並ぶ海苔工場を訪ねました。

海苔漁師は、十二月後半から三月頃までここで寝泊りします。真夜中も海苔を精製し、明け方に出漁、沖の網から海苔を刈り取り、昼過ぎから夕方に一度帰り仮眠し、また夜中から作業という過酷な仕事です。

今、燃油高騰と税金・保険が経営と家計を圧迫しています。二〇〇八年の三船舶衝突事故による被害も傷が深く、借金もあり、辞めるに辞められません。

年が明けてから海苔の黒さが充分得られない「色落ち」がはじまりました。何より「海の力が落ちている」と漁師たちは顔を曇らせます。

海は一時期に比べると水はきれいになりましたが、海苔をはじめ海産物を育てる栄養に乏しいといいます。

川をダムでせき止め、コンクリートで固めたこと、砂浜、干潟、藻場をつぶしたことが影響しています。

漁師は農家と力をあわせ、ため池を浚渫したり、海底を鋤で耕したり、海の環境を守るための取り組みを進めています。

「去年も来てくれてたなあ。がんばってよ」と新町・辻本両議員に漁師たちから声がかかりました。日本共産党は、燃油対策や経営支援、水道料や保険料引き下げなどの漁業支援策を提案しています。(金田峰生・農林漁民部)

写真:海苔工場で話を聞く新町県議と辻本明石市議

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

二月になって年賀状の話題で恐縮ですが…。宗教家からいただいた年賀状のなかに、とくに目がとまったことばがありました▼「世界平和のためには多神教が必要と思います」と書かれたのは宮司さん。「神道が多神教だから」ではなく、多様な文明が、互いに許容、共存しあうことを求めておられるのでは、と受けとめました▼イスラームは厳格な一神教ですが、他宗教を信じる人、あるいは無宗教の人に対して、本来は寛容です。世界平和に貢献されているムスリムの方も多い▼いっぽう、ある牧師さんからは―「『万物の終わりが近づいている』この御言葉が近くに感じられる世界になってきました。『心を確かにし努めて祈りなさい』…。そうありたいと願う気持ちがいっそう強くなる新年の始まりです」▼聖書が「万物の終わり…」と説くのは、滅亡~絶望などとは対極にある考えのようです。が、様々に語られる「閉塞状況」と重ねて受けとめる人も、少なくないでしょう▼状況に押し流されることなく「心を確かに」時代に向き合って生き抜いていく…。神を信じる者も信じない者も、閉塞状況を打ち破る協働を、もっともっと広げていきたいものです。(S)

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

借り上げ復興住宅―復興県民会議が国とURへ要請

県・市が申し出れば住み続けられる
日本共産党兵庫国政委員長 堀内照文

被災者の怒り

「『無縁社会』が昨年、流行語大賞になったが、被災地ではもう十六年前から起こっていることだ」―今年の阪神・淡路大震災市民追悼式で挨拶した安田秋成さんの言葉に胸を衝かれる思いがしました。

安田さんの怒りは、行政によって見捨てられた被災者の十六年を問題にしているだけではありません。このうえ、借り上げ災害公営住宅(借り上げ復興住宅)における二十年の期限がくるからと、被災高齢者を「追い出そう」とする行政への怒りです。

一月二十六日、私はこの怒りを胸に刻んで、段野太一神戸市議とともに、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議の一員として上京し、所管する国土交通省と、多くの借り上げ住宅のオーナーである独立行政法人都市再生機構(UR)へ要請にいきました。山下よしき参院議員が冒頭、同席しました。

国交省の方策

国土交通省からは、解決の方策として①他の公営住宅に移転・入居②継続して借り上げるための契約を新たに結ぶ③自治体が同住宅を買い取る④借り上げ期間後、入居者が本来家賃を支払い、引き続き入居する―の四点が示されました。

家を失い、避難所、仮設住宅と幾度も転居を余儀なくされ、抽選に何度も落とされ、ようやく入居できた「終の住処」が、たまたま借り上げ住宅だったのです。

転居の度にコミュニティを絶たれ、「孤独死」が社会問題にもなりました。借り上げ住宅でようやく築き上げてきた、近所づきあいやかかりつけの病院、スーパーの特売日など生活基盤が、また崩されようというのですから、「転居せよ」という①の選択肢は、八十歳代、九十歳代の被災高齢者にとっては、まさに命に直結する問題です。もちろん、何倍もの家賃を払わなければならない④の選択肢がとれるはずもありません。

しかし、神戸市は「説明会」で、しきりに①と④についてのみ説明し、国土交通省もさして問題視していませんでした。

高齢者の転居は不可能

私たちは、「七十八歳の女性が九十八歳の母親を介護している世帯もある」など実情を示し、入居者の多くが高齢の被災者であり、西区や北区など、住み慣れた地域から遠く離れた空き住宅―しかもエレベーターのない四階、五階部分がほとんど―への転居は不可能であることを指摘しました。被災者が今のところに住み続けられるようにするには、②か③の選択肢しか道はありません。

URも、「自治体の相談があれば、誠実に対応する」と回答しています。兵庫県や神戸市をはじめ自治体が申し出れば、被災者は引き続き住み続けられます。

国の責任も問われる

国側からは、公営住宅の供給は国と自治体が協力して行うこと、居住者の安定確保の責任なども述べられました。そうであるならば、国の責任も問われるはずです。

希望する被災者のみなさんが安心して引き続き住み続けられるよう、国や兵庫県、関係市へ働きかける運動を広げ、頑張りたいと思います。

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々―治安維持法による弾圧犠牲者(3)

第二回普選と二月事件

一九二九(昭和四)年秋にアメリカ発の大恐慌が波及し、日本は大不況に陥る。資本家は労働者に解雇・賃下げ・労働強化を押し付けた。労働者の抵抗は激しく戦前最高の労組組織率と争議参加人数を記録している。

職場・地域に党組織

三・一五と四・一六の大弾圧で打撃を受けていた日本共産党は組織再建に努める。

二九年七月には中央ビューロー確立、機関紙「赤旗」復刊。九月には大衆紙「第二無産者新聞」も発行。激しい労働争議のなか職場で地域で党員の拡大・組織化が進められた。文化運動でもこの時期に『戦旗』『プロレタリア科学』の配布網が広げられ、急速な発展がみられる。

兵庫県でも相次ぐ検挙で党と全協組織は壊滅的打撃を受けていた。三〇年二月の第二回普選に備え、党組織再建のため前年末に阿部義美氏が兵庫県地方委員会の責任者として派遣され、短期間に六つの細胞を結成した。

選挙中のビラまき

同年一月に和歌山で党の拡大中央委員会が開かれ、選挙を機会に政策・スローガンを入れたビラを大量に撒くことを決める。「党は健在である」ことを労働者大衆に知らせる必要があるからだった。

この方針に基づき兵庫ではビラ十万枚をひそかに印刷、配布行動隊として二十組約百人を組織し、選挙期間中に神戸・尼崎・高砂の川崎・三菱など大工場と姫路師団の施設にもビラを入れた。これが「二月事件」である。

選挙後、関西各県で大検挙が行われた。兵庫県では二月二十六日に百四十三人が検挙され阿部ら五十四人が起訴される。

須藤五郎と宮崎辰雄

戦後長年、日本共産党参議院議員を務めた須藤五郎氏は当時、宝塚音楽学校の教師であったが、二月事件の関連で検挙された。須藤氏は頼まれて誰かを知らず共産党幹部を泊め、カンパ三百円を与えたが、それを治安維持法の「目的遂行罪」に問われる。さらに宝塚歌劇団関係者数名が『戦旗』読者会をもち、『共産主義のABC』学習会を輪番に自宅で開いていたことがわかってしまう。末端での共産党再建活動はこうして進められていたのだった。

二月事件では神戸高商・関西学院などの学生も数名がビラ作成と配布に関わったとして起訴されている。この中に後に神戸市長となった宮崎辰雄氏が入っており、有罪判決を受けるが、そのときまだ(旧制)姫路高校に在籍していたことが神戸地裁の判決書でわかる。

(治安維持法犠牲者国賠同盟県本部副会長・戸崎曽太郎

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

視覚障害者が淡路で学べるよう

南あわじ市議会が請願を採択し、意見書提出

兵庫県の「行革」により〇九年三月に県立淡路視覚特別支援学校が閉校となり、淡路に住む視覚障害者(児)は現在、神戸市垂水区にある県立視覚特別支援学校への通学・入寮を余儀なくされています。そのため、視覚障害者の社会適応能力の獲得や学習環境の充実、自立支援、点字の読み書きや職業訓練を受ける上での困難が生じています。

兵庫視覚障害者の生活と権利を守る会淡路支部(吉田善平支部長)は、淡路の視覚障害者の日常生活の向上をめざし、行政に対し点字による行政情報の伝達、日常生活用具の購入支援、歩行訓練の実施、移動支援の拡充などを求めて活動をしています。

同支部は昨年十二月、県立淡路聴覚特別支援学校に県立淡路特別支援学校を統合する際(二〇一一年春)、視覚障害について専門知識のある教職員の配置と高等部専攻科を設置し職業訓練の充実を図るよう、知事・県教育長に意見書を提出することを求め、淡路の三市議会に請願しました。

南あわじ市議会では、請願者を委員会に呼び、視覚障害者の実情を聞き同請願を採択。知事ならびに県教育長に対し請願趣旨に則した「淡路島内の特別支援学校の在り方についての意見書」の提出を議決しました。

同支部は、さらに広く、視覚障害者の理解を得るうえでも実情を知ってもらおうと、二月十二日午後二時から洲本市総合福祉会館で学習会を開きます。 (大山善民

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

議員定数と民主主義を考える(1)

神戸学院大学法科大学院教授 上脇博之


民主党政権は衆院比例定数削減を狙っていますが、地方議会についても議員定数削減の根強い動きが見られます。定数削減で民主主義が守られるのか、地方議会・議員の役割とは何か、憲法学が専門の上脇教授に書いていただきました。(4回連載)


庶民に「痛み」を押し付け

衆参の国会議員の定数は削減されてきました。衆議院では最高512だったときもありましたが、今は480。参議院では252から242へと削減。

しかし、“議員定数が削減されて一般庶民の生活は豊かになったのか”と問えば、そうではありません。それどころか「痛み」が押しつけられてきました。

小泉純一郎・自民党政権は福祉国家政策を否定し、経済界の主張する「聖域なき構造改革」を強行。経済的・社会的弱者のために存在してきた規制さえ撤廃・緩和し、熾烈な競争原理と自己責任を一般庶民に強いてきました。

その結果として、企業の内部留保の一部である利益剰余金の保有額上位20社(銀行を除く)の総計が2010年3月末時点で53兆7823億円に達しました。報酬1億円以上の役員は280人超。なかでも日産自動車のカルロス・ゴーン社長は8億9100万円、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長は8億1450万円の役員報酬を受けています。

一方、一生懸命働いても生活保護水準を下回る年収しか得られない人々、すなわちワーキングプアが生まれました。勤労者の3人に1人、若者の2人に1人は雇用・所得の不安定な非正規社員。民間企業で働く労働者のうち年収200万円以下の者は約1100万人、4人に1人の割合。1998年以降毎年、年間3万人を超える人々が自殺に追い込まれてきました。

この間、議員定数の削減は地方議会でも強行されてきましたが、さらに削減する動きは続いています。なかには、行政の長(首長)が議会の議員定数削減を声高に叫んでいるところもあります。辞職し、出直し選挙に出馬した河村たかし名古屋市長は、これまで議員定数(現在75)の半減(38)を主張。河村氏は市民税の一律10%減税の恒久化を主張していますが、この恩恵を一番受けるのは一般庶民ではなく高額所得者や大企業。福祉のための財源もその分減るわけです。そのような人物が議員定数削減を主張していることを、一般庶民は直視すべきです。

一般庶民が「痛み」を押し付けられてきた政治に怒るのは当然ですが、議員定数を削減する首長・政党・議員を支持してしまえば、さらに「痛み」を押し付けられる結末が待っています。もっと冷静に考えるべきなのです。



筆者プロフィール

神戸学院大学大学院実務法学研究科(法科大学院)教授、専門は憲法学。特に政党に関する憲法問題、国民代表制、政治資金問題など。「政治資金オンブズマン」共同代表、兵庫県憲法会議幹事(事務局長)としても活躍。著書に、『政党国家論と国民代表論の憲法問題』『ゼロからわかる政治とカネ』ほか。『議員定数を削減していいの?』も近日刊。

ブログ:http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(461)


(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連臨時大会:春闘方針決める

職場・地域から社会を変える

「『構造改革路線』への回帰は許さない。すべての労働者の雇用確保・賃上げの実現で、育てよう地域社会・経済を!」―ことしの春闘方針を決定する、兵庫県労働組合総連合(津川知久議長)の第41回臨時大会が1月29日、神戸市勤労会館でひらかれました。

挨拶で津川知久議長は「国際競争力」を理由に賃上げを拒む大企業の春闘方針を厳しく批判。「闘う相手は、はっきりしている。大企業に内部留保の水門を引き上げさせよう。県民一体となり地域経済を守ろう。その要がいっせい地方選挙。社会を変える議席を伸ばそう」と呼びかけました。

北川伸一事務局長が今春闘方針として統一賃金目標①誰でも1万円以上、時給100円以上の賃金改善②同一労働同一賃金の実現③時給1000円以上、日額7500円以上、月額16万円以上の最低賃金④時間給100円以上の時間賃金労働者の賃上げ―などを提起。

すべての組織が要求を提出し、回答集中日を3月16日に、翌17日を地域総行動日と設定しました。

3月27日に決起の県民集会

また職場・地域から社会を変える一大決起として3月27日、地域経済・雇用・社会保障を守れ兵庫県民集会の神戸メリケンパークでの開催を提起しました。

討論では17人が発言しました。

「全組織が全労働者対象のアンケートを実施し、その要求をくみ上げて闘う。2月25日に地域総行動をとりくむ」(中央区労協)

「非正規労働者の均等待遇を求め、昨年8400人の正社員化を実現。郵産労があったから正社員になれたと喜ばれている。1月5日通知の国際郵便課廃止反対署名にとりくんでいる」(郵産労)

「1年契約の臨時教員が急速に増加。同じ仕事をしながら、賃金に差があるのは許せない。『教育に臨時はない』を合い言葉に闘っている」(兵庫教組)

「いま3度目の民間委託が実施されようとしている。神戸市水道局は『水道公社内の問題』として聞く耳をもたない。住民との関係を大切にしている私たち検針員だからできる高齢者見守りサービスの提起と、これ以上の民営化を許さない闘いを一体でとりくむ」(兵庫自治労連神戸市水道サービス公社労組)

「待機児童解消といいながら、政府のすすめる『子ども・子育て新システム』は幼保一元化へ改悪するもの。保育所の数こそ増やすべき。2月20日に、子どもたちも一緒の大パレードを計画している。私たちの運動でこの法案をストップさせる」(兵庫自治労連保育部会)―ほかの発言がありました。


写真:臨時大会開会の挨拶をする津川知久議長
(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

農業破壊するTPP加入反対トラクターパレード


日本の食料自給率を農水省試算でも、現行の40%から10%台にまで引き下げてしまう環太平洋連携協定(TPP)参加に反対するトラクターパレードが1月31日、神戸三宮でおこなわれました。

農業・食糧・健康を守る兵庫県連絡会(兵庫食健連)と兵庫県農民運動連合会が共催。生産者や民主団体、労働団体、日本共産党の県議・神戸市議と各候補、候補者ら約180人が参加しました。

参加者は、出発地の神戸市役所花時計前で集会をひらきました。兵庫労連の津川知久議長は連帯挨拶で「農産物輸入の関税撤廃は、農業だけでなく、地場産業、雇用に壊滅的な打撃を与える。TPP加入阻止へ、ともに最後までたたかおう」と呼びかけました。日本共産党を代表して堀内照文兵庫国政委員長が挨拶しました。

ムシロ旗を立てたトラクター3台、軽トラック10台を先頭に、神戸大丸前までデモ行進しました。山南町で米作りをしている細川哲也さん(69)はトラクターで参加。「政府はこの国の将来をどうしようとしているのか。農業破壊は、国民のいのちに関わる問題」と話していました。

写真:デモ隊を先導する兵庫農民連のトラクター

(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

高校通学区拡大計画:保護者らが反対意見

兵庫県教育委員会は高校普通科の通学区域を、現行16学区から7学区へ統合を計画しています。兵高教組や兵庫教育共闘が各地で学区拡大反対を訴えるなか、県教委主催「通学区域見直しに関する地域説明会」が東播・北播・淡路地区を対象に1月26日、明石市内でひらかれ約200人が参加しました。

高見忠之高校教育課長らは「16学区にして半世紀。高校の特色化で、中学生に高校を選んでもらいたい。学びたいことを学びたい学校で」と述べました。

これに対し参加者からは、不安の声や反対意見が相次ぎました。「反対。地域が子どもたちを育てるべき。学区拡大すれば、通学費など経済的負担も大きくなる」(南あわじ保護者)、「普通科高校に特色はいらない。16学区あってもいい」(明石中学校教諭)、「これで子どもたちが夢と希望をもてるのか。挫折を味わわせるだけではないのか」(加古川保護者)

「貧困格差が広がっている。地域の絆を繋ぐため、競争ではない教育を」(明石高校教諭)、「保護者も子どもも不安。明石では高校に行きたくても行けない子どもも多い。地元の学校へ行くのが子どもたちの夢」(明石小学校教諭)、「学区地図に交通網を書き入れるとわかる。通学の無理な学校がある」などの意見が出されました。

写真:明石市内でひらかれた説明会=1月26日
(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

生存権裁判:国の準備書面、老齢加算廃止根拠に変化

生活保護費の老齢加算廃止は、憲法が保障する「健康で文化的な生活」に違反すると、9人が提訴している生存権裁判兵庫訴訟の進行協議が1月26日、神戸地裁第2民事部(栂村明剛裁判長)でおこなわれました。

これまでの弁論で、国が老齢加算廃止の根拠にした99年度全国消費実態調査特別集計の元データ提出を求める原告側請求を受け、裁判所は昨年8月、国に文書提出命令を出しました。

これに対し、国が大阪高裁へ不服を申し立てたため、神戸地裁での弁論が中断、進行協議がつづいています。

この日、報告集会が神戸市婦人会館でひらかれ、生健会や支援の会など25人が参加しました。松山秀樹弁護士が、国の新準備書面の内容を説明。これまでの「特別集計が老齢加算廃止の根拠」から「特別集計だけでなく、他の資料や専門委員会での検討が元になっており、そもそも老齢加算を廃止したのは厚労大臣」とする国主張の変化を紹介しました。

支援の会では、最高裁で審理中の東京・福岡の生存権裁判支援へ全国署名と支援募金をとりくんでいます。

写真:生存権裁判兵庫訴訟の進行協議後ひらかれた報告集会=1月26日
(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

「遊び」テーマに9作品:藤田佳代舞踊研究所


モダンダンスの藤田佳代舞踊研究所が、新作ばかりを集めた創作実験劇場を2月26日、芦屋ルナホールで公演します。

今回は9作を発表。「遊ぶ」をテーマに、藤田さんはじめ9人のダンサーがソロと群舞の作品を創作しました。

「今日のこの空 ほしいひと―さいしょはグー」は、頭上に広がる青空が誰のものか、じゃんけんで決めようという、無邪気な子どもたちの踊りで始まります。どの子が勝っても空は空。闇夜にも、光あふれる白日にも、刻こくと変化し、自ら遊びを楽しんでいるかのような空の世界を、全4章で表現。三味線、尺八、琴といった和楽器とコカリナの音楽にのって踊ります。

作舞した藤田さんは「武器ではなく、じゃんけんで決めるなら、いのちを犠牲にしないでしょう。おとぎ話のようですが、いのちを生み育てる母親の1人として、戦争の対極にあると考え、子どもたちの遊びを踊りにしました」と語ります。

ほかに萩原陽子、菊本千永、灰谷留理子、向井華奈子、かじのり子のみなさんが自作をソロで踊ります。

藤田佳代舞踊研究所:モダンダンス公演・創作実験劇場/2月26日(土)17時30分/「今日のこの空 ほしいひと―さいしょはグー」「おどるあほう―神遊び」「花いちもんめなんて大きらい」ほか/芦屋ルナホール/2,500(当日3,000)円/☎078・822・2066

写真:「今日のこの空 ほしいひと―さいしょはグー」の稽古
(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)

こまつ座「化粧」:なまの舞台をごいっしょに

平淑恵の「化粧」
初演は82年7月。以来、渡辺美佐子が主人公を演じてきました。このたび平淑恵に変わり、新たな舞台の出発です。

大衆演劇五月座座長、五月洋子(46)がさびれた芝居小屋で語っています。初日を迎えるのに必要なこと、道具や役どころの見直しを。上手に気を配り下手に気合いをとばします。その間に、客の入り、今夜の演目「伊三郎別れ旅」の稽古も忘れません。

ひとり芝居が、二重三重に物語を加えることで、広がりと深まりを出しています。透明人間を登場させ、複数の人物が舞台にいると思わせます。また演歌を流し、大衆演劇の臨場感を盛り上げます。

巧みな作術と台詞の気持よい響き。そして観客を驚かせる鏡。観客席を鏡に見立て、舞台化粧を施す気迫の演技は見逃せません。どんでん返しで幕が下ります。昨年惜しくも亡くなった井上ひさしさんを追悼し、日本最高峰のひとり芝居を堪能しませんか。
小谷博子

神戸演劇鑑賞会2月例会:こまつ座「化粧」/井上ひさし作、鵜山仁演出、平淑恵/2月24日(木)・25日(金)19時、26日(土)13時30分/新神戸オリエンタル劇場/会員制(会費2カ月前納)、入会金1,000円、月会費3,500円、大学生2,000円、高校生以下1,000円/☎078・222・8651


(2011年2月6日付「兵庫民報」掲載)