日本共産党兵庫県委員会と党兵庫県議団は十一月二十九日、井戸敏三兵庫県知事あてにTPP問題に関する緊急申し入れを行い、①TPPによる県内への影響を調査し公表すること②政府にTPP参加協議を行わないよう要請すること③県下関係団体、市町とともにTPP参加反対のとりくみを広げることの三点を要請しました。
代表して、ねりき県議団長が、吉本知之兵庫県副知事に申し入れ書を手渡し、政府試算でも食料自給率が13%に下がることや、EUより規模の大きい北海道でも生産額が半減するなどの試算が明らかになり、TPP反対の声が広くあがっており、全国有数の農家数を持つ兵庫県でも深刻な事態になると述べ、兵庫県も反対するよう求めました。
副知事は、「いろいろ勉強し、対応する。自由化するとしても、農業を将来も持続可能なものとするのは政治の責任だ。日本の農業を守る信念を持つべき。食料を国として守る姿勢が見えてこないのはいかがなものか」と応じました。県内への影響の試算の検討も表明。兵庫は畜産とコメが多いが、全国と同じ傾向になるのではないかと述べました。
さらに党側から、政府は「開国」というが、日本の関税は世界でも低く、十分に開国状態であり、TPP参加は、断崖に立つ人を突き落とすようなものだと指摘し、県として反対の表明をと再度迫りました。
申し入れには、ねりき恵子、新町みちよ、杉本ちさと、星原さちよ、の各県議と堀内照文党兵庫国政委員長、いそみ恵子(西宮市)、きだ結(東灘区)、井村ひろ子(兵庫区)、木下きよ子(長田区)、森ひろし(北区)、森田たき子(須磨区)の各県議予定候補が参加しました。
写真上:吉本副知事(右端)に申し入れる(左手前から時計回りに)ねりき、新町、森田、きだ、星原、いそみ、木下、杉本、井村、森、堀内の各氏
写真下:ねりき恵子県議団長(左)から申し入れ書を受け取る吉本知之副知事(右)
日本共産党兵庫県委員会と党兵庫県議団が十一月二十九日、井戸敏三兵庫県知事あてに提出したTPP問題に関する緊急申し入れは次のとおりです。
TPP問題に関する緊急申し入れ
菅首相は、九日の閣議でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関して、「関係国との協議を開始する」という基本方針を決定した。
TPPは、例外なき関税撤廃を原則としており、参加によって、日本と兵庫の農業に壊滅的な影響をあたえることは必至である。農水省の試算では、農業生産額が四・五兆円程度減少し、食料自給率が40%から13%に落ち込み、農業の多面的機能は三兆七千億円程度喪失、三百五十万人程度の雇用が失われるとしている。EUよりも平均農地面積の大きな北海道ですら、生産額が半減すると試算されています。
兵庫県でも、全国試算で影響が大きいとされているコメや肉用牛、生乳などが、全国平均より生産額の比重が大きく、兵庫県としても「本県農業への影響は、国よりも大きくなると推察され、農業経営の弱体化や農村集落の崩壊、農業・農村の有する多面的機能の低下等が懸念される」とし、今年予定していた「ひょうご農林水産ビジョン2020(仮称)」の策定を延期している。
また、TPPは、農業だけでなく、商品・サービス貿易や投資などの自由化をする経済連携協定(EPA)の一つであり、地場産業、地域の商工業などにも重大な影響を及ぼすことが指摘され、日本経済全体の問題となっている。
菅首相は、TPP参加を「第三の開国」と説明するが、日本の関税率は主要国でアメリカに次ぐ低さであり、日本は世界一ともいえる農産物純輸入国となっている。いま世界では、食料を市場任せにすることによる害悪から、二〇〇八年の国連総会決議など、各国の「食料主権」の確立を求める流れが広がっている。今回のTPP参加は、この流れに逆行するものである。
北海道や鹿児島、徳島、山形などの知事、県下でも篠山市長などが慎重な対応や反対の態度を表明され、政府方針の見直しを求めている。
よって、兵庫県としても、緊急に下記の項目について、取り組まれるように申し入れるものである。
記
2、政府にたいし、TPP参加への協議を行わないよう強く要望すること。
3、県下の関係団体、市町等とともに、TPP参加の反対への取り組みを広げること。
(2010年12月5日付「兵庫民報」掲載)