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2010年8月29日日曜日

トムソン解雇撤回・正社員化闘争

正規雇用が当然の社会へ
全労連近畿ブロック・兵庫労連が支援行動

JMIU日本トムソン支部解雇撤回・正社員化裁判闘争支援行動が八月十七、十八日、全労連近畿ブロックと兵庫労連の呼びかけで行われ、両日とも近畿各地から百名を超える人びとが参加。十七日には姫路市内で激励集会と交流会、翌十八日にはJR姫路駅前での早朝宣伝、姫路市と裁判所への要請、裁判(第九回弁論)傍聴、裁判報告集会などが行われ、原告らを激励しました。


ニードルベアリング製造の日本トムソンは、巨額の内部留保を蓄えながら「生産減」を理由に昨年二月、姫路工場(姫路市書写)の派遣社員を、期間満了(同年八月末)を待たず、三月末で解雇すると発表。

これに対し、退職者を除く十三人が、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本トムソン支部(前尾良治委員長)に加入し、労働局に申告ました。

その結果、是正指導が出され、会社は希望した十人を昨年九月末までの期間社員とし、直接雇用しました。

しかし、会社は同年十月以降の雇用延長を拒否。組合員九人が地位保全を求めて裁判をたたかっています。

支援集会:トムソンのたたかいは私たちのたたかい

十七日に開かれた激励集会では、地元を代表し、津川知久兵庫労連議長があいさつ。「正規雇用があたりまえの社会に変えよう。トムソンの仲間のたたかいは私たちのたたかい」と強調しました。

経過報告で吉田竜一弁護士は、「昨年十月の松下プラズマ最高裁判決や、民主党の労働者派遣法改正案のひどい内容など、厳しい状況は否定できないが、このたたかいをやめるわけにはいかない。裁判闘争と立法闘争を車の両輪にしていこう」と訴えました。

川辺和宏全労連近畿ブロック議長は、「労働者の財産は団結の力だ。ともに頑張ろう」と呼びかけました。

日本トムソン支部の組合員を代表し、原告の一人、川井雅広さん(33)が決意表明。「失業保険も切れ生活は厳しいが、正社員めざし、精いっぱいたたかう」と述べ、大きな拍手がおくられました。

第9回弁論:正社員になり働きつづけたい
原告5人が証言で訴え

翌十八日、神戸地裁姫路支部(中村隆次裁判長)で開かれた第九回弁論では、原告側五人の証人尋問が行われました。法廷に入りきらない百人を超える支援の仲間が傍聴に駆けつけました。

最初に証人席に座った前尾良治JMIU日本トムソン支部委員長(58)は、原告弁護団の問いに対し、会社が非正規労働者の雇用形態を「出向→請負→派遣」と切り替えながら、その実態が偽装請負だったことを厳しく追及してきた経過を述べました。また「原告たちは会社によって一年間に三回も首を切られた。その一方で会社は、五百五十億円の内部留保をかかえ、株主には十一円配当の大盤振る舞いをしている。会社は恥じるべき」と指摘しました。

つづいて原告四人が証言し、率直な思いを述べました。「契約社員としてトムソンに入ったが、正社員になるのが希望だった。期間満了時に直接雇用になると期待していた。頑張れば社員になれると思っていた」〔島村賢治さん(36)〕

「四月に失業保険給付が切れた。仕事を探しているが、ない。貯金を食いつぶして生活している。正社員になって仕事が安定したら結婚する予定だった。とても結婚できる状況ではない。トムソンで働き続けたかった」〔氏家正傳さん(31)〕—と訴えました。

次回弁論は九月二十二日(水)午後一時から、会社側証人の尋問が行われます。

写真:激励集会で決意表明する組合員ら=17日

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

三菱電機サービス残業是正

三菱電機先端技術総合研究所(尼崎)
労働者と共産党会社動かす

三菱電機でサービス残業是正が再び行われました。

尼崎市にある同電機の先端技術総合研究所(従業員約千人)は、尼崎労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告を受け入れ、七月二十六日の七月分賃金支給日に、管理職も含む社員に対し、六カ月分の残業代不払分を支払いました。

「サービス残業がなくなって本当によかった」と社員から喜びの声があがっています。

今回の是正勧告は、二〇〇二年四月に続く二度目。①昨年十月十六日から今年四月十五日までの六カ月間の在場時間と自己申告時間の時間差を確認して、違いがあればその分の残業手当を支払う②裁量労働制適用者の深夜残業手当(二十二時以降の残留時間分)、休日出勤の時間外も含む③在場時間の確認は、社員全員のⅠDカードに記録された出退勤時間で確認—という手だてで是正が行われました。

さらに、サービス残業の原因ともなっていた時間外労働時間の「二十時間」「三十時間」という「上限枠」が撤廃され、三六協定にもとづいて時間外労働時間は月四十時間、三カ月で百十時間、休日出勤は月三回に改善されました。

こうした是正措置は、「毎月残業時間は百時間近くあるのに、残業手当は月三十時間以内に制限されており、大部分の時間外労働はただ働きになっている。改善してほしい」という労働者の訴えをもとに日本共産党三菱電機伊丹委員会が今年三月、尼崎地域の民主団体とともに尼崎労基署に調査と是正を求めたことによるものです。

同署は、この是正要求以降、数回にわたって同研究所への臨検調査に入り、監督・指導を行いました。これを受け、三菱電機は昨年十月から今年四月分までの残業、深夜及び休日労働の「実態調査」を実施しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

観感楽学


「鉄骨の見える市電の窓には焼け爛れて男女の区別のつかぬ人々…大火傷を負った人たちが水を求め、苦しいうめき声…」▼大塚彦二さん(元海技大学校教員・宝塚革新懇などで活躍)が、被爆直後の広島に派遣されたときのことを記しています(『航跡』)。軍命による「入市被爆者」に当たることは明らかなのですが、大塚さんは被爆者健康手帳の取得を断念したまま、昨秋亡くなりました▼原爆症認定どころか、被爆者であることの確認にすら、国はさまざまなバリアを設定。記憶を甦らせること自体が苦痛な被爆者に「被爆したこと」の立証責任を負わせています▼日本原水爆被害者団体協議会の新聞には【被爆者手帳取得の証人探し】欄があります。今年四月号では神戸のKさん。八月七日、軍命で広島に入り救護活動に従事したが、証人が見つからず手帳を取得できていない、というケースです▼戦争、薬害、「公害」…。政府や大企業は、いかに命を踏みにじっても、被害者たちの命がけの闘いなくしては、事実すら認めようとしない。そんな日本の変革へのたゆまぬ営みが、人から人へと受け継がれます。(S)

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

県議選尼崎選挙区に宮田しずのり氏

日本共産党の兵庫県議選候補(第2次発表)

日本共産党兵庫県委員会と尼崎地区委員会はこのほど、来年の兵庫県議選尼崎市選挙区の候補者として元職の宮田しずのり氏を発表しました。(県議選候補第1次発表は4月4日付に掲載しました)

県議3期の経験・実績生かす
尼崎市 定数7

宮田しずのり  67歳=元=

1943年鹿児島県生まれ。私立八幡西高校(福岡県)卒。㈱日本硝子尼崎工場勤務、日本共産党代議士秘書などを経て、95年県議選初当選、07年まで連続3期。現在、県立病院問題やアスベスト被害者救済運動の中心で奮闘。協同組合兵庫県保険鍼灸師会名誉顧問、鹿児島県・姶良会副会長。





(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

75歳以上の人間ドック助成: 年度途中でも実施市町に交付金

後期高齢者医療広域連合議会
大眉議員の質問、三木市での実施へ道開く

大眉均議員
兵庫県後期高齢者医療広域連合の定例議会が八月十九日に開かれ、決算認定や補正予算などが審議されました。

大眉均議員(日本共産党三木市議)は、二〇〇九年度特別会計決算認定の質疑の中で、人間ドック助成の問題を取り上げました。



後期高齢者医療制度導入前の二〇〇七年度には全国で七百二十三の市町村が七十五歳以上の高齢者の人間ドックに助成をしていましたが、同制度が導入された〇八年度には百四十一に激減。国民の批判を受け、〇八年七月から、長寿・健康増進事業として、人間ドック受診の公費助成分全額を国が特別調整交付金として負担することになりました。これを活用して助成を再開する自治体も増え、〇八年度末には二百三十四市町村になりました。

さらに、厚生労働省は〇九年十月「長寿・健康増進事業における人間ドックの費用助成について」という通知を出し、市町村に対しこの助成事業について十分に周知するとともに、〇九年度中の追加実施と一〇年度実施に向けた検討を要請するよう求めました。



大眉議員は、こうした経緯を指摘した上で、〇九年度に人間ドックの助成を行った県内市町数や受診人数、今年度実施の市町数などについて質問。今年も年度途中での追加実施を決めた市町があった場合も交付金を支出するよう求めました。

これに対し、広域連合当局は答弁で、県内四十一市町中十三市町で助成が行なわれていることを明らかにし、年度途中でも交付金支出は可能だと明言しました。

広域連合議会答弁生かし三木市議会で要求

三木市では七十五歳以上の高齢者の人間ドック助成は行なわれていません。ことし三月議会で日本共産党のくろしま妙子議員が質問で取り上げ、実施を求めましたが、「他市の状況等も調査して検討したい」との答弁にとどまっていました。

大眉議員は、八月二十日の三木市議会民生消防常任委員協議会で、前日の後期高齢者医療広域連合議会での当局答弁を紹介し、七十五歳以上への人間ドック助成を行なうよう再度、求めました。

これにたいし、三木市の北井信一郎理事は「四月にさかのぼり人間ドックの助成ができるよう補正予算に組んで九月議会に提案したい」と述べるなど、助成実現へ一歩踏み出しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

広域連合特別委員会—ねりき議員が会派意見表明

暮らし守る国の責任後退:広域連合設立に反対

ねりき恵子議員
兵庫県議会「広域連合に関する特別委員会」が八月二十日、開かれ、関西広域連合(仮称)設立について各会派による意見表明が行われました。

関西広域連合は、「分権型社会の実現をめざす」として、関西の府県・政令市と経済団体が参加する準備組織が設立をすすめていますが、住民福祉に対する国と自治体の責任を後退させる「地域主権改革」「分権改革」を地方からすすめるねらいをもつもの。地方自治を壊す「道州制」につながる危険も指摘されています。

意見表明で、各会派は—

「分権型社会への転換に向け国会で継続となっている(地域主権)三法案を一刻も早く成立させるべき」(自民)

「広域連合設立は民主党がすすめる地域主権改革を地方から推進しようとするもの。早期に必要」(民主党・県民連合)

「国の出先機関改革の受け皿となる広域連合を設立することで地方分権改革をすすめることができる」(公明)

—などと発言。「地域主権改革」をそろって賛美し、関西広域連合の設立に賛同を表明しました。

一方で「広域連合は道州制とはまったく別物であり切り離して進めていくべき」(自民)と述べるなど、「関西州設立」を明言する大阪などとの思惑の違いも垣間見えています。

これに対し、日本共産党のねりき恵子県議は、「広域連合の設立の主な目的は、国の出先機関が廃止されたときの受け皿になることで、そういう改革は、道州制への方向と一体のものとして議論されている」とのべ、関西経済界が「道州制へのステップ」と位置づけていることも指摘。「国民、県民のくらしや安全、福祉、教育における国の本来の責任を後退させ、地方に押し付ける危険性がある」「住民合意もない」として設立に反対しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

「行革」特別委員会—新町議員が質疑

景気にもマイナス影響 「新行革プラン」改めよ

新町みちよ議員
兵庫県議会「行財政構造改革調査特別委員会」が八月十七日、開かれ、日本共産党の新町みちよ県議が質疑を行いました。

今回の委員会では、兵庫県の「二〇〇九年度決算見込み」が報告されました。法人関係税など県税が大幅に減少(△14・9%)し、その分地方交付税等が増加(+19・3%)しています。

自民党県議から「地方交付税に頼らずに自主財源の検討を」との質問をうけ、県当局は、「以前検討して、県民緑税を導入した。今後、国に安定した地方財源を求めていく」と答弁しました。

新町県議は、「消費税の増税は、消費をさらに冷え込ませる」と批判し、日本経済の大手企業の外需頼みの限界が経済成長率や決算にもあらわれていることを指摘。

兵庫県の雇用状況(〇七年時点)は、就業人口が増えているのに、正規雇用が十五年前から約二十四万人も減っていることを取り上げ、県自身が財政の悪化を理由にした「新行革プラン」で、非正規雇用・官製ワーキング・プアーを増やし、福祉医療の削減をすすめているのは、景気にマイナスの影響を与えており、暮らし安心の県政に転換する必要があると主張しました。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)


西宮ハローワーク前で対話・宣伝

「福祉を大切にするため根本的に考えて」と願い託す人も
日本共産党いそみ恵子県議候補も参加

生きてく・はたらくネットワークが各地のハローワーク前での宣伝・対話にとりくんでいます。八月十九日は神戸と西宮で行いました。

神戸のハローワーク前で対話した二十四歳の女性は、以前は不動産会社の営業をしていました。少ない時には十二、三万円、残業代も出ないという低賃金のため退職したといい、「残業代を払ってほしい」とアンケートに答えました。

保育士をしていたけれど人間関係で退職したという女性は、「介護や保育など福祉をもっと大切にするために、根本的に考えてほしい」と願いを語りました。

西宮のハローワーク前では広告代理店の営業で一日十四時間労働、体と心の健康が心配で辞めたという二十五歳の男性と対話。「いつも帰りは深夜だったけれど、残業代は出なかった。この業界は当たり前ですよ」といいます。

残業代不払いという違法が当たり前のように広がっていたり、一生懸命働いても生活できるだけの給料が支払われていない、という実態がここでもみられました。

西宮での宣伝には日本共産党の、いそみ恵子県議候補も参加。青年たちと交代でハンドマイクでの訴えやアンケートに取り組みました。

いそみ氏と対話した六十代の人は、長年働いてきた職場を追われ、現在、夫婦で求職中。「共産党、頑張ってくれなアカンで」との声に、いそみ氏は「期待に応えてがんばらなくては」と決意を新たにしました。


写真:青年といっしょに宣伝するいそみ氏

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

神戸市敬老パス:値上げは止めて! 無料に戻して!

市長への要請(9月6日)を前に市民連絡会が署名統一行動

神戸市の「敬老パスの無料復活を求める市民連絡会」が、ことし十月からの値上げ中止と無料復活を求める運動を展開していますが、九月六日の神戸市との交渉を前に、街頭での統一行動など、取り組みを急速に強めています。


八月二十三日夕には神戸大丸前で、四十人あまりが、横断幕を掲げ、ハンドマイクで訴えながら、署名を呼びかけました。

介護実習をしてきたという二十一歳の学生も「敬老パスの有料化は気になっていた」と署名に応じました。

日本共産党からは市議、市議候補者、県議候補者らも参加しました。

写真:若い人たちも署名に応じていました=8月23日、神戸大丸前

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

被災者支援法改正へ署名運動

すべての被災者救う制度に

全国災対連や復興県民会議は、被災者生活再建支援法の抜本改正を求める署名運動にとりくんでいます。

被災者支援法は、二〇〇七年の「第二次改正」時の付帯決議として、四年後をめどに支援限度額を見直すことなどが盛り込まれています。二〇一一年の改定にむけて、支援金の上限三百万円の引き上げ、店舗や事業所への適用、適用要件の緩和など抜本改正へ、世論と運動がいよいよ重要となっています。

署名は、法適用条件の大幅緩和や支給限度額の大幅引き上げ、半壊・一部損壊世帯への支援など「被災者すべてを救済する制度」に改善すること、「生業を維持するために必要な施設・設備」も法の対象とすることなどを求めています。

支援法の適用要件などをめぐっては、これまでの「一市町村で住宅十世帯以上の全壊」という基準を、「人口十万未満の市町村は五世帯以上の全壊」「人口五万人未満なら二世帯以上の全壊」に緩和する方針を、内閣府がことし八月上旬、明らかにしています。

この問題では、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が七月二十八日の衆院災害対策特別委員会で、ことしの豪雨水害にもふれて要件の緩和を要求。答弁で中井洽防災担当相が、検討する考えを示していました。

緩和されるとはいえ、全壊が「五世帯以上」「二世帯以上」などの要件について、「被災者から見れば、他の被害がどれだけあるかは関係ない」という指摘もあり、すべての被災者が救済される制度へ抜本的な改善が求められます。
署名用紙は、「全国災対連」ホームページからもダウンロードできます。http://www.zenkoku-saitairen.jp/

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

ひとコマまんが

傘にしがみつく夏の虫


宮崎潤二

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

荒田平和ぼんおどりの輪さらに広がる



神戸市兵庫区の「荒田平和ぼんおどり」が八月十九、二十日宵、同区の荒田公園で行われました。

一九六七年から行われ、震災での中断を経て、ことし再開四年目です。地域の住民や三菱重工、川崎重工など地元の労働者たちも協力して運営。日本共産党の大かわら鈴子市議(左写真左)や荒田在住の井村ひろ子県議候補(同右)らも実行委員会メンバーとして尽力。荒田婦人会の有志もそろいの浴衣で盛り上げています。

ことしは例年以上に案内ポスターを掲示してくれる店舗が増えるなど、平和・核兵器廃絶の世論の高まりが反映しています。

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

普天間基地無条件撤去訴え23行動

猛暑でもがんばった

安保破棄兵庫県実行委員会は、毎月二十三日に行っている「23行動」を八月も実施、普天間基地無条件撤去などを訴えました。

最高気温三十五℃の猛暑のなか、熱中症の心配をしながらの行動でした。いつもなら横断歩道の前で信号待ちする乗降客や通行人も、この日は駅構内で日差しを避け、信号が変わると一気に横断して行きます。

それでも桂仲二郎安保破棄兵庫県実行委員長らの訴えにこたえてビラを受け取り「暑いのにごくろうさま」と母娘が並んで一緒に署名してくれるなど、いつもより短時間できりあげたなかで十筆の署名が集まりました。

(安保破棄県庫県実行委員会・後藤浩)

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

難病のりこえ口笛奏者に

音楽は生きる喜び:小西智さん

7月31日にひらかれた兵庫県父母と教職員夏のつどいの文化行事に出演した小西智さん(27)=姫路市白鳥台=。透き通った音色と豊かな響きの口笛演奏で、参加者を魅了しました。国内・世界のコンクールに出場するとともに、難病をのりこえ、この春から介護職員めざして勉強をつづけています。

左手にマイクを持ち右手で大きくリズムを刻みながら、神経を集中し、1曲1曲、音をつくりあげます。体力消耗は激しく「演奏は1時間が限度」と言う小西さん。子どものころから、重い喘息に苦しんできました。季節の変わり目、とくに真冬は最悪の状態だと言います。

5歳のとき、4歳年上の兄が口笛を教えてくれました。どんな曲も自分自身を楽器に、いつでもどこでも、演奏できるおもしろさ。音楽と口笛は、小西さんの人生に欠かせないものになりました。

会社勤めをしていた4年前、激しい喘息発作とともに、からだ中の毛が一気に抜ける全身脱毛症を発病。免疫力低下が原因と考えられ「治療法はない」と医者に告げられました。

生きる気力もなえ、引きこもりそうになる心を、家族と、口笛が支えてくれました。

2年前、テレビ番組で、日本口笛音楽協会主催の全国コンクールを知りました。「これに挑戦してみよう。前をむいて生きてみよう」と決意。すぐに課題曲「春のうた」のテープを送り、予選通過。昨年3月の決勝大会で課題曲「ドレミの歌」と自由曲「アルルの女」を演奏し、4位入賞。

ことし5月、中国青島でひらかれた世界コンクールにも、テープ審査を勝ち抜き、出場しました。体格も年齢も倍以上の、アメリカや中国など世界トップクラスの口笛奏者と同じ舞台に立ちました。「緊張から一瞬音が出ませんでした。でも、すぐ開き直って演奏しました」と笑います。再度の世界大会挑戦を決意しています。

口笛は、唇のすぼめ具合、息の調節、舌と喉の微妙なふるえで、つくりだします。小西さんが出せるのは3オクターブ。正確な音程が求められ、音色、音量とも演奏者によって異なります。

「まったく教科書のない世界。大好きな音楽を、自分の身体でどう響かせるか、自分なりの方法を編み出すしかありません」

いまは、より高度なウォーブリング奏法を習得しようと練習中です。バラード曲が得意で、これからやってみたい曲はモンティー作「チャルダッシュ」。オーケストラとも共演したいと考えています。

病気とたたかう息子を見守ってきた、母親の雅恵さん(54)は「智は、たくさんの人に声をかけてもらって育ってきました。以前は私の後に立っていた息子を、いまは私が後から追いかけています」と語ります。

死と向きあった経験から「生まれてきてよかった。精いっぱい生きよう」と昨年会社を退職。介護福祉士になるため勉強中で、音楽療法士もめざしています。障害者施設での演奏機会が増えました。

「口笛演奏の魅力を広めたい」と、積極的に演奏活動をつづける計画です。問い合わせ☎079・266・7627(小西)



写真上:兵庫県父母と教職員夏のつどいで「アルルの女」などを演奏しました=7月31日
写真下:「日本でも口笛を楽器として認知させたい」と話す小西さん

(「兵庫民報」2010年8月29日付掲載)

2010年8月22日日曜日

三菱重工神戸造船所「商船建造」から撤退を発表

大企業として雇用・地域経済への社会的責任を


三菱重工㈱は七月二十一日に「新造商船の建造を三事業所から二事業所体制に集約」し「百年以上の伝統を持つ神船での商船建造を二年後に終了する」と発表しました。

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これは船舶・海洋部門で「事業規模二千百億円(従来比15~20%減)でも確実に利益を上げていく体質を作る」と言って「神戸造船所」での商船建造を切り捨てようというものです。

まさに「目先の利益第一の横暴」であり、三菱重工㈱が大企業にふさわしい社会的責任―雇用、中小企業、環境、地域社会などへの責任を果たし、応分の社会的負担を担うことを放棄することです。

現在、商船建造部門で働く労働者は三百二十八名ですが、神戸の潜水艦部門へ百七名、原子力部門へ百名、東京本社や長崎造船所への転勤が十五名、神戸地区内休職派遣が六十五名、二年間の定年退職者が四十一名との再配置計画が明らかになりました。
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しかし、影響はこれにとどまりません。

下請けなど含め千数百人に波及か

造船は裾野の広い産業です。現在、神戸造船所の商船分野にかかわる会社は百五十社と言われています。構内での一次下請けだけでも四十一社で、その内商船関連のみの取り引きは七社、他の三十四社は商船・潜水艦両方の取り引きを行っています。これらの人員規模は商船が約七百名、潜水艦が二百四十名です。また二次、三次下請けを含めると、下請け関連社員の人数は千数百人を越える可能性があります。

ところが三菱重工㈱会社は、説明する範囲を一次取り引きのみに限定。しかも「個別に各社と話し合いさせていただき、神船内の他部門あるいは他の造船関連事業所や近隣の事業所等との取り引きを希望されるパートナーがあれば、関係先に紹介する」という対応にとどまっています。

下請け経営者の中から「われわれ二次業者には何の説明もありません」「下請け業者の仲間内ではみな沈黙した状況」「まず社員の配置が決まってからの話で、私たちは不安な気持ちで待たざるをえない」「『商船建造があと二年分で次の仕事が出せない、数十名は今から次の仕事を見つけるか、どうするか考えておくように』と言い渡されている」「今仕事に追われて、てんてこまいしているのにそんなことを言われても困ってしまう」と繁忙な仕事に追われ「将来の不安」を抱えた状況におかれています。

また一次業者で働く労働者は「子どもが高校生でこれから教育費もかかってくるし、こんな時期に長崎か下関へ行けるわけがない、どうなるのか不安だ」。関連会社の管理職は「火力部門から撤退した時は人ごとだったが自分がその立場に置かれ『そんな!』というのが率直な気持ちです」と語っています。

労働者・地域などの声聞き、再検討を

三菱重工㈱は労働者・取り引き関連企業とそこで働く労働者や、地域商店街・地域住民の声を聞き、提案を再検討すべきです。


職場の日本共産党組織は労働者へ、この計画の内容・問題点を伝える宣伝を計画しています。党地区委員会・県委員会・神戸市議団も対策委員会をつくり関係者の実情と意見を聞くなどの活動を始めています。業者、民主団体も相談活動などを始めています。

写真:海上から見る三菱重工㈱神戸造船所=神戸市兵庫区
表はクリックすると拡大表示されます

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

観感楽学


「家族の風景」―あるリゾートホテルのレストランの片隅から、各テーブルで夕食をとる様ざまな家族の姿を眺めていました▼子ども二人と父母、祖父母の六人、にぎやかで笑顔がすてきでした。老夫婦と若夫婦、それぞれのカップルもほほえましい。少し気になったのは、二泊していた老夫妻と四十歳ぐらいの障害を持つ息子さんの一家。バイキング形式の料理も母親が一人で家族の分を取りに行き、食事介護も。別のテーブルでは若夫婦と子ども三人、祖母も一緒ですが会話がありません―いろいろ状況は異なっても、そこには「家族の風景」がありました▼しかし今、家族の関係が希薄になってきています。先日の新聞報道では、所在不明の百歳以上の方が全国で二百八十一人。百歳以上といえば、戦前・戦後、ご苦労をされ、生き抜いてこられた方。不明と発表した後に生存が確認された例はないとのことですが、統計上の問題ではなく、その人の人生が軽んじられているように思えてなりません▼家族、地域、行政の連携で一人ひとりが大切にされる社会にしたいものです。(た)

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

高砂市議選:小松・大塚氏が全力

市民の願い議会に届ける日本共産党2議席必ず
 8月29日告示・9月5日投票

小松みきえ氏
高砂市議選は八月二十九日告示・九月五日投票で行なわれます。前回より二減の定数二十二に対し現職十七人、新人九人が立候補を予定し、激戦となる見込みです。

日本共産党は、小松みきえ、大塚よし子の二現職を立て、議席占有率の前進、議案提案権の維持をめざします。

高砂市議会では、保守系議員、大企業系議員などの「当局提案議案オール賛成議員」が、大企業のための大型公共事業や国・県の指導による「行革」を推進する一方、「国保料引き下げ」「産廃施設建設阻止の住民投票条例の制定」など市民の請願・陳情にはほとんど不採択の姿勢をとっています。

大塚よし子氏
その中で、日本共産党議員団は、今期、小松議員が全議員中最多の十二回、大塚議員も十回本会議質問にたつなど、市民の声を議会で代弁してきました。

子ども医療費無料化の拡充、就学援助拡充、中小業者の融資制度改善など暮らし優先の施策を実現。国保料引き下げへ一般会計からの繰り入れ見直しを市長に表明させたり、「後期高齢者医療制度の廃止」の請願・陳情採択に全力をあげるなど、市民とともに運動し要求実現の先頭に立って奮闘しています。

また、日本共産党議員団は大企業などにも堂々とものを言ってきました。大木曽水路再整備や西港へのアクセス新道路建設計画では、PCBの汚染源カネカ・三菱製紙、西港を使う三菱重工などに企業負担をと主張しています。部落解放同盟への不公正な補助金も廃止させました。

今回の市議選に向けては、国保料一世帯一万円引き下げ、中学校給食実施など市民の切実な願いにこたえる公約をかかげ、その実現に欠かせない日本共産党議席の値打ちを訴え、支援を呼びかけています。

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

日本共産党が終戦記念日宣伝

反戦・平和の党として
核も戦争もない世界へ決意新た


終戦記念日の八月十五日、日本共産党が各地で街頭演説・宣伝を行いました。
JR神戸駅前では、県委員会と東灘・灘・中央地区委員会が合同で宣伝。堀内照文兵庫国政委員長、大前まさひろ神戸市議予定候補(中央区)、段野太一神戸市議らが街頭演説しました。

段野市議は演説の中で、神戸空襲で逃げ惑った体験などを語り、二度と繰り返さないために戦争体験を子どもや孫たちに語り継ごう、と呼びかけました。また、戦前から反戦・平和のためにたたかい続けてきた日本共産党の姿を紹介しました。

堀内氏は、ことしが「韓国併合」百年、日米安保改定五十年の節目であること、潘基文国連事務総長が広島で核廃絶を訴えるなど、世界は核兵器廃絶へ具体的に進もうとしてること、東南アジア友好協力条約国が広がっていること、北朝鮮についても六カ国協議への努力が続いていることなどを紹介。その中で日本国憲法九条が現実的な生命力を発揮していると述べました。

大前氏も、核兵器も戦争もない世界、九条が生かされる政治を実現しようと決意をかたりました。

写真:神戸駅前で宣伝する堀内照文兵庫国政委員長(右)と大前まさひろ神戸市議予定候補(左)

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)


明石市議選:1議席増めざし現職1、新人3

日本共産党東播地区委員会はこのほど来年のいっせい地方選挙・明石市議選(定数31)の候補者を発表しました。現職一人・新人三人で一議席増をめざします。四人の略歴は次のとおりです。

辻本たつや(37)=現
県立明石南高校卒業後、家業の左官業に従事。東播建設労働組合青年部長、県建設労連青年部連絡会議長を歴任。二〇〇三年市議初当選、二期。現在、生活文化常任委員長、議会運営委員、都市計画審議会委員。県立明石南高校野球部OB会事務局長。大久保町高丘在住。




くすもと美紀(55)=新
奈良左保短期大学卒業後、古座町(和歌山県)、神戸市、明石市の公立保育所で保育士として子どもたちを育む。現在、新日本婦人の会明石支部常任委員。大久保町谷八木在住。





西川あゆみ(39)=新
県立明石西高校、広島県立大学卒。印刷会社勤務を経て、精神障害者作業所・小規模授産施設の施設長を勤める。〇五年から日本共産党明石市議団事務局員。民青同盟明石地域班、明石労音で青年運動・音楽鑑賞運動に貢献。太寺在住。





おりがさ隆志(31)=新
県立明石北高校、神戸電子専門学校卒業後、明石西郵便局でアルバイトを続け、〇八年に郵便事業会社明石西支店に契約社員として採用される。その間、郵政産業労働組合に加入し、非正規労働者の待遇改善に尽力。二見町福里在住。






(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

原水爆禁止世界大会青年ツアー


参加者が広島で交流会
兵庫で、さらに核廃絶運動ひろげよう


原水爆禁止世界大会への青年ツアーに参加した、民医連や民青同盟、青年ユニオン~波~の兵庫の青年約四十人が八月五日、現地・広島で青年交流会をおこないました。

交流会では、グループに分かれ、世界大会に参加してのそれぞれの感想を交流。そして、分科会などで学んだことをグループごとでクイズにして確かめ合いました。

「呉と岩国の基地をみてきた。大きな潜水艦や戦闘機もたくさんあった。被爆地すぐ近くにこんな基地があることに矛盾を感じた」、「被爆者の方の話を聞いた。逃げ遅れて助けを求めている人も助けられなかって悔やむ思いも率直に語ってくれた。こんな苦しみを二度と繰り返させたくない」など、みんなが感じた率直な思いを交流しました。

クイズでは、「原爆の模擬爆弾でも多くの被害があった。日本全国で何発ぐらい落とされたでしょう?」「南アフリカは核兵器をもっているか?」「日本で潜水艦がつくられている場所はどこ?」など、それぞれ学んだことを生かして出題。最後は、それぞれのグループで交流した核廃絶への思いをだしあいました。

参加したメンバーでは、この交流会をきっかけに、兵庫で核廃絶に向けた運動をさらに大きくひろげようと話し合っています。

写真:せいぞろいした交流会参加者

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

ひなたぽっころりん


(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

最賃時給1000円へ引き上げ要求

兵庫労連が決起集会


最低賃金の時給1000円への引き上げを一貫して要求している兵庫労連(津川知久議長)は8月6日、JR神戸駅南の兵庫労働局前で最賃引き上げ・公務員賃金改善決起集会をひらきました。組合旗を持った労働者ら約150人が参加しました。

現在兵庫の最賃は721円。中央最低賃金審議会が同日発表した兵庫の引き上げ目安は10円です。東京30円、京都15円、大阪14円と比べ低額で、生活保護水準を下まわる違法状態です。今年度の予定だった逆転解消も1年延期が発表されました。

集会では「生活保護水準と乖離の即時解消と、内需拡大のためにも最賃の大幅引き上げ」を強く求める決議文を読みあげて採択。

訴えで足田太輔兵庫労連副議長は「私たちのささやかな要求額とほど遠い。時給1000円への引き上げめざし、運動を職場・地域で広げていこう」と呼びかけました。

写真:兵庫労働局にむかいシュプレヒコールを唱和する参加者

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

神戸平和と労働会館ピースフェス


今春開設した神戸平和と労働会館(重工産業労組ほか、長田区腕塚町)の第1回ピースフェスティバルが8月1日から8日間ひらかれました。ホールに原爆写真や戦時中の生活用品などを展示、延べ300人が参加しました。

最終日の8日は特別行事を開催。NPT再検討会議要請行動を高校2年生の上野遥さん(17)が報告し「平和運動の大切さを実感。これからも核廃絶署名を集めつづけたい」と述べました。久村信政全造船機械三菱重工支部書記長は、日本の軍需産業の実態を講演。「憲法9条を守るのが私たちの仕事。私たちは再び戦争の加害者・被害者になってはいけない」と強調しました。

写真:子どもたちに戦時中のくらしを説明する組合員

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

兵庫の「語りつごう戦争」展平和のつどい

NPT会議要請行動を報告

兵庫の「語りつごう戦争」展の会(新間智照代表)の平和のつどいが8月15日、神戸市兵庫区の妙法華院でひらかれ、約70人が参加しました。

17歳で海軍航空隊に入った戦争体験をもつ新間代表は「この日を忘れてはいけない。戦争の悲惨さを語り継ぎたい」と挨拶しました。

NPT再検討会議に参加した平野貞雄さん(県平和委員会常任理事)が講演。「核不拡散ではなく、核廃絶を中心にすえた画期的な会議だった。原水爆禁止運動の反映。しかし、いまだに日本政府は核抑止力の立場に立つ。私たちのやるべきことは非核の政府をつくること」と語りました。

写真:5月のNPT国連要請行動を報告する平野貞雄さん

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

東京~広島~長崎・反核平和マラソン

核廃絶を願い走る
尾方素子(ランナーズ9の会)

ことしも新日本スポーツ連盟主催「反核平和マラソン」に、全国の、ランニングと平和を愛する仲間たちと参加しました。

被爆65年の節目のことしは「東京~広島~長崎1500キロ反核平和マラソン」がとりくまれました。東京を7月27日出発し、リレーでつなぎながら、広島に8月5日到着、1000kmを走ってきたランナーらとともに、私たち「ランナーズ9の会」も、つづく広島~長崎間490kmを走りました。

連日の猛暑のなか、広島の平和公園を6日8時30分スタートし、8日長崎到着をめざしました。フランスから5人、韓国からの5人を含む、150人以上が参加しました。

昨年のアメリカ・オバマ大統領のプラハ発言、また5月の核不拡散条約再検討会議の結果を、さらに一歩前進させるため、平和を愛するランナーとして核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現を願う熱い思いで、長崎に向け走りつづけました。

炎天下の走りは非常にきつい条件ですが、それでも一日平均160km以上走らなければなりません。夜は車の通行で危険なため、早朝5時から夕方19時の時間帯しか走れません。約5kmごとに、ランナーが次つぎ交代し、タスキをリレーし、つないでいきました。

ランナーたちの走りは、伴走車、運転手、給水、アナウンサー、救護ほか大勢のサポーターによって支えられています。

8日19時ごろ、長崎の平和公園に到着したときは、3日間をともに走った仲間たちと、抱き合って歓び合いました。初めて参加した仲間の女性は平和の像を前にして、あふれる涙がとまらないようでした。

地球上に核兵器がなくならない限り、また体力がつづく限り、これからも「広島~長崎反核平和マラソン」に参加しつづけようと思いながら、長崎を後にしました。

65年前と同じく暑い夏、私が待ち望んでいるものは、核兵器がなくなった後で開催される「平和マラソン」です。

写真:長崎めざし広島を出発する尾方さん(こちら向き左から2人目)たち=8月6日

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

三木戦争展 「広島原爆ドーム」展示


三木市役所ホールで8月7日から4日間ひらかれた「平和のための戦争展」(実行委員会主催)に、県立北条高校1年1組の生徒39人が、6月の「北高祭」に作成した原爆ドームのモザイク壁画が展示され注目を集めました。

縦4m横8mほど。担任で社会科教諭の稲次寛さんが、生徒たちの「でっかいものを作ろう」の声からデザインを提案。早朝や放課後の4日間、シールを貼り作りあげました。
稲次さんは「完成したとき、生徒が手を叩いて喜びました。これからも平和教育に力を入れたい」と語ります。

写真:戦争展入口に展示された県立北条高校生徒のモザイク壁画と稲次寛さん(左端)

(「兵庫民報」2010年8月22日付掲載)

2010年8月8日日曜日

県「新行革プラン」見直し

さらなるサービスカット
施設の市町への押し付け

兵庫県議会「行財政構造改革調査特別委員会」が七月二十日に開かれ、兵庫県は、二〇〇八年から十一年間かけてすすめている「新行革プラン」の三年ごとの総点検をうけた見直しにむけて、「総点検における課題と検討方向」を報告し、質疑が行われました。

新町議員「暮らし応援を原則に」と追及

日本共産党の新町みちよ県議は、「県民意識調査でも、県民の願いは『雇用』『中小企業の育成』『福祉対策』となっている。地方自治法にのっとり、県民のくらし応援、内需拡大で景気回復をはかる原則を」とせまり、福祉医療などの県民サービス低下、出先事務所の統廃合や職員削減の影響がどのようにでているのかとただし、県立施設で市町が引き受けない場合、廃止を検討するとしているなどの「見直し」の問題点を指摘しました。


今回の「見直し」は、「収支不足」を理由に、県民への負担増、サービスカットや職員三割削減を強引にすすめた「新行革プラン」の進捗を点検し、さらにコストカットをすすめようとするものです。今後も職員削減、サービスカット、県立施設の市町への押し付けなどが検討されていきます。

また、民主党政権の「新成長戦略」や「地域主権法案」などの動きに「整合を図る見直し」も予定されており、国といっしょに一部大企業の支援や高規格道路の建設をすすめる一方で、保育所、公営住宅の基準撤廃などが促進されることも予想されます。

「見直し」には、「つくる」から「つかう」、「投資事業の縮減」などと書き込まれていますが、実際は、但馬空港には相変わらず毎年五億円もの税金がつぎ込まれ、東播磨南北道路など、重点的に高規格道路などもすすめ、塩漬け土地をあらたな借金で買い戻し、「県有環境林」とごまかす手法もそのままです。

今後、特別委員会などで議論され、「見直し」がすすめられますが、「新行革プラン」の影響や意見を踏まえた県民的な議論が不可欠です。

(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)


写真:新町みちよ議員

土砂崩れ被害農地:復旧に数百万自己負担

農業続けられるよう支援を


七月十四日を中心に兵庫を襲った「ゲリラ豪雨」は各地に被害をもたらしました。川西市内でも国道477号線の崩落により土砂に埋まった農地があります。

自然災害にあった農地の復旧事業には公費が出ますが、限度額が実態に見合わず、川西市内の被害でも、一農家に数百万円の自己負担が生じます。農家に今、それを負担する力はありません。

今回の被災でも約千五百平方mの水田がつぶれ、コメの収穫ができなくなりました。農地復旧は「個人の利益になるから自己負担は当然」と国は言いますが、今、農業は通常でさえ赤字です。被災農家が「もう続けられない」「家族にもう辞めてと言われた」というのは無理もありません。そう言いながら、土砂に埋もれた田畑を放っておけず、農家がみずから復旧に取り組んでいます。

農地は食料生産を支えるだけでなく、県土を守り、環境保全に寄与しています。農地復旧は「社会の利益」でもあるのです。

今回被災した農家は二〇〇五年にも同じ国道の崩落での被害を受けています。「個人負担が捻出できずに一生の仕事をやめざるを得なかった、田んぼがまた一つ失われたという事態をつくらない行政を」とねりき県議、川西市会議員団は奮闘、行政も「知恵を出す」と約束しています。
(党県委員会農林漁民部・金田峰生)

写真:阪神北県民局で要請する(右から)森本たけし川西市議予定候補、ねりき恵子県議、黒田みち市議、土谷一郎市議、金田峰生氏(撮影:大塚寿夫市議)=7月30日
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

観感楽学


八月四日は社会派推理作家・松本清張の十八年目の命日。熱烈な清張ファンの筆者は、テレビでもドラマは決まって推理ものを楽しんできました▼ところが、最近のテレビの推理ドラマはチョット変▼まず、本数が多すぎる。先週の月曜から土曜までのゴールデンタイムにキー局放映の推理ものは十一作品▼月曜は毎日テレビの「ハンチョウ」と月曜ゴールデン「緑川警部vs 16時02分の路線バス」/火曜はABC「ジョーカー」と関西テレビ「逃亡弁護士」/水曜はABC「警視庁捜査課9係」/木曜はABCの「科捜研の女」と「警視庁継続捜査班」/金曜は毎日「うぬぼれ刑事」とABC「熱海の捜査官」/土曜のABC土曜ワイド劇場と関西テレビ土曜プレミアムは共に推理映画▼そのドラマ、出演者が違うだけで内容は似たり寄ったり▼迷宮入り事件や本庁上層部が誤認追及している案件に対し、署内では窓際族扱いの資料室担当の刑事や科捜研技官や、わけあり弁護士が、苦労を重ねて、事件被害者を苦しめている事実をつきとめるという展開▼残念ながら、これでは視聴者の愛想づかしは近いかも。(T)
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

ひとこまマンガ


段 重喜


(今回はWeb版のみの掲載です)

神戸市敬老パス:値上げ中止・無料復活を



敬老パスの無料復活を求める神戸市民連絡会は七月二十二日、神戸市に対し「値上げ中止と無料復活をもとめる」八十七団体の署名を提出し、交渉しました。この交渉には、各団体代表や連絡会のメンバー、日本共産党市議団などから約五十人が参加しました。

小林平代表が、土井義和保健福祉局高齢福祉部長に「高齢者が安心して生活できるよう、値上げを中止し無料復活を」と、署名を手渡しました。

参加者からは「わずか一キロでもバスに乗らないと買い物に行けない人もある。百九十八円のバナナを買うためにも往復のバス代がいる。これが倍になるとどうなるか」「病院通いでバスを使う。当初は五十円くらいならと思っていたが、持たなくなっている」「買い物に行く時は歩いて、帰りだけ乗るようにしている」など、切実な生活実態が出されました。

しかし、土井部長は「高齢者が増えていく。平成三十七年度には七十歳以上が人口の二割以上になる。制度を維持するために一定の負担をしてもらわないといけない」などと答弁しました。

それに対して参加者から、「長寿は喜ぶべきものだ。神戸市の説明を聞くと、早く死ねと言われているようだ」
「地下鉄、バスを利用して外出することは、医療面からも精神面からもいいことだ。行政マンとして知恵を出し、部長から局長に、局長から市長に提言すべき」
「閉じこもりの高齢者をこれ以上増やしてはいけない」
「負担が増えると、ボランティア活動にも支障が出る。高齢者訪問などもしている。せめて、今のまま据え置いてもらいたい。敬老パスはボランティア活動を支えるものだ」
「神戸市は震災で金が要ったというが、震災直後に何をやったか、神戸空港の建設だ。それで財政が苦しいと言われたら腹が立つ。長生きを負い目に感じるのは悲しいことだ」
―などの意見が出されました。

また、西区や北区の参加者からは「神戸電鉄の運賃が高いため、三宮に出てくるのが大変だ。敬老パスを神戸電鉄にも適用してほしい」という声が出されました。

集会後、参加者は、市民に十月からの値上げの不当性を知らせ、署名を一気に集めようと確認しました。

(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

写真:敬老パス無料化復活を求め神戸市と交渉する市民と議員ら



バス運転手・駅員は不安定・ワーキングプア


神戸市議会外郭委員会:㈱交通振興審査

神戸市議会で外郭団体に関する特別委員会が七月二十六日から始まりました。審査の対象は神戸市が出資する外郭団体(第三セクター)です。日本共産党議員団からは西下勝、段野太一両議員が、㈱交通振興について質問しました。

㈱交通振興は、市からバスの運転や地下鉄の駅掌業務を委託していますが、従事する職員は全員、一年契約の不安定雇用。地下鉄の一般駅掌では超過勤務手当を入れても年収三百万円以下です。

西下議員は、官製ワーキングプアとも言える実態を、改善するよう求めました。




段野議員は、㈱交通振興のバス山手線(新神戸 湊川公園間)について質問。

山手線は神戸市が廃止した旧91・92系統の一部を、市民からの多数の要望を受け、㈱交通振興が自主路線として復活させたものですが、沿線住民などの要望を調査し、より使いやすい路線として拡充するよう求めました。

交通局長らは「(給与は)民間の鉄道事業と比べても同じくらいの水準である」「(山手線の)地域のニーズをどのようにとらえるかは、今後とも検討したい」と答弁しました。

特別委員会は引き続き開催され、百六十億円も赤字を抱え、毎年億単位の補助金を投入して運行している㈱海上アクセスや、中央市民病院や西市民病院を運営する市民病院機構などが審査されます。

(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)


写真上:西下勝議員
写真下:段野太一議員

共同の可能性を実感

堀内氏の参院選後あいさつまわりに随行して 


参議院兵庫選挙区でたたかった堀内照文さんは、選挙後のあいさつに全県をまわっています。今回は新しくお付き合いが始まった団体や個人が格段に増えていて、これまでとは様変わりしています。

政策はどの党より近い

医療分野では異口同音に、「政策は他のどの党より一番近いですから、ぜひがんばって下さい」と激励されました。ある医師会幹部は、「一番近いというか、ほぼ一緒なのに、まだ反共意識がうっすら残っているのかも」と分析しつつ、「医療の課題は山積です。これからもぜひお力添え下さい」と期待を寄せてくれました。

農協、漁協、森林組合などでも、「今後とも情報交換しながら協力し合いましょう」という話になります。

財源も示しての提案に感嘆

ある農協の組合長は、「共産党の政策が一番しっかりしていて印象的だった」と感想を述べつつ、「問題は財源」と言われるので、財源も示して農業再生の展望を提案していることなどを紹介すると、「ほぉ」と感嘆のため息を漏らしていました。

自民党に戻った訳ではない

また別の組合長は、「別に自民党に戻った訳じゃない。民主党が一人勝ちして勝手なことをしはじめたことへの国民の審判です」「みんなの党は波に乗れたからで、中味で選ばれた訳ではない」とし、「共産党の理を説く路線は、かならず受け入れられる」と指摘されました。

これからも寄ってください

その他、「共産党は良いことを言うのに伸びませんね。まだイメージが払拭されていないのでしょう。その辺をもう少し研究された方がいい」とか、「共産党は農政以外の分野で理想が先走って浮いているイメージです。もう少しみんなが耳を傾ける発言の仕方を工夫して下さい」などの意見もいただき、「こうして共産党さんと話をするというのは今までなかったことです。これからも機会があればぜひ寄って下さい」と言われました。

他の業界団体とも、「うちは共産党さんとはあまりお付き合いがありませんでしたが、色々課題が山積ですから、引き続きよろしく」という話ができました。

新たな出会いも

「しんぶん赤旗」に登場していただいた方も、「今回はじめて共産党に入れました。話を聞かなければ、みんなの党に入れていたかもしれません。縁というものは大切にしたいものです」など、率直に話してくれました。

訪問活動の中で新たな出会いも生まれています。いずれにしても、共同の可能性は広がっていると感じています。協力共同を具体化し、さらに結びつきを次回の支持につなげなければと、決意を新たにしています。
(国会議員団兵庫事務所・金田峰生)

(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

民青同盟の折り鶴宣伝

気軽に足とめ対話広がる

今年原水爆禁止世界大会に初参加するK君は自身が通う大学の最寄り駅で折り鶴宣伝に取り組んでいます。

きっかけは民青同盟の班会で学んだNPT再検討会議についての志位和夫日本共産党委員長の報告を学んだことです。核廃絶に向けて世界が大きく動いていることを学び「世界大会までに何かやりたい」と話になり、折り鶴宣伝をすることになりました。

やってみると気軽にみんな立ち止まって鶴を折ってくれます。

夏期講習に通う途中のある高校生は「いまはあまり時間がないから次、折ります。次はいつやってますか?」と対話になり、「三十日にまたここでやってます。ぜひ折ってくださいね」と話すと、その言葉どおり三十日に再び来て、折ってくれました。

K君の友人も何人か通り、足を止めてくれました。K君は友人に鶴の折り方を教えながらなにやら得意そう。こうした気軽に止まってくれ、対話できる折り鶴宣伝についてK君は、「こんなに簡単に平和をアピールできるなんていいですね。もっと色んな人にアピールしていきたい」と語っています。(上園隆)
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

写真:JR新三田駅頭での折り鶴宣伝

核兵器のない世界へ(6)

NPT再検討会議兵庫県代表団の報告
保有国に約束履行を課す



梶本修史(兵庫県原水協事務局長)

21世紀に入っての平和運動は、危機感からだけでなく、展望と希望を提示し、現実のものとするプロセスへ加速させていくために、草の根から世論を発展させる内容になっています。最近の原水爆禁止世界大会が「核兵器のない平和で公正な社会を」のスローガンを掲げつづけている意味も、そこにあります。

NPT再検討会議・ニューヨーク行動は前年5月、日本原水協が核兵器禁止交渉の開始を求める署名の共同提出と合わせて提唱し、世界250のNGO団体が呼応、諸国民の運動の結集点となりました。

核保有5カ国を含めNPT会議は「核兵器の完全廃絶に向けた具体的措置を含む核軍備撤廃」の「行動計画」をとりあげた最終文書を全会一致で採択しましたが、「核兵器廃絶への交渉開始」を共通要求とする世界の運動が後押ししたことは、紹介してきた通りです。

NGOとともに圧倒的多数の国の政府が、核兵器廃絶を目標とするだけでなく、期限を切った核兵器の廃絶、核兵器禁止条約の交渉開始、そのための会議開催など具体的なプロセスについて提案し、合意を迫りました。

その結果、15年の次回再検討会議を、「次のステップを検討」する会議とし、核保有国に対し、核兵器廃絶の「明確な約束」履行などの行動を課し、14年の準備委員会への報告を義務づけました。

NPT会議の成果は市民運動と政府・国連との共同が新しいレベルに進んだことを示しました。核兵器廃絶へ「次のステップ」を具体化するために、NPT会議以後初めて世界の反核平和運動の結集するのが、今年の原水爆禁止世界大会です。

だからこそ、ことしの世界大会にはNPT会議で大きな役割を果したドゥアルテ国連上級代表はじめ、マレーシア軍縮大使(IAEA理事会議長)、メキシコ、アラブ連盟、エジプト、ノルウェー、ベネズエラ、キューバなどの政府代表、27カ国70人以上の高い代表性をもった海外代表が出席します。

日本からの署名約700万を受けとったカバクチュランNPT会議議長からも「あなた方の努力が、NPT再検討会議の大きな成功を助けたことは証明済みです。(中略)あなた方の大会が掲げる3つの目標の達成を促進し、私たちを核兵器のない世界へと導いてくれる」との期待のメッセージが寄せられています。

兵庫県からも、NPT会議提出署名35万余に託された核兵器廃絶の思いを担い、代表約200人が参加します。米軍再編・基地強化が進むなかで、非核「神戸方式」を35年も維持している兵庫県代表団の奮闘は世界からも注目されています。(連載終

写真上:世界にアピールする兵庫県の代表団=昨年の世界大会で
写真下:NPT会議後も非核の世論づくりに奮闘する兵庫県原水協のメンバー
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

尼崎大気汚染公害 第37回連絡会

東本町バリアフリー来年末完成

尼崎公害患者・家族の会(松光子会長)と国・阪神高速道路との第37回連絡会が7月28日、尼崎市総合文化センターでおこなわれ、患者・家族ら約100人が傍聴しました。
今回は、阪神高速道路の担当者が、国道43号線東本町歩道橋のバリアフリー化を説明。東西南北4カ所のエレベーター設置、歩道橋改良、歩道拡幅などを当初計画より早め、来年度末完成予定ですすめていると述べました。

松会長らは「10年目にして、やっとエレベーターが目に見えるものになった。1日も早く完成させてほしい」と工事の促進を要求しました。

また環境ロードプライシングで、5号湾岸線への転換を促す割引対象を、従来の大型車に加え、ことし3月から8t未満普通車へも拡充後の利用状況が報告されました。3~5月の断面調査で「約200台程度の転換」と説明し、次回は9月に調査するとしています。

同会は、尼崎南部の道路公害対策を求め00年1月、大阪高裁で大型車排ガス差し止め判決を勝ちとり同年12月、和解成立。03年6月には和解条項履行を迫り、公害等調整委員会のあっせん案で合意しています。
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

写真:国と阪神高速道路の計画をただす松光子会長、中尾英夫弁護士(右)、羽柴修弁護士(左)

父母と教職員夏のつどい

「命の大切さ伝えよう」

兵庫県父母と教職員夏のつどい(実行委員会主催)が7月30日と31日、神戸市勤労会館でひらかれ、延べ280人が参加しました。

初日の文化行事は新婦人尼崎支部のフラダンス。翌日は喘息・全身脱毛症とたたかいながら介護を勉強し、口笛の世界コンクールで4位入賞した小西智さん(姫路市在住)が「千の風になって」ほかを演奏しました。

助産師の永原郁子さんは講演「子どもの命が輝くとき」のなかで命の大切さ、命の神秘を子どもたちに伝える重要さを強調しました。

また京都教職員組合女性部長の吉田文子さんは「現代の貧困と子どもの育ち」と題して講演。親が余裕を奪われ、子どもが自分や他人に優しくなれない状況を述べ、「大人の生活が守られていないと、子どもの生活も守れない」と語りました。



(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

写真:「現代の貧困と子どもの育ち」と題して講演する吉田文子さん=7月31日

第18回障害者の明日を語り合うつどい

利用者本位の制度に

第18回障害者の明日を語り合うつどい(実行委員会主催)が7月25日、あすてっぷ神戸でひらかれ約60人が参加しました。

シンポジウム「新たな障害者の制度改革への私の願い」は、ことし4月、国と和解した自立支援法兵庫訴訟弁護団長の福嶋健太弁護士が司会を担当、6人が意見を述べました。

視覚障害の車谷美枝子さんは「障害者が社会参加できる法整備が必要。利用者本位の制度にしてほしい」と述べ、聴覚障害の小林泉さんは「政治参加から趣味、あらゆる生活の場面で情報保障は不可欠。手話通訳の利用者負担は納得できない」と主張。重症心身障害者の息子をもつ石倉勝さんは「親がいなくても、障害者が地域で生きていけるよう支援制度を充実させてほしい」と訴えました。
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

NTT雇用継続裁判控訴審 第6回弁論

原告側証人3人を申請

60歳以降もNTT西日本に雇用の継続を求める裁判(1・2次原告計35人)の第6回控訴審弁論が7月22日、大阪高裁第13民事部(紙浦健二裁判長)でひらかれました。

裁判所はNTTに前回、キャリアスタッフ制度はいつどのような手続きで廃止したのか書面で明らかにするよう求めました。NTTは証拠書類を提出しましたが、これは了解事項を改正し同制度を廃止するという内容で、調印文書の署名者は労使とも肩書きのない氏名だけ。しかもNTTは労働基準監督署に同制度廃止を届けず、「98%を組織する労働組合との合意だから有効」と強弁しています。

原告側は高年法に逆行する同制度廃止について今後、反論する予定です。また原告側が求めている証人3人については次回決定します。原告団は次回控訴審で3人の証人採用を求める要請はがき運動をとりくんでいます。

第7回控訴審は10月5日(火)14時から大阪高裁73号法廷でひらかれます。
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

君と腕を組む

神戸市西区ポスター公選法弾圧事件
神野忠弘(神戸詩人会議)

いま 君と腕を組む

街頭宣伝で
有権者に 何党が宣伝しているか
判るように信号柱と 道路標識柱に
証紙の政党ポスターを 立てかけ
風に飛ばされないよう 仮止めした

それがだめなんだというから
はずそうとすると そのままにしておけ
君の動作を 静止させ
手錠を掛け 逮捕 送検 勾留

いま 黙秘の君と腕を組む

葬儀の日も 勾留をとかず
君は 右の手のひらに兄貴と書き
左の手のひらに 成仏と書いて
両の手を合わせて
鉄格子から 実兄の冥福を祈った

誰の指示か 幾度も聞かれたことだろう
君のことなんか 誰も想ってくれていない
幾度も聞かされたことだろう
支援の輪は日々ひろがり 君と腕を組む
日々 塀の外から支援の声を送る
君は長い長い はじめての道だっただろう

どの政党もしているぞ
市民の良心の声に 耳もかさず
家宅捜査は ポスターの裏打ちにも使われる
猫のトイレのプラスチック板五枚を押収した
通行人には信号機の前で しつこく情報収集
住民それぞれに 呼び出しをかけつづける

すべての良心が君と腕を組む

手から 手へ
耳から 耳へ
人から 人へことは伝わる
ことを 特定して
民主主義を 制限する
そんなことは あってよいのか

勾留二十一日間 不起訴処分
君は 青年のころ
小川のせせらぎの小道を帰っていた
夕日につつまれ 明日を見つめ歩幅を広げた
君の面影は もう消えることはない

誰の指示かには
国民の指示だと
答えるしかなかっただろう
やはり そうだろう
君は そう答えるだろう
人は いのちの日だまりの中を
一歩 一歩 歩んでいるのだから


(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

第43回兵庫県平和美術展

初参加含め53人が出展


制作者1人ひとりの平和への思いが込められた、第43回兵庫県平和美術展(兵庫県平和美術家協会・同展実行委員会主催)が7月29日から6日間、兵庫県民会館アートギャラリーでひらかれました。

ことしは53人が絵画や書、写真、彫刻などを出展。「初参加が増え、質も高くなった」と宮崎潤二実行委員長(81)は指摘します。

昨年10月104歳で亡くなった小松ときさんの短歌10数首を記した西澤慎さんの書、ハヤブサやキビタキなどの躍動感を彫った武市靖雄さんのバードカービングの前で、じっくり見入る人がいました。
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

写真:展示作品を熱心に見る来場者

ひょうご福祉ネット第15回総会

高齢化・母子家庭…相談内容も深刻

大震災から15年、被災者の生活相談活動をつづけている、ひょうご福祉ネットワークの第15回総会が7月31日、神戸市婦人会館でひらかれ、10人が参加しました。

復興公営住宅で月1回の巡回相談には、健康、生活保護、生活費などの問題が寄せられています。経過報告では高齢化と母子家庭の増加も指摘され、子どもの大学進学で生活保護を打ち切られる事例や、神戸市営住宅家賃の値上げに困窮している独居老人の相談などが紹介されました。

活動方針では①国・自治体に対策強化を求める②敬老パス廃止や市住家賃値上げ反対運動の連携、などを確認しました。
(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載)

2010年8月4日水曜日

加藤さん不起訴・釈放:ポスター弾圧事件


神戸市西区ポスター公選法弾圧事件で七月九日以来勾留され、黙秘でたたかってきた加藤寛治氏が七月二十九日、不起訴決定を勝ち取り、釈放されました。

不起訴理由は「起訴猶予」とされていますが、「神戸市西区ポスター公選法弾圧事件」対策委員会は、「本来、罪とされるべきことではなく、選挙妨害・人権侵害をはたらいた警察・検察とその強制捜査を是認した裁判所は謝罪してしかるべき」と批判しています。

二十九日夜、西区民センターで開かれた「不起訴勝利」報告緊急集会には堀内照文氏をはじめ三百人が詰めかけ、加藤氏を迎えました。

加藤氏は「これからも臆することなく頑張っていきたい。毎日毎日、暑い中、激励に来てくれた皆さん、全国の皆さん、ありがとうございました」とあいさつ。万雷の拍手に包まれました。

集会では、加藤氏の妻・則子さんをはじめ、夫の留守中の警察からの呼び出しなどに毅然と立ち向かった女性たちの頑張りも報告されました。

(「兵庫民報」2010年8月8日付掲載:この記事のみ新聞版に先立ち公開します)

写真:ねぎらいを受ける加藤寛治・則子夫妻

2010年8月1日日曜日

西区ポスター公選法弾圧事件

勾留され、黙秘を貫きたたかってきた男性・加藤寛治さんは、7月29日、「不起訴」決定を受け、釈放されました。以下の記事は7月27日現在のものです。

勾留理由開示公判で捜査の不当性明らかに

神戸市西区で、参議院選挙での街頭宣伝の際、選挙運動用ポスターを信号柱などに仮止めしたことが公職選挙法違反だとして、日本共産党後援会員の男性が神戸西警察署に逮捕・七月九日以来勾留されている「神戸市西区ポスター公選法弾圧事件」。その勾留理由開示公判が七月二十六日、神戸地裁で開かれました。

勾留理由開示公判とは、勾留を決定した裁判官に対して、弁護人と請求人が公開の法廷で勾留を決定した理由の釈明を求める裁判。捜査の不当性を追及し、即時釈放を求めるものです。

勾留理由開示公判が開かれることは多くなく、法廷も神戸地裁では広い一〇一大法廷の約百席に対して二百人以上が傍聴に駆けつけるなど、異例の公判となり、担当裁判官のみならず、神戸地裁全体に、この事件に対する市民の広く強い関心を印象づけました。

また、勾留されている男性が入廷すると、割れんばかりの拍手が起こるなど、これまで直接会えなかった妻や支援者の姿が男性を大いに励ましました。

勾留理由の不当性を追及

公判で裁判官は、勾留理由として「罪証隠滅や逃亡のおそれがある」と説明。

一方、男性は「私は信念をもって政治活動をしてきました。そして不当な政治弾圧に抗議する意味で黙秘してきた。選挙の公正を犯すようなことは何一つしていません。早期に釈放されることを申し述べます」と堂々と陳述しました。

男性の妻も開示公判の請求者として陳述。「やさしい夫です。二人で寄り添って生きてきました。逃亡して何の得があるのでしょう」と釈放を求め、訴えました。

弁護団は、裁判官に対し、全国各地で行われている同様の行為は何ら取り締まられておらず、さらに、今回の男性の場合は短時間に過ぎず、仮にポスターなどの仮止めが違法だとしても身体的勾留までする理由はないと主張。警察官が警告もせずいきなり逮捕したこともあげ、「特定の政党や特定の思想を持つ者の活動を狙い撃ちにしたものと強く推測される」と指摘するなど、勾留理由がなりたたないことを明らかにしました。

支援の声が広がる

男性を支援する同事件対策委員会は、逮捕以来連日、神戸西警察署への抗議、同署に勾留されている男性への激励の行動を行い、無所属市議など党派を超えた人々が参加しています。また、神戸地検には千を超える(七月二十六日現在)不起訴要請の団体署名が提出されています。



ポスター仮止めは代替のない表現方法

日本国民救援会兵庫県本部は二十六日、神戸地方裁判所に「検察官の不当な強制捜査をやめさせ、これ以上の安易な令状発布を行わないことを求める要請書」を提出。その中で、ポスター仮止めは代替手段のない表現方法だと主張しています。
現行公選法では選挙運動での拡声器使用は厳しく制限され、市民は肉声で宣伝するほかなく、そのため遠くからでも何党の宣伝か分かるよう、宣伝の間だけ、補助的に選挙運動用ポスターなどを掲げるという工夫をしています。その際、倒れたり風で飛ばされたりして交通の障害などにならないよう仮止めをするのが選挙運動の常識となっていると指摘し、ポスター仮止めは、公選法の厳しい言論規制のもとで工夫された代替手段のない表現方法だと主張し、逮捕の不当性を告発しています。

(「兵庫民報」2010年8月1日付掲載)