Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2010年12月5日日曜日

兵庫県もTPP反対表明を:日本共産党が緊急申し入れ、副知事が対応


日本共産党兵庫県委員会と党兵庫県議団は十一月二十九日、井戸敏三兵庫県知事あてにTPP問題に関する緊急申し入れを行い、①TPPによる県内への影響を調査し公表すること②政府にTPP参加協議を行わないよう要請すること③県下関係団体、市町とともにTPP参加反対のとりくみを広げることの三点を要請しました。

代表して、ねりき県議団長が、吉本知之兵庫県副知事に申し入れ書を手渡し、政府試算でも食料自給率が13%に下がることや、EUより規模の大きい北海道でも生産額が半減するなどの試算が明らかになり、TPP反対の声が広くあがっており、全国有数の農家数を持つ兵庫県でも深刻な事態になると述べ、兵庫県も反対するよう求めました。

副知事は、「いろいろ勉強し、対応する。自由化するとしても、農業を将来も持続可能なものとするのは政治の責任だ。日本の農業を守る信念を持つべき。食料を国として守る姿勢が見えてこないのはいかがなものか」と応じました。県内への影響の試算の検討も表明。兵庫は畜産とコメが多いが、全国と同じ傾向になるのではないかと述べました。

さらに党側から、政府は「開国」というが、日本の関税は世界でも低く、十分に開国状態であり、TPP参加は、断崖に立つ人を突き落とすようなものだと指摘し、県として反対の表明をと再度迫りました。

申し入れには、ねりき恵子、新町みちよ、杉本ちさと、星原さちよ、の各県議と堀内照文党兵庫国政委員長、いそみ恵子(西宮市)、きだ結(東灘区)、井村ひろ子(兵庫区)、木下きよ子(長田区)、森ひろし(北区)、森田たき子(須磨区)の各県議予定候補が参加しました。

写真上:吉本副知事(右端)に申し入れる(左手前から時計回りに)ねりき、新町、森田、きだ、星原、いそみ、木下、杉本、井村、森、堀内の各氏
写真下:ねりき恵子県議団長(左)から申し入れ書を受け取る吉本知之副知事(右)





日本共産党兵庫県委員会と党兵庫県議団が十一月二十九日、井戸敏三兵庫県知事あてに提出したTPP問題に関する緊急申し入れは次のとおりです。

TPP問題に関する緊急申し入れ

菅首相は、九日の閣議でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関して、「関係国との協議を開始する」という基本方針を決定した。

TPPは、例外なき関税撤廃を原則としており、参加によって、日本と兵庫の農業に壊滅的な影響をあたえることは必至である。農水省の試算では、農業生産額が四・五兆円程度減少し、食料自給率が40%から13%に落ち込み、農業の多面的機能は三兆七千億円程度喪失、三百五十万人程度の雇用が失われるとしている。EUよりも平均農地面積の大きな北海道ですら、生産額が半減すると試算されています。

兵庫県でも、全国試算で影響が大きいとされているコメや肉用牛、生乳などが、全国平均より生産額の比重が大きく、兵庫県としても「本県農業への影響は、国よりも大きくなると推察され、農業経営の弱体化や農村集落の崩壊、農業・農村の有する多面的機能の低下等が懸念される」とし、今年予定していた「ひょうご農林水産ビジョン2020(仮称)」の策定を延期している。

また、TPPは、農業だけでなく、商品・サービス貿易や投資などの自由化をする経済連携協定(EPA)の一つであり、地場産業、地域の商工業などにも重大な影響を及ぼすことが指摘され、日本経済全体の問題となっている。

菅首相は、TPP参加を「第三の開国」と説明するが、日本の関税率は主要国でアメリカに次ぐ低さであり、日本は世界一ともいえる農産物純輸入国となっている。いま世界では、食料を市場任せにすることによる害悪から、二〇〇八年の国連総会決議など、各国の「食料主権」の確立を求める流れが広がっている。今回のTPP参加は、この流れに逆行するものである。

北海道や鹿児島、徳島、山形などの知事、県下でも篠山市長などが慎重な対応や反対の態度を表明され、政府方針の見直しを求めている。

よって、兵庫県としても、緊急に下記の項目について、取り組まれるように申し入れるものである。


1、TPPによる県内農業、関連業者、地域の経済にあたえる影響を早急に調査し、県民に公表すること。

2、政府にたいし、TPP参加への協議を行わないよう強く要望すること。

3、県下の関係団体、市町等とともに、TPP参加の反対への取り組みを広げること。




(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

神戸中央市民病院の新築・移転計画

ベッド数削減を撤回 現在位置にも病院機能確保

神戸市は、中央市民病院(中央区ポートアイランド)の「全部移転」「病床削減」計画を撤回し、現在地で一部病院事業を存続する方針を表明しました。市民の運動と、日本共産党神戸市議団の議会での追及が行政をうごかしました。

神戸市は二〇〇四年に「新病院基本計画」を策定し、「七百床で現在と同じくらい必要な医療を提供できる」「(新築移転しないと)診療行為に支障をきたす」などとして、神戸中央市民病院を現在地から一・三㌔m南に「新築移転」、ベッド数も現在の九百十二床を七百床に減らすという計画をすすめてきました。これに対し、患者や医療関係者など多くの市民から反対の声があがり、神戸市医師会も「移転と病床数削減には反対」を表明しました。

市民病院前駅頭でのアンケート
党市議団は、市民アンケートや開業医アンケートの実施、病院問題シンポジウムを開催して市民の声を聞き、市に届けてきました。また、現地改修でも十分対応でき、安価であること、現在でも満床で救急拒否をしているのに、ベッド数を削減すれば医療崩壊を招くことなど議会で追及。神戸市も「移転すればかなりデメリットもある」と答弁せざるを得なくなりました。

十一月の保健医療連絡協議会専門分科会において「新病院(七百床)を『一部移転』とし、残二百十二床については現在の所在地において施設全体の改修の後、地域医療機関や新病院と連携して、(神戸市民病院)機構として亜急性期の患者受入れに対応できるような病院機能を確保していく」と方針転換を表明。市民の運動と日本共産党の議会での追及がついに行政をうごかしました。

現病院に必要な機能として「内科」の外来診療を行うことや、老人保健施設やケアハウスなどと併設し「高齢者や地域の医療需要等に対応できる機能」が検討されています。

しかし、民間売却の動きも

現病院施設を保有している地方独立行政法人神戸市民病院機構は、来年七月にも施設を民間に売却し、病院事業も民間に任せようとしています。市民やポートアイランド住民からは、いままでどおり「市民病院」として続けてほしいとの声があがっています。


ひきつづき、いまの場所で「市民病院」として存続を

だんの議員
【だんの太一議員の談話】七百床のポートアイランドII期への一部移転は問題ですが、九百十二床のベッド数維持、現在地で内科の外来診療の継続など二百十二床規模の病院確保は、わたしたち市民の意見を神戸市が一部受け入れ実現したものです。

民間売却ではなく、現在の所在地でどのような規模と機能をもった病院にするかについて、あらためて市民の意見をきくべきです。現病院がひきつづき、市民に身近な「市民病院」として存続するよう全力をつくします。



(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

借り上げ災害公営住宅 住み続けられるよう“新規契約”を

日本共産党森本市議が市長に決断迫る

質問する森本議員
神戸市は十一月二十九日開会の第四回定例市議会に「神戸市営住宅条例一部改正案」を上程しました。これは、市営住宅の期限付き入居制度の拡充と、借り上げ公営住宅入居者が他の市営住宅に転居した場合の家賃激変緩和措置を設けようとするものです。

日本共産党の森本真議員は、二十九日の本会議で議案質疑に立ち、この「改正案」が、借り上げ災害公営住宅の被災者に対し、二十年の借り上げ期間満了が近づいてきたことを理由に、早めに他の市営住宅等への転居を迫るものであり、家賃についての特例は設けるものの、入居者が、コミュニティをふくめ、今の暮らしをどう継続できるかという視点を欠いていると批判しました。

神戸市の災害公営住宅のうち、借り上げ住宅は、UR・公社・民間を含め百七団地三千八百戸、また、市内にある兵庫県のUR借り上げ住宅は三十六団地二千二百戸におよび、二〇一七~九年に借り上げ期間二十年を迎える住宅が集中しています。

被災後、避難所生活、住み慣れた地域を離れた仮設住宅暮らし、何度もの抽選を経て入居したのが、この災害公営住宅であり、入居者の多くは高齢者です。

森本議員は、この質問で、「やっと落ち着いた生活を送っていたのに、また出て行かないといけないのか」「もう年をとっているので、ここで暮らしたい」という入居者の声や、住宅のオーナーへの意向調査でも、少なくないオーナーが被災者にそのまま入居してほしいと願っていることを紹介。

入居者の安定的な暮らしと地域のコミュニティ維持のためには、借り上げ期間を延長し、現在の住宅に住み続けられるようにすべきだと主張しました。

答弁で石井陽一副市長は、借り上げ住宅ではオーナーの賃料と被災者の家賃との差額にあてる一般会計からの繰り入れが十五億円にのぼることなどを理由にあげ、借り上げ契約に従って返還する必要があると答えました。

これに対し、森本議員は、借り上げ公営住宅を所管する国土交通省住宅局総合整備課の担当者も、借り上げ期間終了後に市・県とオーナーが「新規契約」を結べば、現在の入居者がそのまま住み続けられる、との見解を示していることもあげ、「市民・被災者の生活を守るという立場に市長が立つのかどうかが問われている」と、矢田立郎市長に対し、強く要求しました。


(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

神戸市の敬老パスが有料化して二年、十月から自己負担が二倍になりました。うっかりすると地下鉄の改札機で「料金が足りません」と通してくれません▼七〇年代革新自治体の時代に開始された高齢者施策でしたが、近年は財政難を理由に福祉施策が削られ、高齢者の健康を考えたこの制度も大きく後退▼「こうべの財政事情」によると市債残高は順調に減らしています。借金を減らすのはいいのですが、福祉を削らなくても、もっと減らすべきところがあるでしょう▼福祉削りは各自治体で行われています。自公政権から民主党政権下になっても新自由主義による「効率化」「民営化」路線が変わらず続いているからです▼民主党政府の「こども園」法案は、幼保一元化といいますが、実は市場化路線で保育園も幼稚園も共に解体し、国の責任を放棄するものです。親の保育料負担を増やす一方で、保育士さんたちを低賃金に抑えます▼来春は一斉地方選挙、県議選・神戸市議選はもとより改選のある自治体では、日本共産党の議席を増やして、福祉削り、弱い者いじめの政治にストップをかけましよう。 (Ts)

(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

神戸大学学長らと懇談

一学部なくすほどの予算減  若手研究者を育てられない


日本共産党兵庫県委員会は十一月二十五日、神戸大学の福田秀樹学長らと、大学予算削減問題や就職難について懇談しました。

この懇談には、新町みちよ県議、堀内照文党国政委員長、味口としゆき灘区市政対策委員長らが参加しました。

最初に、新町議員が、懇談の趣旨を説明したのにこたえ、福田学長は、「来年度の概算要求では、いわゆる政策コンテストで復活しなければ、十億円の予算が削減される。そうなると文学部や法学部の一学部を減らすくらいの規模。あってはならないことだけれど、学費負担に換算すると一人当たり十万円の増額になってしまう」と、危機感をあらわにしました。

また、独法化されたこの六年間を見ると、「大学交付金は、十二億円削減。病院も入れると二十八億円が削られた。大学交付金のほとんどが人件費。年間教員を七人ずつ削減するという形を取らざるを得なかった」と悲痛な状況を訴えました。

福田氏は、「そうなると若手を育てられない。OECDのなかで日本は教育予算が最低レベルにもかかわらずさらに減らそうとしている。これ以上の削減は日本の国際競争力を弱めるものになる」と述べ、「ぜひ、この実情をご理解いただき、大学の発展のために力をかしていただきたい」と期待を寄せました。

堀内氏は「大学や科学分野に対する日本の姿勢が問われている」問題だと応じました。

また就職難についても話題になりました。福田氏は、「問題だと感じているのは就職活動。三年の後半から四年の前半は授業にもでれない。四次も五次も面接があるくらい学生が就活に没頭させられている。四年の前半は学業にとっても大事な時期。改善がもとめられる」と語りました。


写真:福田神戸大学学長(正面)ほかと懇談する(左から)堀内氏、新町氏ら



事業仕分けボランティア活動にも影響
味口氏ら学生サークルを訪問

さらに、味口氏らは学生サークルも訪問しました。

神戸大学学生救援隊では、資料をしめしながら、活動を熱心に紹介してくれました。同時に、「私のゼミでも四年生九人中、二人の就職がまだ決まらずに就活している」など、深刻な実態も紹介してくれました。

学生の社会的なサークル活動を支えている「神戸大学学生ボランティア支援室」では、事業仕分けで予算が削られ、人員を減らさざるを得なかったと切実な現状を聞きました。

味口氏は、「学生のために奮闘している活動が、一方的に削減されるなんておかしい。今後も、ぜひ実情を聞かせてほしい」と語りました。


写真:学生サークルと懇談する味口氏(左から2人目)ら
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

賛助会費にご協力を

県後援会が訴え

兵庫県日本共産党後援会が「賛助会費」への協力を訴えています。各地の後援会の活動交流や未確立地域での後援会づくりへの援助など県後援会の活動費は賛助会員の会費(一口月三百円)で支えられています。問い合わせ☎078・577・6255/郵便振替01140・8・16946日本共産党兵庫県後援会


(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

兵庫生存権裁判の勝利へ大学習会

朝日訴訟に学ぶ 国民の権利

「生活保護費の老齢加算廃止は、憲法25条違反」とし、兵庫を含む9都道府県で110余人が提訴した生存権裁判。東京地裁勝訴判決からことしで50年をむかえた朝日訴訟に学ぶ大学習会が11月27日、御影公会堂でひらかれました。

70歳以上に支給されていた老齢加算(月額約1万7千円)は、自民党・小泉純一郎内閣の打ち出した「骨太の方針」により04年から減額になり、06年廃止されました。全国で高齢者が裁判に立ちあがり、兵庫では神戸と尼崎在住の9人が07年5月、神戸地裁に提訴しました。

学習会には260人が参加。兵庫県生活と健康を守る会連合会の野村信生会長が挨拶し「人間の生きる権利、国民の不断の努力の必要性を53年前、朝日茂さんが身をもって訴えた」と強調しました。

岡山県津山市の結核療養所に入院していた茂さんが、わずかな支給をさらに削る行政に対し「憲法は絵に描いた餅か」と問うた「人間裁判」を養子となって引き継ぎ、生存権裁判を支援する全国連絡会副会長でもある朝日健二さんが「権利はたたかう者の手にある」と題し講演しました。

朝日さんは「老齢加算廃止は、朝日訴訟以来の国民の権利剥奪。不均衡な状態を、ぜひ裁判長に見せてほしい」と述べました。

つづいて瀬川嘉章弁護士が「生活保護の原点」を講演。「老齢加算は40年以上の歴史があり、加算があって初めて最低限度の生活ができる。加算廃止は、乾いた雑巾からさらに絞り出そうというもの」と憤りました。

越智圭子さん(75)ら原告が登壇し、支援を訴えました。

写真:朝日訴訟の意義を述べる朝日健二さん
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(457)


(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

尼崎でプレ県教研:子どもの貧困 学校現場でも深刻


来年1月尼崎で開催される県教育研究集会のプレ企画「子どもをめぐる貧困を考えるシンポジウム」が11月26日、尼崎市労働福祉会館でひらかれました。

県教研実行委員会が主催し、約70人が参加しました。

4人のパネラーが報告しました。

「ここ10年虐待の相談が急増。虐待のベースは借金や失業など経済問題。子どもに与えるダメージは大きい。学校との連携に力を入れている」(田原良子・子ども家庭相談員)

「サラ金被害はグレーゾーン廃止で終わりではない。貧困問題の根本解決が必要」(田中祥晃・尼崎あすひらく会相談役)

「保険証がなく、怪我をしても病院に行けない家庭がある。西宮市のように中学生まで医療費無料になれば、かなり解決する」(酒井邦雄・尼教組書記長)

「高校授業料が無料になったが、制服や修学旅行などの費用は必要。アルバイトをする生徒が増えている」(中村邦男兵高教組尼崎支部委員長)などが出されました。


写真:貧困問題の実態を報告する4人のパネラー
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

国鉄争議和:解神戸で報告会


自民党・中曽根康弘内閣時の87年、国鉄分割民営化でJRへの移行にさいし、不採用になった国労・全動労の組合員ら1047人の争議がことし6月、和解。その報告集会が11月27日、神戸市内でひらかれました。(写真)

兵庫労連と全動労争議団が主催し、約50人が参加しました。

津川知久議長は「不当労働行為を許さず、国民の公共交通を守るたたかいだった」と挨拶。

争議団を代表し西山順副団長(62)がお礼を述べました。


(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

消費者市民社会めざし(4)

武富士の逃げ得は許さない:過払い利息返還を最優先に


瀬井 幸則(阪神クレジット・サラ金被害者の会「あすひらく会」書記長)

画:谷守佳代
ことし9月28日、武富士が会社更生法の適用を申請しました。消費者を食いものにしておきながら、逃げ得は許せません。

私たちクレサラ被害者の会では現在「武富士110番」を受け付けています。「利息を過払していたと知らなかった」「返済中だが、もう返さなくてもいいのか」などの相談が寄せられています。

私たちの会員に、自ら武富士を相手どり、240万円の過払い返還請求裁判を起こした人がいました。2回目の裁判期日が10月2日でしたが、直前に裁判所から連絡があり「来なくていいです。武富士のホームページを見てください」と言われたそうです。残念無念な話です。

ことし1月、Wさんが「仕事がなくて武富士とアコムに返済できない」と相談に来ました。何年くらい返済しているのかと尋ねると「10年」と言うので、明らかに過払いです。

私は各店に行き「取引き履歴」を貰ってくるようアドバイスしました。本人がすぐに貰ってきたので、元本充当計算方法を教えました。Wさんは自ら計算し、武富士87万円、アコム145万円の過払いが明らかになりました。

訴状を作り、本人に裁判所へ持参させました。Wさん曰く「朝8時半、裁判所に行ったが開いていなかった」とのこと。

41歳の男性が、官庁の仕事開始が9時だと知らないことに驚きました。

裁判2回目、別室で話し合いました。武富士の社員が「2カ月後に半額40万円を一括払い」と言うので、私は「それはない」と反論。Wさんも「2カ月後なら80万円でなければダメだ」と強く主張しました。社員は「本社と相談します」と席を外し、会社に電話。「それでお願いします」と和解が成立しました。5月には返還されたので安心しました。

武富士110番でも「過払い返還160万円で和解し、毎月5万円、計25万円受け取っているが今後どうなる」「1年前、弁護士に依頼し、400万円過払いと聞いているが、何の連絡もない」「83万円を来年1月23日に一括返還と8月17日和解した。どうなるか」などの相談が寄せられています。

武富士自身の説明でも、過払い該当者200万人、予想返還請求総額2兆円です。大変な規模ですが、武富士は銀行から1.65%の低利で何100億円も借り、丸儲けをしてきました。

武富士の厳しい取り立てによる自殺者も、相当な数になっています。消費者へきちんと過払い返還させる手だてをしないで、武富士の再建を認めることはできません。


(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

劇団四紀会公演「ショウ=ガァル」


森鴎外「舞姫」に挑む

劇団四紀会(村井伸二代表)が、森鴎外作「舞姫」を基にした「ショウ=ガァル」を12月12日までの金土日曜、神戸元町の劇団スタジオで公演中です。

脚本・演出は吉田業さん。大学演劇部出身、入団4年目の27歳です。

医学を学ぶため1884年、ドイツへ渡った森林太郎と踊り子エリスとの出会い、そして別離の物語です。

時間をかけ脚本を練りあげました。「鴎外が意図したような美しい物語ではなく、もっと下世話で赤裸々な男と女であり、自我をもった強い女性としてエリスを描きたかった。あくまで僕の『舞姫』です。僕のエリスを観てほしい」と吉田さんは言います。役者も20代が中心です。

☎078・392・2421(公演日程・料金は新聞版先週号参照)


写真:「ショウ=ガァル」の稽古風景
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)

いかり共同作業所30周年記念の集い

無から出発 いま宝物に


「重度の障害があっても、働く喜びを得よう」と80年、神戸市兵庫区西出町に、仲間5人と職員1人で出発した、いかり共同作業所(高橋敬理事長)。30周年を祝う記念の集いが11月28日、神戸国際会議場でひらかれました。利用者と家族、後援会員、障害者団体代表や近隣住民ら160人が参加しました。

無認可でスタート、木造の作業所が震災で倒壊した後の仮設住まいの苦労を経て01年、念願だった社会福祉法人になりました。08年には4階建ての作業所が完成しました。建設費用の支援者は700人を超えます。

現在、利用者36人、職員15人です。

主催者挨拶で光岡瑠美子所長は「何もないところから立ちあげたいかり。みなさんの支援・協力がなければ、きょうを迎えられなかった。この30年に確信をもち、次へ歩んでいきたい」と述べました。

西村直きょうされん理事長が記念講演。「全国6千カ所ものオーダーメードの小規模作業所づくりは、日本だけ。障害者を中心におき、人、事業体、作業所、地域とたくさんの宝物が生まれた」と語りました。

利用者たちが「わたしのゆめ」を発表。「お給料を貯めて自転車を買いたい」「結婚したい」「お母さん、私を産んでくれてありがとう」など読みあげました。


写真:「わたしたちのゆめ」を発表する作業所仲間と職員
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)