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2010年9月19日日曜日

介護療養病床なくさないで

病院も「困っている。共産党にも話を聞いてもらいたい」
杉本ちさと県議が病院を訪問・実情を聞き取り

政府が来年度末までに介護療養病床を全廃するとしていた問題で、八月三十一日、杉本ちさと県議が姫路市内の病院で関係者の話を聞き、実態を調査しました。

この病院は、百床の介護療養病床を持ち、現在も満床。胃ろう(おなかと胃に小さな穴をつくり、チューブを通して栄養を摂取すること)などの医療と介護の両方が必要な高齢者が入院しています。最高齢者は九十九歳。多くが認知症などを持ち、寝たきりです。

調査のきっかけとなったのは、八月下旬、九十歳の母きよさんを入院させている長男の田中隆夫さん(61)が「年内で介護療養病床をすべて閉めるので出てほしい」と連絡を受けたことです。

話し合いの中で病院側が「うちとしても困っている。国や県の対応も含め、共産党県議さんにも話を聞いてもらいたい」と話したため、杉本県議が訪問し、院長・副院長・事務長と懇談しました。

行き先失う患者

病院側からは、「百人の患者さんのご家族の七~八割と話をしたが、在宅OKという人は一人もおらず、みなさん困惑されている」「患者さんの行き先は特養か老健などしかないが、特養はそれぞれ何百人待ちの状況だし、胃ろうなどが必要な場合受け入れてくれる施設は少ない」「民主党が総選挙で療養病床廃止凍結を公約に掲げていたので安心していたのに」「家族もおらず特養の個室にも入れない生活保護者への対応も含め、県には何度も相談しているが、話を聞くだけでらちが明かない」などの実態が話されました。

県も責任果たすべき

杉本県議は、「お年寄りの命にかかわる問題なのに、民主党の公約破りは許せませんね。療養病床廃止をやめさせるよう力をあわせましょう」「県は療養病床をなくさないよう国に訴えるとともに、患者さんの行き先確保に責任を果たすべきです。追及していきます」と述べました。

田中さんは、きよさんの転院先探しに奔走しながら、「国は『医療の必要性が低い』というが追い出されれば母は生きていけない「姫路だけでなく全県、全国で同じように困っているはず。ものをいえない母にかわって民主党の公約破りを許さないよう、世論を大きくしたい」と語っています。

「2011年度までの廃止は困難」
  しかし廃止撤回は明言せず――厚労相

調査後の九月八日、長妻昭厚生労働相が衆院厚労委員会で、介護療養病床について「二〇一一年度末までの廃止は困難」として廃止期限の延期を含め改めて判断する方針を示しました。

これを受け、この病院は当面、介護療養病床を継続する見込みですが、国が廃止撤回を明言しないため、患者と家族の不安に変わりはありません。

もともと、この計画は、旧自公政権が一一年度末までに医療療養病床(医療保険適用)を二十五万床から十五万床に減らし、介護療養病床(介護保険適用)を十三万床からゼロにすることを〇六年に決定(その後医療療養病床は二十二万床程度残す方針に転換)。兵庫県も国の方針にそって県内の介護療養病床約四千六百床を全廃、医療療養病床を約一万床から九千二百床に減らすとしていたものです。

民主党は、昨年の総選挙時の政権公約に「療養病床削減計画の凍結」を掲げましたが、一月二十七日の参院予算委員会で長妻昭厚生労働相が「基本的に(介護療養病床の)廃止というような方向性は変わりません」と答弁し、批判をあびました。

写真:介護療養病床の田中きよさんを見舞う杉本議員(中央)と田中氏
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

三菱重工に社会的責任果たさせ、地域経済・雇用を守れ

日本共産党が兵庫県と神戸市に要請


日本共産党兵庫県議団、神戸市議団、県委員会、兵庫長田北地区委員会は、九月十四日に神戸市長に対し、十五日に兵庫県知事に対し、三菱重工神戸造船所の商船建造からの撤退計画に関し、要請を行いました。

日本共産党は、今回の撤退計画は日本有数の大企業が当面の利益確保のために行った判断であり、震災以降不況で苦しむ地域経済や雇用への責任をまったくかえりみないものだと批判。兵庫県ではかつて相生市で石川島播磨工業のリストラによって深刻な地域経済・社会が打撃を受けた歴史があり、同じ事態を生まないよう自治体の役割は重大だと指摘しています。

また、非核「神戸方式」を行っている神戸港の中で、潜水艦・原子力に特化することも市民・地域の理解を得られるかと疑問を呈しています。

地域経済・社会に大きな責任を持つ企業としての社会的責任を求めることは行政として当然の態度あり、また、行政から支援をしてきたことからも、三菱重工に対し県民の立場でものを言うべきだとして、別記(上の囲み)の三項目を県と神戸市に求めました。

県と神戸市に対する要請項目

一、三菱重工に対し、神戸造船所の商船撤退計画を見直し、地域経済・社会をふまえ事業計画を策定することを求めること。

二、三菱重工に対し、二次以降の下請けも含めた仕事と雇用を確保し、地域経済・社会への社会的責任を果たすことを求めること。

三、相談窓口の開設だけでなく、二次以下の下請けも含めて関連事業所の実情をつかみ地域経済・雇用への影響を把握し対策を検討すること。

写真:神戸市へ申し入れる(右から)小林明男県委員会労働部長、堀内照文兵庫国政委員長、松本のり子神戸市議団長、大かわら鈴子市議(兵庫区)=9月14日
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学


最低十一円、最高三十円、全国平均は十七円―卵一個の価格ではなく、最低賃金の時給引き上げ額です。全都道府県いずれも十円以上の引き上げで、平均時給は七百三十円になったとの改定状況が発表されました▼兵庫県の最低賃金は、十三円引き上げで七百三十四円になりました。それでも一日八時間働いて五千八百七十二円、一カ月二十五日働いて十四万六千八百円です▼私の仲間の一人は母子家庭。高一、中二、小六、小二の四人の子どもを育てながら、スーパーのレジで働いています。必死で働いても月給約十五万円▼最低賃金法は「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と定めています。兵庫労働局は「逆転現象」を解消したといいますが、生活実態は厳しい▼結婚もできない、子育てもできない。前総理のように一カ月千五百万円の小遣いを親からもらえるような政治家と、五人が一カ月十五万円で生活しなければならない前述の母子家庭の貧しさ。怒りは、やはり「貧しい政治」へ▼今回の最低賃金改定は、貧困打破の運動・世論の成果でもあります。さらに、「時給千円」も実現したい。(た)

(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党神戸市議団が予算要望懇談会

市民要求の実現へ共同ひろげ全力でとりくもう

日本共産党神戸市会議員団は九月十日、神戸市勤労会館で予算要望懇談会を開催。労働組合、民主団体代表など六十人が参加しました。


懇談会では、松本のり子市議団長のあいさつに続いて、金沢はるみ議員が神戸市政の特徴を報告し、敬老パス値上げ中止・無料復活を求める運動と連携した議員団のとりくみなどを紹介しました。

子育てアンケートに寄せられた中学校給食実施、中学校卒業までの医療費無料化など、子育て世代の強い要求にたいして神戸市が「中学校は親の愛情弁当が一番」という態度を崩していないことを批判。議員団が十一年連続で提案している予算組み替えについては「実現可能なものを提案している」と説明しました。

さらに「九月議会では、共同の運動を前進させたい。あと六カ月で市議選です。激しいたたかいになりますが、市民要求実現の先頭に立って頑張りたい」と決意を表明しました。

参加者からは、市政に対する要望が次つぎと出されました。

参加者の発言から

「新中央市民病院の個室が増える。最後のとりでとして市民を守る医療が続けられるのか」(保険医協会)

「国保料滞納者には、高額療養費から滞納分を差し引いたり、財産を差し押さえするなどの不利益処分が増えている。生活を無視してしゃにむに取り立てるやり方は許せない」(社保協)

「敬老パスの値上げ中止・無料復活を求めて二万五千の署名を提出した。二十二日に、市役所前で座り込みも」(敬老パス連絡会)

「民間移管した保育所では施設の傷みがひどい。移管したんだから民間の責任だといわれる。去年は移管先に補修予算は一円もついていない」(民間移管を受けた保育所関係者)

「市営住宅と合築されている保育所で、市営住宅が廃止されるのに伴い、保育所も廃止されようとしている」(保育運動連絡会)

「障害がある子どもを預かっているが、保健師巡回指導がきわめて少ない。どう保育していいのかアドバイスを受けたいが、できていない。」(福祉保育労)

「異常な暑さで熱中症にならないか心配する。小中高にクーラーを」(新婦人)

「生保世帯などへの熱中症対策が必要だ。扇風機を使ったら電気代の請求がいくら来るか不安で、かけていない。生活困窮者に対する緊急対策がいる」(生健会)

「三菱神戸造船所の商船部門の撤退は下請けに衝撃を与えている。職員が聞き取りをして、二次、三次までの業者の状況をつかむことが必要。撤退しないで、雇用を守るよう求めたい」(兵庫民商)

「神戸貨物は、これまでごみ収集、学校給食運搬など、神戸市の業務を担当してきた。それが、組合つぶしを狙っていきなり廃業すると言ってきたが、組合員を排除して給食の配送業務は継続している。偽装倒産だ」(神戸貨物労組)

「徳山生コンの企業閉鎖とたたかっている。五十人近い従業員のうち。組合員は三十一人。組合を敵視した組合つぶしは間違いない。神戸市は、中小企業を守り、失業者の雇用を守るべき」(徳山生コン労組)

「空港の現状や海上アクセスについて、市政ウオッチングをやるので、直接自分の目で市政を見つめる機会として、ぜひ参加してほしい」(ストップ!神戸空港の会)

写真:開会あいさつをする松本のり子市議団長
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)



西宮:入園希望者増えるのに公立幼稚園の学級減らす

西宮市が二〇一一年度の公立幼稚園の園児募集にあたり、浜脇、門戸の二園でそれぞれ、四歳児定員を現在の二学級=六十人から一学級=三十人に減らすことを八月二十四日に発表、九月十日付「市政ニュース」で広報しています。

同市は、入園希望者の増加に対応する臨時的措置として、四歳児学級を増設してきましたが、この二園については「周辺私立幼稚園での受け入れが可能」として来年度、臨時的措置を実施しないとしています。

しかし、二園の周辺地域では、マンション開発が進み急激に人口増、とくに子どもの増加が著しく、小学校の教室不足や保育所待機児童が大変多く、幼稚園も公立に入りたくても入れない状況が続いています。

また、保育料は公立が月額九千六百円なのに対し、私立は月額二万円前後で就園奨励助成(月額平均六千九百円)を受けても高額であり、公立園希望者が多くなっています。

こうしたことから、今回の臨時的措置取りやめ・募集定員削減に対し、保護者をはじめ市民から不安と批判の声があがりました。

新日本婦人の会西宮支部は、定員削減の撤回を求め、市教育長あての要請FAXや市議会への請願にとりくみました。

日本共産党西宮市議団も八月三十一日、教育委員会に緊急申し入れを行い、撤回を求めました。また、上田さち子議員団長が九月六日の一般質問で取り上げました。

上田さち子氏
上田議員は、市が①前年度募集時に六十名以上の応募があり、次年度も六十名以上の応募が見込まれること②同時に、おおむね一km以内の私立幼稚園への入園が困難であることを臨時的措置の実施条件としていることに対し、二園の応募倍率をみると浜脇は今年度二・四七倍→来年度二・六七倍、門戸は二・一七倍→二・三七倍と、いずれも入園希望者が増える見込みであることあげ、今回の臨時的措置取りやめは機械的・拙速だと批判。

臨時的措置を外した経緯や、二園の関係者への説明状況などについてただし、撤回を求めました。

答弁で市教委側は、二園では来年度も応募倍率が伸びることを認めながら、「私立園での受け入れが可能」だからとの説明を繰り返しました。

これまで臨時的措置について「公私懇話会」で協議していたのに、今回は私立幼稚園連合会の代表と市教委との連絡・協議だけで結論を出したことも明らかになりました。

関係者への説明については「市政ニュースで行う」との答弁だけでした。

新婦人の請願は九日の市民文教常任委員会で審査され、日本共産党の野口あけみ議員が採択を主張しましたが、自民系会派や公明党などの反対で不採択となりました。

写真:上田さち子議員
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

民青県委員会が「ハローワークツアー」

各地で実態を聞こう

ハローワーク柏原で
民青同盟兵庫県委員会は、県内のハローワークをまわり、アンケートで実態調査をおこなう「ハローワークツアー」にとりくんでいます。九月六日には、ハローワーク西脇とハローワーク柏原で対話しました。

西脇で対話した三十歳の男性は、働いていた工場の閉鎖に伴い、九州への転勤が命じられたので、自主退職し、仕事を探しているそうです。「突然閉鎖と言われ、納得できなかったが、親も妻子もいるので九州には行けなかった。新しい仕事はなかなか見つからず困っている」と話します。

ハローワーク西脇で
同盟員が「いま多くの人が仕事が見つからずに困っている。個人の努力だけではどうにもならないし、もっと社会的なルールをつくって、雇用を増やしていかないといけない」と話すと、「そう思います。がんばってください」と連絡先を教えてくれました。

今後も、豊岡、洲本、明石、姫路などのハローワークで実態調査をおこなう予定です。
(板東まさえ・民青同盟県委員会)




(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

図書紹介:上脇博之『ゼロからわかる政治とカネ』

真の国民主権へ

上脇博之氏
「政治資金オンブズマン」共同代表として活躍する上脇博之神戸学院大学大学院教授がブックレット『ゼロからわかる政治とカネ』を出版しました。

この本には「政治とカネ」問題への不信から政治離れを起こしている国民、特に若者が少なくないが、この問題を正しく知ることで政治に関心を持ってほしいとの上脇氏の願いがこめられています。

「どうして政治にお金がかかるの?」「政治資金はどうやって集めるの?」「政党助成金の何が問題?」「企業はなぜ献金するの?」など「政治とカネ」の現状、政党助成金や企業・団体献金の問題点をQ&A形式でやさしく解説。その上で、真の国民主権・民主主義を実現するために、「政治とカネ」に国民が不断の監視をと呼びかけています。


  • A5判88ページ
  • 本体933円+税
  • 日本機関紙出版センター発行




(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

参考:
著者・上脇博之氏のブログ http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/
版元・日本機関紙出版センターのホームページ http://kikanshi-books.com/

ひなたぽっころりん


(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

作者のブログ http://seto-keikoyururinblog.blogspot.com/

兵庫労連第40回定期大会ひらく

貧困と格差の解消めざし

「憲法を職場とくらしにいかし、貧困と格差の解消、平和で安全な社会の実現」をスローガンに、兵庫県労働組合総連合(津川知久議長)の第40回定期大会が9月11日、神戸市勤労会館でひらかれました。


開会挨拶で津川議長は、大企業が「国際競争力」に主眼を置き、非正規雇用を拡大する一方で、株主配当と内部留保を増やしてきた実態を厳しく批判。「若年層の失業は戦後最悪になり、再生産されている」と強調しました。

北川伸一事務局長が運動方針を提案。秋期年末闘争の重点として①正社員・均等待遇、はたらくルール確立②憲法を守り暮らしにいかす③貧困と格差をなくす④組織拡大―を運動の柱におきます。

具体的には▽労働者派遣法抜本改正を求める署名・要請行動▽非正規労働者対策兵庫県センター(仮称)設立▽すべての争議支援▽官製ワーキングプアを許さないとりくみとして公契約運動強化▽地域経済の再生・活性化―などをすすめます。

高校生・若者の就職保障宣伝行動(9月24日)、公契約問題学習会(10月29日)、ディーセントワークデー(毎金曜朝)ほか当面の日程も提起されました。

事前協議なしの首切り攻撃とたたかい、全員の解雇撤回を勝ちとった建交労徳山生コン神戸分会が特別発言し大きな拍手がおくられました。

代議員が次つぎ発言しました。「西宮市が市内駐輪場17カ所の指定管理者変更にともない、職員150人の時給や労働日数の引き下げを発表。労働条件切り下げに抗議し、労働組合を結成した」(兵庫自治労連)

「郵政の職場は正規労働者が9万人、非正規が16万人。徹夜を強いる深夜勤務で働く非正規労働者は時給1千円。1日7時間、週5日勤務で手取り16万円。これは吉野屋の最低ランク」(郵産労神戸支部)

「昨年9月末雇い止めから1年。期間社員の解雇撤回・正規雇用を求める裁判をつづけ、署名もとりくんでいる。正社員化実現まで全員、スクラムを組んでたたかう」(JMIU日本トムソン支部)などの報告や決意が語られました。

写真:挨拶で「正規雇用の拡大が世界の常識」と強調する津川知久議長
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

第29回はたらく女性の兵庫県集会

身近な問題で意見交流


「いかそう憲法・核も基地もない世界に、手をつなごう人間らしくはたらくために」を掲げて、第29回はたらく女性の兵庫県集会(実行委員会主催)が9月12日、神戸市婦人会館でひらかれ、約100人が参加しました。

午前中は3つの分科会がおこなれました。「新聞ちぎり絵体験」は紙の切り方やカラー広告の選び方ひとつで個性豊かな作品ができあがりました。「心の健康」は神戸女子大学講師の阿江喜春さんを助言者に、ストレスの対処法などを学びました。「しゃべりBa」では雇用、営業、農業などの問題で活発な意見が出されました。

経済学者の後藤宣代さんが「世界の中の日本」と題して講演。女性や子どもをとりまく格差・貧困問題を指摘し「生きる喜び、働く喜びが共有できる地球規模の運動をつくりだそう」と述べました。

写真:講演につづきフルートを演奏する後藤宣代さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

大きく強く:9条交流会で徹底討論



9条の心ネットワーク実行委員会主催「2010年9条交流会」が9月12日、神戸市勤労会館でひらかれ、約380人が参加しました。

合い言葉は「9条の会さらに大きく、さらに強く」です。

4分科会が午前中ひらかれました。「憲法は活かされているか」は、憲法を物差しに、国民の命に関わる問題を考えようと、出産・中絶・DV被害・子どもと貧困・介護・医療などをテーマにコントが演じられ、津久井進弁護士の司会で、約60人が話し合いました。

「日本は幸福を追求できる社会に、子どもを安心して産める社会になっていない」「日本は利益再配分に政治がかかわることで、貧困率が上がっている」「社会保障として国民の健康を守るのが健保法。国の介入が絶対必要」「弱い者が命を削られる社会になっている。憲法25条を私たちの運動で守っていこう」などの意見が出されました。

午後は、ドイツ文学者で「世界がもし100人の村だったら」を出版した池田香代子さんが「イチオシの未来が憲法にあります」と題して講演しました。

池田さんは、音楽による「100人村」をつくるさい、ジョン・レノンの「イマジン」を翻訳。その2番が、日本国憲法の平和主義そのものだと気づいたこと、歌詞を読んだ若者も「イマジンって憲法だったんだ」と驚いた話を披露しました。

写真:憲法9条のすばらしさを語る池田香代子さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

姫路年金者組合短歌「あさぎの会」


花火の夜浴衣の似合う娘さん二の腕みせてラムネ飲みおり
常田洋子 

呼びかけにエッと振り向く勇さんの笑顔にあいたし逝きてふた月
藤原信子 

朝の陽に真白きチマ・チョゴリ献花台へとゆったり進む
衣川有賀子

ほんぼうに八本の枝のばしたる釣鐘人参を束ねやるなり
田渕茂美 


(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

テアトル9—お芝居大好き! 9条の会:結成5周年

小森陽一さん講演「井上ひさしを語る」

演劇を楽しめるのも平和であってこそと、神戸演劇鑑賞会の会員有志でつくる「テアトル9(ナイン)お芝居大好き!九条の会」が結成5周年をむかえました。「九条の会」事務局長で、東京大学教授の小森陽一さんを講師に招き、記念講演会「井上ひさしを語る」を9月11日、神戸市中央区の東亜ホールでひらきました。

「九条の会」呼びかけ人のひとりで、ことし4月に亡くなった井上さんの人柄や文学、平和への思いに、約200人が聞き入りました。

井上さんが樋口一葉や夏目漱石、石川啄木、小林多喜二らを芝居の主人公にするさいは、すべての著作と膨大な資料を集め読み込んだうえで「その人物の歴史、人生を自分に引きつけ、全力投入で書きあげている」と小森さんは語りました。

最後の戯曲になった「組曲虐殺」は、農地解放運動に加わり逮捕、拷問がもとで35歳で病死した父修吉さんへの思いを、非暴力を貫いた多喜二に託していると説明しました。

小泉内閣が、アメリカの戦争に直接加わろうとした04年6月、日本ペンクラブ会長だった井上さんが、ペンの力で戦争への流れに対抗しようと、「9条の会」を発足させた経過も紹介しました。

小森さんは「井上さん流の演劇の力が、9条の会の力になっている」と述べました。

写真:井上ひさしさんとの交流を語る小森陽一さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)