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2011年4月24日日曜日

東日本大震災:激甚被災県労連へ激励連帯キャラバン

兵庫県労働組合総連合議長 津川 知久

兵庫労連は、東日本大震災でとくに被害の激しい岩手・宮城・福島の県労連に支援物資と激励連帯の声を届けようと4月11日朝、神戸を出発しました。

メンバーは車所有者で運転担当の全港湾阪神支部の稲田英也さん、労連役員の森栗強さんと一ノ瀬達也さん、菊本義治兵庫県立大学名誉教授と私の5人です。予定は3日間。宿泊地と定めた新潟市をベースに12日、3つの県労連事務所を訪問する計画でした。

震度5に迎えられ

1日目、700kmを走破し、ホテル到着。受付の女性が青い顔で「つい先ほど大きな地震がありました。エレベーターが使えなくなるかもしれないので、階段位置を確認しておいてください」とのこと。

あとで調べると17時16分福島県浜通り震源、マグニチュード7、新潟は震度5。そのころ私たちはまだ車中だったので気づきませんでした。

2日目、午前7時ホテルを出発。悲しいまでに美しい磐梯山を左手に見ながら、やがて車は磐越自動車道から東北自動車道へ。とたんに通行量が増え、いたる所で道路が傷んでいます。応急修理されているものの、車はたえず大きくバウンド。

勇気もらった現地の奮闘

岩手県労連の金野事務局長(左)に
お見舞い金と支援物資を手渡す
津川議長(右)と森栗さん(中央)
午後1時過ぎ、盛岡市内の岩手県労連事務所に到着。お見舞い金と支援物資を手渡し、金野耕治事務局長から県内被災地の状況を伺いました。

避難生活をおくっている4万8千人の内、避難所には2万人。残り2万8千人は自宅などで孤立しており、食料など支援物資が届いていない。したがって県労連や民商、新婦人や共産党などでつくる「共同対策本部」は被害の激しい地域ごとに支援センターを設置。行政の手の届かないところへの支援物資配送が中心とのことでした。

「町がないのです」

阪神・淡路大震災のさい
神戸長田の支援に来てくれたという
鈴木宮城県労連議長(右)、
中央は菊本教授
つづいて午後5時過ぎ、宮城県労連事務所へ。鈴木新議長と鎌内秀穂事務局長にお話を聞きました。ここも県労連など17団体で「宮城災対連・東日本震災共同センター」を震災2週間後に立ち上げ、物資受け入れスタッフとボランティア配置スタッフに役割分担し、奮闘されています。南三陸町の状況については「町がないのです」と沈痛な面持ちで事務局長が話していました。

聞けば、鈴木議長は16年前の阪神・淡路大震災の時、神戸長田地域で1週間ほど支援活動をされたとのこと。胸が熱くなりました。

福島県労連を訪問し斎藤議長(右)を
激励しました
福島県労連事務所に着いたのは午後8時。斎藤富春議長、野木茂雄事務局長と懇談しました。ここでも「復興共同センター」を立ち上げ、被災の激しい12カ所に地域センターを開設する計画で、現在10カ所が稼働しています。地震と津波の上に原発事故がかぶさる福島、「ボランティア受け入れも慎重になっている」とのこと。


それぞれで充分お話を伺えなかったもどかしさを思いつつ、新潟のホテルに帰りついたのは24時15分。翌日になっていました。

事態の深刻さを痛感

訪問した各県労連がいずれも、救援復興への共同組織の中心として奮闘されていることに、私たちが勇気をもらいました。しかし大震災から一カ月が経っても、支援物資を届けるにも苦労されており、事態の困難さを知りました。

真の復興へ兵庫からも発信

だからこそ阪神・淡路を経験した私たちが支援を発信する役割の重要さを痛感します。

「創造的復興」と称し神戸空港建設など政府や兵庫県・神戸市がおこなってきたことを繰り返させてはなりません。働く者や農漁業者、中小業者の生活と営業再建を何より大事にした、真の復興のため、兵庫からねばり強く発信していきます。

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

住民と力あわせ原発誘致阻止

福島原発事故の危機打開へ、いま日本共産党は、情報の全面開示、内外の専門家の知恵と力の総結集をよびかけています。

原発建設をめぐって兵庫県内では一九五〇年代末から、御津町、南淡町、香住町、岡山県日生町鹿久居島(赤穂市に隣接)、家島町などが建設候補地として名前があがりました。「安全だ」と唱えるだけの国や電力会社、原発誘致に走ろうとした兵庫県に対し、日本共産党は、一貫してその危険性を告発。住民と力を合わせて反対運動にとりくみ、建設を許していません。

御津町、全国「二番目」候補地に

御津町に茨城県東海村の一号炉につぐ全国で二番目の原発候補地として、白羽の矢がたてられました。一九五八年頃から誘致の動きがあり、一九六〇年十二月、関西電力が御津町を最有力候補地にあげたことが新聞報道で表面化。

当時の知事らが推進の方向でうごくもとで、日本共産党は、原発がまだ研究開発段階にあり、安全性でも大きな問題があることも指摘し、計画の危険性を訴えました。学習会や宣伝資料の発行など活発にとりくみ、各種団体にもはたらきかけました。県総評にも議論してもらい、原発建設反対がメーデースローガンにも決定されるなど、運動が広がりました。

その後、計画は「沙汰やみ」になりました。

香住町、「町はじまって以来」のデモも

一九六七年十一月、兵庫県と香住町が、香住町下浜地区に関西電力の原発を誘致する方針を発表しました。日本共産党兵庫県委員会はただちに「誘致反対」の態度をきめ、県議会で県当局を追及。「ひとたび事故が起これば…深刻な被害を及ぼす」「関西電力の言い分をまるごと飲み込むような政治的な態度はおかしい」ときびしくただしました。香住町の地元では、有志の人たちが開いた講演会で党の代表が講演したり、党香住町議も地元の人たちと協力して大奮闘しました。

原発設置反対の集会、「町はじまって以来」の約三百人のデモなどたたかいが広がりました。一九七〇年九月町議会で、日本共産党町議の質問に、町長がついに原発を事実上たなあげにする答弁をおこないました。つづいて隣町の浜坂町の居組などがつぎの建設候補地にあげられましたが、建設を許しませんでした。

四国電力が日生町鹿久居島に計画

一九七〇年になると、こんどは中国電力が赤穂市に隣接する岡山県日生町鹿久居島に原発を建設しようという計画がもちあがりました。

日本共産党西播地区委員会は「赤穂の鼻の先“鹿久居島”の原子力発電所計画に反対しよう」と訴えた政策を発表。「住民に放射能被害の不安をあたえ、日生町・赤穂市の住民の生命と生活をおびやかす原子力発電所建設計画をすぐ中止すること」を求めました。そして「全民主勢力は、日生町の『鹿久居島原子力発電所反対実行委員会』と協力して原発建設反対の闘争にたちあがろう」とよびかけました。

建設反対の市民運動、現地の漁業者を中心とする運動のたかまりなどのなかで建設をおしとどめました。

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

原発誘致くいとめた兵庫の住民運動と福島市郎さん

原発問題の各種資料の中に、福島市郎さん(故人)の著書『革新の旗をかかげて』(一九七六年同編集委員会刊=写真)がありました。兵庫県原水協事務局長を長く務め、その後、日本共産党西播地区委員長や衆院旧4区候補者などと活躍した方です。

一九六〇年に御津町(現たつの市)が「茨城県東海村につぐ…全国で第二番目の原子力発電所の候補地」となってから、南淡町(現南あわじ市)、香住町(現香美町)、家島町(現姫路市)と県下各地に原発誘致の動きがありました。

福島さんたちは学者の協力を得つつ、資料を作り、学習・宣伝をすすめ、共同を広げ、県や地元自治体に働きかける住民運動を推進します。結果、七〇年代で県下への原発誘致の動きはほぼ収まったようです。

「放射能障害に苦しむ被爆者の姿に接してきた経験も、大きな力」とし、「軍事利用が圧倒的であり、安全性においても多くの問題をはらんでいる原子力開発をあまりにも安易にすすめようとした動き(を批判し)、地域住民の安全とくらしをまもるためにはたらいてきただけである」と謙遜します。

「欠陥原子力開発をすすめることは、郷土の将来のためだけでなくわが国の前途に大きい禍根をのこす」という半世紀前の警告と運動に、敬服の思いを新たにしたことです。 (S生

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

消防広域化計画:消防力をリストラ?

「広域化」よりも国基準みたし充実を

兵庫県内には三十の消防本部、五十四の消防署があり、五千六百七十三人の消防職員が従事しています。

いま、兵庫県は、この三十消防本部を十一に再編する計画(消防広域化推進計画)をすすめています。

そもそも、「広域化計画」は、消防組織法を改定し、「住民サービスの向上」や「人員配備の効率化と充実」という広域化の「メリット」を強調し、国がすすめているものです。

これに対し、自治労連と消防職員ネットワークは、全国の消防職員数が、国の定めた水準の七六%にとどまっている原因は、政府の「公務員削減計画」にあり、消防職員の人件費の財源的な根拠となる市町への普通交付税も、人口十万人あたり百十九人と、消防力の国基準よりも低いレベルになっていることを指摘し、「広域化計画」の危険性を指摘しています。

「消防広域化」の目的は、消防力の強化ではなく、公務員削減、自治体リストラの強化による国の地方財政への支出削減であることは明らかです。

市町合併の推進のときも、県が押し付け、市町も財政的理由から合併を選択せざるとえない事態が相次ぎました。しかし、いま「合併でよかったことがない」という声が各地で聞かれます。

住民の命を守り、災害に強いまちづくりをすすめるため、国や県に、「広域化計画」をすすめるのではなく、国基準を満たす消防力と予算の充実を強く求めていくことが必要です。


写真:芦屋市の消防本部―「広域化」は管轄人口十万人をめどとするため、近隣の消防本部との統合が懸念されています。

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

小選挙区の弊害県議選にも

上脇博之神戸学院大教授が検証

衆院小選挙区制など、定数の少ない選挙区の場合、有権者の政党選択と実際の議会の構成とに食い違いが生じやすいことが懸念されてきましたが、四月十日に行なわれた兵庫県議選でも得票率と議席占有率の隔たりが生じていることを『議員定数を削減していいの』(日本機関紙出版センター刊)などの著作もある神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)が検証しています。


今回の県議選での各政党の得票率、獲得議席数、議席占有率は表1。得票率で比例配分した議席数を試算しました。無投票選挙区での有権者の選択は算入していません。実際に比例代表選挙になれば有権者の投票行動や政党の立候補のあり方も変わります。

あくまで現行制度における得票率からの試算ですが、自民党と無所属が過大代表され、共産党とみんなの党が過小代表されていると上脇氏は指摘します。その原因について「定数一~三の選挙区から選出される議員が総定数八十九のうち五十九議席、全体の三分の二弱を占めていること」をあげています(表3)。


また、今回は八選挙区で無投票となりました。一九七九年に十八選挙区二十三人が無投票当選となったのが最多ですが、毎回、一~二割の議員が無投票で議席を得ています(表2)。とくに一人区に無投票となることが多くみられ、養父市のように今回で七期連続の無投票となっている選挙区もあります。


上脇氏は、「憲法が要請する投票価値の平等と民意の正確かつ公正な議会への反映を実現することが、衆参の国政選挙だけではなく、地方議会選挙にも妥当するから、政党・会派の発達したところでは、地方議会議員を選出する選挙制度は、民主的で中立・公正な選挙制度、すなわち比例代表制に改めるべき」と主張しています。

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)


D A T A

表1 議席占有率と得票率との隔たり

政党名 獲得議席数 議席占有率(%) 得票率(%) 比例配分議席数 実際との差
自由民主党 26 29.21 > 25.43 23 3
民主党 17 19.10 19.39 17 0
公明党 12 13.48 13.20 12 0
日本共産党 5 5.62 < 9.92 9 ▲4
みんなの党 1 1.12 < 3.58 3 ▲2
諸派 1 1.12 1.18 1 0
無所属 27 30.34 > 27.31 24 3
合計 89 100.00 100.00 89 0

表2 無投票となった選挙区数と議員数
選挙実施年
1979
1983
1987
1991
1995
1999
2003
2007
2011
選挙区数
46
46
46
46
46
46
46
44
41
総定数
91
91
91
94
92
92
93
92
89
無投票
選挙区数
18
0
8
16
15
18
18
7
8
39%
0%
17%
35%
33%
39%
39%
16%
20%
議員数
23
0
8
17
15
19
21
11
9
25%
0%
9%
18%
16%
21%
23%
12%
10%

表3 定数で分類した選挙区数と選出議員数(今回の場合)
選挙区数 議員数 割合
1人区 21 21 24%
2人区 7 14 16%
3人区 8 24 27%
4人区 2 8 9%
5人区 0 0 0%
6人区 0 0 0%
7人区 2 14 16%
8人区 1 8 9%
合 計 41 89 100%



高裁勝利判決めざし日本トムソン正社員化闘争激励集会

日本トムソン正社員化闘争激励集会が4月15日、神戸市勤労会館でひらかれ、101人が参加しました。兵庫労連とJMIU兵庫地本が主催しました。

JMIU日本トムソン支部の労働者9人が解雇撤回と正社員化を求めている裁判はことし2月23日、神戸地裁姫路支部で、会社の法違反を認定しながら解雇を容認し、慰謝料支払いだけを命じる判決が出されました。

原告、被告ともに控訴しました。

津川知久兵庫労連議長は主催者挨拶で「日本の司法到達点突破が私たち支援の闘い」と述べました。

裁判闘争の報告で吉田竜一弁護士は「日本トムソンの労組が、派遣労働者の問題を自分たちの問題と位置づけて闘い、直接雇用を勝ちとった。全国60地裁に09年春提訴された派遣切り訴訟の先駆け。わずか1人50万円の損害賠償だが、使用者側を震撼させた影響は大きい。高裁でのひきつづく裁判闘争と、労働者派遣法を改正させる立法闘争を、車の両輪に」と呼びかけました。

主催者が経過報告とともに、高裁要請署名と原告を支える会への協力を訴えました。

また、最高裁で勝利判決を勝ちとった建交労INAXメンテナンス近畿分会代表らが連帯の挨拶をしました。

日本トムソン支部の前尾良治委員長と原告の川井雅広さんが決意表明。「ともにスクラムを組んで闘おう」と支援を訴えました。


写真:高裁勝利へ決意を述べるJMIU日本トムソン支部の川井雅広さんと前尾良治委員長

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

自立支援法訴訟基本合意の完全実施めざし元原告や支援者が集会

「応益」の名で利用者負担を強いる障害者自立支援法は憲法違反だと、国を相手どり、障害者71人(兵庫13人)が全国14地裁に提訴した裁判は、両者が昨年1月締結した基本合意をもとに同4月15日、和解が成立しました。

和解1周年のことし4月15日、基本合意の完全実現をめざす会が近畿ブロック学習決起集会を、あすてっぷ神戸でひらきました。近畿各府県から元原告や家族、支援者ら100人が参加しました。

障害者自立支援法訴訟全国弁護団事務局長の藤岡毅弁護士が「被災地支援法と総合福祉法のめざすところ」と題して講演。「日弁連被災地支援法律相談のなかで、災害弱者への支援制度の貧弱さを痛感した。一番の弱者に牙をむく状態になっている」と述べました。

障害者基本法改正では3月11日、障害者制度改革推進本部がひらかれ、法案を確認。その直後の大震災発生で閣議決定が止まっています。「人権としての基本法改正へ、不十分ながらも改善されてきた。白紙にしたくない」と語りました。

元原告が発言。「応益負担がいまもあるのは残念。障害者の仲間の震災死はものすごく辛い」(奈良・小山冨士夫さん)、「裁判でみんなと運動できた。自分は1人ではないと実感した」(大阪・原田勲さん)など述べました。


写真:「障害は自己責任ではない」と語る藤岡毅弁護士

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

大雪被害実態調査を約束させる

日本共産党新温泉町議員団が県へ申し入れ

日本共産党の新温泉町議員団は十五日、兵庫県に対して「大雪による被害対策」について次の四点を申し入れました。

①早急に被害状況を確認し、営農・営林が続けられるよう、支援策を講じること②被害にあった樹木の撤去・搬送・処理の費用に対し、補助を行うこと。また、適正価格を保持するよう必要な指導監督を行うこと③高齢化や過疎化によって、民家の雪下ろしや生活道路の除雪が困難になっています。費用助成やマンパワー確保等に対する必要な支援制度を創設すること④激甚指定要件の緩和、雪による被害の特性に見合った基準整備などの災害救助法改正および被災者生活再建支援法の早期改正(拡充)を国に求めると共に、県としても実態とニーズに対応する措置を取ること。

昨年末から新年にかけて降った大雪で、鳥取県では漁船が沈むなどの被害が出ましたが、兵庫県の日本海岸近くでも、杉や檜が折れたりビニールハウスが押しつぶされたりするなど、被害がありました。また、高齢化と過疎化によって屋根や生活道路の除雪もままならない状況です(三月二十日付に既報)。

申し入れに応対した県農林水産局林務課長が、「被害があったという話は初めて聞いた」「広域でないため、行政(県)が手を出すというのはどうかと思う」などと述べたのに対し、谷口功議員は「二次災害の危険性がある状態を放置するというのか」「林業が続けられなくなったり、森林の管理ができなくなったりしたのは政策の誤りによるものであり、県にも責任の一端はある」と反論。その結果、課長も実態調査を約束しました。

一方、企画財政局市町振興課の担当者は、「よくわかります」「国にも交付税や特別交付税の透明性などを繰り返し要望しています」などと述べました。

(党県委員会農林漁民部・金田峰生)

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

シンポジウム「TPP問題を考える」

自国の食料確保困難に

日本科学者会議兵庫支部と兵庫食健連、兵庫農民連主催のシンポジウム「環太平連携協定(TPP)を考える」が4月16日、神戸市勤労会館でひらかれ、約30人が参加しました。

2人が報告。小野雅之神戸大学教授は、関税撤廃を求める日経連「成長戦略」と、足並みを揃え政府が発表した「新成長戦略」の類似性を指摘。輸出倍増をめざすアメリカと、普天間基地問題での関係修復を求める日本政府がまったくの例外を認めない自由貿易協定を結ぶことによる、国内農業への影響を述べ、「国益か農業か」の二者択一問題ではないと強調しました。(写真)

柳澤尚兵庫食健連事務局長は「残されたわずかな農産物にも関税撤廃を迫る協定で、日本は自前の食料が確保できなくなる。いま日本の食料自給率は27%と砂漠国並み。その一方で米価は低落している」と語りました。

参加者から、林業・水産業への影響などについての発言もありました。

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

民青県委員会が新歓

スポーツで交流、学びの意味も語り合う 

民青同盟兵庫県委員会は四月十六日、芦屋市立体育館で新入生歓迎企画でバスケットボール、バレーボール、ドッチボールをするスポーツ交流会を開催しました。

参加者は九人、神戸大学に入学したばかりのK君も参加しました。「こんなに運動をするのは久しぶり」「たまには体を動かしたいから今日は運動をできてよかった」など和気あいあいと体を動かしました。

汗を流した後は新入生歓迎行事について話し合いました。学ぶことの意味や、その中で民青が果たす役割なども話し合いました。

K君は、「感性を高めなければものごとを捉えられないと思う。そんな感性を高めるためにも教養は必要だからそんな幅広い教養を大学で身につけたい。民青の人たちは話していると感じますけど、すごく教養がありますね」「東北のボランティアにも行きたいし、原水爆禁止世界大会にも参加したいです」とさっそく入りたての民青の活動に魅力を感じ、意欲も出しています。

また、他の参加者からも「民青に入っていなかったら自分の人生はもっと暗いものになっていた」「貧困に向かってたたかっている運動があることを知ることができてよかった。世界一高い日本の学費を下げる活動をしたい」という発言もありました。

こうした話し合いの中で、東日本大震災被災地へ支援に行ってきた介護士を招いて現地の実情を聞く「震災ボランティア報告会」を二十一日に行い、翌二十二日には“連続学問講座”の第一弾として神戸大学文学部名誉教授の岩崎先生に「苦難の時代にどう生きるか」というテーマで学習会を開催することを決めました。

(党県委員会青年学生部・上園隆)

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々―治安維持法による弾圧犠牲者(II-2)

学生運動

真理探求と学問の自由求め

同時期、学生運動も発展した。学問研究の自由、学費値上げ反対などを掲げた学校スト・紛争は、一九二九年百十七件、三〇年二百二十三件、三一年三百九十五件と飛躍的に広がった。

姫路高等学校では二七年十二月、警官が無断で学内に侵入し、反戦運動での退学処分反対運動中の学生を検挙したのに対し、学生大会で決議、抗議の一週間全校ストを実行した。

他に関西学院、官立神戸高等商業学校(神戸高商=神戸大学の前身)、県立神戸商業学校(県商=兵庫県立大学にもつながる)などで社会科学研究会(百名)が活動した。反帝同盟、救援会学校班、戦旗読書会の運動も広がる。

科学的社会主義が知識人を文字通り席巻した。「諸科学のマルクス主義的研究発表」を目的にプロレタリア科学研究所が二九年に創立された。

また、プロレタリア教育の確立を目的に新興教育研究所が三〇年八月に創立され、三二年、新興教育兵庫支部が神戸市立御蔵小学校を拠点に結成された。

旧制甲南高校生のたたかい

平生釟三郎、伊藤忠兵衛らが関西財界子弟のため二三年に設立した甲南高等学校で、大正海上火災社長の子息・飯沼修(後の俳優座永井智雄)、中島祐吉(戦後日本共産党参議院兵庫選挙区候補)らがプロレタリア科学同盟神戸支部学校班を結成。学生新聞『白亜城』を発行し、反戦の世論を広げ、共産青年同盟員を獲得していった。

彼らを活動に誘ったのは川上源一(戦後ヤマハ会長)。源一の父は浜松の大争議を鎮圧した側の日本楽器社長である。永井智雄は、関集三(東洋紡社長子息、後に大阪大学教授)、山口省太郎(山口銀行頭取子息、後に東大原子核研究所教授)、徳末知夫(戦後帝人社長)など、山岳部を軸に同盟員、読者、学習会参加者を広げ、共青神戸市委員長として全市的にも活動した。

斎藤実内閣の文相鳩山一郎による相次ぐ弾圧事件―「司法官赤化事件」「長野県赤化教員事件」「京大滝川事件」―に対して甲南高校、神戸高商共青班が、社研、プロ科班とともに抗議行動を行った。

坂田昌一も学ぶ

甲南の学習会の講師には、第一回卒業生の京大院生加古祐二郎があたり、加古と同期の加藤正が日本初訳したエンゲルス『自然弁証法』や『資本論』を学んだ。

後に物理学者として益川敏英らを指導した坂田昌一は、甲南時代、加藤に教えられたエンゲルスの自然観に励まされ、「“物質の究極”と考える立場と対決し“物質の階層”という立場に立つ複合模型の研究に取り組んでいるのは、エンゲルスの言葉に励まされているからであります」と語っている。

三四年二月には甲南高校でも九名が検挙され共青班もつぶされた。

(治安維持法国賠同盟兵庫県本部幹事 田中隆夫

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

死亡一万三千七百五人、行方不明一万四千百七十五人。大震災から一カ月あまりの数字である▼「未曽有の大震災」と言われた阪神・淡路大震災で一カ月半後、死亡五千四百四十五人、行方不明二人だったことと比べても今回はなんと言えばよいのか…。一日も早く行方不明の方々が身内の方のもとへ戻れることを願うばかり▼同時に、日がたつにつれ災害弱者である障害を持つ方々への救援活動は遅れに遅れていることが表面化してきている▼障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会からは、全国の障害者・関係者団体が力を合わせ「知的障害」「発達障害」「心の健康」「目・耳の不自由な方」など障害の違いによって対応の異なる人への支援のため現地対策本部を立ち上げつつあるとの報告▼救援に入った方から「気仙沼市役所の社会福祉事務所は一階で流され、プレハブの窓に﹁社会福祉事務所﹂と紙を張って、ようやく業務を再開。市人口の八割近くが従事していた水産業へのダメージは解雇という深刻な問題を生じ、障害のある人や支援事業所へ与える懸念も大きい」との知らせ▼一刻も早い支援とともに、今後長期にわたる支援も求められている。 (N)

(2011年4月24日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月17日日曜日

いっせい地方選挙前半戦の結果について

二〇一一年四月十一日 日本共産党兵庫県常任委員会

一、いっせい地方選挙前半戦は、県議選では、神戸市東灘区、尼崎市、西宮市で議席を回復・確保しましたが、明石市、加古川市で現職が落選し、改選時比一増の前回と同じ五人の当選になりました。神戸市議選は、新旧交代をめざした中央区で議席を失い、一議席減の九議席にとどまりました。

日本共産党の候補者にいただいた熱いご支持、ご支援に心から感謝するとともに、日夜わかたぬ奮闘をしていただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心からお礼を申し上げます。

一、日本共産党は、東日本大震災という国難のもとで、被災者支援・復興に全力をそそぐとともに、それと一体に選挙勝利をめざすたたかいをすすめてきました。兵庫県内でお預かりした救援募金は二千五百万円を越え、党中央委員会を通して被災地へ届けました。

選挙戦では、①被災者救援と福島原発の危機回避に真正面から取り組む②戦後未曽有の災害の復興に国の総力をあげる③「安全神話」を前提とした原発依存のエネルギー政策を転換する④住民サービス切り捨ての行政から「福祉・防災のまちづくり」に転換する─ことを訴えました。多くの有権者が「この先日本はどうなるのか」と不安と模索をいだくなかで、わが党候補の訴えは「知りたいことにこたえてくれた」と共感をよび、信頼を広げました。

中学卒業までの医療費無料化、国保・介護保険の負担軽減、中学校給食など、県民の切実な願いにこたえた政策も、東日本大震災のもとで「命とくらしを守る自治体本来の役割を発揮してこそ、防災にも備えることができる」と訴え、県民から支持と共感が寄せられました。

大震災と原発事故は、今後、長期にわたって、その根本的解決が迫られる国民的な大問題になっています。この長期にわたる大仕事にとりくむ上でも、今回の選挙戦で訴えた内容が生きるものと確信します。

一、県議選での二現職の落選、神戸市議選で議席を後退させてしまったことをはじめ、選挙戦の総括については、党内外のみなさんのご意見もいただきながら、県常任委員会として、それぞれの地区委員会として、教訓を明らかにして、今後に生かしていきます。ひきつづくいっせい地方選挙後半戦では、前半戦の結果にたって、各市町議選で必ず前進、勝利するために全力をつくす決意です。今後ともご支援、ご協力を心からお願いいたします。


兵庫県議選(総定数89)日本共産党の当選者

  • 東灘区:きだ 結 (40)新
  • 尼崎市:宮田しずのり(68)元
  • 西宮市:いそみ恵子 (54)元
  • 宝塚市:ねりき恵子 (48)現
  • 姫路市:杉本 ちさと(58)現


(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月10日投票兵庫県議選政党別・選挙区別得票

(クリックすると大きく表示されます。申し訳ありませんが、当面、画像のみです)

  • 2007年の県議選(「前回」)と、2010年の参院選比例(「10参」)の得票を比較のために示しました。
  • 「当」は当選者数。複数立候補の場合は分母に立候補者数を示しました。
  • 按分票は四捨五入しています。
(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月10日投票神戸市議選政党別・選挙区別得票

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(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

核兵器全面禁止:新国際署名スタート

昨年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、核保有国を含む参加189カ国が合意した「核兵器のない世界の平和と安全の達成」へむけ、速やかな条約締結交渉の開始を求める署名が始まりました。

日本原水協が呼びかけた新しい国際署名は「核兵器全面禁止のアピール」。ことし2月15日、発表されました。兵庫では非核「神戸方式」決議36周年の3月18日、新署名スタート集会も同時にひらかれました。

賛同者には、兵庫県関係者として、河野太通(全日本仏教会会長・臨済宗妙心寺派管長)、伴智(県被団協理事長)、日野原重明(聖路加国際病院理事長)の各氏も名を連ねています。

兵庫県原水協は4月6日、神戸元町商店街東入口で新署名を呼びかけました。梶本修史事務局長は福島原発事故にふれ「世界の英知を結集し解決を」と訴えました。新署名賛同者の1人、医師の口分田勝さん(84)も参加、「残りの全人生を核兵器廃絶運動にかける」と語りました。

写真:新署名を呼びかける兵庫県原水協の口分田勝さん(右端)、梶本修史事務局長(右から3人目)=4月6日

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

ひょうご福祉ネットワークの懇談会

被災者実態を毎月交流

ひょうご福祉ネットワークの巡回相談で救われた阪神・淡路大震災の被災者が月1回、懇談会を事務所でひらいています。東日本大震災後の4月6日、5人が集まりました。

ひょうご福祉ネットワーク事務局の大橋豊さん(81)が呼びかけ、毎月第1水曜にひらいています。復興公営住宅集会所など市内4カ所でおこなっている巡回相談を機に、生活再建へ歩み出した人たちが、その後の経過報告を含め集まっています。16年が経ち、模索をつづける実態が明らかになっています。

Nさん(83)は、経営していたゴム会社が被災。再建をはかりましたが倒産。借金だけが残りました。災害援護資金も200万円借りています。障害1級の息子と須磨区の市住で生活。自身も胃ガンと心臓病を患っています。

生活保護を受けていましたが、須磨福祉事務所から昨年10月、生活保護費徴収通知が届きました。すでに支給されている生活保護費約350万円の返還を求める内容で、息子の厚生年金が申告されていなかったのが理由です。

「故郷で死のうと夜行バスで鳥取へ向かったが、死地に選んだ池が凍結していて断念」

困り切っていたときひょうご福祉ネットの巡回相談を知り、大橋さんにそう打ち明けました。Nさんは相談会の始まる1時間前から待っていました。

大橋さんは福祉事務所へ同行。生活保護を受けながら少額ずつ返済する道を相談しています。

「真冬に電気ガス止められた」

垂水の県住に住むMさん(81)は2月、電気とガスを3日間止められました。滞納が理由です。「真冬に、電気もガスもない生活は地獄だった」と言います。

震災後、災害援護資金を350万円借りました。同時に知人に頼まれ借り入れの保証人にもなりました。自身の借り入れは完済しましたが、知人が行方不明になりその返済がMさんに課せられました。法テラスに相談し、自己破産しました。

生活は苦しく、いま年金を担保に借金しています。減免中止になった家賃も滞納。国民健康保険料2年分、介護保険料、住民税なども滞納しています。

Mさんは、払いたくても払えない状況を、県や市の窓口でも訴えました。知人からも借金し、暮らしをつないでいます。

大橋さんは「阪神大震災の被災者は高齢化し、いっそう苦しんでいる。災害援護資金を借りた4人に1人は少額償還。行政はもう免除すべきではないか」と訴えています。

写真:阪神・淡路大震災から16年の生活状況を語り合う大橋豊さん(右端)と
被災者たち=4月6日

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

福祉支援型専攻科エコールKOBE開校式

仲間とともに成長する場


神戸市長田区に誕生した福祉支援型専攻科「エコールKOBE」の開校記念式典が4月9日、同区内でひらかれました。

特別支援学校高等部を卒業した青年たちが2年間、短大・大学に相当する力を身につけて、社会への独り立ちめざし、自主的に学びます。

学園は新長田駅南、アスタプラザファーストビル地階。JRや市営地下鉄から地下道で行き来ができ、バリアフリー完備です。

開校式には4月1日入学したばかりの1期生15人とその家族をはじめ約180人が参加しました。プログラムや会場飾りつけも学生たちがつくりました。

主催者挨拶で、岡本正エコールKOBE設立準備室長は「障害をもつ青年たち、福祉教育に長年携わってきた者にとって歴史的意義のあるスタート」と述べました。

来賓の木下孝司神戸大学准教授は学生たちへのエールとして「学びを通し、本当のことがわかる喜び、つくる喜び、自分が必要とされている喜びを感じてほしい」と呼びかけました。

河南勝学園長がスタッフを紹介。学生たちに「仲間とともに楽しく学ぶ場にしよう。主体的に学び、人間として成長する場にしよう。その後の人生の大きな財産にしてほしい」と語りかけました。また「養護教育義務化から30年。障害をもつ高校生に進学という道を開く新たなチャレンジ」と述べました。

1期生が1人ずつ自己紹介しました。2年間の学園生活で何をしたいか発表しました。

「友だちをつくる。甲子園に行きたい」「勉強したい」「自分のできることを見つけたい。目標を大切にしたい」「将来について学びたい」「漢字検定4級に合格したい」「英語を勉強したい」などの希望を語りました。

また16年前の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた新長田の地から東日本大震災被災者へのメッセージを5人が読みあげました。

原口優紀さんは「決して希望を捨てず、復興に向けてがんばってください。同じ被災者として応援しています」と呼びかけました。

写真:開校式で「世界で1つだけの花」を合唱する入学生

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

東日本大震災:神戸健康共和会医療支援チーム

避難所で足湯 若者や小学生も

神戸健康共和会は東日本大震災被災地へ連続、医療支援チームを送り出しています。第5次の4人が4月2日から6日間、宮城県に入りました。参加者の現地レポートです。


3日(日)15時過ぎ坂総合病院(塩釜市)に到着。報道を見て、じっとしていられず参加。明日から避難所や在宅まわりを予定。

4日(月)2人は坂総合病院で診療支援。あと2人は多賀城文化センター避難所で足湯と清拭を担当。

5日(火)午前中は糖尿病外来で問診。午後は地域訪問へ。床上浸水で1階部分が使用できず、2階で生活している人がほとんどでした。片付けで手の荒れている人が多く、ゴム手袋を渡すと、とても喜んでもらえました。自分の目で見て感じることが大切だと痛感。

6日(水)地元の新人看護師と避難所で足湯を担当。毎日平均80人が足浴。若者や小学生が来てくれました。

「自分は阪神・淡路大震災のとき何もしなかったのに、あんたらはあのとき世話になったと言って、遠いところから来て、お互い様と言う。自分が情けない」と男泣きされた方が印象に残りました。

7日(木)各持ち場でみな責任を果たしました。宮城にいる間、ほとんどテレビニュースを見ませんでした。放射線のことも忘れていました。

第6次支援チームは4月16日出発、22日帰着予定です。

写真:診療体制を打ち合わせる全国からの医療支援者=4月6日、宮城県塩釜市

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

学生新歓:経済、環境と原発テーマに講演会(4/22&5/20)

新入生歓迎実行委員会が主催し、日本科学者会議(JSA)兵庫支部が後援して、新入生の知的・学問的関心にこたえようと、連続学問企画を開催します。

第一回目は、神戸大学名誉教授の岩崎信彦先生を迎え、「苦難の時代にどう生きるか 東日本大震災・原発事故・経済的閉塞感の中で 」というタイトルで講演・討論を四月二十二日(金)午後六時から神戸青年学生センターで行います。

二回目は、神戸大学発達科学部教授の中川和彦先生を迎え、「原発事故と地球環境問題」として講演・討論を五月二十日(金)午後六時から行います。

実行委員会では、大学の新入生にかぎらず、広くご参加を、と呼びかけています。

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

民青県委員会が新歓企画・神戸ツアー

民青同盟兵庫県委員会は四月八日、新入生歓迎企画「神戸のオススメスポットツアー」を行いました。神戸大学の新入生が参加し、メリケンパークからポートタワー、モザイクと散策し、元町中華街で食事をしました。


鳥取県からやってきて「都会での生活は不安だ」というKくんは「鳥取にはこんな場所がないから今日は案内してもらえてよかった」と話します。Kくんはメリケンパークに残されている十六年前の阪神・淡路大震災の被災状況が残されているところをじっと見ながら、「たいへんな地震だったんですね」「東日本大震災のボランティアにはいってみたい」と話しました。また「大学では幅広い教養を身につけたい」と大学での学びへの期待でいっぱいです。


(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々―治安維持法による弾圧犠牲者(II-1)

プロレタリア文化運動

高まる反戦運動をリード

満州事変を前後して、特高、憲兵は、反戦・厭戦弾圧に、猛威をふるう。

全日本無産者芸術連盟(ナップ)の機関誌『戦旗』は、相次ぐ発行停止の下でも二万二千の読者を獲得している。

神戸でも、二九年には、下山手基督教青年会館での「戦旗講演会」に参加した神戸出身の編集長山田清三郎が「二百余りの入り、これでは神戸の戦旗読者数にも及ばない」と語るような状況だったのが、小林多喜二も参加した翌三〇年の「戦旗講演会」には、七~八百名が入り、四~五百名が茶話会に残ったという。

憲兵司令部極秘報告『思想彙報』には、戦旗社神戸支局を作った青年の徴兵直前の会話「軍隊に入るのは不本意だが、軍隊生活二年間は無事に過し、退営後は、再び主義に前進する」や一在郷軍人の「戦争は資本家の利益を守る為、無産者に殺し合いを強制し悲惨なり。父は日露戦争に戦死し、わずか五百円の金を貰ったのみで母は失望落胆。国家の為だと誤魔化しているが戦争ほど残酷なものはない」などの発言が採録されている。

一九三〇年、憲兵司令部はプロレタリア文化運動を「(一九二九年の)反帝同盟二大会を契機に反軍運動は強化。プロレタリア芸術運動の急激なる進展で、出版、演劇、映画、美術展での大衆的反軍運動は増加し、中でもプロレタリア文学の出版雑誌は、二二社が八八社に激増。内容も軍隊・兵卒の内情暴露に重点を置き、軍人労農青年の反響は甚大なものがある」と位置づけた。

文化運動側は、三一年から、自らの弱点の克服として、工場・農村を基礎にサークルを作り、大衆的基盤の組織に努力した。年末には日本プロレタリア文化連盟(コップ)を十一団体で結成した。

兵庫の文化団体の結成と活動

  • プロレタリア美術家同盟―三二年二月プロレタリア美術展覧会開催。『美術新聞』百部。
  • プロレタリア映画同盟兵庫支部―三一年七月神戸第一回公開試写会を六百名で開催。十二月大橋公会堂で第二回公開し、港湾労働者大挙参加。同月淡路・洲本劇場でメーデー記録映画観客四百名。未・滞納もなく全国で最も活動的な支部に。
  • プロレタリア作家同盟兵庫支部―『文学新聞』読者は三百名超える。但馬では、田中拾三郎らの文学活動が影響力を持った。
  • プロレタリア演劇同盟兵庫支部―神戸「全線座」は県下各地で公演。『演劇新聞』二百数十部組織。
  • プロレタリア写真家同盟兵庫支部準備会。
  • プロレタリア音楽家同盟兵庫支部準備会。

これらをまとめ、プロレタリア文化連盟兵庫地方協議会が三二年二月二十七日に成立。議長は平葦信行。コップ兵庫地協は四十を超えるサークルと読者網を広範な職場・農村・学校で組織した。

(治安維持法国賠同盟兵庫県本部幹事 田中隆夫

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(466)



(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月10日日曜日

命と暮らし守る自治体へ

日本共産党議員団の実績と政策

日本共産党は、東日本大震災の被災者救援と原発事故の危機回避という二つの緊急課題、戦後未曽有の災害からの復興へ国の総力をあげての取り組み、原子力行政・エネルギー政策の抜本的転換へ力を尽くしています。地方政治では、住民の福祉を守る自治体本来の役割が日常に発揮されてこそ災害にも強い自治体となります。住民の命と暮らしを守る「福祉・防災のまちづくり」への転換めざし全力で奮闘している日本共産党議員団の実績と活動を紹介します。

(2011年4月3日付・10日付「兵庫民報」掲載)

伊丹市宝塚市
西宮市芦屋市
明石市三木市小野市播磨町
姫路市相生市太子町



宝塚市:借上復興住宅の入居継続、武庫川ダム中止など実現

日本共産党宝塚市議団は、この四年間、市民とともに運動を広げ、武庫川ダムの中止、市民病院の再生などを実現。また、開発業者やパチンコ業者との癒着など不公正な市政を厳しく追及、清潔な市政を求め、中川智子現市政の誕生に貢献しました。

〇九年六月議会では日本非核宣言自治体協議会、平和市長会議への加入を要望、実現。借上復興住宅については昨年十二月議会で質問し、中川市長が入居継続で交渉することを決断しました。

その一方で市立看護専門学校授業料値上げなど市民いじめの提案には反対。市民の代表として市政をしっかりチェックしています。また、議員報酬削減など議会改革にもとりくんでいます。

今回の市議選に向けては、中学校卒業までの医療費無料化、介護保険保険料・利用料軽減、高齢者の医療費助成制度の充実、国保税引き下げ、保育所増設・保育料値下げ、住宅リフォーム助成制度実施などを公約に掲げています。



宝塚市議選(定数26)で日本共産党は現職四人をたて現有議席確保をめざします。

草野 義雄 (58)現
たぶち 静子(55)現
となき 正勝(35)現
田中 こう (41)現

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

明石市:住宅リフォーム助成復活、11倍の経済効果実証させる

日本共産党明石市議団はこの四年間で、中学校卒業まで所得制限なしで入院無料化、耐震化のための住宅改修への助成など数々の市民要求を実現してきました。

住宅リフォーム助成制度は、制度を復活させるとともに経済効果(十一倍)を市に検証させ、他自治体での実施に大きな影響を与えました。

中学校給食についてもねばりづよく実施を迫り、今年度、外部検討委員会の設置の予定となりました。新型インフルエンザ、子宮頸がんなど予防接種の助成制度も拡充させました。

また、「保育制度改革」の見直しを求める意見書を提案し、全会一致で可決し、市民の声を国政にも届けました。

淡路・明石間の「たこフェリー」をめぐっては、運行再開と離職者の雇用対策を国に求める意見書採択に尽力するとともに、市長の政治責任を追及しました。

今回の市議選に向けては、国保料一世帯一万円引き下げ、中学三年生まで医療費完全無料化、住宅リフォーム制度拡充、中学校給食実施などを訴えています。



明石市議選(定数31)で日本共産党は現職一人と新人三人で一議席増の四議席回復をめざします。

辻本 たつや(38)現
くすもと美紀(55)新
西川 あゆみ(39)新
おりがさ隆志(31)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

三木市:75歳以上の人間ドック、幼稚園・中学校の給食も

プロフィールは県委員会HPをごらんください。日本共産党三木市議団は、この間、七十五歳以上の高齢者への人間ドック補助、国保窓口負担減免、幼稚園・中学校での給食、子ども医療費助成拡充(入院は中三まで)、有害鳥獣侵入防止柵設置への補助などを実現。三月議会ではTPP参加反対の意見書の全会一致での採択に尽力しました。

議会外でも、神戸電鉄粟生線問題ついて国、県、神鉄と懇談・要望を行い、市民の足を守る取り組みを強めています。

また、市民アンケートなどで市民の意見・要望を聞き、国保税引き下げ、新病院を核とした地域医療体制充実、中学生までの医療費の完全無料化、幼稚園二年保育・アフタースクール充実、農業担い手支援、住宅リフォーム助成制度実施、人権・同和の名による特別対策・教育をなくす―などを市議選に向けての政策に掲げています。

議会改革については、議会報告会・意見交流会など市民に身近な議会にすること、十八の議員定数を維持し、市民の声が届く市政と議会をつくろうと主張しています。



三木市議選(定数18)で日本共産党は現職・新人二人を立て、現有二議席確保をめざします。

大まゆ 均 (61)現
板東しょうご(37)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

播磨町:中学校給食が実現、特別養護老人ホームも

播磨町議会で日本共産党議員団は、いつも「住民こそ主人公」の立場で住民の願いを市政に届け、市民の運動とも共同し、その実現に力をつくしてきました。

今年一月には中学校給食が実現したほか、子ども医療費無料化の拡大、高齢者の特定健診無料化・インフルエンザ予防接種補助、介護手当て・障害福祉年金の継続、子育て支援センターと特別養護老人ホームの建設などを実現してきました。

また、同議員団は町民アンケートを実施。寄せられた要望にこたえ、▽神戸製鋼などによる大気汚染を許さず、環境調査充実▽ごみ処理「広域化」「有料化」に反対▽中学三年生まで医療費完全無料化▽小学校給食の自校方式を守り地産地消推進▽小中学校へのエアコン設置▽国保税・介護保険料引き下げ▽住宅リフォーム助成制度創設▽平和宣言を生かし、東播磨港を平和な港になどの政策をまとめ、町議選に向け訴えています。



播磨町議選(定数14)で日本共産党は一人新旧交代で現有二議席確保をめざします。

田中 久子(67)現
松岡 光子 (63)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

小野市:地域おこしで元気のでる小野へ

小野市議会で日本共産党は現在一議席ですが、高齢者・小学生・障がい者無料の「らんらんバス」運行や通学児童バス・電車代半額補助、中学校三年生までの医療費無料化、学校給食への地元農産物利用促進、TPP反対意見書提出などを市民と力を合わせて実現してきました。

今回、鈴垣元氏の議席引き継ぎをめざす藤原あきら氏は、市民の仕事と暮らしを守り、「地域おこし」もみんなで考え、弱者も安心して暮らせ、元気で文化の香る小野市にしたいと決意。国保税と介護保険料・利用料引き下げ、住宅リフォーム助成制度制定、神鉄粟生線存続、学校給食無料化、公契約条例制定、夜間医療体制充実、病院への交通網充実、TPP反対などを訴えています。



小野市議選(定数16)で日本共産党は新旧交代で現有一議席確保をめざします。

藤原 あきら(62)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

姫路市:国保料1万4千円引き下げ、子どもの無保険も解消

日本共産党姫路市議団は、他会派に比べ抜群の回数の市議会本会議質問などで市民の声を市政に届け、その実現に力をつくしてきました。

国保料は二〇一〇年度に一人一万四千円引き下げ、高校卒業までの子どもの無保険解消、ラブホテル建設規制の条例制定などをその中で実現してきました。

エコパークあぼしについて、当初から土壌調査の必要性を指摘。事故後はその原因究明・安全対策の徹底と被害者への補償を強く求めています。

議会の政調費公開など議会改革でも先頭に立ってきました。

市議選に向けては、国保料をさらに一世帯一万円引き下げ▽介護保険料・利用料引き上げをやめ安心できる制度に▽中学三年生まで医療費無料化▽正規雇用募集ゼロのパナソニックへの市税八十億円投入をやめ、地元からの正規雇用を求める▽TPPに反対し農林漁業で生活できる支援制度をつくる▽播磨臨海道路網計画に反対▽中学校給食の完全実施などを公約に掲げています。



姫路市議選(定数47)で日本共産党は現職四に新人を加え、一議席増の五議席確保をめざします。

おおわき和代(64)現
谷川 まゆみ(57)現
森 ゆき子(44)現
入江 次郎 (37)現
ささの真由美(55)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

太子町:町民の願い通じる町をつくる

太子町議選(定数16)で日本共産党は新旧交代で現有一議席の確保をめざします。

今回、桜井公晴議員の議席引き継ぎをめざす平田たかよし氏は、町民の心と願いが通じる心豊かな「和」のまちをつくるため、議会で町民の声を届けたいと決意を新たにしています。

また、党太子支部とともに政策を練り上げ、▽国保税月一万円引き下げ▽介護保険料減免制度創設▽空き家をリフォームし一人暮らし高齢者の憩いの場づくり▽商工業者・農家などの参加で生産・販売・製造・建設のための「町づくり」条例制定▽過密・過疎学校の解消へ地域住民と協力し校区見直し、三十人学級実現▽学校・公民館の耐震化など災害に強い町づくり―などを公約に掲げています。



平田たかよし(64)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

相生市:群を抜く発言数で子ども医療完全無料化など実現

相生市議会で日本共産党の岩崎修議員は、「市民の声を市政に届けることが議員の大切な仕事」と、毎議会欠かさず一般質問。暮らしと福祉を第一に市政をただし、積極的提案も行ってきました。質問回数は十五回で一位、項目数はのべ五十九で群を抜いてのトップです。

その中で、中学三年生まで医療費完全無料化、妊婦健診十四回・九万八千円助成、放課後児童保育冬・春休みの実施へ、小中学校の耐震化推進、地域医療の前進(矢野地域の訪問診療)を実現。安室ダムの市負担金の軽減、平和市長会議への加盟なども実現しました。

また、市長提案に他党派の議員のほとんどがだまって賛成しているのに対し、岩崎議員は積極的に質疑を行い、賛否を表明。下水道料金値上げ、公民館・学校施設の使用料有料化などに反対しました。「相生民報」を発行し、議会や市政を市民に報告しています。

今回の市議選に向けては、昨年行った「市民アンケート」をもとに、国保税引き下げ、安心できる介護保険制度、地域医療充実、コミュニティバス運行などの実現へ全力をあげる決意を表明しています。



相生市議選(定数16)で日本共産党は岩崎議員の再選をめざします。

岩崎 修 (52)現

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

阪神・淡路の教訓伝え東日本大震災被災地支援に全力を

憲法県政の会が兵庫県へ要請

「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」は三月三十一日、東日本大震災に関する第一次要請書を井戸敏三知事あてに提出しました。

石川康宏代表幹事、北川伸一事務局長ら四人が秘書課に要請書を届け、「阪神・淡路大震災を体験した県として、その教訓を国にきちんと伝えて下さい」と要請しました。

要請書は、二十六項目。被災者の暮らしや地域経済の再建までの長期の救援活動、兵庫県の全機構をあげた支援強化と県内市町と連携した支援、医療・介護・心のケアなどの支援、被災者の県内受け入れ体制の充実などを求めています。

被災者支援法の改正を含めた公的支援の抜本拡充、救援募金をただちに被災者の手もとに届けること、復興を口実にした消費税増税を行わないこと、原発事故への英知を結集した対処と正確・迅速で全面的な情報開示、全国の原発の安全点検などを国や関係機関に要望するよう求めています。

大震災の影響から県民の暮らし・営業・雇用を守ること、学校など耐震化促進、防災対策に反する土木事務所や保健所、病院の統廃合の中止などを求めています。

写真:秘書課担当者(中央奥)に要請を伝える(右から)石川代表幹事、北川事務局長ら

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

「もんじゅ」運転再開について国に意見書を提出する請願に対する態度―昨年3月県議会

昨年三月の兵庫県議会で、一九九五年にナトリウム漏出火災事故を起こした高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀半島)の運転を再開をしないよう国に意見書を提出することを求める請願の審査が行われました。

日本共産党は、直近に活断層があり安全が確保されていないこと、安全規制を行う原子力安全・保安院が原子力推進の通産省の内部組織となっていることなどの問題点をあげ、請願の採択を主張しました。

しかし、自民は「重層的な安全確認がされている」、民主は「国・県・市において今後とも慎重に審査される」、公明は「原子力安全・保安院が安全を確保できる体制となっていると総合的に判断」など主張。請願を不採択としました。

この議会の五カ月後の昨年八月、「もんじゅ」では、原子炉容器内で三㌧もの重さの中継装置を落下させる事故が起こっています。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

レッドパージ:生きている間に名誉回復を(6)

模範国鉄職員が一転 免職に
中谷 勝次さん(83) 丹波市市島町

「悔しくて眠れない毎日だった」
という中谷さん
市島町東勅使の農家に長男として生まれました。2歳上の姉、6歳下の弟がいます。父親が病弱で、子どものころから私が家族を支えました。母親は私が17歳のとき、腎臓を悪くし死亡しました。39歳でした。

16歳で国鉄に就職。戦争まっただ中で、村の人が召集令状を受け戦地へ向かうのを、何度も見送りました。

運転から切符売りまで勉強。加古川線野村駅の信号係に配属されました。加古川線と鍛冶屋線の分岐駅で、一度に入ってくる4、5本の列車を2人1組になり通していきます。緊張する作業でした。国鉄に必要な人材として中部軍管区から兵役免除の通知を受けとりました。

西脇の工場から積み出す50㌔爆弾のほか、重油をしみこませた高野豆腐も貨物の中にありました。

村に被害はありませんでしたが、低空を飛ぶB29やグラマン機が増えるにつれ、日本にはもう制空権はないとわかりました。ラジオは「転進転進」を繰り返すだけでした。家に病人がいても、働き手がいなくなっても、赤紙だけで人を戦地へ送る、国家権力の強さに疑問をもちました。

45年8月15日は「重要な放送がある」と朝伝えられました。戦争が終わってホッとしました。

大阪国鉄労働組合姫路支部が結成されました。日本の国鉄初の労働組合です。私もすぐに加わりました。

終戦と同時に、共産党にも入党しました。友人の知り合いの神戸大学教授が西脇にいて、勉強を教えてもらいました。戦中でも信念を曲げなかった河上肇に心酔し、彼の書籍を読みました。

政治学も勉強し、マルクス経済学にある「資本主義は利潤追求。労働者、無産階級は奴隷」に強い衝撃を受けました。

組合の東播分会オルグ担当として、若い職員を仲間に大勢迎え入れました。

忘れもしません。50年11月13日、徹夜明けでしたが「明日は日勤で来い」と言われました。14日朝8時半ごろ出勤すると、駅舎を警官や公安10人くらいが取り囲んでいます。私と同僚の藤原修さんの2人に、駅長が2枚の辞令を手渡しました。「国鉄職員として不適格なので免職する」「願いによって退職する」の2枚です。どちらかを選べと言いました。

私が「不適格の理由は何か」と正すと「上からの命令」「それ以上はワシにもわからん」と言うのみ。数日前までは「君は模範的職員だ」と言っていたのです。

さらに追及すると言葉に窮し、鉄道局長に電話で問い合わせたうえ「国有鉄道法29条3項により、きょう限り国鉄内に入ることを禁じる」と繰り返すだけ。

帰路は警官が1人尾行でつきました。

翌日から、知り合いに頼みこみ、日雇いの土木作業で働きました。村の人は犯罪者を見るような冷たい目でした。収入もなく、人が3食なら2食にし、家族を守りました。

逓信局で働いていました妻とは、大阪の労働学校で知り合いました。氷上町の妻の両親も、私を物心で助けてくれました。嬉しかったです。

藤原さんと2人で大阪地裁に、レッドパージ無効の仲裁裁定を求め、6対5で勝ちました。不当解雇と認めてくれました。しかし中央では5対6で負けました。日本国憲法すら及ばないという縛りです。貧しかったため裁判を闘えなかったのがいまも残念です。

罪人扱いされた悔しさをマッカーサーにぶつけたかった。いまも同じ思いです。裁判されている3人に対し、日本が独立国であることを判決で示されるよう、応援しています。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

無権利シルバー雇用に抗議:全国一般労組藤原産業分会

全労連全国一般労組県本部藤原産業分会の
平山安信委員長(左)
金物類卸売り会社の藤原産業(本社・三木市)が、小野市匠台工業団地の商品センターの労働力補充に、08年4月から小野市シルバー人材センターの会員を使っている問題で、全労連全国一般労組兵庫県本部藤原産業分会(平山安信委員長)は、無権利状態の労働者を増やす違法行為として会社と兵庫県に、数度にわたり改善を求めています。

シルバー人材センターは高齢者雇用安定法に基づいた公益法人です。60歳以上を対象に「生きがい、健康づくり、地域社会への貢献」が目的です。

藤原産業は、正社員やパート社員と同じ業務、就労時間で雇用していますが、シルバーの会員たちには、配分金という名の時給750円のみ支払われます。

しかも労働基準法など労働者を守る法律は適用されません。

「シルバー人材センターを使った新たな貧困ビジネスに反対」、労働組合の抗議に会社は「違法性はない」を繰り返しました。

小野市匠台工業団地の
藤原産業商品センター
労組は兵庫労働局に10年9月、偽装請負として会社への指導を申告。労働局は翌月、会社と小野市シルバー人材センターを立入調査し、改善指導をおこないました。

会社はことし1月から、正社員やパート社員がおこなってきた業務の1部を分けシルバーの請負にし、分けられない作業はシルバーを派遣として雇っています。

平山さんたちは「より安い労働力としてシルバーを無権利状態で雇えば、労働者の最低条件が認められなくなる。国県の補助金を使った不安定雇用者づくりだ」と訴えています。(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

アフガニスタン義肢装具支援の会監事の春木信韻さん

子どもたちに平和と希望を

少年の成長に合わせ作り直した義足をとりつける春木さん
反政府組織の攻撃や米軍の誤爆で手足を失った人たちに、現地へ出かけ、無償で義手義足を提供している「NGOアフガニスタン義肢装具支援の会」。姫路市に住む春木信韻さん(57)もその1人です。

春木さんはホームページなどのデザイン・企画会社の代表です。

高校1年生のとき広島へヒッチハイク。原爆資料館で衝撃を受けました。「原爆だけでなく、戦争そのものをなくさなければ」。

社会人になってからは、フォスターペアレントとしてアフリカやアジアの子どもたちを支援しました。有休をとりカンボジアやベトナム、ラオスを旅し地雷撤去作業のボランティアに参加しました。

義足と松葉杖で歩く練習を
するメイラー(当時4歳)
病院で地雷被害者やポリオ患者と出会いました。「平和になれば義手や義足が必要になる」と気づきました。テレビ報道で知った義肢装具支援の会に04年からボランティアとして参加。工房がある奈良へ毎週末通い、製作を学びました。

会は、日本国内で不要になった装具を譲り受け、再利用可能な部品類を集めます。現地で型どりした手足に合わせ製作。再び現地へ行き、装着と歩行訓練を手伝います。

年2回、4、5人で現地へ行きます。すべて自費。到着を待ちわび、装具を受けとる人の笑顔が、なによりの喜びです。仕事につけない人、学校に行けない子どもたちが、装具を求め長い列になります。「結婚するから義手を」という青年もいました。

現地の言葉ダリ語も習得しました。子どもたちには「たくさんの日本人の力でできた義足をはき、サッカーボールを蹴り、遊び、勉強し、人の役に立つ人になってほしい」と話しかけます。地元の人による工房づくりも計画しています。

アフガンの現状を展示し、
支援活動を説明する春木信韻さん
=2月27日、網干「たんぽぽ祭り」
アフガニスタンは、かつてシルクロードの交差点として栄え、三蔵法師も仏教を学ぶため2回訪れています。平和だったころは観光地として世界の憧れの地でした。

アメリカが同時多発テロへの報復として空爆を開始して10年。7月から軍の一部撤退を予定していますが、治安は悪化する一途。外国人を標的にした誘拐殺害も頻発しています。会も活動日程を知らせる張り紙を出せなくなりました。

「アフガニスタンの子どもたちも平和を求めています。明日・希望の言葉の意味を初めて知ったという子もいます」、春木さんは新装具を持ち、5月再訪を予定しています。

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

なまの舞台をごいっしょに:文学座「花咲くチェリー」

渡辺徹演じるジム・チェリー
文学座はいま、財産演目を、伝統を引継ぎながらつくり変えています。「花咲くチェリー」もそのひとつで、主役チェリー役を故北村和夫から渡辺徹に渡しています。悲しみの中に笑いを含め、現代的な悲喜劇に仕立てあげ、成功しています。

イギリスの劇作家ロバート・ボルトが57年に発表した作品です。自伝的要素の強い作品と言われ、ロンドンでロングランを果たした当時から54年たった現代でも内容はあせていません。

保険会社に勤めるジム・チェリーはある日突然解雇を言い渡されます。家族に本当のことを告げられず、会社に行く振りを繰り返しながら、酒に溺れてゆきます。口を開けば昔日、果樹園で暮らした日のことばかり。子どもたちは、そんな彼を冷ややかに見つめ、妻イゾベルは、なんとかチェリーの夢を叶えようと思いますが…。

ホワイトカラー労働者の悲哀と家族の崩壊が展開しますが、暗くて、重い舞台ではありません。しかし終幕、曲げることのできない火かき棒を、曲げようとのたうちまわるチェリーの姿には、息をのみます。果樹園で育てるはずのリンゴ、秋乙女、紅玉、サンセットなどの名を叫びつづけるチェリーの声が、心の奥深くに残ります。

小谷博子


文学座「花咲くチェリー」
ロバート・ボルト作、坂口芳貞演出、渡辺徹・名越志保

神戸演劇鑑賞会
4月27日(水)・28日(木)18時30分、29日(金)13時30分/神戸文化中ホール/会員制(会費2カ月前納)、入会金1,000円、月会費3,500円、大学生2,000円、高校生以下1,000円/☎078・222・8651

姫路市民劇場
4月25日(月)18時30分、26日(火)13時30分/姫路市民会館/会員制、入会金1,200円、会費月(前納制)2,400円、中高生1,200円/☎079・285・0205


(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが

正直で科学的な原子力行政を


段 重喜

(2011年4月10日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月3日日曜日

選挙期間中の報道について

ご愛読ありがとうございます。国民の言論や政治活動を規制する公職選挙法の規定により、機関紙以外の政党発行物である「兵庫民報」では、不本意ながら、選挙期間中、その選挙の報道ができません。
編集部

大震災支援、地域経済/雇用/社会保障守れ県民集会

個人補償実現させた兵庫から


東日本大震災支援、地域経済・雇用・社会保障を守れ兵庫県民集会が三月二十七日、神戸市のメリケンパークで開かれ、寒風にもめげず集った約二千五百人の参加者を励ました、来賓あいさつの大要を紹介します。(文責編集部)



社会保障・福祉のまちづくりこそ災害への最大の備え
全国民医連会長 藤末衛さん

東日本大震災は、地震、津波に原発事故が加わり、広範囲で複雑な災害となっています。

私たち全国民主医療機関連合会は、地震直後から被災地の民医連事業所を支え、他団体とも協力して全国から千百人を超える医療・介護チームを送っています。私も三日目に宮城に入り、岩手、福島と回り、きのう神戸に帰ってきました。

病院から医師・看護婦が避難して病棟が閉鎖され、高齢者など残された人々が医療にかかれないような状態になっている自治体もあります。

被災者は、津波によって遺体すらない家族の死という現実を受け止めきれずにいます。家や財産、思い出すら失い将来への不安を募らせています。原発事故の避難者は、息つく暇もなく、故郷から遠く離れていく日々です。超高齢化の中、地震では命をとりとめたものの過酷な避難生活の中で亡くなるという震災関連死が起こっています。

私たちは、憲法二十五条を持つ国の人間として、組織として、すべての被災者の人権を擁護する視点で、医療・介護の活動をすすめます。

避難者が少しでも健康を取り戻すには、安らかな環境、睡眠、温かい食べ物と入浴など、普段の生活に近づけるアイデアと行動が必要です。

阪神・淡路大震災では、神戸空港建設をシンボルとした復興政策と、すべての被災者・人の復興こそ第一とした運動と、そのどちらが正しかったかは明白です。

災害よる危機が訪れた時、国の政治と国民を守るべき制度の値打ちが試されます。

今回の震災前から、保険料が高くて払えない、いざという時、窓口負担が高くて受診できない国保や、介護保険は多くの問題をかかえていました。国保の手遅れ例は民医連だけでこの一年に七十名を超えています。

まともな社会保障、福祉のまちづくりこそ災害への最大の備えです。それを実現する地方自治体と議会をつくるため、今回のいっせい地方選挙がその第一歩となるよう、がんばる決意です。



「救援・復興選挙」勝利でゆがんだ政治を変える決意
日本共産党兵庫国政委員長 堀内照文さん

東日本大震災は戦後最大の大災害、国難ともいうべき事態となっています。

日本共産党は、救援・復興に傾注すべきだと、いっせい地方選挙の全国的な延期を呼びかけましたが、民主、自民、公明各党がこれには同意しませんでした。こうなった以上、救援・復興に総力をあげてとりくむとともに、いっせい地方選挙を「救援・復興選挙」と位置づけ、それを通じて新しい社会をつくる契機にしていくという姿勢で、勝利・前進をめざす決意です。

被災者救援と原発事故の危機回避の二つの重大課題は喫緊の課題です。安全最優先の原子力行政への転換、自然エネルギーの活用への戦略的転換といった課題も今後、問われます。三菱重工神戸造船所が商船建造から撤退し、原子力と潜水艦に特化する計画の見直しと撤回を求めるものです。

復興にあたっては、被災者の生活再建、地域社会、コミュニティの再建こそ土台にすえなければなりません。

被災者生活再建支援法の拡充が必要です。住民合意の新しい街づくりへの支援、壊滅的な被害を受けた農林漁業の復興へ、TPP参加は許さず、従来の枠組みを超えた支援と補償が求められます。

その財源は、「消費税で」というのは断じて認められません。大企業・大資産家減税を中止。歳出も見直して、高速道路無料化、子ども手当ての上乗せ、思いやり予算、大型公共事業、原発推進などの中止、政党助成金撤廃などで5兆円の財源を確保すべきです。「震災復興国債」を発行、大企業に引き受けさせ、巨額の内部留保を復興の資金に活用させましょう。内需を拡大し、日本経済立ち直りにも大きなプラスになります。

阪神・淡路大震災から十六年、あきらめずに声をあげ、政府の厚い壁を打ち破って個人補償を実現させた兵庫の私たちこそ、生活再建最優先をの声をあげ、実現の先頭に立ちましょう。この兵庫・神戸でも、住民の命と暮らしを守る「福祉・防災のまちづくり」をおこす、その大事な機会が目前の県議選と市議選、町議選です。みなさんとともに希望ある未来をきりひらくためにたたかいぬきます。



大企業の巨額内部留保を震災救援・復興と景気回復に
全労連議長 大黒作次さん

大企業は、二百四十四兆円の内部留保、六十四兆円の手元資金の有効な使途が見つからないという異常な「カネあまり」状態です。それにもかかわらず、企業減税を政府に迫り、円高を口実に海外へ生産拠点を移そうとしています。三菱重工神戸造船所の商船建造撤退もその一つの表れです。

その一方で「貧困と格差」は広がっています。

労働者の雇用確保、賃上げ、最低賃金の大幅引き上げ、下請け単価の改善、大企業の税応分負担などで、巨額の内部留保を国内に還流させないとこの国の経済はいっこうに回復しないことは、いよいよはっきりしてきました。

大震災被災者救済や復興に向けた特別国債の購入に大企業の内部留保を使え、という声を国民的世論にすることが重要な課題になってきます。

私たちは、当面、被災者支援に全力をあげつつ、震災で中断した春闘は四月十四日を二度目の山場として、昨年以上の力を結集するたたかいにしようと決意を固めています。

また、旧社会保険庁職員の分限免職やJALの不当解雇などが相次いでいます。首切りがまかり通る社会を作らせてはならない。政府・財界とのたたかいには一歩も退くことはできません。

一方、大震災を契機に国内産の安心・安全な食料をと国民は願っています。「食料主権」は世界の流れです。TPP反対のたたかいはJAなど、かつてない共同を広げています。

いっせい地方選挙では住民の暮らしを守る自治体本来の役割が求められています。菅内閣の悪政推進と財界・大企業の横暴な支配の流れを転換させることが課題です。国政と地方政治の流れを変える契機となるように、たたかいをいっそう発展させようではありませんか。


(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

復興県民会議:東日本大震災で緊急要請書

東日本大震災の被災者救援で、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議はこのほど、「十六年前の阪神・淡路大震災を踏まえ緊急施策を」と十一項目の緊急要請書を菅首相あてに送ります。

要請書は、▽避難所(者)用に指定給油所の設置や巡回タンクローリー車の配車▽各種物流の停滞解消のための特段の対応▽国の責任による各自治体でのボランティアの受け皿づくり▽震災関連死をださないための避難所の生活条件の整備・拡充▽長期の遠隔地への避難生活への国が責任をもった対応―などを要請しています。

このほか、義援金、地元の雇用と経済に資する復旧・復興施策、電力不足対策、被災者生活再建支援法の弾力的運用と拡充、災害援護資金の改善、原発事故の情報公開と総点検、被災者の心のケアなどをもとめています。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党議員団の実績と政策

命と暮らし守る自治体へ

日本共産党は、東日本大震災の被災者救援と原発事故の危機回避という二つの緊急課題、戦後未曽有の災害からの復興へ国の総力をあげての取り組み、原子力行政・エネルギー政策の抜本的転換へ力を尽くしています。地方政治では、住民の福祉を守る自治体本来の役割が日常に発揮されてこそ災害にも強い自治体となります。住民の命と暮らしを守る「福祉・防災のまちづくり」への転換めざし全力で奮闘している日本共産党議員団の実績と活動を紹介します。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

西宮:中3まで医療費無料化を実現、長寿支え、子育て応援の西宮に

日本共産党西宮市議団は「地方自治体本来の仕事は、住民の暮らしと福祉を守ること」という立場で、市民とともに運動をひろげ、西宮市政を動かし住民要求を実現する「たしかな力」を発揮してきました。

国民健康保険料については、「払いたくても払えない、兵庫県で一番高い国保料を引き下げよう」の合い言葉のもと、「国保料の引き下げを求める西宮市民の会」など多くの市民といっしょに街頭署名や集会、百人以上の参加での二度の対市交渉にとりくむとともに、市議会で繰り返し要求。〇八年度に二億五千万円の一般会計からの繰り入れで国保料引き下げを実現しました。

こども医療費無料化を求める運動にも長年とりくみ、昨年七月に中学三年生までの無料化を実現しました。公立保育所民営化計画は撤回させました。

また、住民の意思を無視して県が進めようとした阪急甲陽線地下化や武庫川ダム建設は、市民の運動とともに、環境破壊のムダな事業であることを明らかにし、それぞれ、交通安全対策、総合治水対策を提案。事実上の中止を勝ち取っています。

いま、西宮市も与党議員も「財政危機」の一言で、市民要求を押さえ込み、施策を切り捨ててきました。これに対し、日本共産党議員団は徹底的な財政分析と論戦で「財政危機論」の根拠を突き崩してきました。

〇九年度基金残高は百三十一億円、一〇年度はさらに増額が予想され、これは一般会計の一割もの規模です。今回の市議選にあたって日本共産党はこうした財源もしめし、「長寿ささえ、子育て応援の市政に」と次のような公約を掲げています。

▽保育所の増設、公立幼稚園四歳児クラス増▽住宅リフォーム助成制度創設▽水道料金値下げ▽国民健康保険料のさらなる引き下げ、七十五歳以上の医療費無料化▽特別養護老人ホーム増設、介護保険料・利用料の減免を拡大。



西宮市議選(定数42)で日本共産党は現職五、新人一で、前回選挙で獲得した六議席の回復をめざします。

上田 さち子(63)現
杉山たかのり(50)現
野口 あけみ(53)現
佐藤 みち子(53)現
まつお 正秀(56)現
庄本 けんじ(53)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

芦屋:高齢者バス代助成、学童保育延長など市民とともに実現

芦屋市は「財政難」を理由とした「行革」で高齢者バス代補助の廃止、高校生の奨学金を半額化など市民サービスを削減。議会では、自民・保守系会派や公明党が与党としてこうした市政をすすめ、子ども医療無料制度の拡大に反対する(〇六年)など市民の願いに背を向けてきました。

日本共産党議員団は市民とともに運動し高齢者バス代半額助成を復活、全学校園の耐震化・エアコン設置、学童保育の延長保育など実現させてきました。

市議選に向けては、市民アンケートなどをもとに▽国保料引き下げ▽中学三年生まで子ども医療は通院も無料に▽中学校給食実施▽特養ホーム増設▽コミュニティバス運行▽住宅リフォーム助成で地域経済活性化▽マンションなど無秩序な開発を規制し地域環境保全▽住民自治の代表機関としての議会改革推進など政策を掲げ、財政の展望も示し、「財源の心配よりやる気です」とその実現を訴えています。



芦屋市議選(定数22)で日本共産党は、平野氏の議席回復で、前回比一議席増をめざします。

木野下あきら(59)現
森 しずか(50)現
平野 貞雄 (55)前

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

伊丹:シンポジウム開催など世論広げ、保育所民営化をストップ

伊丹市では五年間の「行革」で、母子・障害者福祉金や敬老祝い金の廃止、子ども・高齢者・障害者への福祉医療縮小などを進めてきました。また、高すぎる国保税のため滞納となった四百世帯(その97%が所得二百万円以下)から保険証を取り上げ、受診の機会を奪っています。

市民いじめの市政に市議会では、民主(連合市民)、自民(新政会他)、公明党など日本共産党以外の会派は賛成、後押し。その一方で「伊丹市独自の三十五人学級」「物価に見合う年金引き上げ」など市民の願いのこもった請願は意見も述べず、否決しています。

対照的に日本共産党議員団は、議会内外で大きな共同をつくり市民の切実な要求を実現してきました。

九割の請願の紹介議員となり、採択に尽力。保育所民営化が打ち出された際(〇六年)には、シンポジウムを開催するなど、保護者・市民とともに運動を広げ、民営化を断念させました。

この他、妊産婦検診助成引き上げ、市立伊丹病院の医師を二年間で十人確保、児童くらぶの一時間延長、すべての学校にエレベータ設置―などを実現してきました。

今回の市議選に向けては、▽子ども医療費を中学卒業まで無料に▽中学校給食実施▽保育所増設、公立幼稚園の一校区一園を維持▽国保税一人一万円引き下げ▽住宅リフォーム助成制度▽公共の施設・住宅の耐震化など―医療、介護、福祉、子育て支援の力強いネットワークづくりを「災害から命を守る」ことと一体にすすめようと訴えています。



伊丹市議選(定数28)で日本共産党は現職三人と新人一人で現有四議席の確保をめざします。

かしば 優美(59)現
上原 ひでき(55)現
ひさ村真知子(59)現
こざわ 真一(38)新

プロフィールは県委員会HPをごらんください。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

高校の通学区拡大で県民意見

反対40%、賛成32%

県教育委員会は、二月に実施した公立高校の通学区域の拡大についての県民意見の募集(パブリックコメント)の結果を公表しました。

八百六十二件の意見のうち、「反対」が40%、「配慮・慎重」があわせて13・8%の一方で、「賛成」は31・8%でした。意見募集のうち、小学校・中学校の保護者が64%を占め、子どもの進路に悩む保護者の不安の広がりを反映しています。

但馬地域では反対が60%以上あり、丹波・三田で41%、播磨東で43%、播磨西で48%もあり、群部を中心に反対が強いことが浮き彫りに。

「親の通学費の負担も重くなる」「過度の受験競争にならないように」「地域の高校希望者が減り、いずれは統廃合につながるのでは」「塾への依存を高める」「すべての希望する生徒に高校進学の保障を」「すでに選択肢は十分に確保」「公立高校を新設してほしい」などの意見が寄せられました。

これだけの反対や慎重にすべきとの意見がありながら、県教委は早ければ二〇一三年度にも学区の拡大をする方針で、非公開の検討委員会で議論をすすめ、案をまとめる方向です。県民意見の反映が求められています。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

神戸市水道サービス公社労組が提案

「高齢者見守りネット」賛同の声

ぎっしり書き込まれたアンケートハガキ
兵庫自治労連神戸市水道サービス公社労組(牧由美子委員長)が神戸市に提案している「高齢者見守り安心ネットワーク」にたいして、市民から続ぞくと反響が届いています。送られてきたアンケートハガキは3月24日現在、561通になりました。

検針員は2カ月に1度、市内全世帯を訪問します。屋内や庭に水道メーターがある家など、信頼関係が求められる仕事です。いつも待ってくれているお年よりもいます。

そんな絆から、安心ネットワーク事業化のアイデアが生まれました。検針時高齢世帯に声をかけ、相談に応じて関係先へ連絡もとります。


実施求めるハガキ続ぞく


同労組は、いま以上の民間委託に反対の訴えと、ネットワークへの意見、神戸市政への要望を書いてもらうアンケートハガキ付ビラ3万枚を、市内各所で配布しました。返信回収率は約2%です。

記入者の年齢層は70代が33%と最多、次いで60代29%、80代13%です。性別は女性313人、男性220人、不明28人です。

牧由美子委員長(中央)ら
自治労連神戸市水道サービス公社労組の
組合員=3・27県民集会で
高齢者安心ネットワークについては「賛成するので実施してほしい」86%、「どちらでもない」6%、「必要ない」4%、無記入4%、と実施を求める声が圧倒的です。

市政への要望(複数回答)では「介護保険料・利用料の引き下げ」70%、「医療費窓口負担引き下げ」64%、「雇用の拡大と安定」61%、「国民保険料の引き下げ」61%、「保育所増設」55%、「中小零細業者への支援」46%となっています。

具体的な要望もたくさん記入されています。「敬老パスを無料にしてほしい」「独り暮らし老人に何らかの連絡網を考えてほしい」「独り暮らしの後期高齢者です。安心ネットワーク待っています」

「認知症の妻と2人暮らしの83歳です。ガス、水道は命です。検針のとき、どうですかとひと声かけてもらえればありがたく、あと2カ月がんばろうと思います」

「私も長年ヘルパーをやっていますので、お年よりの見守りがほんとうに大切だと思っています」「メーター検針業務の民間委託化に反対します。このチラシを見て初めて知りました」「民間委託じゃなく直営を守ってください。高齢者にとって不安です」などです。

牧委員長は「切実な声がいっぱいです。記入し、ポストに投函してくれた人の、一番困っている人の意見を、神戸市に見てほしい」と話しています。(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

高校教師OBが福祉事業型の専攻科開校

障害あっても学び続ける場


特別支援学校高等部を卒業した生徒たちの「もっと勉強したい」という熱い思いを、真剣に受けとめた教師OBが、福祉事業型の学びの場を神戸市長田区につくりました。「エコールKOBE」と名づけました。4月9日が開校式です。

事業母体WAPコーポレーション社長の岡本正さん(63)と、エコールKOBE学園長の河南勝さん(60)は、ともに高校教師として障害児教育に長年携わってきました。組合活動でも信頼できる同志でした。

2人は、普通の高校生には可能な大学や短大、専門学校への進学が、障害者には保障されていない事実に、現役時代向きあってきました。

先に定年退職した岡本さんが、障害者自立支援の会社を立ちあげて準備。ことし3月末河南さんの定年退職を待っての開校です。

作業所でも訓練校でもない、学生自身が主体的に学ぶ学校をめざします。

岡本正社長(奥右端)、河南勝学園長(その左)
ほかエコールKOBEのスタッフ
場所はJR新長田駅南のアスタプラザファースト地階。3つの教室と多目的室、コンピュータ教室などを備えた180平方m。常勤スタッフは4人です。地域の人たちも全面支援。震災復興事業として神戸市から家賃補助を受けます。

兵庫県の認可も3月14日おりました。特別支援学校専攻科をモデルにした福祉事業型専攻科として、県下初のとりくみです。

昨年6月、県下の特別支援学校高等部をまわり、事業内容を説明しました。どこでも、担当教師が熱心に耳を傾けました。8月の説明会には100人が参加しました。

ことし第1期生として15人が入学します。障害の程度は選びませんが、通学が条件で、三田、宝塚、加東市から通う生徒もいます。

講義のほか、年間を通してスポーツ大会や県外宿泊体験、他大学との交流を予定。卒業旅行は「みんなパスポートをとって海外へ」と考えています。

河南さんたちは「期待をヒシヒシと感じている。やるからには本格的な学びの場にしたい」と語ります。

写真:


(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

富士通システムエンジニア労災死亡行政訴訟

不支給処分取り消し判決:東京地裁

超長時間労働が原因で精神障害を発症、治療薬の過量服用で死亡した青年の母親が、国に労災不支給認定の取り消しを求めていた裁判で、東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)は3月25日、不支給処分を取り消す判決を言い渡しました。

原告は、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(神奈川県川崎市)のシステムエンジニア西垣和哉さん(06年1月死亡27歳)の母迪世さん(66)=神戸市須磨区北落合=です。

判決は、和哉さんの職場の常態化した長時間労働を指摘。「地上デジタル放送プロジェクト(03年配属)は時間外労働が月100時間以上に達し、徹夜作業や休日出勤もあった」「作業場所には仮眠用の十分な設備がなく、自席でうつ伏せになるなど、疲労回復が困難だった」「事業所は1人当たりの作業スペースが狭く、恒常的に二酸化炭素が基準値を超過し、過酷な作業環境だった」「業務はミスが許されず神経を使う割りには比較的単純作業の繰り返しで、仕事上の達成感や満足感を感じにくかった」とし、業務と精神障害発症との因果関係、精神障害発症と死亡との因果関係を認めました。

法廷に入りきらない支援の仲間が傍聴に駆けつけました。迪世さんは「これで息子の魂が少しは救われます。これからは息子の命を奪い、息子の友人や先輩たちを鬱にした会社の責任を問いたい」と語っています。

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(465)


(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

福島第一原発の危機はまだ脱しておらず、避難した人たちの今後は見通しが立ちません。放出・拡散された放射性物質による汚染は広がっています▼近県の野菜と水道水から基準値を超える放射線量が測定されました。アメリカ政府が自国民に八十km圏から出るように警告したのは根拠があったのです▼政府は「直ちに健康に障害のないレベル」と影響を小さく見せようとしていますが、被曝がいかに微量でも人体に影響を与えるということは国際放射線防護委員会がとっている基本的認識です▼汚染地域での生活は空気や飲食物から体内に取り込まれる内部被曝によって、それがごく微量でも忘れたころにガンや白血病など晩発性障害を確率的に起こします▼神戸から福井県の大飯原発まで九十一km、高浜原発までは九十六km。愛媛県の伊方原発は三百kmほどあるとは言え、発生が警告されている南海巨大地震の危険にさらされています▼原子力政策、特に原発の安全対策についての抜本的再検討と、電力の原発依存から自然エネルギーへの戦略的転換が必要です▼いま地方選のさなかですが、住民のいのちを守る災害対策が自治体に求められます。(Ts)

(2011年4月3日付「兵庫民報」掲載)