日本共産党の提案実る
兵庫県議会の六月定例議会が三日から十一日の会期で行われました。参院選を前に、与党各会派が代表質問で「本日民主党も衣替えする。衣装替えでなく、中身を変えていただきたい」(自民)、「マニフェストで掲げた政治主導、地域主権、子ども優先の考え方はこの国の歩むべき方向として間違っていない」(民主)と「応酬」しつつ、そろって福祉・住民サービス切り捨ての「行革」「地域主権改革」を知事に迫りました。日本共産党は、県民の立場で議案をチェックし、意見書や請願の採択のため奮闘しました。
議案:新卒者の就職へ、奨学金杖返済猶予など経済的支援も
日本共産党は、就職難の中、早期化・長期化する新卒者の就職活動のルールづくりなどを求める国への意見書案を提案し、全会一致で可決されました。
公明党も同テーマの意見書案を提案していましたが、根拠のない「学生の大企業志向」などの表現が含まれていました。日本共産党はこれを削除させるとともに、公明案にはなかった「就職活動にかかる費用の貸付制度や奨学金の返済猶予」などの経済的支援を盛り込ませました。
議案:県営住宅の戸数減、県施設の指定管理者まかせに反対
日本共産党は、格差と貧困がひろがり、家賃の安い県営住宅が不足する中で、建て替えにより大幅に戸数を減らすことになる工事の議案に反対。また、県がつくったボート係留施設の運営を指定管理者にまかせ、利用料金を議会のチェックなしに値上げすることが可能になる議案にも反対しました。
ねりき恵子議員が十一日の本会議で討論を行いました。
請願:「慰安婦」問題早期解決
今議会には、「日本軍『慰安婦』問題の一日も早い解決」「選択的夫婦別姓の実現」を求める女性の人権にかかわる二件の請願が、新日本婦人の会兵庫県本部から提出されました。
十一日の本会議で討論に立った日本共産党の新町みちよ議員は、『慰安婦』問題の解決を求める件について、九三年の河野洋平官房長官談話で日本軍の関与を政府として認めた後も、閣僚などから否定的発言が相次いでいることから「国としての謝罪は果たされていない」と指摘。「補償は条約等で決着済み」とする他会派の意見について、「当時議論の対象にもされなかった『慰安婦』問題が解決ずみといえないのは当然」と批判し、「被害女性の高齢化のなか一日も早く解決すべきだ」と請願の採択を強く主張しました。
請願:女性の人権尊重を
「選択的夫婦別姓の実現」を求める件について、新町議員は、同姓の強制が女性にさまざまな不利益・不平等をもたらしている事実を指摘し、「憲法で保障された「個人の尊厳と両性の平等」の精神を生かすべきだと主張し、採択を求めました。
両請願には日本共産党と無所属議員の一部が賛成しましたが、自民・民主・公明などが反対し、否決されました。
請願:核兵器廃絶、核密約廃棄を要求
今議会では、昨年十月から継続審議になっていた、「『非核日本宣言』及び『非核兵庫県宣言』」を求める請願と、「核密約の全容の公表、破棄、非核三原則の厳守」を求める請願について結論が出されました。
NPT国際会議など核兵器廃絶に向けた機運が高まり、兵庫県議会でも、平和市長会の要請を受けて今年三月「核兵器廃絶と恒久平和の実現に関する意見書」を国に提出するなどの変化が生まれています。
このような中、「非核日本・兵庫宣言」を求
める請願について、付託された総務常任委員会では賛成が過半数となり、「採択すべき」という審査結果が出されました。しかし、自民が、本会議で「(NPT再検討会議ですでに国際社会に宣言を)行っている」「県の宣言には県民にさまざまな意見がある」(十一日、本会議)などとして反対したため、採択に至りませんでした。
一方、「核密約」についての請願は、核搭載の米艦船や航空機の寄港・通過を認める核密約(討論記録)の存在が明らかになっているにもかかわらず、調査が終了したことなどを理由に、自民・民主・公明とも反対。
日本共産党の新町議員は、「討論記録」を核密約と認めアメリカに廃棄を迫ってこそ「非核日本宣言」や非核三原則が実効あるものになるとして、両方の請願の採択を主張しました。
問われる民主党の態度
民主党は、核密約破棄の請願に反対し、非核日本を求める世論に背を向けただけでなく、従来自らが野党時代に国会で法案を提出して解決を求めてきた「『慰安婦』問題」や「選択的夫婦別姓の実現」の請願にも反対しました。理由について本会議での討論は行わず、口をつぐんでいますが、自ら掲げてきた政策にも反する民主党の態度が問われています。
発言の要旨
▼「慰安婦」問題
「これまでの各種条約や協定等にそって法的には解決済みとされてきており、早急な法的解決等を求めている本請願には賛同できず不採択を主張する」(九日、県議会総務常任委員会)
▼「核密約」問題
「いわゆる密約問題に関する文書はすべて公表されかつ現段階で密約が存在しておらず非核三原則を堅持すると表明された。…請願の願意は達成されたものと考え不採択を主張する」(同)
(「兵庫民報」2010年6月27日付掲載)