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2010年8月29日日曜日

トムソン解雇撤回・正社員化闘争

正規雇用が当然の社会へ
全労連近畿ブロック・兵庫労連が支援行動

JMIU日本トムソン支部解雇撤回・正社員化裁判闘争支援行動が八月十七、十八日、全労連近畿ブロックと兵庫労連の呼びかけで行われ、両日とも近畿各地から百名を超える人びとが参加。十七日には姫路市内で激励集会と交流会、翌十八日にはJR姫路駅前での早朝宣伝、姫路市と裁判所への要請、裁判(第九回弁論)傍聴、裁判報告集会などが行われ、原告らを激励しました。


ニードルベアリング製造の日本トムソンは、巨額の内部留保を蓄えながら「生産減」を理由に昨年二月、姫路工場(姫路市書写)の派遣社員を、期間満了(同年八月末)を待たず、三月末で解雇すると発表。

これに対し、退職者を除く十三人が、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本トムソン支部(前尾良治委員長)に加入し、労働局に申告ました。

その結果、是正指導が出され、会社は希望した十人を昨年九月末までの期間社員とし、直接雇用しました。

しかし、会社は同年十月以降の雇用延長を拒否。組合員九人が地位保全を求めて裁判をたたかっています。

支援集会:トムソンのたたかいは私たちのたたかい

十七日に開かれた激励集会では、地元を代表し、津川知久兵庫労連議長があいさつ。「正規雇用があたりまえの社会に変えよう。トムソンの仲間のたたかいは私たちのたたかい」と強調しました。

経過報告で吉田竜一弁護士は、「昨年十月の松下プラズマ最高裁判決や、民主党の労働者派遣法改正案のひどい内容など、厳しい状況は否定できないが、このたたかいをやめるわけにはいかない。裁判闘争と立法闘争を車の両輪にしていこう」と訴えました。

川辺和宏全労連近畿ブロック議長は、「労働者の財産は団結の力だ。ともに頑張ろう」と呼びかけました。

日本トムソン支部の組合員を代表し、原告の一人、川井雅広さん(33)が決意表明。「失業保険も切れ生活は厳しいが、正社員めざし、精いっぱいたたかう」と述べ、大きな拍手がおくられました。

第9回弁論:正社員になり働きつづけたい
原告5人が証言で訴え

翌十八日、神戸地裁姫路支部(中村隆次裁判長)で開かれた第九回弁論では、原告側五人の証人尋問が行われました。法廷に入りきらない百人を超える支援の仲間が傍聴に駆けつけました。

最初に証人席に座った前尾良治JMIU日本トムソン支部委員長(58)は、原告弁護団の問いに対し、会社が非正規労働者の雇用形態を「出向→請負→派遣」と切り替えながら、その実態が偽装請負だったことを厳しく追及してきた経過を述べました。また「原告たちは会社によって一年間に三回も首を切られた。その一方で会社は、五百五十億円の内部留保をかかえ、株主には十一円配当の大盤振る舞いをしている。会社は恥じるべき」と指摘しました。

つづいて原告四人が証言し、率直な思いを述べました。「契約社員としてトムソンに入ったが、正社員になるのが希望だった。期間満了時に直接雇用になると期待していた。頑張れば社員になれると思っていた」〔島村賢治さん(36)〕

「四月に失業保険給付が切れた。仕事を探しているが、ない。貯金を食いつぶして生活している。正社員になって仕事が安定したら結婚する予定だった。とても結婚できる状況ではない。トムソンで働き続けたかった」〔氏家正傳さん(31)〕—と訴えました。

次回弁論は九月二十二日(水)午後一時から、会社側証人の尋問が行われます。

写真:激励集会で決意表明する組合員ら=17日

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

三菱電機サービス残業是正

三菱電機先端技術総合研究所(尼崎)
労働者と共産党会社動かす

三菱電機でサービス残業是正が再び行われました。

尼崎市にある同電機の先端技術総合研究所(従業員約千人)は、尼崎労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告を受け入れ、七月二十六日の七月分賃金支給日に、管理職も含む社員に対し、六カ月分の残業代不払分を支払いました。

「サービス残業がなくなって本当によかった」と社員から喜びの声があがっています。

今回の是正勧告は、二〇〇二年四月に続く二度目。①昨年十月十六日から今年四月十五日までの六カ月間の在場時間と自己申告時間の時間差を確認して、違いがあればその分の残業手当を支払う②裁量労働制適用者の深夜残業手当(二十二時以降の残留時間分)、休日出勤の時間外も含む③在場時間の確認は、社員全員のⅠDカードに記録された出退勤時間で確認—という手だてで是正が行われました。

さらに、サービス残業の原因ともなっていた時間外労働時間の「二十時間」「三十時間」という「上限枠」が撤廃され、三六協定にもとづいて時間外労働時間は月四十時間、三カ月で百十時間、休日出勤は月三回に改善されました。

こうした是正措置は、「毎月残業時間は百時間近くあるのに、残業手当は月三十時間以内に制限されており、大部分の時間外労働はただ働きになっている。改善してほしい」という労働者の訴えをもとに日本共産党三菱電機伊丹委員会が今年三月、尼崎地域の民主団体とともに尼崎労基署に調査と是正を求めたことによるものです。

同署は、この是正要求以降、数回にわたって同研究所への臨検調査に入り、監督・指導を行いました。これを受け、三菱電機は昨年十月から今年四月分までの残業、深夜及び休日労働の「実態調査」を実施しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

観感楽学


「鉄骨の見える市電の窓には焼け爛れて男女の区別のつかぬ人々…大火傷を負った人たちが水を求め、苦しいうめき声…」▼大塚彦二さん(元海技大学校教員・宝塚革新懇などで活躍)が、被爆直後の広島に派遣されたときのことを記しています(『航跡』)。軍命による「入市被爆者」に当たることは明らかなのですが、大塚さんは被爆者健康手帳の取得を断念したまま、昨秋亡くなりました▼原爆症認定どころか、被爆者であることの確認にすら、国はさまざまなバリアを設定。記憶を甦らせること自体が苦痛な被爆者に「被爆したこと」の立証責任を負わせています▼日本原水爆被害者団体協議会の新聞には【被爆者手帳取得の証人探し】欄があります。今年四月号では神戸のKさん。八月七日、軍命で広島に入り救護活動に従事したが、証人が見つからず手帳を取得できていない、というケースです▼戦争、薬害、「公害」…。政府や大企業は、いかに命を踏みにじっても、被害者たちの命がけの闘いなくしては、事実すら認めようとしない。そんな日本の変革へのたゆまぬ営みが、人から人へと受け継がれます。(S)

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

県議選尼崎選挙区に宮田しずのり氏

日本共産党の兵庫県議選候補(第2次発表)

日本共産党兵庫県委員会と尼崎地区委員会はこのほど、来年の兵庫県議選尼崎市選挙区の候補者として元職の宮田しずのり氏を発表しました。(県議選候補第1次発表は4月4日付に掲載しました)

県議3期の経験・実績生かす
尼崎市 定数7

宮田しずのり  67歳=元=

1943年鹿児島県生まれ。私立八幡西高校(福岡県)卒。㈱日本硝子尼崎工場勤務、日本共産党代議士秘書などを経て、95年県議選初当選、07年まで連続3期。現在、県立病院問題やアスベスト被害者救済運動の中心で奮闘。協同組合兵庫県保険鍼灸師会名誉顧問、鹿児島県・姶良会副会長。





(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

75歳以上の人間ドック助成: 年度途中でも実施市町に交付金

後期高齢者医療広域連合議会
大眉議員の質問、三木市での実施へ道開く

大眉均議員
兵庫県後期高齢者医療広域連合の定例議会が八月十九日に開かれ、決算認定や補正予算などが審議されました。

大眉均議員(日本共産党三木市議)は、二〇〇九年度特別会計決算認定の質疑の中で、人間ドック助成の問題を取り上げました。



後期高齢者医療制度導入前の二〇〇七年度には全国で七百二十三の市町村が七十五歳以上の高齢者の人間ドックに助成をしていましたが、同制度が導入された〇八年度には百四十一に激減。国民の批判を受け、〇八年七月から、長寿・健康増進事業として、人間ドック受診の公費助成分全額を国が特別調整交付金として負担することになりました。これを活用して助成を再開する自治体も増え、〇八年度末には二百三十四市町村になりました。

さらに、厚生労働省は〇九年十月「長寿・健康増進事業における人間ドックの費用助成について」という通知を出し、市町村に対しこの助成事業について十分に周知するとともに、〇九年度中の追加実施と一〇年度実施に向けた検討を要請するよう求めました。



大眉議員は、こうした経緯を指摘した上で、〇九年度に人間ドックの助成を行った県内市町数や受診人数、今年度実施の市町数などについて質問。今年も年度途中での追加実施を決めた市町があった場合も交付金を支出するよう求めました。

これに対し、広域連合当局は答弁で、県内四十一市町中十三市町で助成が行なわれていることを明らかにし、年度途中でも交付金支出は可能だと明言しました。

広域連合議会答弁生かし三木市議会で要求

三木市では七十五歳以上の高齢者の人間ドック助成は行なわれていません。ことし三月議会で日本共産党のくろしま妙子議員が質問で取り上げ、実施を求めましたが、「他市の状況等も調査して検討したい」との答弁にとどまっていました。

大眉議員は、八月二十日の三木市議会民生消防常任委員協議会で、前日の後期高齢者医療広域連合議会での当局答弁を紹介し、七十五歳以上への人間ドック助成を行なうよう再度、求めました。

これにたいし、三木市の北井信一郎理事は「四月にさかのぼり人間ドックの助成ができるよう補正予算に組んで九月議会に提案したい」と述べるなど、助成実現へ一歩踏み出しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

広域連合特別委員会—ねりき議員が会派意見表明

暮らし守る国の責任後退:広域連合設立に反対

ねりき恵子議員
兵庫県議会「広域連合に関する特別委員会」が八月二十日、開かれ、関西広域連合(仮称)設立について各会派による意見表明が行われました。

関西広域連合は、「分権型社会の実現をめざす」として、関西の府県・政令市と経済団体が参加する準備組織が設立をすすめていますが、住民福祉に対する国と自治体の責任を後退させる「地域主権改革」「分権改革」を地方からすすめるねらいをもつもの。地方自治を壊す「道州制」につながる危険も指摘されています。

意見表明で、各会派は—

「分権型社会への転換に向け国会で継続となっている(地域主権)三法案を一刻も早く成立させるべき」(自民)

「広域連合設立は民主党がすすめる地域主権改革を地方から推進しようとするもの。早期に必要」(民主党・県民連合)

「国の出先機関改革の受け皿となる広域連合を設立することで地方分権改革をすすめることができる」(公明)

—などと発言。「地域主権改革」をそろって賛美し、関西広域連合の設立に賛同を表明しました。

一方で「広域連合は道州制とはまったく別物であり切り離して進めていくべき」(自民)と述べるなど、「関西州設立」を明言する大阪などとの思惑の違いも垣間見えています。

これに対し、日本共産党のねりき恵子県議は、「広域連合の設立の主な目的は、国の出先機関が廃止されたときの受け皿になることで、そういう改革は、道州制への方向と一体のものとして議論されている」とのべ、関西経済界が「道州制へのステップ」と位置づけていることも指摘。「国民、県民のくらしや安全、福祉、教育における国の本来の責任を後退させ、地方に押し付ける危険性がある」「住民合意もない」として設立に反対しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

「行革」特別委員会—新町議員が質疑

景気にもマイナス影響 「新行革プラン」改めよ

新町みちよ議員
兵庫県議会「行財政構造改革調査特別委員会」が八月十七日、開かれ、日本共産党の新町みちよ県議が質疑を行いました。

今回の委員会では、兵庫県の「二〇〇九年度決算見込み」が報告されました。法人関係税など県税が大幅に減少(△14・9%)し、その分地方交付税等が増加(+19・3%)しています。

自民党県議から「地方交付税に頼らずに自主財源の検討を」との質問をうけ、県当局は、「以前検討して、県民緑税を導入した。今後、国に安定した地方財源を求めていく」と答弁しました。

新町県議は、「消費税の増税は、消費をさらに冷え込ませる」と批判し、日本経済の大手企業の外需頼みの限界が経済成長率や決算にもあらわれていることを指摘。

兵庫県の雇用状況(〇七年時点)は、就業人口が増えているのに、正規雇用が十五年前から約二十四万人も減っていることを取り上げ、県自身が財政の悪化を理由にした「新行革プラン」で、非正規雇用・官製ワーキング・プアーを増やし、福祉医療の削減をすすめているのは、景気にマイナスの影響を与えており、暮らし安心の県政に転換する必要があると主張しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)


西宮ハローワーク前で対話・宣伝

「福祉を大切にするため根本的に考えて」と願い託す人も
日本共産党いそみ恵子県議候補も参加

生きてく・はたらくネットワークが各地のハローワーク前での宣伝・対話にとりくんでいます。八月十九日は神戸と西宮で行いました。

神戸のハローワーク前で対話した二十四歳の女性は、以前は不動産会社の営業をしていました。少ない時には十二、三万円、残業代も出ないという低賃金のため退職したといい、「残業代を払ってほしい」とアンケートに答えました。

保育士をしていたけれど人間関係で退職したという女性は、「介護や保育など福祉をもっと大切にするために、根本的に考えてほしい」と願いを語りました。

西宮のハローワーク前では広告代理店の営業で一日十四時間労働、体と心の健康が心配で辞めたという二十五歳の男性と対話。「いつも帰りは深夜だったけれど、残業代は出なかった。この業界は当たり前ですよ」といいます。

残業代不払いという違法が当たり前のように広がっていたり、一生懸命働いても生活できるだけの給料が支払われていない、という実態がここでもみられました。

西宮での宣伝には日本共産党の、いそみ恵子県議候補も参加。青年たちと交代でハンドマイクでの訴えやアンケートに取り組みました。

いそみ氏と対話した六十代の人は、長年働いてきた職場を追われ、現在、夫婦で求職中。「共産党、頑張ってくれなアカンで」との声に、いそみ氏は「期待に応えてがんばらなくては」と決意を新たにしました。


写真:青年といっしょに宣伝するいそみ氏

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

神戸市敬老パス:値上げは止めて! 無料に戻して!

市長への要請(9月6日)を前に市民連絡会が署名統一行動

神戸市の「敬老パスの無料復活を求める市民連絡会」が、ことし十月からの値上げ中止と無料復活を求める運動を展開していますが、九月六日の神戸市との交渉を前に、街頭での統一行動など、取り組みを急速に強めています。


八月二十三日夕には神戸大丸前で、四十人あまりが、横断幕を掲げ、ハンドマイクで訴えながら、署名を呼びかけました。

介護実習をしてきたという二十一歳の学生も「敬老パスの有料化は気になっていた」と署名に応じました。

日本共産党からは市議、市議候補者、県議候補者らも参加しました。

写真:若い人たちも署名に応じていました=8月23日、神戸大丸前

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

被災者支援法改正へ署名運動

すべての被災者救う制度に

全国災対連や復興県民会議は、被災者生活再建支援法の抜本改正を求める署名運動にとりくんでいます。

被災者支援法は、二〇〇七年の「第二次改正」時の付帯決議として、四年後をめどに支援限度額を見直すことなどが盛り込まれています。二〇一一年の改定にむけて、支援金の上限三百万円の引き上げ、店舗や事業所への適用、適用要件の緩和など抜本改正へ、世論と運動がいよいよ重要となっています。

署名は、法適用条件の大幅緩和や支給限度額の大幅引き上げ、半壊・一部損壊世帯への支援など「被災者すべてを救済する制度」に改善すること、「生業を維持するために必要な施設・設備」も法の対象とすることなどを求めています。

支援法の適用要件などをめぐっては、これまでの「一市町村で住宅十世帯以上の全壊」という基準を、「人口十万未満の市町村は五世帯以上の全壊」「人口五万人未満なら二世帯以上の全壊」に緩和する方針を、内閣府がことし八月上旬、明らかにしています。

この問題では、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が七月二十八日の衆院災害対策特別委員会で、ことしの豪雨水害にもふれて要件の緩和を要求。答弁で中井洽防災担当相が、検討する考えを示していました。

緩和されるとはいえ、全壊が「五世帯以上」「二世帯以上」などの要件について、「被災者から見れば、他の被害がどれだけあるかは関係ない」という指摘もあり、すべての被災者が救済される制度へ抜本的な改善が求められます。
署名用紙は、「全国災対連」ホームページからもダウンロードできます。http://www.zenkoku-saitairen.jp/

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

ひとコマまんが

傘にしがみつく夏の虫


宮崎潤二

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

荒田平和ぼんおどりの輪さらに広がる



神戸市兵庫区の「荒田平和ぼんおどり」が八月十九、二十日宵、同区の荒田公園で行われました。

一九六七年から行われ、震災での中断を経て、ことし再開四年目です。地域の住民や三菱重工、川崎重工など地元の労働者たちも協力して運営。日本共産党の大かわら鈴子市議(左写真左)や荒田在住の井村ひろ子県議候補(同右)らも実行委員会メンバーとして尽力。荒田婦人会の有志もそろいの浴衣で盛り上げています。

ことしは例年以上に案内ポスターを掲示してくれる店舗が増えるなど、平和・核兵器廃絶の世論の高まりが反映しています。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

普天間基地無条件撤去訴え23行動

猛暑でもがんばった

安保破棄兵庫県実行委員会は、毎月二十三日に行っている「23行動」を八月も実施、普天間基地無条件撤去などを訴えました。

最高気温三十五℃の猛暑のなか、熱中症の心配をしながらの行動でした。いつもなら横断歩道の前で信号待ちする乗降客や通行人も、この日は駅構内で日差しを避け、信号が変わると一気に横断して行きます。

それでも桂仲二郎安保破棄兵庫県実行委員長らの訴えにこたえてビラを受け取り「暑いのにごくろうさま」と母娘が並んで一緒に署名してくれるなど、いつもより短時間できりあげたなかで十筆の署名が集まりました。

(安保破棄県庫県実行委員会・後藤浩)

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

難病のりこえ口笛奏者に

音楽は生きる喜び:小西智さん

7月31日にひらかれた兵庫県父母と教職員夏のつどいの文化行事に出演した小西智さん(27)=姫路市白鳥台=。透き通った音色と豊かな響きの口笛演奏で、参加者を魅了しました。国内・世界のコンクールに出場するとともに、難病をのりこえ、この春から介護職員めざして勉強をつづけています。

左手にマイクを持ち右手で大きくリズムを刻みながら、神経を集中し、1曲1曲、音をつくりあげます。体力消耗は激しく「演奏は1時間が限度」と言う小西さん。子どものころから、重い喘息に苦しんできました。季節の変わり目、とくに真冬は最悪の状態だと言います。

5歳のとき、4歳年上の兄が口笛を教えてくれました。どんな曲も自分自身を楽器に、いつでもどこでも、演奏できるおもしろさ。音楽と口笛は、小西さんの人生に欠かせないものになりました。

会社勤めをしていた4年前、激しい喘息発作とともに、からだ中の毛が一気に抜ける全身脱毛症を発病。免疫力低下が原因と考えられ「治療法はない」と医者に告げられました。

生きる気力もなえ、引きこもりそうになる心を、家族と、口笛が支えてくれました。

2年前、テレビ番組で、日本口笛音楽協会主催の全国コンクールを知りました。「これに挑戦してみよう。前をむいて生きてみよう」と決意。すぐに課題曲「春のうた」のテープを送り、予選通過。昨年3月の決勝大会で課題曲「ドレミの歌」と自由曲「アルルの女」を演奏し、4位入賞。

ことし5月、中国青島でひらかれた世界コンクールにも、テープ審査を勝ち抜き、出場しました。体格も年齢も倍以上の、アメリカや中国など世界トップクラスの口笛奏者と同じ舞台に立ちました。「緊張から一瞬音が出ませんでした。でも、すぐ開き直って演奏しました」と笑います。再度の世界大会挑戦を決意しています。

口笛は、唇のすぼめ具合、息の調節、舌と喉の微妙なふるえで、つくりだします。小西さんが出せるのは3オクターブ。正確な音程が求められ、音色、音量とも演奏者によって異なります。

「まったく教科書のない世界。大好きな音楽を、自分の身体でどう響かせるか、自分なりの方法を編み出すしかありません」

いまは、より高度なウォーブリング奏法を習得しようと練習中です。バラード曲が得意で、これからやってみたい曲はモンティー作「チャルダッシュ」。オーケストラとも共演したいと考えています。

病気とたたかう息子を見守ってきた、母親の雅恵さん(54)は「智は、たくさんの人に声をかけてもらって育ってきました。以前は私の後に立っていた息子を、いまは私が後から追いかけています」と語ります。

死と向きあった経験から「生まれてきてよかった。精いっぱい生きよう」と昨年会社を退職。介護福祉士になるため勉強中で、音楽療法士もめざしています。障害者施設での演奏機会が増えました。

「口笛演奏の魅力を広めたい」と、積極的に演奏活動をつづける計画です。問い合わせ☎079・266・7627(小西)



写真上:兵庫県父母と教職員夏のつどいで「アルルの女」などを演奏しました=7月31日
写真下:「日本でも口笛を楽器として認知させたい」と話す小西さん

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)