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2010年9月26日日曜日

神戸の造船を残そう

神船革新懇と重工労組:造船守る運動発展へ集会 


三菱重工神戸造船所からの商船建造撤退、神戸ドックの民事再生法申請など神戸から造船が消える危機が迫っている、造船を守る運動を発展させよう―三菱神船革新懇と重工産業労組神戸支部が共催で集会「神戸の造船を残そう」を九月十九日、神戸市長田区の「神戸平和と労働会館」で開き、造船労働者や地域住民など約六十人が参加しました。

集会では、久村信政・全造船機械三菱重工支部書記長が講演。物流があるかぎり船は必要、景気の波はあるが成長産業であり、裾野は広く影響は大きいなどの造船産業の特徴をあげ、不景気でも、会社が設備を下請け・関連企業に貸し、行政が歩道橋などの公共事業で仕事づくりをするなどの対策をとることで、設備と労働者を維持できれば、次の好況期に造船を再生できると指摘しました。

主催者からも大きな構えで運動を広げ、大企業にふさわしい社会的責任を果たさせようと訴えがありました。



日本共産党:県・神戸市・労働局に要請


日本共産党県議団、神戸市議団、県委員会、兵庫長田北地区委員会は、商船建造撤退の問題で、九月十四日に神戸市に、十五日に兵庫県に、十七日に兵庫労働局にと、相次いで要請を行いました(要請内容は前号に掲載)。
神戸市では谷口時寛産業振興局長が応対。三菱重工の発表直後、七月二十二日に市長が会社に対し、事業継続を申し入れていることなどを明らかにし、党の要請に対しては、一次、二次、三次という区別はせず下請け、関連企業などの実態調査を行いたいと答えました。

兵庫県では金沢和夫副知事が応対。相談窓口はつくったが、受身の姿勢ではいけないので実態把握と対策を進めたい、共産党からも意見を聞きたいと述べました。

兵庫労働局では、担当者らが、個々の企業の判断に口出しできないと言いつつ、兵庫県の産業における造船の重要性から、独自に「三菱重工神戸関連企業雇用支援プロジェクトチーム」を立ち上げ、中小企業も含めた雇用維持・支援へ制度も活用し万全の対策をとりたいと答えました。

日本共産党側からは、「地元商店街でも不安が広がっている」「関連・下請け企業では、今後二年間の受注を確保するために、三菱重工に対しモノが言えない状態になっている」「今でも深刻な雇用状況に加え大きな経済的影響が出てからでは遅い」など、この間の調査で明らかになった実態を紹介。「神戸市や県が調査も開始しており、連携して労働局も雇用の確保へ努力をすすめて欲しい」と訴えました。これに対し労働局側は、「そういう実態を教えてもらうと助かる」「関係機関とも連携して進めてていきたい」と答えました。
これらの要請には、ねりき恵子県議、星原さちよ県議、井村ひろ子元県議、木下きよ子長田区県政対策委員長、松本のり子市議、大かわら鈴子市議、金沢はるみ市議、森本真市議、山本じゅんじ市議、堀内照文党国政委員長、東俊哉兵庫長田北地区委員長らが参加しました。



写真上:神船革新懇と重工労組が開いた集会
写真:兵庫県に申し入れる(左から時計まわりに)ねりき、星原、井村、木下、山本、堀内の各氏と応対した金沢副知事=15日

(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

川西市長選に大塚寿夫氏

中央北地区開発凍結し、福祉最優先に

大塚寿夫氏
川西市長選は、市議選と同時の十月十日告示・十七日投票で行われます。

この市長選には、現日本共産党川西市議の大塚寿夫氏(71)が日本共産党公認で立候補します。

大塚氏は、一九七二年から通算三十五年、開発優先の市政をすすめる四代の市長と論戦し、市民の暮らし優先の立場で奮闘。〇二年の市長選にも立候補してたたかいました。

いま、川西市では、今後十年間に百億円も投入する中央北地区開発計画が大きな問題になっています。

大塚氏は、現在の市財政で巨額の開発予算を投じることは無理であり、市政がゆがむ、また、見通しもなく市民合意もできていないと指摘し、事業は凍結すべきだと主張。すでに公有地となっている部分は公園にと提起しています。

また、乳がん・子宮ガン検診無料化、福祉バス運行、入浴サービス継続、国保税一万円引き下げ、中学卒業までこども医療費無料化、市民病院の充実・医師確保などこそ市政がいまやるべきことだとし、暮らしを守り福祉最優先の川西市に、と訴えています。

市長選には現職市長や元市議、元衆議院議員も立候補を表明しています。

略歴:1939年生まれ。県立兵庫工業高校電機科卒業後、日本触媒化学㈱に勤務し、労働組合役員10年。72年に川西市議初当選、通算9期。


(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)


参考:「大塚寿夫 市長立候補表明」http://jcp-kawanishi.main.jp/archives/1360 (日本共産党川西市議団サイト)

県議選東灘区に、きだ結さん

日本共産党の兵庫県議選候補(第3次発表)
県議選神戸市東灘区 定数3


きだ 結(ゆい)
40歳=新=
安心できる子育てと医療を

1970年生まれ。神戸女子薬科大学卒。薬剤師として東神戸薬局などに勤務。民青同盟県常任委員など歴任。渦森台保育所父母の会元副会長。学童保育所役員。党東灘区県政対策委員長。家族は夫と小学2年生と4歳の女の子。








日本共産党兵庫県委員会と東灘・灘・中央地区委員会はこのほど、来年の兵庫県議選東灘区選挙区の候補者として新人の、きだ(喜田)結氏を発表しました。(県議選候補第1次発表は4月4日付に、第2次発表は8月29日付に掲載しました)


(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)


観感楽学

今日は三木清=「その生き方、考え方が世界的な共感を呼び、感動を与えた、たつの市出身の哲学者(たつの市HP)」=の命日です▼一九三〇年、治安維持法で検挙されますが、転向『手記』にも、その人となりがにじみます。「どのやうな思想でもそれが人々を動かし歴史を作りつつあるものである限り、そこには必ず何等かの真理が含まれてゐるのでなければならぬ…かくして私はマルクス主義のうちに含まれる真理内容を闡明することに努力して来た」▼その後「東亜新秩序建設のための戦争は道義戦争である」と言うまで、体制順応に陥りますが「戦時認識もまた科学的基礎に立たなければならぬ」といった発想すら軍部は許容しません。四五年、再投獄され、衛生状態劣悪の豊多摩刑務所で病状悪化のまま放置されて死去▼日本政府が「基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」とのポツダム宣言条項を全く無視している中、敗戦から四十一日も経っての獄死です▼世界的レベルの知的営みをも無惨に踏みにじった戦争体制。その本質的総括も、この国はまだできていません。六十五年は短いのでしょうか?(S)


(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

復興県民会議、兵庫県と話し合い

被災者の実態把握と必要な支援を

阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は九月十七日、神戸市中央区の県職員会館で、八月に兵庫県に提出していた要望書の回答を、復興支援課などから受けるとともに、重ねて必要な被災者支援策を求めました。

いまも一万人以上が返済している災害援護資金では、少額償還制度を知らずにサラ金に手をだし、せっぱつまって相談にきた例など、返済が大きな負担となっていると指摘。生活保護基準以下の暮らしの人が多く、返済は免除すべきと求めました。

災害援護資金をはじめ住宅再建ローンなど、いまなお借金返済に苦しむ実例を示し、新ためて震災十五年の生活再建の実態調査を求めました。県側は、「借金返済など困っている方の実態は、ひき続きつかむようにしたい」と述べました。

県が災害復興住宅として借り上げた住宅の二十年間の期間延長について、県の担当者は、「まずは入居者にアンケートで意向を聞き、判断したい」と延べました。

被災者生活再建支援法の二〇一一年改定にむけた制度拡充について、県側は、半壊への適用は必要という考えを示しました。県民会議側は、「支給金額引き上げ、生業施設や一部損壊への適用も国に求めるべきだ」と重ねて要望しました。

このほか、支援法に準じた「特例救済措置」を国にもとめること、災害復興公営住宅の見守り体制の抜本的拡充、県営住宅家賃滞納者への生活実態を考慮した対応、アスベスト対策、震災障害者の調査と必要な対応などについて話し合いました。

(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

保険医協会が受診抑制の実態調査

お金が心配で医療が受けられない

兵庫県保険医協会が受診抑制の実態調査を行い、9月15日、その結果を発表しました。

この調査は全国保険医団体連合会の呼びかけによるもので、治療中断事例と、中断に至らなくても投薬・検査を断られた事例を現場の医師に聞くもの。7月下旬に正会員のうち医師・歯科医師5,208件にファクスでアンケートを配布。8月下旬までの1カ月間で、病院医師60件、医科診療所605件、歯科診療所172件―総数839件から折り返しファクスで回答が寄せられました(回収率16%)。

治療中断:37%の医師が経験

「この半年間に、主に患者の経済的理由から、治療を中断・中止した事例があったか」との問いに、37%の医師が「あった」と回答。特に歯科診療所は48%にのぼっています。

中断・中止した患者の病名は、糖尿病(104件)、高血圧(99件)、高脂血症(46件)が上位。歯科では歯周病(34件)が多く、いずれも自覚症状がありませんが、放置すると深刻化するものです。

「前立腺がん患者が『調子がよいから薬はいらん』と治療を勝手に中止。『この薬は中止したらだめです』と説明しても、やはり『いらん』と言われた」「骨折でギプスを外したとたんに来院しなくなった」「『この仮歯で十分です』と中断された」などの事例が報告されています。

検査・投薬拒否:47%が「ある」

患者に検査や投薬を断られた事例はさらに多く47%。こちらは医科診療所で51%と高率になっています。

断られた内容では、血液検査(143件)、レントゲン検査(54件)や投薬(42件)が上位を占めます。

「糖尿病の方から『高くなるので、薬だけでいい』と血液検査を断られた」「定期受診の患者からも『採血は来月に延ばしてくれ、今月はお金がない』とよく言われる」などの事例が寄せられています。

病院の68%が未収金抱える

診察料など患者一部負担金が窓口で払えない―未収金については、48%が「ある」と回答。病院では68%と際立っています。

薬の飲み延ばし、無保険者の増加

この他、患者の受診状況で気付いたこと(自由記入)では、「毎日服用する薬を2日に一度にする人が増えている」「薬だけ受け取りにくる人が増えた」「受診間隔を長くしたがる」「かぜを市販薬で一週間程度様子をみて、悪化して来院。気管支炎に進行し、結果的に治療が長引いた患者もある」「無保険の若い人が増えた」などが書かれていました。

***

結果発表の記者会見で同協会の池内春樹理事長らは「憲法25条の生存権保障に基づき、だれもがお金の心配なく医療を受けられるようにとの国民皆保険制度が崩されようとしていることが今回の調査結果に表れている。深刻な実態を県民に知らせ、世論を広げ、患者負担大幅軽減、後期高齢者医療制度の速やかな廃止へ運動していきたい」と語りました。


(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが


32年間のおもいやり

段 重喜


(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

学習の気風広げた青年・学生連続講座

生き方と重ね“本質的な学び”


日本共産党兵庫県委員会の「青年・学生夏休み連続講座」は、四回目の「革命論」(九月十三日)、五回目の「綱領」(同十六日)を終え、全日程が終了。民青同盟に加盟していない学生も含め、のべ八十人が参加し、青年・学生の中で、科学的社会主義や日本共産党綱領を学ぶ気風を広げるものとなりました。
四回目の「科学的社会主義の革命論」は県常任委員の小林明男氏を講師に行いました。

小林氏は、「革命論は、科学的社会主義の中心をなす分野ではあるが、同時にマルクスやエンゲルスのまとまった著作がなかっただけに、新しく研究しなおされている分野」と話し始め、不破哲三著『マルクス・エンゲルス革命論研究』の内容もふまえながら展開しました。

参加者からは、「労働者、被抑圧者の思いから生まれる革命は、社会の本当の姿を求めるものなんだと思った。普通選挙を革命論的観点から見た考え方は、自分にとって、とても新鮮なモノでした」「改めて、政治や社会が市民の運動や声、そして市民の認識の発展によって変わるということを確認で↖↘きました。昨年の総選挙で自民党政治を終わらせ、民主党にも失望するという体験を通じて、国民の認識そのものも発展していることを改めてよくつかむ必要があるなと思いました」などの感想を寄せています。
五回目は、岡正信党県委員長を講師に、「学生の生き方と党綱領、第二十五回党大会決定」を学びました。

岡氏は、自身の生い立ちから「戦争はダメだ」と、教師として平和運動にたずさわった経験を紹介した上で、戦前の党のたたかいから綱領の内容を紹介しました。

討論では、「綱領は、なぜ戦前の記述から始まっているのか?」などの疑問から議論が広がり、「戦前のたたかいに党のたたかいの原点があるし、いまの情勢をとらえる上でも大事な視点となる」と深まりました。

参加者からは、「綱領を改めて読んでみると、内容の深さを感じる。近代化以降、資本主義の発展とともに歩んできた党の歴史は、他のヨーロッパにおける共産党と違い、理論的な深化とともにあったように思う。表層的な流れにとらわれない、本質的な学びをこれからも進めていきたい」「党綱領が、戦前から書かれている理由が『戦前の党のたたかいを知らないと現代の問題も見えず、解決できない』というのは、なるほどと思った。こういった土台があるからこそ、今の党の綱領や政策があるんですね。また党の理論の発展を感じることもできてよかった」などの感想が寄せられました。
この他の回の主題と講師は、第一回「大学での学びと学生時代にマルクスを学ぶ意味」―石川康宏神戸女学院大学教授、第二回「科学的社会主義の哲学」―鰺坂真関西大学名誉教授、第三回「科学的社会主義の経済学」―林直道大阪市立大学名誉教授―でした。

写真:第五回、日本共産党綱領を学ぶ青年たち
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

レッドパージ :生きている間に名誉回復を (2)

思想信条の自由は決して奪えない
赤田義久さん(84)神戸市垂水区

神戸市兵庫区で生まれ、姫路高校で学びましたが、戦時中は勤労動員の毎日。45年春、東京大学法学部に入学しても、神奈川県座間の飛行場をカボチャ畑にする作業がつづきました。この戦争には勝てないと思いました。

6月、召集令状が届きました。神戸の家が空襲で焼け出されたため、所在がわからず、令状が宙ぶらりんになっていたのです。すぐに長崎県大村の軍隊に入りました。

8月終戦。復学し49年卒業。川崎重工に入社しました。戦後初の学卒者として、東大からは私を含む2人が入りました。配属は労務課です。労働組合対策が仕事でした。労働協約の改訂を担当しました。もちろん私自身も労働組合員で、翌年には職場委員になりました。90人の職場です。

入社式で突然社長が「共産主義をどう思うか」と聞いてきたので「キリスト教の博愛精神も入っている」と答えました。社長や役員たちが、驚いた顔をしていました。

50年3月ごろ、身上調査がおこなわれ「支持する政党」の欄に「社会党より共産党の方が良いと思う」と書きました。当時もいまも共産党員ではありませんが、思想信条の自由は決して奪えないが私の変わらぬ信念です。

半年後の10月、会社は従業員105人に退職勧告通知書を速達証明で送りつけました。「直接間接に会社運営に支障を与える危険性のある者」「扇動的言動で他の従業員に悪影響を与える者」が理由です。

「職場離脱が多い」「職場集会で反米演説をおこなった」など、私への退職勧告理由も嘘でかためた内容でした。

添付された退職願の書類に署名捺印すれば退職金、予告手当のほかに餞別金を上積みするというものです。

私を含め15人が提出を拒否しました。

私たちは門前で抗議行動をつづけ、解雇無効確認の仮処分と本裁判をたたかいました。

機をあわせたように労働組合執行部を、社会党系が占めていました。組合は、数回団交をおこないましたが、解雇通知から5日後に「赤色追放やむなし」と会社案承認を全体投票で可決しました。私たち被解雇者は、その投票権も剥奪されていました。

神戸地裁判決では55年12月、原告81人中、辞職願不提出者5人と提出者66人が勝訴、不提出者10人が敗訴しました。「依願退職」をした多くも川重解雇の前歴が明らかになると、次の職場をクビになっていました。

商店店番や行商をしていた私は、原告仲間の紹介で、大阪の倉庫業労組の連合会事務局に職を得て、定年まで働きました。給料は中卒者の7割ぐらいでした。初め5年間は、年金も健康保険もありません。

63年2月の高裁判決は、1審勝訴中3人のみ勝訴。65年12月の最高裁判決は、全原告の上告棄却で「解雇は有効」という内容です。最高裁は、私たちが問いただした、50年7月の総理大臣あてマッカーサー書簡への判断をとうとう明らかにしませんでした。

解雇から15年にわたる裁判闘争でした。井藤誉志雄弁護士は一貫し、手弁当で代理人を務めてくれました。毎回法廷終了後、原告や傍聴者を喫茶店に連れて行ってくれました。手弁当どころか持ち出しです。

当時、私たち自身が弱体で、裁判支援の世論を広げられなかったことが悔やまれます。

川崎義啓さんら3人のレッドパージ兵庫訴訟のたたかいは、すばらしい。私も支援しています。

写真:「最高裁判決を読み、正直、裁判官を哀れに思った」と語る赤田さん
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

北はりま教育9条の会:街頭で憲法シール投票



「北はりま教育9条の会」は、憲法9条を変えるのに賛成か反対かを市民に問うシール投票を9月20日、三木市の志染コープ前でおこないました。

これまでは月1回、下校時の高校生を対象に夕方、駅頭で実施してきました。休日の午前中は、今回初めてのとりくみです。

稲次寛事務局長ら4人が、投票ボードと署名用紙を持ち、買い物客らに呼びかけました。人通りが予想外に少なかったため、約1時間の行動で、憲法改悪反対の署名43筆、改悪反対のシール投票20人でした。

「もちろん『守る』でしょ!」とブレのない女子高校生2人。「9条って何ですか?」と尋ねる子ども連れの女性。学校でまだ習っていないという小学校5、6年生には、さっそく9条の条文をパネルで示し、青空授業が始まりました。

「9条は守ったらええねん。きょうはここに買い物に来て、いい署名に出会えた」、77歳の女性は笑顔で話していました。

写真:小学生に憲法9条を説明する「9条の会」の教師たち
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

「9条の会・かわにし」5周年のつどい


沖縄の基地問題を考える

「9条の会・かわにし」(瓜谷修治代表世話人)の結成5周年のつどいが9月19日、川西市文化会館でひらかれました。「映画と講演で沖縄の基地問題を考える」をテーマに、約120人が参加しました。

同会は、これまでに「映画・日本国憲法」のプロデューサー山下徹二郎さん、無言館館主窪島誠一郎さんをはじめ、弁護士やアメリカ人ジャーナリスト、落語家らを講師にむかえてきました。

また、毎月9日、市中心部での街頭宣伝を、結成以来欠かさずつづけています。

今回のつどいでは、瓜谷代表世話人が「沖縄の基地問題を日米安保体制下の日本の問題として深く考えよう」と挨拶したのに続き、ドキュメンタリー映画「辺野古不合意」が上映されました。

映画は「米軍再編」合意以降、稲嶺進市長誕生までの14年間、名護市に投じられた基地振興資金800億円の行方を追及。ほとんどが利権と結びついた箱物建設に使われている実態を告発しています。

講演は同映画監督の輿石正さん。地元負担金10%と維持経費が、現市政の財政を圧迫している状況を説明し、「使われているのはすべて税金。沖縄の状況をきちんと共有しよう」と強調しました。

写真:沖縄の米軍基地をめぐる問題について語る輿石正さん
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

兵高教組女性部総会で西谷文和さん講演

米軍増強へ日本の税金

兵庫県高等学校教職員組合女性部(高橋満子部長)の10年度総会が9月18日、神戸市勤労会館でひらかれました。

2部の学習会では、イラクの子どもを救う会代表のフリージャーナリスト、西谷文和さんが「いまアフガニスタン・イラクで何が起こっているのか」と題し、約60人を前に講演しました。

「昨年から集中的にアフガニスタンを取材している」と述べ、ことし6月にも行ってきたと言う西谷さんは、映像をもとに現地の状況を説明しました。

劣化ウラン弾やクラスター爆弾の犠牲になった子どもたちの姿を示し「アフガン戦争が始まって9年、イラク戦争は7年になる。オバマ大統領になっても、戦争は終わっていない。アフガンやイラクの子どもたちは、戦争しか知らない」と語りました。

また報道されない現実として「沖縄がアフガンやイラクとリンクし、普天間基地が人殺しの戦争のためにある事実をメディアは伝えていない」「自公政権がおこなっていたアメリカ艦艇への給油を止めた一方で、民主党政権は50億ドルのアフガン支援を約束した。その金が、難民キャンプの人たちや誤爆された子どもたちに届くのならまだいい。米兵3万人増強にともなう基地拡張、道路・下水道建設に日本の税金が使われるおそれがある」と述べました。

写真:アフガニスタンとイラクの現状を語る西谷さん
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

神戸ドラマ館ボレロ「ぬけがら」

「脱皮」し、父が6人に

神戸ドラマ館ボレロ(三村省三代表)が「ぬけがら」を10月1日から3日間4回、神戸アートビレッジセンターで上演します。劇団B級遊撃隊主宰、佃典彦さんの岸田國士戯曲賞受賞作品で、演出は三村さんです。

舞台は、鈴木卓二郎(82)の家。妻の葬儀翌日ですが、認知症の卓二郎は、妻の不在の意味がわかりません。息子の卓也が交通事故を起こし、郵便局をクビになったショックが死の誘因です。

離婚も迫られ苦境の息子に突然「俺がひと肌脱いでやる」と、言葉通り「脱皮」した卓二郎。60歳代、次には50代、40代、30代、20代の姿で出現。6人が入り乱れ息子に語りかけます…。戸惑いながらも、父の真意を知った息子は進む道を見いだします。「発想のおもしろさがこの芝居の魅力」と三村さんは言います。

写真:息子と父親6人らの熱演がつづく「ぬけがら」の稽古
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

洋舞フェス「帰る あの木のところへ」

雨粒一滴2千年の旅


藤田佳代舞踊研究所はじめ県下5団体が創作ダンス「帰る あの木のところへ―一滴の雨粒の2000年の旅」を10月9日、神戸文化ホールでひらかれる「ひょうご洋舞フェスティバル」第2部で発表します。

台本は同研究所の菊本千永さん。6人が振り付けを分担し、フンメル作曲「ピアノ五重奏」(全6楽章)にのせて、ダンサー43人が踊ります。

雨雲から落ち、木の葉に受けとめられた一滴の雨粒が、仲間の雨粒といっしょに、根から大地へ、小さな水流から川へ、海へと下ります。そして水蒸気になり、雨雲となって再び、同じ木の葉の上に落ちるまでに要するといわれている2千年の壮大な旅を、群舞で表現します。菊本さんは「いま降った雨粒が、2千年後もまた大地に返ってくるよう、地球の未来を踊りに託しました」と語ります。

写真:「帰る あの木のところへ」の稽古風景
(2010年9月26日付「兵庫民報」掲載)

2010年9月19日日曜日

介護療養病床なくさないで

病院も「困っている。共産党にも話を聞いてもらいたい」
杉本ちさと県議が病院を訪問・実情を聞き取り

政府が来年度末までに介護療養病床を全廃するとしていた問題で、八月三十一日、杉本ちさと県議が姫路市内の病院で関係者の話を聞き、実態を調査しました。

この病院は、百床の介護療養病床を持ち、現在も満床。胃ろう(おなかと胃に小さな穴をつくり、チューブを通して栄養を摂取すること)などの医療と介護の両方が必要な高齢者が入院しています。最高齢者は九十九歳。多くが認知症などを持ち、寝たきりです。

調査のきっかけとなったのは、八月下旬、九十歳の母きよさんを入院させている長男の田中隆夫さん(61)が「年内で介護療養病床をすべて閉めるので出てほしい」と連絡を受けたことです。

話し合いの中で病院側が「うちとしても困っている。国や県の対応も含め、共産党県議さんにも話を聞いてもらいたい」と話したため、杉本県議が訪問し、院長・副院長・事務長と懇談しました。

行き先失う患者

病院側からは、「百人の患者さんのご家族の七~八割と話をしたが、在宅OKという人は一人もおらず、みなさん困惑されている」「患者さんの行き先は特養か老健などしかないが、特養はそれぞれ何百人待ちの状況だし、胃ろうなどが必要な場合受け入れてくれる施設は少ない」「民主党が総選挙で療養病床廃止凍結を公約に掲げていたので安心していたのに」「家族もおらず特養の個室にも入れない生活保護者への対応も含め、県には何度も相談しているが、話を聞くだけでらちが明かない」などの実態が話されました。

県も責任果たすべき

杉本県議は、「お年寄りの命にかかわる問題なのに、民主党の公約破りは許せませんね。療養病床廃止をやめさせるよう力をあわせましょう」「県は療養病床をなくさないよう国に訴えるとともに、患者さんの行き先確保に責任を果たすべきです。追及していきます」と述べました。

田中さんは、きよさんの転院先探しに奔走しながら、「国は『医療の必要性が低い』というが追い出されれば母は生きていけない「姫路だけでなく全県、全国で同じように困っているはず。ものをいえない母にかわって民主党の公約破りを許さないよう、世論を大きくしたい」と語っています。

「2011年度までの廃止は困難」
  しかし廃止撤回は明言せず――厚労相

調査後の九月八日、長妻昭厚生労働相が衆院厚労委員会で、介護療養病床について「二〇一一年度末までの廃止は困難」として廃止期限の延期を含め改めて判断する方針を示しました。

これを受け、この病院は当面、介護療養病床を継続する見込みですが、国が廃止撤回を明言しないため、患者と家族の不安に変わりはありません。

もともと、この計画は、旧自公政権が一一年度末までに医療療養病床(医療保険適用)を二十五万床から十五万床に減らし、介護療養病床(介護保険適用)を十三万床からゼロにすることを〇六年に決定(その後医療療養病床は二十二万床程度残す方針に転換)。兵庫県も国の方針にそって県内の介護療養病床約四千六百床を全廃、医療療養病床を約一万床から九千二百床に減らすとしていたものです。

民主党は、昨年の総選挙時の政権公約に「療養病床削減計画の凍結」を掲げましたが、一月二十七日の参院予算委員会で長妻昭厚生労働相が「基本的に(介護療養病床の)廃止というような方向性は変わりません」と答弁し、批判をあびました。

写真:介護療養病床の田中きよさんを見舞う杉本議員(中央)と田中氏
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

三菱重工に社会的責任果たさせ、地域経済・雇用を守れ

日本共産党が兵庫県と神戸市に要請


日本共産党兵庫県議団、神戸市議団、県委員会、兵庫長田北地区委員会は、九月十四日に神戸市長に対し、十五日に兵庫県知事に対し、三菱重工神戸造船所の商船建造からの撤退計画に関し、要請を行いました。

日本共産党は、今回の撤退計画は日本有数の大企業が当面の利益確保のために行った判断であり、震災以降不況で苦しむ地域経済や雇用への責任をまったくかえりみないものだと批判。兵庫県ではかつて相生市で石川島播磨工業のリストラによって深刻な地域経済・社会が打撃を受けた歴史があり、同じ事態を生まないよう自治体の役割は重大だと指摘しています。

また、非核「神戸方式」を行っている神戸港の中で、潜水艦・原子力に特化することも市民・地域の理解を得られるかと疑問を呈しています。

地域経済・社会に大きな責任を持つ企業としての社会的責任を求めることは行政として当然の態度あり、また、行政から支援をしてきたことからも、三菱重工に対し県民の立場でものを言うべきだとして、別記(上の囲み)の三項目を県と神戸市に求めました。

県と神戸市に対する要請項目

一、三菱重工に対し、神戸造船所の商船撤退計画を見直し、地域経済・社会をふまえ事業計画を策定することを求めること。

二、三菱重工に対し、二次以降の下請けも含めた仕事と雇用を確保し、地域経済・社会への社会的責任を果たすことを求めること。

三、相談窓口の開設だけでなく、二次以下の下請けも含めて関連事業所の実情をつかみ地域経済・雇用への影響を把握し対策を検討すること。

写真:神戸市へ申し入れる(右から)小林明男県委員会労働部長、堀内照文兵庫国政委員長、松本のり子神戸市議団長、大かわら鈴子市議(兵庫区)=9月14日
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学


最低十一円、最高三十円、全国平均は十七円―卵一個の価格ではなく、最低賃金の時給引き上げ額です。全都道府県いずれも十円以上の引き上げで、平均時給は七百三十円になったとの改定状況が発表されました▼兵庫県の最低賃金は、十三円引き上げで七百三十四円になりました。それでも一日八時間働いて五千八百七十二円、一カ月二十五日働いて十四万六千八百円です▼私の仲間の一人は母子家庭。高一、中二、小六、小二の四人の子どもを育てながら、スーパーのレジで働いています。必死で働いても月給約十五万円▼最低賃金法は「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と定めています。兵庫労働局は「逆転現象」を解消したといいますが、生活実態は厳しい▼結婚もできない、子育てもできない。前総理のように一カ月千五百万円の小遣いを親からもらえるような政治家と、五人が一カ月十五万円で生活しなければならない前述の母子家庭の貧しさ。怒りは、やはり「貧しい政治」へ▼今回の最低賃金改定は、貧困打破の運動・世論の成果でもあります。さらに、「時給千円」も実現したい。(た)

(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党神戸市議団が予算要望懇談会

市民要求の実現へ共同ひろげ全力でとりくもう

日本共産党神戸市会議員団は九月十日、神戸市勤労会館で予算要望懇談会を開催。労働組合、民主団体代表など六十人が参加しました。


懇談会では、松本のり子市議団長のあいさつに続いて、金沢はるみ議員が神戸市政の特徴を報告し、敬老パス値上げ中止・無料復活を求める運動と連携した議員団のとりくみなどを紹介しました。

子育てアンケートに寄せられた中学校給食実施、中学校卒業までの医療費無料化など、子育て世代の強い要求にたいして神戸市が「中学校は親の愛情弁当が一番」という態度を崩していないことを批判。議員団が十一年連続で提案している予算組み替えについては「実現可能なものを提案している」と説明しました。

さらに「九月議会では、共同の運動を前進させたい。あと六カ月で市議選です。激しいたたかいになりますが、市民要求実現の先頭に立って頑張りたい」と決意を表明しました。

参加者からは、市政に対する要望が次つぎと出されました。

参加者の発言から

「新中央市民病院の個室が増える。最後のとりでとして市民を守る医療が続けられるのか」(保険医協会)

「国保料滞納者には、高額療養費から滞納分を差し引いたり、財産を差し押さえするなどの不利益処分が増えている。生活を無視してしゃにむに取り立てるやり方は許せない」(社保協)

「敬老パスの値上げ中止・無料復活を求めて二万五千の署名を提出した。二十二日に、市役所前で座り込みも」(敬老パス連絡会)

「民間移管した保育所では施設の傷みがひどい。移管したんだから民間の責任だといわれる。去年は移管先に補修予算は一円もついていない」(民間移管を受けた保育所関係者)

「市営住宅と合築されている保育所で、市営住宅が廃止されるのに伴い、保育所も廃止されようとしている」(保育運動連絡会)

「障害がある子どもを預かっているが、保健師巡回指導がきわめて少ない。どう保育していいのかアドバイスを受けたいが、できていない。」(福祉保育労)

「異常な暑さで熱中症にならないか心配する。小中高にクーラーを」(新婦人)

「生保世帯などへの熱中症対策が必要だ。扇風機を使ったら電気代の請求がいくら来るか不安で、かけていない。生活困窮者に対する緊急対策がいる」(生健会)

「三菱神戸造船所の商船部門の撤退は下請けに衝撃を与えている。職員が聞き取りをして、二次、三次までの業者の状況をつかむことが必要。撤退しないで、雇用を守るよう求めたい」(兵庫民商)

「神戸貨物は、これまでごみ収集、学校給食運搬など、神戸市の業務を担当してきた。それが、組合つぶしを狙っていきなり廃業すると言ってきたが、組合員を排除して給食の配送業務は継続している。偽装倒産だ」(神戸貨物労組)

「徳山生コンの企業閉鎖とたたかっている。五十人近い従業員のうち。組合員は三十一人。組合を敵視した組合つぶしは間違いない。神戸市は、中小企業を守り、失業者の雇用を守るべき」(徳山生コン労組)

「空港の現状や海上アクセスについて、市政ウオッチングをやるので、直接自分の目で市政を見つめる機会として、ぜひ参加してほしい」(ストップ!神戸空港の会)

写真:開会あいさつをする松本のり子市議団長
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)



西宮:入園希望者増えるのに公立幼稚園の学級減らす

西宮市が二〇一一年度の公立幼稚園の園児募集にあたり、浜脇、門戸の二園でそれぞれ、四歳児定員を現在の二学級=六十人から一学級=三十人に減らすことを八月二十四日に発表、九月十日付「市政ニュース」で広報しています。

同市は、入園希望者の増加に対応する臨時的措置として、四歳児学級を増設してきましたが、この二園については「周辺私立幼稚園での受け入れが可能」として来年度、臨時的措置を実施しないとしています。

しかし、二園の周辺地域では、マンション開発が進み急激に人口増、とくに子どもの増加が著しく、小学校の教室不足や保育所待機児童が大変多く、幼稚園も公立に入りたくても入れない状況が続いています。

また、保育料は公立が月額九千六百円なのに対し、私立は月額二万円前後で就園奨励助成(月額平均六千九百円)を受けても高額であり、公立園希望者が多くなっています。

こうしたことから、今回の臨時的措置取りやめ・募集定員削減に対し、保護者をはじめ市民から不安と批判の声があがりました。

新日本婦人の会西宮支部は、定員削減の撤回を求め、市教育長あての要請FAXや市議会への請願にとりくみました。

日本共産党西宮市議団も八月三十一日、教育委員会に緊急申し入れを行い、撤回を求めました。また、上田さち子議員団長が九月六日の一般質問で取り上げました。

上田さち子氏
上田議員は、市が①前年度募集時に六十名以上の応募があり、次年度も六十名以上の応募が見込まれること②同時に、おおむね一km以内の私立幼稚園への入園が困難であることを臨時的措置の実施条件としていることに対し、二園の応募倍率をみると浜脇は今年度二・四七倍→来年度二・六七倍、門戸は二・一七倍→二・三七倍と、いずれも入園希望者が増える見込みであることあげ、今回の臨時的措置取りやめは機械的・拙速だと批判。

臨時的措置を外した経緯や、二園の関係者への説明状況などについてただし、撤回を求めました。

答弁で市教委側は、二園では来年度も応募倍率が伸びることを認めながら、「私立園での受け入れが可能」だからとの説明を繰り返しました。

これまで臨時的措置について「公私懇話会」で協議していたのに、今回は私立幼稚園連合会の代表と市教委との連絡・協議だけで結論を出したことも明らかになりました。

関係者への説明については「市政ニュースで行う」との答弁だけでした。

新婦人の請願は九日の市民文教常任委員会で審査され、日本共産党の野口あけみ議員が採択を主張しましたが、自民系会派や公明党などの反対で不採択となりました。

写真:上田さち子議員
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

民青県委員会が「ハローワークツアー」

各地で実態を聞こう

ハローワーク柏原で
民青同盟兵庫県委員会は、県内のハローワークをまわり、アンケートで実態調査をおこなう「ハローワークツアー」にとりくんでいます。九月六日には、ハローワーク西脇とハローワーク柏原で対話しました。

西脇で対話した三十歳の男性は、働いていた工場の閉鎖に伴い、九州への転勤が命じられたので、自主退職し、仕事を探しているそうです。「突然閉鎖と言われ、納得できなかったが、親も妻子もいるので九州には行けなかった。新しい仕事はなかなか見つからず困っている」と話します。

ハローワーク西脇で
同盟員が「いま多くの人が仕事が見つからずに困っている。個人の努力だけではどうにもならないし、もっと社会的なルールをつくって、雇用を増やしていかないといけない」と話すと、「そう思います。がんばってください」と連絡先を教えてくれました。

今後も、豊岡、洲本、明石、姫路などのハローワークで実態調査をおこなう予定です。
(板東まさえ・民青同盟県委員会)




(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

図書紹介:上脇博之『ゼロからわかる政治とカネ』

真の国民主権へ

上脇博之氏
「政治資金オンブズマン」共同代表として活躍する上脇博之神戸学院大学大学院教授がブックレット『ゼロからわかる政治とカネ』を出版しました。

この本には「政治とカネ」問題への不信から政治離れを起こしている国民、特に若者が少なくないが、この問題を正しく知ることで政治に関心を持ってほしいとの上脇氏の願いがこめられています。

「どうして政治にお金がかかるの?」「政治資金はどうやって集めるの?」「政党助成金の何が問題?」「企業はなぜ献金するの?」など「政治とカネ」の現状、政党助成金や企業・団体献金の問題点をQ&A形式でやさしく解説。その上で、真の国民主権・民主主義を実現するために、「政治とカネ」に国民が不断の監視をと呼びかけています。


  • A5判88ページ
  • 本体933円+税
  • 日本機関紙出版センター発行




(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

参考:
著者・上脇博之氏のブログ http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/
版元・日本機関紙出版センターのホームページ http://kikanshi-books.com/

ひなたぽっころりん


(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

作者のブログ http://seto-keikoyururinblog.blogspot.com/

兵庫労連第40回定期大会ひらく

貧困と格差の解消めざし

「憲法を職場とくらしにいかし、貧困と格差の解消、平和で安全な社会の実現」をスローガンに、兵庫県労働組合総連合(津川知久議長)の第40回定期大会が9月11日、神戸市勤労会館でひらかれました。


開会挨拶で津川議長は、大企業が「国際競争力」に主眼を置き、非正規雇用を拡大する一方で、株主配当と内部留保を増やしてきた実態を厳しく批判。「若年層の失業は戦後最悪になり、再生産されている」と強調しました。

北川伸一事務局長が運動方針を提案。秋期年末闘争の重点として①正社員・均等待遇、はたらくルール確立②憲法を守り暮らしにいかす③貧困と格差をなくす④組織拡大―を運動の柱におきます。

具体的には▽労働者派遣法抜本改正を求める署名・要請行動▽非正規労働者対策兵庫県センター(仮称)設立▽すべての争議支援▽官製ワーキングプアを許さないとりくみとして公契約運動強化▽地域経済の再生・活性化―などをすすめます。

高校生・若者の就職保障宣伝行動(9月24日)、公契約問題学習会(10月29日)、ディーセントワークデー(毎金曜朝)ほか当面の日程も提起されました。

事前協議なしの首切り攻撃とたたかい、全員の解雇撤回を勝ちとった建交労徳山生コン神戸分会が特別発言し大きな拍手がおくられました。

代議員が次つぎ発言しました。「西宮市が市内駐輪場17カ所の指定管理者変更にともない、職員150人の時給や労働日数の引き下げを発表。労働条件切り下げに抗議し、労働組合を結成した」(兵庫自治労連)

「郵政の職場は正規労働者が9万人、非正規が16万人。徹夜を強いる深夜勤務で働く非正規労働者は時給1千円。1日7時間、週5日勤務で手取り16万円。これは吉野屋の最低ランク」(郵産労神戸支部)

「昨年9月末雇い止めから1年。期間社員の解雇撤回・正規雇用を求める裁判をつづけ、署名もとりくんでいる。正社員化実現まで全員、スクラムを組んでたたかう」(JMIU日本トムソン支部)などの報告や決意が語られました。

写真:挨拶で「正規雇用の拡大が世界の常識」と強調する津川知久議長
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

第29回はたらく女性の兵庫県集会

身近な問題で意見交流


「いかそう憲法・核も基地もない世界に、手をつなごう人間らしくはたらくために」を掲げて、第29回はたらく女性の兵庫県集会(実行委員会主催)が9月12日、神戸市婦人会館でひらかれ、約100人が参加しました。

午前中は3つの分科会がおこなれました。「新聞ちぎり絵体験」は紙の切り方やカラー広告の選び方ひとつで個性豊かな作品ができあがりました。「心の健康」は神戸女子大学講師の阿江喜春さんを助言者に、ストレスの対処法などを学びました。「しゃべりBa」では雇用、営業、農業などの問題で活発な意見が出されました。

経済学者の後藤宣代さんが「世界の中の日本」と題して講演。女性や子どもをとりまく格差・貧困問題を指摘し「生きる喜び、働く喜びが共有できる地球規模の運動をつくりだそう」と述べました。

写真:講演につづきフルートを演奏する後藤宣代さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

大きく強く:9条交流会で徹底討論



9条の心ネットワーク実行委員会主催「2010年9条交流会」が9月12日、神戸市勤労会館でひらかれ、約380人が参加しました。

合い言葉は「9条の会さらに大きく、さらに強く」です。

4分科会が午前中ひらかれました。「憲法は活かされているか」は、憲法を物差しに、国民の命に関わる問題を考えようと、出産・中絶・DV被害・子どもと貧困・介護・医療などをテーマにコントが演じられ、津久井進弁護士の司会で、約60人が話し合いました。

「日本は幸福を追求できる社会に、子どもを安心して産める社会になっていない」「日本は利益再配分に政治がかかわることで、貧困率が上がっている」「社会保障として国民の健康を守るのが健保法。国の介入が絶対必要」「弱い者が命を削られる社会になっている。憲法25条を私たちの運動で守っていこう」などの意見が出されました。

午後は、ドイツ文学者で「世界がもし100人の村だったら」を出版した池田香代子さんが「イチオシの未来が憲法にあります」と題して講演しました。

池田さんは、音楽による「100人村」をつくるさい、ジョン・レノンの「イマジン」を翻訳。その2番が、日本国憲法の平和主義そのものだと気づいたこと、歌詞を読んだ若者も「イマジンって憲法だったんだ」と驚いた話を披露しました。

写真:憲法9条のすばらしさを語る池田香代子さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

姫路年金者組合短歌「あさぎの会」


花火の夜浴衣の似合う娘さん二の腕みせてラムネ飲みおり
常田洋子 

呼びかけにエッと振り向く勇さんの笑顔にあいたし逝きてふた月
藤原信子 

朝の陽に真白きチマ・チョゴリ献花台へとゆったり進む
衣川有賀子

ほんぼうに八本の枝のばしたる釣鐘人参を束ねやるなり
田渕茂美 


(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

テアトル9—お芝居大好き! 9条の会:結成5周年

小森陽一さん講演「井上ひさしを語る」

演劇を楽しめるのも平和であってこそと、神戸演劇鑑賞会の会員有志でつくる「テアトル9(ナイン)お芝居大好き!九条の会」が結成5周年をむかえました。「九条の会」事務局長で、東京大学教授の小森陽一さんを講師に招き、記念講演会「井上ひさしを語る」を9月11日、神戸市中央区の東亜ホールでひらきました。

「九条の会」呼びかけ人のひとりで、ことし4月に亡くなった井上さんの人柄や文学、平和への思いに、約200人が聞き入りました。

井上さんが樋口一葉や夏目漱石、石川啄木、小林多喜二らを芝居の主人公にするさいは、すべての著作と膨大な資料を集め読み込んだうえで「その人物の歴史、人生を自分に引きつけ、全力投入で書きあげている」と小森さんは語りました。

最後の戯曲になった「組曲虐殺」は、農地解放運動に加わり逮捕、拷問がもとで35歳で病死した父修吉さんへの思いを、非暴力を貫いた多喜二に託していると説明しました。

小泉内閣が、アメリカの戦争に直接加わろうとした04年6月、日本ペンクラブ会長だった井上さんが、ペンの力で戦争への流れに対抗しようと、「9条の会」を発足させた経過も紹介しました。

小森さんは「井上さん流の演劇の力が、9条の会の力になっている」と述べました。

写真:井上ひさしさんとの交流を語る小森陽一さん
(2010年9月19日付「兵庫民報」掲載)

2010年9月12日日曜日

心と体はぐくむ中学校給食の実現を

日本共産党神戸市議団が実施求める

日本共産党神戸市会議員団の「子育てアンケート」で、中学校給食の実施を求める声が強いことが、改めて明らかになりました。四十代以下の回答者では七割が中学校給食を求めています。しかし、神戸市は従来の「愛情弁当論」に固執したまま。貧困が広がる中、お昼ご飯を食べずに過ごす中学生も出ています。中学時代は、肉体的にも精神的にも大きく成長する時期。中学校での完全給食実施は喫緊の課題といえます。

全国3/4の中学校で完全給食

完全給食は、全国的には四分の三の中学校で実施されています。実施が遅れている兵庫県内でもすでに半数を超える中学校で実施されており(表参照)、ミルク給食に留まる神戸市は少数派です。

子育てアンケートには「愛情弁当論はいかがなものか」と、神戸市の市政を痛烈に批判する声も寄せられています。

弁当販売も高価がネックで利用1.2%

神戸市は、「昼食対策」として各学校で弁当の販売を行っています。二〇〇三年一月から五校で始まりました。神戸市の「愛情弁当論」にたいする批判が強まる中での実施でした。

「弁当販売」に先立ち、神戸市教育委員会はアンケートを実施。その結果、自宅から弁当を持って来られない子どもが10%以上いる学校が十数校あることがわかりました。

弁当販売は、市内に八十三校ある中学校の内、八月末現在で七十五校で実施されています。
しかし、昨年度の利用率は1.2%にとどまっています。四百円~四百五十円という高価格がネックとなっています。教育委員会も利用率の低さの原因として「価格が高い」「弁当を注文するのは恥ずかしい」などの声があることを認めています。

教育の一環と位置づけた給食を

教育委員会は、「小学校で給食が栄養を摂取出来る唯一の食事、と言う子どもがいた」ことを認めながらも、中学校給食ではなく「他の施策の活用を考えたい。一部の子どものために給食実施のための莫大な予算を付けるのは難しい」との態度です。

日本共産党議員団は一貫して、教育の一環と位置づけられている「学校給食」として、中学校でも完全給食を実施するよう求めてきました。

弁当販売についても「弁当販売は、業者と生徒だけの関係で成り立つもので、制度としての給食ではない」「弁当の内容について、栄養面などについて、業者に指導できる立場にない」と批判。心身の健康に大きく関わる問題として、健康教育の観点からも、栄養のバランスに配慮した食事ができる完全給食の実施を求めています。

また、完全給食実施までの対応策として、弁当販売も「少なくとも学校給食法にもとづく給食として実施すべき」と求めています。

こうした議員団の質疑を通して、教育委員会の管理栄養士が業者の調理場へ出向いての指導や、業者への補助金、配膳室の整備などが実現しています。

市予算の1/1000で実現できる

神戸市は、中学校給食を実施しない理由として「給食となると、最も経費の少ないデリバリー方式で、配膳室の整備など初期投資で十二億円、毎年の運営費で十億円の財政負担となる。財政が厳しい中では困難」などと、財政難をあげています。

しかし、神戸市の会計規模は年一兆八千億円(全会計合計)。中学校完全給食を実施しても毎年の運営費はその千分の一にもなりません。未来の日本、神戸を担う中学生の健全な成長を考えれば、決して負担できない経費ではありません。

市民、保護者の願いは中学校給食の実施です。実現に向け、日本共産党議員団は引き続き全力で奮闘する決意です。

注:デリバリー方式:市町の定める基準を満たす民間業者が、自社の調理場で調理した給食を個別の弁当箱に詰め、各学校に配送する方式。学校給食として位置づけ、献立などは市が作成します。利用は一定の期間(1カ月単位など)を指定しての申し込みが必要。利用しない生徒は家庭弁当を持参しています。

兵庫県内の公立中学校での給食実施状況

設置者 学校数 完全給食 ミルク給食 未実施 備考
神戸 神戸市 85 * 2 83 75校で弁当販売、*印は夜間中学
阪神 尼崎市 20 ** 1 19 **印は夜間中学での補食給食
西宮市 20 20
芦屋市 3 3
伊丹市 8 8
宝塚市 12 12
川西市 7 7
三田市 8 8
猪名川町 3 3
丹波 篠山市 5 5
丹波市 7 7
播磨東 明石市 13 13 今年度予算に調査費
加古川市 12 1 11
高砂市 6 6
稲美町 2 2
播磨町 2 2 今年度中に実施予定
西脇市 4 4
三木市 8 8 '09年9月から
小野市 4 4
加西市 4 1 3
加東市 3 3
多可町 3 3
播磨西 姫路市 35 33 2 29校はデリバリー方式うち4校が休止中
市川町 3 3
福崎町 2 2
神河町 2 2
相生市 3 3
赤穂市 5 5
宍粟市 7 7
たつの市 5 3 2 デリバリー方式で実施
太子町 2 2
上郡町 1 1 小学校(7校)もミルク給食
佐用町 4 4
播磨高原広域事務組合 1 1
三土中学校事務組合 1 1
但馬 豊岡市 10 10
養父市 4 4
朝来市 4 4
香美町 4 4
新温泉町 2 2
淡路 洲本市 6 4 2
南あわじ市 6 6
淡路市 5 5
南あわじ市・洲本市小中学校組合 1 1
県立 2 2
合計 354 188 102 64

この表は、兵庫県県教育委員会の「学校給食の現況」(二〇〇八年五月一日現在)をもとに、編集部調べの最新の状況を反映させたものです。

(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学


所在不明の高齢者が多数―という役所の実態が先月、日本各地で明らかにされました▼住民票があるのに実在が確認されていない百歳以上の高齢者がいちばん多かったのは兵庫県。神戸市兵庫区では六十四人ですが長田区ではゼロ。大震災の影響ばかりではないでしょう▼戸籍の調査も行なわれ、驚いたのは長崎県壱岐市でことし二百歳になる男性の生存扱い。江戸時代の文化七年(一八一〇年)生まれといえば「適塾」を開いた緒方洪庵や作曲家ショパンがいます▼関西では、百五歳から百八十九歳までの超高齢者が何と二十六人も各地で生きていることになっていました▼高齢者は死んでしまっても、政府や地方行政から冷たい扱いしか受けていない。まさに官僚主義の被害者です▼「官僚主義」とは何かと『広辞苑』を引いてみました―「官僚政治に伴う一種の傾向・態度・気風。専制・秘密・煩瑣・形式・画一などを特徴とする」とあります▼市民の側から見れば国政や地方行政がそうあってほしくないことすべてが官僚主義に該当します▼自分の足を使って市民サービスに努める職員を増員してください。(T)
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

川西市議選10月10日告示・17日投票

すべての分野で市民の利益優先  願い実現へ奮闘する4議席必ず
―日本共産党が全力

住田由之輔氏
川西市議選は十月十日告示・十七日投票で行われます。定数は前回より四減の二十六。十数人の新人を含む四十人近くが立候補を予定し、多数激戦となる見込みです。










黒田みち氏
日本共産党からは、住田由之輔(63)、黒田みち(52)の現職二人と、北野のり子(47)、森本たけし(30)の新人二人を立て、現有四議席確保をめざします。










北野のり子氏
日本共産党川西市議団は、四常任委員会すべてに委員を送り、市政のすべての分野で住民の利益優先、住民要求実現へ大奮闘してきました。
その中で、三十人以下学級を求め国・県への意見書提出、障がい者医療費補助拡充・サービス利用料軽減、こども医療費の三歳未満児無料化、小学校での週五回の米飯完全給食、高齢者交通費助成の復活、高齢者入浴サービス中止の撤回―などを市民と力を合わせて実現してきました。





森本たけし氏
今回の市議選に向けては、▽中央北地区開発は凍結し、市民の納得と合意の下でまちづくりをすすめる▽福祉バス・福祉タクシーの運行▽市立川西病院の存続・拡充▽一般財源からの繰り入れを以前の水準に戻し、国民健康保険税の一万円引き下げ▽九億円の基金を活用し介護保険利用料引き下げと介護者支援に▽「公的保育を堅持し、財源確保・充実」を国に求めるとともに、川西市としても公私の幼稚園・保育園の十分な環境整備を行い安心・安全の子育てを▽中学卒業までの三十人以下学級と医療費無料化▽中学校完全給食の実施―など住民の願いを公約に掲げ、その前進・実現に大きな力を発揮する日本共産党の四議席を必ずと訴えています。


(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

高砂市議選 日本共産党小松・大塚両氏再選

小松みきえ氏
高砂市議選(定数二減の二十二に立候補二十六人)は九月五日、投開票が行われました。投票率は56・37%。

日本共産党の小松みきえ氏(65)=現=が十一位で、大塚よし子氏(55)=現=が十五位で当選し、現有二議席を確保。議席占有率は9・09%に前進しました。

日本共産党の得票合計は、三千三百二十七票(得票率7・85%)。前回市議選と比べると得票数は三百六十六票減ですが得票率は0・56ポイント増。今年七月の参院選比例票との比では得票数で一・五倍となっています。

大塚よし子氏
小松、大塚両氏は、国・県いいなりで住民犠牲の「行革」をすすめる議員ではなく、暮らしを守り、国保料一万円引き下げ、中学校給食実施、中学校卒業までの子ども医療費無料化など議案提案権の活用で市民の願いを実現する日本共産党の二議席をと訴えました。

(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

青年・学生連続講座

治安維持法下たたかった林直道氏の学問への思いに感動

日本共産党兵庫県委員会は九月一日、三回目となる「青年・学生夏休み連続講座」を開催。今回は、科学的社会主義の経済をテーマに、大阪市立大学名誉教授の林直道氏を迎えて講演と質疑応答を行いました。

林氏の八十七歳という高齢を感じさせない元気な講演は、ときおり笑いに包まれるなど、あっという間の三時間でした。講演の前半は「現代社会の貧困」、後半は「マルクスの剰余価値の理論」について。以前、東大生向けに講演した際に準備した論文をもとにしながら、現代の状況をふまえていまの富と貧困の対立の問題を詳しく紹介し、そのうえで資本主義社会の経済の仕組み、マルクスの剰余価値理論を分かりやすく講義しました。

質疑応答では、講義でも少しふれられた戦前、林氏が学生時代だったときの状況を詳しく話してほしいという要望がでました。

それにこたえ、林氏は、大阪商大事件で治安維持法違反を理由として逮捕・投獄された経験を語りました。

「経済学で人気のあった講師が、マルクス主義だということでクビになったことに反対して、運動をひろげるなかで仲間とともにつかまり、留置所に送られた。一緒に留置所でたたかった仲間は、精神を病み、亡くなってしまった。本当に優秀だった彼のことを、記録に残したいと思っている。私の戦後の経済学研究は、彼らが生きていればどうしたろうという思いでやってきた」と感慨深く語りました。


講座後、参加者が寄せた感想文には、「『価値は社会的平均で決まる』というのが印象に残りました。先生の個人的な歴史が心に残りました」「個人的には、大学時代の話が気になりましたね。すごい話でした」など、資本主義社会の仕組みや矛盾などの明快な解明とともに、林氏自身の生き方への注目・共感が綴られていました。

写真上:林直道名誉教授
写真下:講義を聴く学生たち
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

兵庫革新懇が一泊研修ツアーで舞鶴ほか訪問

“憲法改悪への危惧感じた”

堤 隆二(兵庫革新懇)


結成三十周年を迎えた兵庫革新懇は八月二十九日、三十日の二日間、恒例の夏期一泊研修ツアーを行い、三十五人が京都府の舞鶴市と南丹市美山町を訪ねました。


舞鶴は、かつては帝国海軍の要塞・軍港でした。戦後、平和の港としての誓いをたてたものの、自衛隊の発足に基づき再び軍港の道を歩き始めました。

世界最強を誇るイージス艦をはじめとする軍艦がひしめき、まわりの半島や小島は弾薬庫となり、高い山にレーダーが立ち並び、完全に軍港として復活しているさまを陸と海から見聞した一行は、まさに聞きしに勝るその実態に息を呑みました。

また舞鶴には、戦争の傷跡を生々しく残す引揚記念館や、浮島丸事件の記念碑などがあり、戦争がもたらした惨禍と自衛隊の異様な存在との対比に、憲法が改悪されたらという危惧を強く抱かされました。

小浜で一泊し、翌日、一行は、奈良東大寺へお水取りの水を送る行事を行っている神宮寺を見学したあと、美山町を訪問。過疎の進む町での町おこしに取り組む行政や住民の話をきき、茅葺き屋根の集落を散策しました。

厳しい暑さの中でしたが「内容の濃いツアーだった」などの感想が寄せられています。


写真:偉容を誇示する舞鶴港の自衛艦隊
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが




悪政に反省なく「さあ、妙手、妙手」

間 康成


(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

生活保護相談2千件超える

近畿生活保護支援法律家ネットワーク


近畿6府県の法律家たちが、病気や失業による生活困窮、多重債務、労働災害などの問題に、無償で相談に応じる、近畿生活保護支援法律家ネットワークの相談聴きとり件数が07年10月の相談開始以来、先月末で2千件を超えました。1日平均4件です。

同ネットワークの相談所は、神戸市中央区の神戸合同法律事務所内におかれ、泊満春さん(68)が専任相談員として対応しています。

現在登録している弁護士や司法書士は259人。相談者の居住地に応じて、近畿各地の弁護士と司法書士に相談内容を記した記録票を泊さんが、送ります。迅速な対応で報告書が送り返されてきます。

開始から約20カ月、かかってきた電話だけでも5千件を超えました。そのうち聴き取り票に書き込まれた相談は、女性1099、男性901とほぼ同数。年齢は22歳から95歳です。

現在、報告が届いている、生活保護受給開始など、解決した件数は424。府県別件数では大阪667、兵庫660、京都215、奈良118、滋賀94、和歌山92、その他155になっています。

生保受給に感謝の手紙

相談者から感謝の手紙が数多く届いています。「土木作業は雨が降れば収入ゼロ。役所へ相談に行っても『あなたは該当しない。働きなさい』と断られたが、近畿支援ネットの援助で生活保護受給が決まり救われました」(男性53歳・大阪)

「うつ病と統合失調症で入院している娘の看病で働けず、何度役所へ生保申請に行っても、たらい回しにされて5カ月。2人で死んだら楽とも考えていました。近畿ネットに電話し『生活保護を受けられるよ』の言葉に涙。地獄で仏でした」(母子家庭58歳・大阪)

「夫の会社が倒産し離婚。私名義の借金もあり、自己破産手続きをしました。5歳と3歳の幼児を抱え、不安がいっぱいでした。支援ネットの先生方に励まされ、生活保護を受けることができました。前を向き、子どもたちと一緒に歩んでいきます」(母子家庭33歳・宝塚)

泊さんは、厚労省が「65歳以下は就労を指導する」とし、生活保護申請の書類さえ渡さない「水際作戦」が、最近ようやく減ってきたと指摘。近畿支援ネットの運動が認知されたものと、全国からも注目されていると言います。しかし、不況は深刻です。倒産し借金を抱え、自殺寸前まで追いつめられた中小業者からの相談や、アスベスト患者の労災認定も激増していると指摘します。

近畿支援ネットに相談したSさん
「助けてもらいました」

神戸市垂水区のSさん(56)が、「8月31日付で生活保護支給決定通知が届きました」と9月3日、近畿支援ネットへ報告に訪れました。7月23日の受け付け以降、相談にのってきた今西雄介弁護士と泊さんが励ましの言葉をおくりました。

中堅企業の訪問販売担当だったSさんは、会社の規模縮小と業種変更から07年10月、解雇されました。雇用保険を受けながら、仕事を探しました。ハローワークに足を運んだ回数は100回以上。条件を下げても該当する職はなく、書類を送って面接までいっても、どれも不採用。預金が底を突き、生活保護を受けたいと役所へ行きましたが、窓口をたらい回しになりました。

どん底状態で知ったのが近畿支援ネットでした。「助けてもらって、ようやくスタートラインに立てました」と息をつきます。


今西弁護士は「その日の寝る場所、食べる物もない状態の人に対し、役所担当者はもっと誠意をもって対応すべき。申請さえ受け付けない対応に怒りを感じる」と語っています。

写真:生活保護支給決定の報告とお礼にネットワークを訪れたSさん(左)と相談にのってきた今西雄介弁護士(中)、泊満春相談員(右)=9月3日
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

レッドパージ :生きている間に名誉回復を (1)

60年語らなかった私の体験
井之口久美子さん(85)西宮市

泉佐野で生まれ、西宮で育った私は、軍国少女で、従軍看護婦にあこがれていました。姫路で終戦をむかえ死から解放され、世の中が新鮮に見えました。

戦後すぐ、街角のポスターで見た「社会科学研究会」に興味をもち、会場の喫茶店を訪ねました。内海繁さんが中心になり大勢が、これからの日本について熱心に議論していました。

飛びかう専門用語がまったく判らないまま、私も仲間に加えてもらいました。

46年10月、共産党入党。西播地区委員会の半専従になりましたがもちろん無給。県委員会のオルグとして地区委員会に派遣されてきた井之口薫と知り合い48年8月、結婚。西宮に住みました。決まった収入はなく、自給自足の生活でした。

三菱電機伊丹製作所の社員募集を知り48年9月、入社しました。勤労課労務係に配属され、仕事は給料計算でした。

1年が経とうとしていた49年8月、昼食後職場に戻ってびっくりしました。いつの間にか配置転換され、私の机と椅子がなくなっていました。同僚たちは、窓辺に集まり小声で話し、私が声をかけても、目を合わせません。午前中いつも通り仕事をしていたのに。課長も係長も姿を消していました。誰に尋ねることもできず、頭が真っ白になりながら、退社時間まで立ちつくしてました。

私のタイムカードがなくなり「明日から出社しなくてよい」の文書がありました。その封筒に「受け取り拒否」と書いて課長の机の上に置き、煮えくりかえる思いで職場を出ました。翌日同じように出社しましたが、守衛にとり囲まれ、門の中に1歩も入れないまま、引きずり出されました。翌日は大門が閉められ、通用門から入ろうとすると警官と暴力団も加わり、とり囲みました。女性の人格を踏みにじる暴言の数かずを浴びせました。

その年初め、総選挙で共産党が4議席から35議席へ大躍進をしました。私への攻撃は、巻き起こるレッドパージへの一里塚だったのでしょう。

あれから60年余、触れることも、語ることもなかったレッドパージ体験への怒りを、兵庫訴訟の川崎義啓さん、安原清治郎さん、大橋豊さんの闘いが呼び覚ましてくれました。胸の奥から絞り出すような「生きている間に名誉回復を」の思いは、私も共通です。

生きている限り、3人の闘いを支援し、ついて行きます。

写真:「長い沈黙に火がついた思い」と話す井之口さん
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

大日岳遭難事故裁判記録の出版報告会

息子の死を無駄にしない

大日岳遭難事故の裁判記録「息子たちの死を無駄にしないで」出版報告会が9月4日、神戸市勤労会館でひらかれました。

国民救援会兵庫県本部など、2遺族の国家賠償訴訟を支援してきた4団体代表が呼びかけ、約40人が参加しました。

10年前の3月、文部省(当時)主催冬山研修で、北アルプス大日岳に登山中の大学生が、引率講師の誤った判断から雪庇上で休憩、崩落事故にあい2人が死亡しました。

溝上国秀さん(神戸大学2年生)、内藤三恭司さん(東京都立大学2年生)の両遺族は事故調査委員会の「雪庇崩落は予見不可能」とする報告書に納得できず02年3月、真相究明と謝罪を求めて国を提訴。04年富山地裁で国の責任を認める勝利判決。名古屋高裁金沢支部で07年7月、和解が成立しました。

裁判記録をまとめた国秀さんの両親、不二男さん(65)と洋子さん(55)は「国は、雪庇が原因とする判断を正さないまま冬山研修を再開。正式な謝罪もまだない」と述べました。

参加者からは「原因究明は再発防止に不可欠。国に報告書修正を要求しつづけよう」の声が出されました。

写真:いまの思いを語る溝上さん夫妻
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

劇団どろ朗読劇「遠くの戦争」9月18日・19日

戦争・貧困を告発


劇団どろ(合田幸平代表)が、篠原久美子作の朗読劇「遠くの戦争―日本のお母さんへ」を今月18日、19日、劇団稽古場で上演します。

渡辺えりさんら「非戦を選ぶ演劇人の会」が昨年8月に初演。共鳴する人が誰でもとりくめるよう、台本は無償公開されています。

物語は、パレスチナ難民の少年アブドゥール、彼を里親として経済援助している日本人女性、派遣切りで職を失った彼女の息子の会話を柱に、パレスチナ、日本、アメリカ、それぞれの「戦争」が、数多くのレポートから浮かび上がります。辺見庸や堤未果、湯浅誠、雨宮処凜らのルポが随所に折り込まれています。年間3万人が自殺する日本の貧困・格差社会問題を「内面の戦争」と告発します。

「戦争は遠くの問題ではない。貧困と戦争は深い関係がある。戦争犠牲者の多くが子どもたち」と演出の合田さんは語ります。

写真:「遠くの戦争」の稽古を重ねる出演者たち

(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

田渕茂美歌集『一日を紡ぐ』


「余命十年告げられてより三十二年一日は宝と生きつぎて来し」

姫路在住の歌人、田渕茂美さん(70)が10年ぶりに歌集「一日を紡ぐ」を出版しました。「生きる」「命塚」に次ぐ3冊目です。418首が収録されています。

筋萎縮症のため、車椅子生活を余儀なくされていますが、自ら車を運転し、県内はもとより、北海道から沖縄まで何度も足を運び、社会革新、平和運動などを詠んできました。

どの歌にも、1日1日を真剣に生きる姿勢がうかがえます。

新日本歌人協会刊行委員会発行、四六版、184ページ、2千円。TEL079・253・5534(田渕)

写真:「表紙は大好きな紫にしました」と言う田渕さん
(2010年9月12日付「兵庫民報」掲載)

2010年9月5日日曜日

日本共産党地方議員研修会

いっせい地方選挙勝利 国政選挙での捲土重来へ


日本共産党兵庫県委員会は八月二十七―二十八の両日、たつの市志んぐ荘で「兵庫県地方議員研修会」を開催。県下の地方議員と候補者、地区委員長などが参加し、来年のいっせい地方選挙勝利と国政選挙での捲土重来をめざし、学習・議論、交流を深めあいました。一日目の全体会では、最初に岡正信県委員長の「基調報告」を受けて、五名の議員が発言。そのあと、金子邦彦中央自治体局次長が「記念講演」を行いました。

基調報告:綱領を手に展望語り 未来を語りあおう

岡県委員長は、前回の研修会時(二〇〇六年八月)の兵庫県下の議席占有率と現在を比べたとき、全体では、若干のびているものの、県議・神戸市議で見ると10.9%から8.7%。一般市では、10.0から10.4%、町議は8.7から9.7%と推移していることにふれ、来年のいっせい地方選挙で、特に県会議員、神戸市議で議席を伸ばす重要性について指摘しました。

また岡県委員長は、〇七年の党創立八十五周年記念講演で不破哲三議長(当時)が―

「国民の考え方の変化発展にはジグザグがあります。しかし、長い視野で見れば、国民の認識、政治的意識、これは国民自らの経験を通じて、必ず前向きに発展する」

「困難なときも未来を広い視野で見定める革命的な大局観を自分のものとし、日本世界の新しい未来のためにがんばり抜こうではありませんか」

―と呼びかけたことにふれ、今年の八十八周年記念講演から深く学び、参院選総括の一つの指針にしながら、綱領的確信をつかむ重要性を強調しました。


記念講演:情勢の特徴つかみ具体的な計画もって

民主党政権も構造改革路線強める

金子氏は、民主党政権になっても、小泉自公政権時代の「構造改革」路線は、方針上も政策上も変わらず、「地方分権改革」もそのまま残っていると指摘。その例として、保育制度を含めて子育て関係をすべて一本化にするという民主党案をあげました。

自民党時代にはまだ「保育に欠ける子どもを保育しなくてはならない」という自治体の責任が明記されていたが、民主党政権はそれを削除。介護保険、障害者福祉のように、自治体の役割を「あなたはこんなサービスを受けられる」と示すことにとどめ、また、保育所が提供した「サービス」を、医療でのレセプトのように、月々、申請させる仕組みに変えようとしている、と批判しました。

要求実現に必要な財源はある

一方で、〇七年以降、「地方の反乱」がおこり、民主党政権による地方への財源手当は、小泉時代とがらっと変わっていると述べ、「構造改革路線は、民主の色が付いてさらに悪く進められようとしている。これとたたかうことが必要。しかし、切実な要求実現の財源はある」「今は財源対策で苦労しなくても財源が示せる自治体の方が多い。『ムダを探さなくてもできます』と、九月、十二月、二月議会で実現させよう」と呼びかけました。

また、こうした不安定な政権運営の中、比例定数削減という危険な動きにもふれ、「何としても阻止を」と述べました。同時に、民主党代表選では、マスコミの影響もあり、経済論争の中身を国民に訴え、「暮らしを守る」と言わざるを得ない状況にあり、議会内外のたたかいとあいまって、国民の願いを実現できる可能性があると述べました。

後援会活動と「つどい」の重要性

金子氏は最後に、来年のいっせい地方選挙に向け、後援会活動と「つどい」の重要性について強調しました。

「単位後援会を確立させ、共産党といっしょに『つどい』を集落ごとに細かく開くことが大切。『後援会ニュースをお読みのみなさんへ』と案内をして、双方向でわかってもらうこと。そのことで、つむじ風が吹いても、党の支持に戻ってもらえる関係をつくる」「そして、党勢拡大、支持拡大、対話を広げること。『過半数対話』のとりくみも、全戸訪問を一巡するだけでは実現できない。留守のところもあり、二巡してやっと三分の二分くらい。いっせい地方選挙までまだ半年。勝つために何をするか、政策をどうするか、具体的な計画と展望を持ってとりくもう」と呼びかけました。

写真:記念講演する金子邦彦氏

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)

丹波地区委員会の綱領学習会に60人

綱領に立ち返り前進めざそう

日本共産党丹波地区委員会は八月二十九日、丹波市内で綱領の学習会を開催。党中央委員会学習教育局の満瀬英樹氏を講師に招き、約六十人が学びました。


西本嘉宏地区委員長は、冒頭のあいさつで、綱領学習会を開いた経過やねらいに触れ、「多くの有権者に党を丸ごと知ってもらう『つどい』の開催など強調されているが、多くの党員が、確信を持ち、条件を生かして活動に参加できるように、いま『探求の時代』にあらためて党綱領に立ち返ることが大切である」ことを強調しました。

満瀬氏は、参議院選挙後、党内外から中央委員会に寄せられた意見や質問は増え続け、五千件を超えていることを紹介しました。また、今年の党創立八十八周年記念講演にもふれながら、党綱領の各章で「ホットな党の魅力となる話、語りたくなる話」を紹介しつつ、多くの資料を駆使して、質問時間を含め、二時間三十分の講演を行いました。

参加した党員の一人は、「選挙結果はショックだったが、あらためて綱領にふれ、原点に返り、元気をもらいました」と感想を寄せています。

党丹波地区委員会は、引続き、選挙総括をすすめつつ、党創立八十八周年記念講演やこれから開かれる第二回中央委員会総会に学びながら、地区党の前進をめざし奮闘していく決意をしています。

写真:満瀬英樹氏の講演を聴く会場いっぱいの参加者

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)

観感楽学


猛暑が続いていますが、九月は台風シーズン。最近は八月から台風が来るようになり、昨年は台風九号が佐用に豪雨被害をもたらしました▼一九九八年から二〇〇九年の十年間はその前の十年間に比べ二十四時間で四百㍉㍍をこえる雨量の発生回数が七割強増え、大雨による土砂災害の年間発生件数が二割増えています▼近年注目されているのが山肌を深くえぐる「深層崩壊」で過去十年に比べ三割増えています。一方、岩盤を覆っていた風化した砂層が多量の雨のため崩壊して起きるのが「表層崩壊」です▼阪神間の背山六甲山は全体が風化したもろい花こう岩の山なので表層崩壊が起きやすい山です。その上、先年の大地震で斜面崩壊が五百七十一カ所あり、少しの雨でも土砂崩れを起す危険があります▼一九三八年の阪神大水害のあとに六甲山に築かれた数百の砂防ダムの多くは満砂状態で、発生した土石流を止められません▼山麓部を開発した住宅地の背面は危険がいっぱい。危険個所を公表、周知し、避難態勢を整備することは自治体の義務です。しかし住民の側にも自覚と備えがなければなりません。(Ts)

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)

憲法県政の会:学習会やアンケートなど呼びかけ

憲法が輝く兵庫県政をつくる会が
団体・地域の会代表者会議ひらく

憲法が輝く兵庫県政をつくる会は八月二十五日夜、兵商連会館で「団体・地域の会代表者会議」を開き、約三十人が参加。二〇〇九年兵庫県知事選挙の記録『ウィーラブ兵庫④』のミニ学習会を行うとともに、秋から年内にとりくむ「県民アンケート活動」について話し合いました。

ミニ学習会は、代表幹事の石川康宏氏が、『ウィーラブ兵庫④』の三つの座談会のポイントを紹介しながら、二〇一三年の知事選に向けた、地域の会をふくむ持続的なとりくみを強調しました。

活動交流では、「尼崎の会」からの参加者が、県立塚口病院の存続を求める運動の成果を確信に、県立塚口病院の充実と尼崎市および阪神地域の医療を考える運動へと発展していることを紹介。西区の会からは、『ウィーラブ兵庫④』の普及の経験と総会開催についての報告がありました。新町みちよ県議は、「新行革プラン」や「関西広域連合」の問題点などを報告しました。

最後に、代表幹事の田中耕太郎氏がまとめを兼ねて閉会あいさつ。出された意見をふまえて「県民アンケート」の内容を早急にまとめること、同時に地域の会でもアンケート活動などとりくみを議論してほしいと呼びかけました。

写真:まとめのあいさつをする田中耕太郎代表幹事

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)

言論・表現抑圧の「人権条例」許すな

篠山市と三田市で制定の動き
丹有人権連が学習会

丹有人権連は八月二十日、「篠山市『人権条例』制定阻止をめざす学習会」を篠山市民センターで開き、労組や民主団体の代表ら二十一人が参加しました。

開会あいさつで、人権連篠山支部の松本登喜雄支部長は、「つくられた条例によって市民が困ることになってはいけない。こうしたことから、学習会をもつに至った」と経過を説明しました。

日本共産党の前田えり子篠山市議は、市長提案の「人権条例」制定のための第一回委員会が八月十二日に開かれ、一般公募委員七人のなかには部落解放同盟(「解同」)前県連委員長など「解同」関係者が複数入っていると報告しました。

人権連兵庫県連の前田武事務局長は、「人権条例=『解同』条例の問題点」と題して報告しました。

その中で、十年前、各地で果敢に展開された「人権条例」制定反対運動の経過を紹介。現在、篠山市と三田市で、「人権条例」制定の動きがあるが、「人権条例」は、差別問題のみ特化し、憲法の人権規定を狭めゆがめるものであり、市民の言論・表現を抑圧する“人権窒息条例”となるおそれがある―と批判しました。

討論の中で、前篠山市議の岡前昌喜氏は、以前、議員が「人権条例」の試案を示したことがあるが、今回は、市長が提案したところに新たな問題がある。制定のための委員会を傍聴したが、「解同」の意向にそった議論になっていると報告しました。

参加者は、早期に「『人権条例』阻止する会」を立ち上げることを確認し、「人権条例」の危険性を市民に知らせる宣伝などにとりくむことを申し合わせました。

写真:丹有人権連の学習会

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)

学校と教育を考える学習会

深刻な実態・要求にねざし運動強めよう

日本共産党県委員会は、藤森毅党中央・文教委員会責任者を講師に招き、学校と教育を考える学習会を八月二十九日、神戸市内で開催しました。

藤森氏は、日本の学校や教育の異常について、夕食時に家族全員そろうことが当然となっている北欧と対比し、財界いいなりの社会構造に原因があると指摘。「この政治を変えたいとの国民の模索が過渡的情勢をつくって高校無償化も進み出したが、民主党には政治を変える明確な展望がない」「子ども、教師、親の深刻な実態と要求に依拠した運動を今こそ強め政治を動かし、憲法が求める教育の使命を果たすために助け合い、つながって、新しい教育と社会をつくる陣地を広げよう」と呼びかけました。

日本共産党県議団からは、県教委が高校現十六学区を全県一区とすることも含め検討をすすめ、さらに競争と格差を激化しようとしていることなど、兵庫の教育の現状が報告されました。

また、「西欧の教育が変わった転機は」「三十人学級や定時制統合をどう考えるか」「私立学校の役割は」「教員免許更新制は」などについて質疑応答が行われました。

参加者からは「世界との対比で私学の役割がわかった」「運動に展望が見えた」などの感想が出されました。

写真:講演する藤森毅氏

(『兵庫民報』2010年9月5付掲載)