日本共産党兵庫県委員会は、職場支部学習交流会を十月十日、兵庫県私学会館で開催し、党中央委員会職場(労働)対策委員会責任者の山下よしき参院議員が「二中総(第二回中央委員会総会)決定を力に、職場支部の活動を本格的に前進させよう!」と題して講演しました。その概要を紹介します。
いま日本の政治はどういう地点にあるか
山下氏は、日本政治の今日の地点を二中総決定に沿いながら、職場と労働者の目から分析。二〇〇三年以降は労働法制の規制緩和が本格実施された時期でもあり、〇八年の派遣村の出現が貧困を顕在化させただけでなく、派遣切りされた労働者が勇気をもって立ち上がったことが世論を変える上で大きな力になったと述べました。
非正規労働者が立ち上がる上で、日本共産党の職場支部の果たした役割は極めて大きかったと指摘。職場支部が非正規労働者の苦しみに心を寄せ結びつきを強めてきたところで、非正規労働者が多数、労働組合に加入し、裁判でたたかうということが起きていることを紹介し、職場支部があったればこそのたたかいだったと強調しました。
正規労働者の状態悪化も進行し、成果主義にもとづく職場支配も根底から崩壊。状態悪化に対し立ち上がった正規・非正規労働者のたたかいが政権交代の原動力の一つとなったにもかかわらず大穴の空いた派遣法改定案など民主党政権の裏切りが労働分野で非常に顕著になったのも特徴的だと指摘しました。
それが民主党一党支配の連合職場での矛盾激化を起こしていること、職場で反旗を翻せなくても投票では、しっかり意思表示をするなど、労働者に大きな変化が起こっていることに注目しました。
職場で光る党綱領の生命力
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講演する山下よしき参院議員 |
それを具体的に感じることとして、今も終わっていない派遣・非正規切りの問題をとりあげました。
大阪の大手空調機メーカーダイキンが〇八年に偽装請負の是正指導を受け有期間社員とした二百人を今年八月に解雇するなど、厚労省の調査でも今年に入ってからだけでも四万二千人の派遣・非正規切りが進行中です。
一方、十月七日の衆院本会議で志位和夫委員長が代表質問に立ち、大企業が利益を増やしても設備投資や雇用に回らず溜め込まれている背景に日本経済が極度の需要不足に陥っていると指摘。菅首相も需要不足の中で供給側がコスト削減を進めても景気は回復しないことを認め、富が広く循環する経済構造を築く必要があると答弁しています。
山下氏は、党綱領の生命力が目の前で起こっている日本経済の問題でも雇用の問題でも発揮できると訴えました。
こうした日本共産党の立場を、労働者の意識にかみ合って伝える重要性を訴えました。
日本共産党が、大企業を敵視しているのではなく、労働者の切実な要求にこたえる道を、「節度ある批判と道理ある説得」で伝えることがたいへん大事だと指摘しました。また、集団で練り上げた見出しのビラなど各地の職場支部の工夫も紹介しました。
職場でこそ結びつきを生かし、広げる活動を
二中総を貫くもう一つのテーマは「国民との結びつきを生かし、広げる活動」。
山下氏は、「出発点はあいさつ」「党員の苦しみは労働者の苦しみ」など、これまで二回の職場支部交流講座でさまざまな方針・教訓がだされているが、やはり職場でこそ、結びつきを生かし広げる必要があると述べました。
成果主義制度で労働者が個々に競争させられ、職場では対話ができない空気がある中、ロッカールームやトイレでビラを手渡し対話することでお互いの悩みや関心がわかって楽しくなったこと、対話自身が労働者の要求になっていることなど東京・千代田地区委員会の職場支部の経験を紹介しました。
民間、自治体など分野別の活動の強化方向を中央委員会としても練り上げていこうとしていることを報告し、「今なら間に合う、いまこそ頑張り時」であり、職場で結びつきを広げ、後継者をつくり、世代継承をやり遂げようと呼びかけました。
職場支部への援助で大切だと感じていること
「支部との接点を多く持ち、支部の悩み、課題と正面から向き合う援助委員としての自分の誠実さを伝えることを心がけている」という大阪・高槻島本地区委員会のW援助委員の経験を紹介。
職場の激しい攻撃と対峙して前進しようと思えば、支部や担当者任せではなく、党機関が総力をあげて支援することが大事だと指摘しました。
◇
最後に山下氏は、日本共産党の職場支部が存在することの値打ちについて言及。社会を変えようと思えば、発達した資本主義社会の大企業職場で日本共産党が大きくなり、労働者と団結し、不当な職場支配とともに、大企業の利益第一主義を職場の中から変えていくというたたかいが前進することなしに、資本主義の矛盾を乗り越えることはできないと指摘しました。
その意味で、日本共産党の職場支部は、国際的にも大きな意義のある活動をやっていると強調。“その職場支部の灯をいま、消してなるものか”“その灯をさらに大きくするため、皆さんいっしょに頑張りましょう”と訴えました。
(2010年10月17日付「兵庫民報」掲載)