Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2011年1月16日日曜日

思想弾圧の歴史繰り返さぬために

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部 佐野陽三会長にきく

佐野陽三会長
ことしは「満州事変」から八十年、太平洋戦争開戦から七十年。その戦争に国民を動員する上で猛威をふるった治安維持法の犠牲者への国家賠償を求め運動をすすめている治維法同盟の取り組みをききました。


国として謝罪し賠償を

―治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(略称=治維法同盟)とはどんな団体ですか?

佐野 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟は一九六八年、歴史の教訓を後世に伝えるとともに、治安維持法など戦前の悪法で弾圧の被害をうけた犠牲者たちに国として謝罪をし、国家賠償を行う法律を制定させる運動をすすめるため、弾圧犠牲者たちを中心に結成されました。兵庫県では一九八二年十月三日に県支部がつくられました。

民主主義の広がり恐れ

―治安維持法はどんな法律だったのですか?

佐野 治安維持法は一九二五(大正十五)年、普通選挙法と抱き合わせで制定されました。

二十世紀前半の日本では天皇が絶対的な主権者として国民の権利と自由を奪い、アジアへの侵略と植民地支配をすすめていました。そうした中でも労働組合や農民組合などが主な担い手となって社会進歩をめざす運動が広がり、二二年には民主主義と反戦平和の旗をかかげて日本共産党が創立されました。

そういう情勢のなかで治安維持法は、民主主義運動の力が強くなることを恐れた権力側が、それを弾圧する目的でつくったものです。第五十回帝国議会での法案審議の中でも言論や社会運動、学問の自由への弾圧になると懸念する意見が出ましたが、政府は「国体の変革」「私有財産否定」を主張する共産主義者の結社のみを対象にしたものだと答弁しています。

しかし歴史はそれだけではなかったことを証明しています。二八年の第一回普選のあと三・一五弾圧が行われ、治安維持法を天皇の命令である緊急勅令によって改悪し、最高刑を「死刑」に引き上げました。「特別高等警察」(特高)などの弾圧機関を全国にはりめぐらし、猛烈な弾圧をくりかえすことになります。

犠牲者は数十万人に及ぶ

―犠牲者はどれぐらいになったのです?

佐野 虐殺された人八十人以上、拷問・虐待などによる獄死千六百人余り。送検された人七万五千六百八十一人。逮捕・投獄された人は数十万人に及びます。

虐殺された人として『蟹工船』を書いた小林多喜二が有名ですが、神戸で民主的教育運動に献身した岡倉愛穂が一九三七年に御影署で虐殺され、現在のたつの市出身の哲学者・三木清も終戦後に獄死するなど、兵庫県でも犠牲者は少なくありません。

日本共産党がほとんど壊滅させられた後には、「コミンテルンの指示による」との疑いをかけ弾圧しました。「共産党員に飯を喰わせた」ということだけで罰せられました。さらに社会主義者、自由主義者、宗教家、文化人まで弾圧は及びました。猛烈な弾圧と迫害は「アカはこわい」という意識を国民の中に広げ、労働者や農民の運動にも分裂をもたらしました。治安維持法は戦争に反対する者を弾圧しただけでなく、国民の心の中まで踏み込んで戦争遂行に協力させる法となっていったのです。

急がれる犠牲者の発掘・顕彰

―現在、どんな運動に取り組まれているのですか?

佐野 同盟は犠牲者に対する政府の謝罪と国家賠償を求める運動を軸に犠牲者の発掘・顕彰にも取り組んでいます。

国会請願署名の運動は一九七二年の第四回総会で提起され、七四年四月十六日、二千六百三十筆の署名で第一回の国会請願を行い、昨年五月には、民主党政権の「要請窓口一元化」の影響もあって紹介議員は七十二人(一昨年は百二十八人)と後退しましたが、全国から三十万五千筆余の署名で国会請願を行いました。兵庫からも一万筆を超える署名をもって参加し、七人(過去最多)の兵庫県選出議員の紹介を得ました。

「国家賠償法制定を求める」意見書の採択を求め、地方議会への請願運動も進めています。県下では尼崎市議会において〇七年に四十五万都市で初めて意見書が採択されました。

既に、生存されている犠牲者は全国でも百人にたらず、兵庫県でも二、三人です。九十歳を越えている人がほとんどです。また、親兄弟にも及ぶ激しい迫害のため、弾圧を受けたことを隠し通した人も少くありません。歴史の事実を伝えること自体が難しくなっていますので、犠牲者を発掘・顕彰する取り組みがますます重要性を増しています。いま同盟は「治安維持法弾圧犠牲者名簿」作成に取り組んでいます。

また戦前、治安維持法に敢然と立ち向かった弁護士・布施辰治のたたかいを描いたドキュメンタリー映画の鑑賞をすすめる取り組みも行っています(一月二十二日から一週間、神戸・元町映画館で上映)。

これから「兵庫民報」の紙面をお借りして、兵庫での主な弾圧事件と犠牲者を紹介する連載をはじめますので、ぜひお読みください。

戦後補償のゆがみ正そう

―歴史の教訓を伝えるということは、今日的にも大きな意義を持つとおもいますが。

佐野 日本弁護士会連合会は、九三年十月二十八日の人権擁護大会における基調報告「日本の戦後補償」の中で、「治安維持法犠牲者は日本の軍国主義に抵抗し、戦争に反対したものとして日本国憲法の基本原則からすれば、その行為は高く評価しなければならない」「他の戦争被害補償に先んじて補償がなされなければならないのに、それが放置されているところに、日本の戦後補償の歪みが端的にあらわれている」と指摘しました。

いま、憲法改悪反対をはじめ、再び戦争と暗黒の政治を許さないたたかいの一環としても、人権を守る運動の一環としても、私たちの同盟は取り組みをいっそう広げ、強めているところです。

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

一月二十四日は幸徳秋水没後(死刑)百年になります。明治天皇暗殺を企図したとするこの「大逆事件」は全くのデッチあげでした。秋水は、初期の社会主義思想家で、日露戦争前の開戦世論に抗して、「非戦論」を展開した人でした▼大審院は、二十六人を短期間の非公開裁判で裁き、一九一一年一月十八日、二十四人に死刑判決を下し、同二十四日に十二人の死刑を執行しました▼処刑された中に神戸の草花屋で店員をしていたことがあり、秋水に傾倒していた古河力作がいます。また、死刑から大赦で無期になった中に「神戸平民クラブ」の岡林寅松と小松丑治がいます。二人は「平民新聞」の読者でした▼大逆事件の後、社会主義運動は「冬の時代」に入ります。日本が日清・日露戦争をへて「軍事大国」になる一方で、労働者・農民の貧困化が労農運動と社会主義思想を広げつつありました。その抑圧を大逆事件は目的にしていたのです▼近年になって、犠牲者を出した高知県中村市と和歌山県新宮市及び本宮町の議会が彼らの名誉回復と顕彰を決議しています。大逆事件を見直すことで、過去の誤りを正すとともに、今日の社会進歩を考えたいものです。 (Ts)

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

新成人:雇用と平和につよい願い

民青同盟やかえるネットもシール投票などで対話しました。

“気になることは?”の問いには、「短大二年だけど、就職が決まらなくて不安」「就職がちゃんとできるか不安」(神戸)。“ことしの抱負は?”での問いにも「就職がんばる」「不況に負けない人に」(神戸)などの答えが返えるなど、就職活動への不安・雇用への願いが多くの新成人から語られたのがことしの特徴でした。

“どんな世の中にしたい?”との問いには「いろんな世代の人が住みやすい環境に」「若者が活気あふれる国にしたい」「給料二十万円欲しい」「みんなご飯が食べられるように」などの他、「明るい世の中」「平和!」との声が多く返ってきたのも特徴的でした。

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党が各地で成人式宣伝


成人の日の一月十日、日本共産党は、いっせい地方選候補者を先頭に尼崎・宝塚・神戸・姫路各市の成人式会場前で「国と地方の政治の流れを変えれば青年の願いもかないます」とお祝いと励ましの宣伝を行いました。

写真:神戸市の成人式会場(ホームズスタジアム)前で宣伝する日本共産党の神戸市議・県議予定候補ら


(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)





姫路市では、5709人(2010年11月8日現在)が成人を迎えました。

市主催の成人式が姫路市文化センターで開催され、日本共産党の杉本ちさと県議と大脇和代、谷川まゆみ、入江次郎の各姫路市議が街頭から訴えました。

杉本県議は「若者の就職や雇用問題の解決はじめ政治を変えるためともに力をあわせましょう。4月には、いっせい地方選挙があります。成人の意思を示し政治を動かしましょう」と訴えました。(姫路市議団事務局 岡村)

(Web版のみの掲載)



宝塚市では、ねりき恵子県議と宝塚市議団が新成人にお祝いのあいさつを送りました。










(Web版のみの掲載)

県立西武庫公園存続求め住民運動

兵庫県は昨年十二月に発表した「第二次新行革プラン(第一次案)」の中で、「地元利用率が高い、公園内の施設を地元市町が管理しているなど、地域性が強い小規模な都市公園を県立としては廃止する」と提案しています。

その四カ所のひとつが尼崎市にある県立西武庫公園です。楽しみながら交通ルールを学ぶ全国初の交通公園として六三年に開設されました。六五年に設置された区分園(貸花壇)も全国で初めて。現在年間六十万人が利用し、花見時にはおおぜいの県民がつめかける名所となっています。

「第二次新行革プラン」では「地元市町が希望する公園については移譲を行う」としていますが、尼崎市は〇八年、「県立西武庫公園について、本市の財政運営に負担を強いることなく、今後とも県が主体的に管理する」よう求める意見書を提出しています。

二月の県議会で「第二次新行革プラン」が可決されれば、二〇一三年度末をめどに廃止されることになります。

この計画を「運動を起こしてはねかえそう」と市民が立ち上がりました。十二月十一日には市都市整備局の担当者や日本共産党の宮田しずのり元県議を招いて意見交換、二十六日には「県立西武庫公園の存続を求める会」(今西恵子代表)が結成されました。

結成総会には、イスが足らず立ったままの人も含め七十人を超える人びとが集まりました。「地球温暖化で緑化が世界の流れ、公園をなくすなんて時代錯誤や」「医療改悪でリハビリする人の環境が厳しくなっている中、西武庫公園を日本初の野外型リハビリゾーンにしてほしい」などフロアーからも次々と発言があり、二月議会に向け三万筆の請願署名を集めること、運動を広げるために地元県議やPTA、商店街、町内会など幅広い団体・個人に協力をよびかけることなどを決め、年初から街頭署名宣伝などに取り組んでいます。(広瀬巌=県立西武庫公園の存続を求める会事務局長)


「第二次新行革プラン(第一次案)」で廃止が提案されている県立公園(括弧内は所在地)=神陵台緑地(神戸市)、明石西公園(神戸市、明石市)西武庫公園(尼崎市)、北播磨余暇村公園(多可町)

写真:県立西武庫公園の存続を求める会結成総会で発言する宮田しずのり元県議

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

風力発電は住民合意で:党淡路市議団が国に要請

日本共産党は、「脱火力・原子力発電」の立場で、太陽光・風力・波力などの自然エネルギーを利用した発電事業について促進するべきとの立場です。事業の円滑な推進のためにも、住民の合意や安全確保、環境確保は当然です。

ところが関電エネルギー開発(株)が進める「淡路北部風力発電事業」は、騒音対策として自ら設定した風車から住宅までの距離を二百五十m以上とするとの「基準」もクリアしておらず、その事実が指摘されても是正措置すらとろうとしていません。

また、地権者の承認も得ないまま工事を進めたり、地上権侵害も平気など、問題が次々に出ています。

こうした実態に住民から「事業者の説明は納得できない」など不安と怒りの声が出ています。


日本共産党淡路市議団と党淡路地区委員会はこれまでも住民運動を応援し、議会でもとりあげてきましたが、さらに今回、地元住民とともに、市田忠義参院議員事務所を通して、国に対しても要請を行いました。

環境省は規制する基準がないから事業をやめろとはいえないなどとし、「県条例に基づいて適切に対処されるはず」と、無責任な答弁を繰り返しましたが、環境省みずからが低周波騒音などについての調査研究の必要性を認めていながら、目の前の問題を放置することは許されません。党はそのことを指摘し、国民の健康を守る立場で責任を果たすよう強く求めました。

経済産業省は「住民合意というがどこで線を引くか難しい」と官僚答弁。しかし「事業ができる環境になければ補助金は出す理由がない」としたため、「私たちは書類審査ではわからない事実を示している。事業ができる環境とはいえない」と重ねてただしました。当局は、「こちらからも直接確かめてみる」「住民への説明を促す」と約束しました。

この要請には「北淡路風力発電を考える会」の丸井洋二代表も参加し、「国の姿勢を直接みることができた。本当に腹が立つ。共産党にがんばって欲しい」と感想を述べました。堀内照文国政委員長も同行しました。(金田峰生)


写真:国に要請する(右から)北淡路の風力発電を考える会の丸井洋二氏と日本共産党の鎌塚聡淡路市議、堀内照文兵庫国政委員長、片岡格洲本市議

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

三木市、相生市、播磨町、太子町の市町議選候補者

いっせい地方選挙のうち三木市・相生市の各市議選(4月17日告示・24日投票)、播磨町・太子町の各町議選(4月19日告示・24日投票)の日本共産党候補の略歴を紹介します。年齢は投票日の満年齢です。

三木市議選(定数18)

大まゆ 均 (61)=現=

静岡大学卒。PTA会長、子ども会育成会会長、兵庫農民連副会長、市議会副議長など歴任。現在、市議七期、県後期高齢者医療広域連合議員、播磨内陸医務事業組合議員、市社協理事。党三木市委員長。県自治体問題研究所理事。




板東しょうご(37)=新=

岡山商科大学卒。労協センター事業団北九州事業所長、北九州保健生協理事、社会福祉法人共生シンフォニー(障がい者作業所)勤務を経て、現在、党准県委員・地区常任委員。みき9条の会世話人。







相生市議選(定数16)

岩崎 修 (52)=現=

滋賀県立短期大学卒。農林水産省職員。現在、市議三期。党西播地区常任委員、党相生市委員長。










播磨町議選(定数14)

田中 久子 (67)=現=

稲美町立母里中学校卒。神姫バスに勤務する中、労働組合活動に参加し、会社の「合理化」女性差別攻撃とたたかい、八三年全面勝利。現在、町議五期。党議員団長。





松岡 光子 (63)=新=

愛知県立高等看護学院卒。神戸協同病院、明石市立保健センター・明石市民病院で、三十三年間にわたり看護師として勤務。現在、神戸医療生協理事。播磨9条の会役員。








太子町議選(定数16)

平田たかよし(64)=新=

長崎県玉之浦町立玉之浦中学校卒。長崎県玉之浦郵便局、辰巳運輸広畑事業部勤務を経て、現在、揖竜宍粟民商常任理事、姫路医療生協太子支部運営委員、太子9条の会世話人

平田たかよし氏写真:
(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

福祉ネットが救ったいのちと心:高齢被災者支え16年


大震災で財産を失った人、負傷にいまも苦しむ人。16年経った現在も、悩みをかかえる被災者の生活相談をつづけている、ひょうご福祉ネットワーク。ボランティアのひとり大橋豊さん(80)は、5年前から元日に自作野菜を持参し、高齢の被災者を訪問しています。


三原八重さん(92)は震災で神戸市灘区の家が全壊。県立神戸高校へ避難しましたが、給水車から水を持ち帰る途中の坂道で転倒。膝を怪我し、現在も痛みがつづいています。

買い物に不便な郊外の仮設住宅や、階段しかない県営住宅4階の暮らしに耐えた後、HAT神戸脇浜に入居しました。しかし月6万円の国民年金で生活。切りつめても、楽しみだった近くの温泉にも行けなくなりました。

ビラを見て8年前、福祉ネットの相談会を訪ねました。生活保護受給をすすめる大橋さんに、離れて住む息子たちに心配させたくないとためらい、三原さんが申請を出したのは3年後でした。

HAT神戸での相談会に毎回顔を出すようになった三原さんが、雑談のなかで「私の誕生日は1月1日。いままで祝ってもらったことがない」と打ち明けました。それを聞いた大橋さんは「じゃあ俺が行く」と即答。

ことしで、5回目の訪問になりました。毎回バースデーケーキをお祝いに持参します。92歳になった元日、三原さんは、ケーキに立てた9本のろうそくを照れながら吹き消しました。

「ご縁があってここまで親切にしてもらっています。こんないい人に巡り会えてよかった」、手を合わせてケーキを見つめる三原さん。



大橋さんが元日に必ず訪問する家がもう1軒あります。同じHAT神戸に住むYさん(84)と妻Kさん(89)夫妻です。

2人は以前、神戸市中央区で貸しビル業をしていました。順調な経営で、銀行の勧めで2億円の融資を受けた直後、大震災にあいました。自宅もビルも全半壊。高額の借金だけが残りました。手のひらを返したように返済を迫る銀行。夫妻は破産しました。

災害援護資金150万円を借りましたが、当初2万5千円ずつだった返済が大変で、5千円に変更してもらいました。しかし、それも払えなくなりました。

6年前の年末、自宅ポストに入っていた福祉ネット相談会のビラを見た2人は、ワラにもすがる思いで会場に行きました。「振る舞われた豚汁に涙した」と言います。対応した大橋さんは、生活保護の手続きを助けると同時に、吐血と下血で衰弱しきったKさんを即入院させました。

いま2人は病院とデイサービスを利用しながら、肩を寄せあい暮らしています。「相談会に行くまでは、練炭を買って死ぬことだけを考えていた」と話しています。

大橋さんは「相談活動で、まだまだ救える命がある。つづけていきたい」と語ります。


写真:1月1日が誕生日の三原八重さん(右)にケーキをプレゼントし祝う大橋豊さん
(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

NTT雇用継続裁判控訴審:不当判決に抗議、上告へ

NTT西日本に60歳以降の雇用継続を求めている控訴審で、大阪高裁第13民事部(紙浦健二裁判長)は12月21日、原告35人の訴えを棄却しました。

裁判長は当初「一審で十分でなかった争点の審理をつくす」と述べながら、結局1人の証人も採用しないまま進行しました。

判決は、NTT西日本の雇用選択時期を50歳と認め「高年法が定める55歳以降の選択がないとなれば、甚だ疑問」と述べながらも、会社の「合理化に伴う再選択」は「改正高年法の継続雇用制度に、合致しないとまでは言えない」としています。

またNTT西日本が「構造改革」当時に「労働局に届けず、60歳以上の社員を雇用するキャリアスタッフ就業規則は廃止した」と主張している問題では「一方的不利益変更は無効」との原告主張を無視し、判断回避の判決文になっています。

原告団は「高裁判決は改正高年法の定めに目を向けず、企業の裁量権を限りなく広範に認めるものであり、到底認めることはできない」とし同月28日、最高裁へ上告しました。

(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

国民春闘兵庫県共闘旗びらき:閉塞状況打破の年に

ことしの春闘を、団結し総力でとりくもうと、国民春闘共闘兵庫県共闘委員会と兵庫労連主催の旗びらきが1月6日、神戸市勤労会館でひらかれ、各単組代表ら約60人が参加しました。

津川知久兵庫労連議長は「この閉塞状況を打ち破る年にしよう」と強調。ことしのキーワードを「内部留保・地域主権改革・労働基本権の3つ」と述べ「大企業は社会的責任を果たせの声を大きな世論にしよう。国民が人間らしく生きる権利、働く権利への、国の責任放棄を許さない闘いの先頭に立とう」と呼びかけました。

青年ユニオン~波~のMさんが、兵庫労連の支援で未払い残業手当などの問題が解決できた経過を報告。「この経験を今後に生かしたい」と述べました。

写真:旗びらきで挨拶する津川知久兵庫労連議長
(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

兵庫子どもと絵本の会:作家招き実践交流


子どもたちと絵本との出会いを、保育のなかで学び 実践している兵庫子どもと絵本の会(瀧本智子代表)の交流会が1月8日、尼崎トレピエホールでひらかれ、約100人が参加しました。同会は来年20周年をむかえます。

ことしの講師は大阪堺在住の絵本作家さいとうしのぶさん。「あっちゃんあがつく」「しりとりしましょ!」などの絵本が子どもたちに人気です。

最初に、おさなご保育園とたのっこ保育園の保育士たちが、さいとうさんの絵本を、子どもたちに1年間読み聞かせた実践を報告。絵と言葉からイメージを広げ、新たな遊びを生みだす子どもたちの成長を紹介しました。

さいとうさんは「絵本が作り出す楽しい世界」と題して講演。ダンボールや祭うちわ、紙皿など身近な材料を使った手づくりの仕掛け絵本も披露し、参加者を喜ばせました。「私の絵本で子どもたちの世界が広がれば嬉しい」と語りました。


来年は発足20年に


同会顧問の徳永満理さんは「これまで多くの絵本作家を講師に招いてきました。20年の実践を冊子にまとめたい」と話しています。


写真:手づくりの仕掛け絵本を紹介する、さいとうしのぶさん
(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

劇団どろ公演「いやいやながら医者にされ」 22・23日

劇団どろ(合田幸平代表)が、神戸長田の大正筋商店街南に稽古場を移して1年。かつて神戸西部切っての賑わいを誇った同商店街は、16年前の大震災で最も被害を受けた地域です。再開発後も空き店舗の目立つ一帯を、笑いで元気づけようとモリエールの代表喜劇「いやいやながら医者にされ」を1月22日と23日、商店街内の劇場で4回公演します。

酒好きで怠け者、女房と大喧嘩が毎日のスガナレルが、怒った女房の策略で、医者に間違われ、金持ちジェロンドの娘リュサンドの病気を直す羽目になります。偽医者ぶりが板についたころ…。

演出は合田さん。「単純明快な話で、普遍性のある笑劇。人間の本質をつき、真実が見えることで生まれる笑いを、観客に感じとってもらえるかどうか、役者といっしょに格闘中」と言います。



写真:「いやいやながら医者にされ」の稽古風景
(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)

小野の成人式で9条の会が宣伝

「私たちは、あなたの大切な人を戦場にたたせることを望みません」、北はりま教育9条と9条の会小野は、成人の日の1月10日、小野市民会館前で宣伝をおこない、16人が参加しました。

参加した教師が教え子と再会、「立派な主権者になってくれよ」と励ましていました。


(2011年1月16日付「兵庫民報」掲載)