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2011年1月30日日曜日

借り上げ住宅問題:URへ日本共産党が要請


日本共産党兵庫県委員会と兵庫県・神戸市・尼崎市・西宮市・伊丹市・宝塚市の借り上げ復興住宅がある自治体の日本共産党議員団は一月十九日、UR都市機構西日本支社に対して、希望する被災者が引き続き入居できるような対応を、と申し入れました。

申し入れには、堀内照文党兵庫国政委員長、ねりき恵子、新町みちよ両県議、井村ひろ子元県議、森本真神戸市議、たぶち静子宝塚市議、佐藤みち子西宮市議、よしむらたまみ尼崎市議、大前まさひろ神戸市議予定候補が各自治体の被災者の切実な声を持って参加。入居者の思いを届けました。UR都市機構西日本支社側は、秋田勝広住まいサポート業務部企画チームリーダーらが対応しました。

希望者が住み続けられるよう

ねりき恵子県議は、借り上げた復興住宅の入居者は、被災後、避難所生活、住み慣れた地域をはなれての仮設住宅での暮らし、何回もの抽選で、やっとの思いで入居できた人たちであり、多くは高齢者だと紹介。日本共産党が緊急に実施したアンケート調査の結果でも、九割近くが「引き続き今の住宅に住み続けたい」と答えていると報告しました。

さらに、兵庫県は「買い取りの検討」、宝塚市は「借り上げ期間の延長等」、西宮市は、春までに「買い取りか。借り上げ期間を延長するか検討する」との方針を出している中で、「ぜひ、URとしても二十年の期間の延長と再契約をお願いしたい。被災者が今の場所に住み続けられるように県、市と交渉してほしい」と求めました。

秋田氏は、まだ具体的な自治体との協議は始まっていないとしながら、「入居者の事情も踏まえて思いを聞かせていただくことから始めたい」「現状を踏まえながら考える必要があると認識している」「自治体と交渉し相談にのっていく」「当初の約束の二十年が来たから、即退去というような対応は考えていない」と答えました。

堀内氏らは、「借り上げ住宅の多くを占めるURの動向が、今後の自治体の対応に大きく影響する」と指摘し、URが「国民生活の安定向上に寄与すること」など法律で明記されている機構の目的や理念なども引用して、「ぜひこの立場で、“終の住処”として希望する被災者が引き続き入居できるような対応すること」を重ねて要請しました。


写真:URに申し入れる日本共産党議員ら

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

西宮市「買い取れば将来の建て替えも可能」

借り上げ復興住宅について日本共産党西宮市議団は一月二十四日、西宮市に対し、「買い取り」または「借り上げ延長」などを行い、引き続き入居できるようにと、申し入れました。

同市の借り上げ住宅は青木町などURの五団地・四百四十七戸です。

申し入れに対し、本井敏雄副市長は、「基本は入居者に不安を与えないようにしたい」とコメント。森田順都市局長からは、「借り上げを延長しても高額な負担である」「買い取れば、市の資産となり、将来的に市営住宅として建て替えなども可能になる」「六月か九月ごろには方針を出したい」と、前向きな話がありました。

これを受け、党側からは、入居者の安心のためにできるだけ早く結論を出してもらいたいと重ねて要望しました。

写真:この申し入れには、市議団全員(上田さち子、佐藤みち子、杉山たかのり、野口あけみ、まつお正秀)と庄本けんじ市議候補、いそみ恵子県議候補が参加しました。

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県が10月実施へ検討:こども医療費通院助成を小学校6年生まで拡充

兵庫県は一月十四日、「第二次新行革プラン」第二次案を発表しましたが、その中で、ことし十月から、こども医療費助成制度を拡充し、小学校四年生から六年生までの通院についても自己負担額の三分の一を助成しようと検討していることが明らかになりました。

市町との共同事業(県と市町とが二分の一ずつ負担)として行い、年間事業費は、七億三千万円(県費三億六千五百万円)と見込まれています。

現行のこども医療費助成制度では、小学校四年生から中学校三年生の入院には自己負担額の三分の一が助成されますが、通院については助成がありません。

中学生の通院は依然、対象外ですが、この拡充案は県民からの強い世論と運動が反映されたものです。日本共産党は、「子ども署名」で中学校卒業までの無料化を求め、新日本婦人の会は、県議会請願や毎年の対県交渉・県庁前集会など、運動してきました。

いっせい地方選後に所得制限強化

しかし、この第二次案でも、所得制限を強化する方針はそのままです。乳幼児等医療費助成制度(小学校三年生まで)、こども医療費助成(小学校四年生から中学校三年生まで)ともに所得判定単位を現行の「同一世帯内の最上位所得者」から「世帯合算」に変える計画です。現行制度で対象となっている子どものうち五万五千人が助成を受けられなくなります。

第一次案でことし七月実施としていたのを、第二次案は「二〇一二年度中の適切な時期からの実施をめざす」と、いっせい地方選挙後に「先送り」しただけ。改悪方針は撤回していません。

「所得制限なし」へ全国の大きな流れ

日本共産党の新町みちよ県議は、行革特別委員会で、「所得制限を自立支援医療と同じ世帯合算にする案だが、そもそも自立支援医療にあわせているのが全国に例がない」と指摘し、「子育て支援の立場で、全国にならって、所得制限をなくすことをめざし、少なくとも児童手当法特例準拠にもどすことが必要」と意見表明しました。


乳幼児・こども医療費助成の所得基準

  • 所得制限なし:栃木、群馬、山梨、福井、長野、岐阜、愛知、京都、鳥取、愛媛、佐賀、長崎、大分の13府県
  • 児童手当法準拠:28都道府県
  • 自立支援医療準拠兵庫県のみ
  • 児童扶養手当準拠:青森、岩手、秋田、石川の4県



(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

昨年一月七日「障害者自立支援法を廃止し、新しい法律をつくる」と国は訴訟団に約束し、基本合意文書を締結しました▼しかし六月、自・公が障害者自立支援法「延命」法案を提出。これは鳩山首相辞任劇で廃案に。ところが十一月臨時国会に再び同じ法案が上程され、国会包囲など反対運動が連日展開されましたが、十二月三日、民・自・公などの賛成で成立▼一方、わが国の障害者施策の歴史の中で画期的といわれる「障がい者制度改革推進会議」は「障害者自立支援法」を根本的に見直すための議論を精力的にすすめ、十二月十七日、「第二次意見書」をとりまとめました。いま、「二次意見書」に対する意見の集約が様々なかたちで行われています▼兵庫県でも幅広く意見を出そうと三十九団体が実行委員会を結成して「障害者制度改革地域フォーラムin兵庫」が一月二十二日神戸で開かれ八百人が参加、予定時間を大幅に超えて熱い議論が交わされました▼「わたしたち抜きにわたしたちのことを決めないで!」と応益負担廃止や障害者の声を反映した新しい「総合福祉法」制定に向けてさらなる運動の高揚と政治変革が求められています。 (N)

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

センター試験受験生に民青同盟がアンケート

民青同盟兵庫県委員会は、一月十五、十六日、センター試験受験生を励まそうとアンケート対話宣伝を行いました。

寒い中でしたが両日で二十五人がアンケートに答えました。





就職への不安

アンケートでは、大学進学にあたって「不安」のトップは「就職できるか?」、「期待」では「資格をとるなど、就職の準備」がトップで、就職問題への不安・関心が圧倒的でした。大学への志望理由をきくと、「就職を最後まで面倒みてくれる」「一部上場企業に行きたい」など、就職難を反映した動機もだされました。

また、学費問題でも切実な声がありました。「仕送りがないので、生活できるか不安。入学してからのアルバイトが心配」と話す受験生にメンバーが、日本の学費が世界一高い異常な高学費になっていること、民青同盟が、学費値下げのためにがんばっていること、東大では親の年収が四百万円以下の学生の学費を無料化できたことを紹介すると共感、民青同盟に加盟する受験生もいました。


学びへの思いも力強く

不安や模索の一方で、「熱効率のいい環境に優しい車をつくりたい」「人の命を守りたい」など社会で役に立ちたい、そのためにも大学で目的意識的に学びたいとの思いも受験生から語られました。

民青同盟の活動については、「政治や社会のことを学びたい」「大学での学びや生活を交流」「就職難打開、学費値下げなどかえる行動」がアンケートの回答ベスト3。大きな不安や模索・探求にこたえる学びや「かえたい」という思いを励まし、一緒に行動できる民青同盟の魅力が、受験生の中でも輝いていることが浮き彫りになりました。

十六日には、いっせい地方選挙をたたかう味口としゆき神戸市議候補(灘区)、福田こうじ県議候補(灘区)も参加し、受験生を激励しました。

民青同盟は引き続き、私大入試宣伝にも取り組もうと計画しています。写真:JR六甲道駅前で受験生と対話する民青同盟のメンバー

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

民青同盟東神戸地区:介護の仕事を語りあう

民青同盟東神戸地区委員会は一月十七日、灘民商会議室で「介護保険十年、現場の実態と未来」と題し、交流・学習会を開きました。東灘区にあるケアセンターふれあい施設責任者の村上次郎さんを招き、介護保険の現状と改定案の問題点について聞くとともに、青年どうしで、現場の苦労や働きがいなどを交流しました。

現場交流では、介護の仕事は雇用対策でなく、仕事自体に魅力あるもので「やりたい仕事」であるべきとの話で盛り上がり、なぜ介護の仕事をしているのか、魅力は何かについて交流しました。

「最初は次のつなぎで介護の仕事をはじめたが、気難しい利用者さんと心が通った瞬間がうれしくて、今は介護の仕事をしたいと思っている」など、職場ではなかなか話さないことを今日は話せたと、参加者には好評でした。

神戸市議候補(中央区)の大前まさひろ氏も参加し、「介護の仕事は大変なイメージだったが、すごく魅力ある仕事だとわかった。現場の声が生かされる市政にしたい」と語っています。

二十日には党県委員会の小林明男農林・漁民部長を招いてTPP問題の学習会も行いました。
(竹田雅洋・民青同盟東神戸地区委員長)
宮本衆院議員招き「雇用問題解決の集い」 ―2月11日

民青同盟東神戸地区委員会は日本共産党東灘・灘・中央地区委員会と共催で、宮本たけし衆院議員を招き、「雇用問題解決の道」のつどいを開きます。二月十一日午後六時三十分から私学会館二〇六号室にて。無料。

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

子ども署名/いきいき署名:味口・福田両氏先頭に訴え

日本共産党灘区委員会は、「中学卒業までの子どもの医療費無料化」「七十五歳以上医療費無料化」を目指して、毎週土、日に署名行動を行っています。

一月二十二日は水道筋商店街入り口で、福田こうじ県議候補(灘区)と味口としゆき神戸市議候補(灘区)を先頭に、「西宮市では中学卒業まで医療費が無料化されている。神戸でも運動を強め実現させましょう」と呼びかけました(写真)。

寒い日でしたが、子ども連れやお年寄りが次々と訪れて署名に応じてくれました。「高い医療費を引き下げて欲しい」「同じ県なので神戸でも実施してほしい」と家族の名前も記入するなど一時間ほどの行動で四十数筆集まりました。
(日本共産党灘区委員会)

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

相生市が学校給食や中学生までの医療費など無料化

岩崎修市議
相生市は一月十九日、来年度からの第二期行財政健全化計画について、名称を「相生市活力上昇計画」とし、人口減少対策、教育・子育て・少子化対策、産業活性化対策を掲げ、学校給食無料化などを実施することを明らかにしました。

幼小中の給食無料化は一億一千三百万円で実施。他には、新婚世帯に月額一万円三年間の家賃補助、市立幼稚園保育料無料化、保育所・私立幼稚園の保育料軽減、さらに、五万円の出産祝金支給や月額千円三年間の子育て応援券交付、こども医療費も中学校卒業まで無料にするなど、総額三億円の事業を実施しようとするものです。

“行革で財政的に一定の余裕ができたことから”実施しようというものではありますが、かねてから人口減少が進むもと、「子育て・教育が市の重点課題」「市の活力を維持していくためには一定の人口規模は必要」との認識を示し、「思い切った施策を実施する」としていた谷口芳紀市長の考えが反映されたものです。

こども医療費無料化の拡充など私たちが議会内外で実施を迫ってきたものも実現。相生市の子育て支援策は、大きく前進することになりました。

しかし、日本共産党が昨年から実施している「市民アンケート」には、地域医療の充実や雇用対策など切実な声が多く寄せられています。私は、さらにこうした市民の願い実現のためにも、来る四月の市議選で必ず勝利する決意です。(岩崎修・日本共産党相生市議)

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々:治安維持法による弾圧犠牲者(2)

死刑法への改悪と四・一六弾圧

一九二八(昭和三)年の三・一五弾圧によって幹部を奪われた労働農民党・日本労働組合評議会・全日本無産者青年同盟は大きな打撃を受けました。その上、政府は三団体の結社禁止を命じます。

直ちに再建活動

しかし検挙を免れた党の指導者は直ちに再建に着手、四月末には「赤旗」の再刊も果たします。弾圧反対・犠牲者救援のため解放運動犠牲者救援会(現在の国民救援会)が組織されます。

解散させられた三団体も官憲の妨害をかいくぐって、労働農民党は「労働者農民党」として再建、直ちに再度禁止され、「政治的自由獲得労農同盟」を結成、労働組合も日本労働組合全国協議会(全協)を結成、青年戦線では日本共産青年同盟(共青)の強化に着手します。

さらに、プロレタリア芸術団体が合同して全日本無産者芸術連盟(ナップ)を結成し、雑誌『戦旗』を発刊します。

治安維持法改悪

このような左翼団体の再建の進展に驚いた政府は、六月末に緊急勅令をもって治安維持法を改悪し最高刑を死刑にします。そして事後承諾案を翌一九二九年の帝国議会に提出します。

このとき京都選出の代議士・山本宣治が議会での討論を妨害されただけでなく暴漢によって刺殺されます(三月五日)。

政府は採決を強行しますが、衆議院本会議での賛否が二百四十九対百七十であったことは、この改悪がいかに危険視されたかわかります。勅令に対し四割の議員が反対したのです。

四・一六弾圧

三・一五弾圧の逮捕者は小林多喜二の小説にあるように言語に絶する拷問を受けました。

さらに特高警察は一年余の綿密な探索を続け、翌一九二九(昭和四)年、全国の検挙者千人に上る四・一六弾圧において党組織の壊滅を図るのです。

兵庫県でも七十六名が逮捕されましたが、起訴されたのは鳥越巌氏ら十八名で、三菱造船・阪神電車・海員などの労働者であったことが兵庫の特徴です。運動の中心にいた人たちなので打撃は大きいものでした。

弁護人まで弾圧

三・一五弾圧と四・一六弾圧で検挙者に比べ起訴された者が少ないのは、権力が治安維持法の運用を裁判での決着ではなく、警察段階での取り調べ・拷問・こらしめに置いたからです。

不起訴になっても特高の監視がつき、まともな仕事に就けず、暮らしに困り、運動から離れるものも少なからず出ます。また大衆団体の分裂を起こしました。

ひどいことに弾圧事件の弁護士までが弾圧されました。一九三三年には布施辰治など日本労農弁護士団のメンバーが逮捕されます(九月十三日)。

(治維法同盟県本部副会長・戸崎曽太郎)


(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

日本化薬地位確認請求訴訟:請求棄却

西播地域ユニオン労組のAさん(51)が、日本化薬姫路工場を相手どり、雇用契約上の地位確認を求めていた裁判は、神戸地裁姫路支部(中村隆次裁判長)で1月19日、請求棄却の不当判決が出されました。

Aさんは05年6月、タスクマネジメントに雇用され、被告の工場で09年1月末まで請負労働者として、火薬類をあつかう製造工程に従事していました。

しかし雇用契約締結時は、工場の管理担当者が1時間にわたり直接面接をおこないました。就労後も、作業の指示や残業命令は、すべて正社員が出していました。派遣元会社からの技術指導はまったくありませんでした。

3年半を過ぎ、期間3カ月の契約更新を14回も重ねる被告に、Aさんは直接雇用を要求しましたが、受け入れられません。兵庫労働局に是正を申告したAさんを、被告は「受注減少」を理由に雇い止めしました。

判決は、Aさん側の主張をすべて退けました。全面的に被告の主張に立った内容です。

事前面接や作業上の指揮管理の事実をまったく認めず「原告・被告・派遣元会社の関係は労働者派遣に該当。原告・被告間に黙示の労働契約成立は認められない」としました。

Aさんは「あまりにも事実誤認。私の事例が労働者派遣法違反でないと言うなら、逆にあてはまる事例を教えてほしい。しかも『すでに別の会社で働いているのだから、不法行為を構成しない』とある。提訴中は働くなということか。労働者の生活実態をまったく知らない判決」と怒りを込めて話しています。

西播ユニオンの撰梅忠雄委員長も「何もかもデタラメ」と憤慨。即刻控訴しました。

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

障がい者制度改革フォーラム:神戸で


障がい者制度改革地域フォーラムが1月22日、神戸市東灘区の神戸ファッションマートでひらかれました。県内42の障害者団体が実行委員会に加わり、参加者は700人を超えました。

06年4月から始まった障害者自立支援法は「応益」の名で障害者に利用料負担を強いる憲法違反の悪法だと、08年10月、兵庫をはじめ全国14地裁で障害者と家族が提訴しました。

政権交代後の昨年1月、原告団71人と国が「応益負担制度の速やかな廃止」「13年8月までに支援制度を廃止し新制度実施」などを柱とする基本合意を締結しました。

この基本合意を元にし、また国連で06年12月採択、日本が07年9月署名した障害者権利条約も含め、新たな制度づくりが、障がい者制度改革推進会議でおこなわれています。これまで1、2次の意見書が出ています。

新制度づくりに兵庫の声も届けようとひらかれたフォーラムでは同推進会議の東俊裕担当室長が基調講演。東さんは改正点を詳細に説明しながら「推進会議は、障害者の視点から社会の仕組みを変えてゆく歴史的挑戦。次の世代にとっても、その時どきの問題を反映させる制度にしたい」と述べました。

シンポジウムは同推進会議の藤井克徳議長代理が進行役を担当。「国連国際障害者年からことしはちょうど30年。メインテーマ『完全参加と平等』はいまも色あせていない。障害者基本法改正は障害者問題の近未来を決定づける」と述べました。

シンポジストや参加者からは―

「家族介助は限界がある。どんなに重度な障害があっても、24時間介助が保障され、地域でくらせる制度にしてほしい」(野橋順子さん・NPO法人生活支援研究会)

「大震災、豊岡や佐用の水害時に聴覚障害者に情報が入らなかった。災害が起こってからでなく、日常生活のなかから制度充実を求める」(嘉田眞典さん・兵庫県聴覚障害者協会)

「障害を本人・家族の問題と規定する支援制度に納得できず、訴訟原告に加わった。すべての人が平等に、その人の思う人生を歩む制度づくりへ、これからも働きかけてゆく」(吉本裕子さん・障害者自立支援法訴訟基本合意の完全実現をめざす兵庫の会)―などの発言がありました。


写真:シンポジストの発言に聞き入る障がい者や家族、施設職員たち
(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

西神ニュータウン9条の会が結成4周年

神戸市の西北部、人口約6万人の西神ニュータウンに9条の会が誕生して4年。集会を毎月2回ひらき、DVDを使った憲法学習会も区民センターを使い、無料公開でおこなっています。ニュースも毎月発行。2月13日には4周年記念のつどいをひらきます。


憲法学習会を毎月開催
月1回憲法のDVDで学習=1月8日
同9条の会は、発足してすぐ、憲法をしっかり勉強しようと話し合い、杉原泰雄一橋大学名誉教授監修「映像で語るわたしたちの日本国憲法」全30巻を購入。毎月1巻ずつ鑑賞し、意見交流会をひらいています。今月8日は18巻目「地方自治と分権」を約10人が観ました。

西区民センター会議室を主会場にし、毎回数日前に周辺住宅や高校前で案内ビラを配布します。区民センター掲示ボードにもビラを置いてもらい、ビラを見て参加する人も増えています。家族介護で来られない人には、貸し出しします。

会員は現在約100人。最高齢は92歳。会費は年1口100円以上です。

医療問題をテーマにひらかれた
学習会=1月21日
事務局長の市原秀美さん(66)が月2回の集まりに自宅リビングを開放しています。

第1金曜夜は気軽な雑談。第3金曜夜はテーマを決め多彩な顔ぶれがそろう会員の1人が講師をつとめたり、専門家を招くこともあります。質問にも丁寧に答えてくれると毎回好評です。

11月はフィリピンの弁護士で平和活動家コラソン・ファブロスさん、12月は兵庫食健連の柳沢尚事務局長が講師でした。

ニュースは今月で122号になりました。発足当時から編集を担当していた末宗麻希さんは肺ガンで昨年11月に亡くなる数日前まで、痛み止め薬と酸素ボンベを引きながら集まりにも参加。みんなを勇気づけました。享年48歳でした。

4周年のつどいはジャーナリストの伊藤千尋さんが講演します。舞台飾りをつくる人、題字を書く人、文化行事の演奏者も、会員やそのつながりから出てきます。「9条を守ろうと熱心にとりくむ人が、地域に大勢いることに励まされる」と市原さんは語ります。





(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)

宮本百合子没後60年記念集会

宮本百合子没後60年を記念する会(同実行委員会主催)が1月22日、兵庫県民会館でひらかれ、約160人が参加しました。

戦中戦後、たび重なる検挙・投獄に屈せずプロレタリア作家として執筆をつづけた宮本百合子が、「道標」3部作を書き上げた直後の51年1月、髄膜炎菌敗血症で急死してから、ことしは60年になります。享年51歳でした。主な作品に「貧しき人々の群」「伸子」「播州平野」などがあります。

「私たちの尺度、北斗七星」:秋元有子さん講演

集会では、作家の秋元有子さん(山中郁子共産党元参院議員)が「宮本百合子没後60年と今日の課題」と題して講演しました。秋元さんは「はりみち」「翔ぶように」「文学の森・トルストイから宮本百合子」などの著作があります。

秋元さんは、百合子の小説には「伸子」「二つの庭」「道標」という長編の大きな流れがあると指摘。「そこに、百合子の生き方をうつしたすばらしい道筋がある。百合子の文学は私たちにとって尺度であり、北斗七星のように揺るがない」と述べました。

そのうえで「百合子の文学が、日本の社会や政治、文化にどのように投影されていくかを見つめながら、多くの人に引き継いでゆく役割が私たちにある」と語りかけました。


写真:百合子の文学と生き方を語る秋元有子さん

(2011年1月30日付「兵庫民報」掲載)