2022年7月2日土曜日

「平和の波」神戸を通過:兵庫県原水協は六月二十六日、国際的な反核平和団体「国際平和ビューロー」(IPB)などが呼びかけた共同行動「平和の波」を行いました。


ロシアは侵略止めよ、国連憲章守れ、核兵器使うな・なくせ、岸田政権の改憲・軍事同盟強化ノー!

兵庫県原水協は六月二十六日、ノーベル平和賞も受賞した国際的な反核平和団体「国際平和ビューロー」(IPB)などが呼びかけた平和を求める共同行動「平和の波」を行いました。
これは、欧州で開催されるG7(先進七カ国首脳会議)、NATO首脳会談に向けて、「戦争反対、軍事同盟の縮小と解体」などを掲げ、六月二十五日のアイルランドから二十六日のウクライナまで、地球を西回りに各国で次々と行動をつなぐ行動で、日本では、日本原水協・日本平和委員会が「ロシアは侵略止めよ、国連憲章守れ、核兵器使うな・なくせ、岸田政権の改憲・軍事同盟強化ノー!」をスローガンに全国各地で行動することを呼びかけました。
炎天下のJR元町駅前で、兵庫県原水協の成山太志代表理事(兵庫労連議長)、桜井文子代表理事(新婦人県本部会長)、日本共産党の庄本えつこ県議らが、「核兵器禁止条約締約国会議が行われ、ロシアがウクライナを侵略するもとでの核威嚇が糾弾され、他の核兵器保有国・同調国も核戦力の維持・強化をすすめることが批判され、「核兵器のない世界」の実現を力強く発信した」と報告。岸田政権が核兵器禁止条約の第一回締約国会議に出席すらせず、ロシアのウクライナ侵略を口実に、改憲や大軍拡を主張していることをきびしく批判し、「被爆国にふさわしい政治に変えよう」「戦争への道は絶対に許さない。核兵器禁止条約に参加する政府を実現しよう」と訴えました。
兵庫労連の土井直樹事務局長の呼びかけで署名に応じた男性は、「核兵器禁止条約の会議に出ない岸田さんは間違っている。せっかく核兵器廃絶の機運が高まるチャンスを後押ししないなんて腹立たしい」と語り、二千円の募金を託しました。

桜井会長の訴えに応じ署名した女性たちは、「核兵器は本当に恐ろしい兵器。絶対なくなってほしい。日本政府も全然そっぽを向いている。黙っていたら私の意思が通らなくなる。憲法九条は絶対、変えたらあかん!」「今の政府は恥ずかしい、替えなあかん! がんばってください」と口々に話かけてきました。
京都府綴喜郡から来たという女性は、「日本が核兵器を持ってもいいような議論があって恐ろしくなる。被爆者の苦しさをわかっておらず、許せない議論だ」と怒りながら署名に応じました。
兵庫AALA連帯委の井村弘子事務局長、日中友好協会兵庫県連の兵頭晴喜理事長、芦屋市原水協の平野貞雄事務局長(市議)、共産党の平松順子平和部長や民医連、いしずえ会など十七人が通行の人々にチラシを配布、日本政府が禁止条約に参加することを求める署名を訴えました。〔梶本修史=兵庫県原水協事務局長〕

(兵庫民報2022年7月3日付)13:30

期待します! 日本共産党:生活を支え、将来不安をなくす社会保障に

尼崎医療生協 大岩陽子(看護師)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、発熱外来、ワクチン接種、コロナ病棟の立ち上げなど、地域の受療権を守るために奮闘してきました。軍事費を拡大するのでなく気兼ねなく受診できる医療体制や社会保障に力を入れる政治の実現に期待したい。

神戸健康共和会 藤末 衛(医師)

新型コロナで日本の医療や介護など社会保障制度のぜい弱さが露呈されました。そしてロシアがウクライナに一方的に侵略戦争を始めて四カ月。何よりも「いのち」を大切にする私たちは、国連憲章の先を行く憲法九条を守り生かすことを実現するために、日本共産党を応援します。

神戸医療生協 元田好彦(理学療法士)

介護保険の訪問リハビリ業務で、「リハビリでしか歩いてないので回数を増やしたいが、利用料が高いから」と、リハビリ回数を制限されている利用者もいます。必要なサービスを適切に受けられる社会保障制度の構築を期待します。

姫路医療生協 黒田ゆうこ(介護福祉士)

介護の現場は、常に介護人材不足の中でやりくりしています。介護職員が安心して働き続けられるよう介護報酬の引き上げを行ってほしい。若い職員が働き続けるためにも、子どもが病気になっても見てもらえる病児保育の整備も必要です。日本共産党には、介護と保育の充実を期待しています。

宝塚医療生協ヘルパーステーションひだまり 山下久実子(訪問介護)

コロナ禍の訪問業務は利用者の生活・生命を支える最後の砦と感じることが増えましたが、助成金が医療に比べ低すぎて事業継続できません。私は日本共産党に、介護職員が専門職としてやりがい持ち働き続けられるように利用者負担増の加算ではなく報酬の増額を期待します。

たじま医療生協 松本幹雄(本部)

国保保険料(税)、介護保険料、後期高齢者医療一部負担金などの増大に加え、年金額の引き下げ、物価高騰で、健康権、受療権の侵害が大きな問題になっています。いのちとくらしを守り健康をはぐくむ医療生協として、社会保障制度の抜本的な見直しを進める日本共産党に大いに期待しています。

(兵庫民報2022年7月3日付)13:00


川崎重工業(株)・中国出向エンジニア過労死事件――その概要と核心

川崎重工株主総会(6月24日、神戸国際会館前)会場前で訴える
八木弁護士(マイク)ら支援者

弁護団 八木和也

一.はじめに

本件は、川崎重工業株式会社(以下「川崎重工」という)で働く若き優秀な技術者が、中国合弁企業へ出向後、単身での海外赴任のストレス及び過重な業務に押しつぶされ、わずか赴任三カ月余りで自宅マンションから飛び降り、愛妻と愛娘二人を残して自死(享年三十五歳)した痛ましい事件である。
当該事件について、遺族は、令和四(二〇二二)年五月十二日、川崎重工を被告として、損害賠償を求める訴訟を神戸地方裁判所に提訴した。

二.事案の概要

⑴ 当事者

被災者は、平成十四(二〇〇二)年四月一日に川崎重工に入社した。
川崎重工は、中国大手セメントメーカーであるCONCHと共同で出資して、CKEという会社を中国に設立し、セメント製造設備の設計、製作、販売等を行うこととした。
⑵ CKEへの出向
被災者は、平成二十五(二〇一三)年四月一日、川崎重工から中国のCKEに出向することとなった。当初、被災者は、もう一人の技術者と一緒に出向する予定であった。ところが、当時、川崎重工のセメントプラント装置の一部である「AQC」の設計に重大なミスがあったことから、もう一人の技術者は川崎重工に残ってそのトラブル対応に当たることとなり、被災者が一人でCKEに出向することになった。
また、被災者は、中国語をほとんど話すことができず、健康状態も出向前の健康診断で、「要精検査」「条件付き赴任可」とされていたが、川崎重工は、これらに対する対応をほとんどすることなく被災者を出向させた。

⑶ 出向後の経過

被災者が出向した本来の目的は、「脱硝装置」というAQCとは別の装置の設計を行うことであった。ところが、上記の通り、当時の川崎重工ではAQCトラブルが続発していたため、被災者は、単に中国に出向していたというだけの理由で、AQCに関する知識はほとんどない中、専門知識を多分に要するAQCトラブルの対応にも当たることとなった。
当時、川崎重工とCKEは、AQCトラブルのために深刻な相互不信状態にあった。被災者は、両社の間で板挟みとなって苦悩し、かつ、本来業務の滞留によって業務を大量に抱え込むこととなり、家族から切り離された異国の地で、孤独にもがき苦しみ、うつ病を発症し、出向からわずか三カ月余りの平成二十五(二〇一三)年七月十日に自死するに至った。

⑷ その後の経過

川崎重工は、事故後も遺族へ虚偽の説明をするなど無責任極まりない対応を続け、労災認定がなされた後もなお事件と向き合うことなく、責任を全く認めない。
そこで遺族がやむを得ず、川重の責任を問うべく提訴に至ったものである。

三.最後に

現在のグローバル社会において、日本企業が労働者を海外出向させるケースは増えている。海外赴任は、単なる転勤とは異なり、言葉や文化等が違う異国の地で生活をしながら働くというものであり、労働者が激しいストレスを受けることは必至であり、使用者としては、本来、日本にいる時よりも、より注意深く労働者の健康が損なわれないように配慮しなければならないはずである。
本事件は、日本企業が、海外出向中の労働者に対する配慮についてどうすべきであるかを問うているものであり、この問題意識を社会へ広めていかねばならないと考えている。以上のことから、ぜひとも多方面からのご支援をお願いしたい。

(兵庫民報2022年7月3日付)12:30

郵政20条裁判勝利判決に確信を!:さらに職場と社会に広く訴える活動を念頭に!

ストを決行したたかう郵政ユニオン(3月18日、神戸中央郵便局前)

郵政産業ユニオン神戸 坪井裕二

「郵政二十条裁判」とは郵政産業ユニオンの十一人の非正規組合員が、「郵便局で正社員と同じ仕事をしながら、諸手当や休暇制度など正規労働者との待遇に格差があるのはおかしい。労働契約法二十条に違反する」として起こした裁判である。二〇二〇年十月に最高裁は、扶養手当、年末年始勤務手当、夏期冬期休暇、有給の病気休暇、年始期間の祝日給を、正社員との不合理な格差と認定する判決を出した。(※)
会社は最高裁判決を前にして、アソシエイト社員(無期雇用の非正規社員)に夏冬休みを各一日与えた。
しかし、会社は、正社員の手当を減らしてそれを非正規社員に回すという「ニセ均等待遇」、「見せかけ均等待遇」を実施した。莫大な内部留保には一切、手をつけずに。その結果、正社員は年末手当や住居手当、扶養手当を無くされたり減らされる事になった。
さらに昨年九月、会社は「労働条件の新たな見直しに関する基本的考え方」を労働組合に提案した――
①期間雇用社員(有期雇用の非正規社員)にも夏冬休みを各一日与え、正社員の各休みを一日ずつ減らす。
②年始の正社員分の祝日給を減らして、それをアソシエイト社員(無期雇用の非正規社員)に回す。
③アソシエイト社員に十五日の病気休暇は与えるが、病気休暇は正社員分も含めて、入院などで長期、三十一日以上休む病気や怪我に限る場合でないと認めない。風邪やインフルエンザでは病気休暇は取れない。生理休暇は無給。――
組合は全国で宣伝ビラを配布して職場労働者に提案の中身を知らせ、各職場でアンケートも取り、要求書を出して交渉。
労働者の怒りで、会社は当初の提案を撤回せざるを得なくなった。
ことし五月には、アソシエイト社員の病気休暇は初日から取れて三十日、十年以上勤務した人は六十日とされ、非正規社員に初めて有給の病気休暇制度ができた。生理休暇は有給一日。期間雇用の非正規社員については、夏冬休みについて財源も含めて考え直すと回答があった。
まだまだ不十分なものもあるし、再検討や継続協議のものも多数あり、予断は許さない。
さらに足を踏み出して、労働組合の違いを超え、要求実現に向けて職場労働者とともに粘り強くたたかうことが大事だ。暮らしや雇用のあり方が問われる。ブラックな職場や社会、政治を変えていく事が一層大切!と感じる。
※二次訴訟では非正規組合員百五十四人が会社を訴え、九州や中国・四国で和解。

(兵庫民報2022年7月3日付)12:00

自公政権による医療改悪を許さない

日本共産党国会議員団兵庫事務所長 金田峰生

岸田政権は六月七日、「経済財政運営と改革の基本方針2022」を閣議決定しました。
このいわゆる「骨太の方針」は、財界人や政府に近い立場の学者が大半を占める、財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)が提出する「建議」を土台に置いています。
財政審は、社会保障費を財政悪化の最大の要因として、社会保障制度の改悪を要求し続けています。今回も「建議」では「医療給付費の伸びを経済成長率に合わせるべきだ」という議論がされたといいます。今後、医療の発展や高齢化などで医療需要がいくら高まろうと、経済が成長しなければ、医療給付費は増やさないというのですから、あまりにもひどい医療敵視です。
医療費抑制政策は、「第二次臨調」(一九八一年設置)から開始され、新自由主義路線を暴走させた「小泉構造改革」で本格化しました。その結果、今回の新型コロナウイルス感染症拡大で病床逼迫、医療崩壊などの異常事態を引き起こすことになりました。コロナ危機で浮き彫りになった日本の医療の脆弱性は、長年にわたって医療費削減を強引に進めてきた結果にほかなりません。
重い症状の患者が入院どころか治療さえ受けられず、「自宅療養」という「自宅放置」のまま亡くなる事例が相次いだにもかかわらず、政府は今も病院ベッドを減らす、「地域医療構想」に固執しています。
「地域医療構想」では、二〇二五年時点での人口構成推計に基づいて「必要病床数」を機能別に算出し、それを目標にして、それまでに病床を減らそうというもので、安倍政権は「このままでは目標を達成できない」と、消費税を財源に「病床機能再編支援」と称して、病床削減を行った病院に「補助金」を出す制度までつくり、病床削減のスピードアップをはかりました。病床を減らすという事は、医師や看護師も減らすということです。現状には合わない、脆弱な医療体制になるのは当然です。
事実、病床数は、二〇一三年に全国百三十四万七千床が、二〇一八年には百二十四万六千床とわずか五年間で十万床以上減らされています(「平成三十年度病床機能報告の結果について」厚労省ワーキンググループ)。
また、人口千人当たりの医師数は、OECD諸国の平均三・三人に対し日本は二・五人と大きく下回っています(OECD Health Statistics)。また、日本感染症学会は、感染症専門医が約千五百人不足していると試算、日本集中治療医学会も専門医が約二千人不足していると試算しています。
岸田政権はこの路線を引き継いでおり、安倍政権と同じ、国民の命と健康を守ろうとしない最低・最悪の政権だと言わなければなりません。
岸田首相は新自由主義の弊害を認め、転換を言わざるを得ませんでした。
ところが実際には転換どころか新自由主義路線をさらに推し進めようとしています。これでは国民の命・健康は守れません。
例えば、医療を経済効率だけでみれば、営利化という話になります。
しかしわが国の医療法は、医療機関の営利活動を禁じています。
医療の非営利原則は権利としての医療を保障する重要な柱であり、憲法十三条条および二十五条を具現化したものです。とりわけ公立病院は不採算医療と民間病院支援を担う、地域医療の要です。公立医療機関は、私たちの医療を受ける権利を確保する存在であり、その確保は政治の責任です。
「医療費が国を亡ぼす」という議論があります。前述した「第二次臨調」路線と軌を一にして、当時の厚生省保険局長が一九八三年に発表した「医療費増大は国を亡ぼす」という「医療費亡国論」が発端で、以来、医療費をはじめ、社会保障が次々と攻撃され、改悪されてきました。
しかし、社会保障を予算の中心に据えるというのは、国際社会では常識です。
わが国でも、憲法二十五条で保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の水準について争った「朝日訴訟」(人間裁判)で第一審判決(一九六〇年)は、憲法二十五条の「健康で文化的な生活水準」とは「必ずや国民に「人間に値する生存」あるいは「人間としての生活」といいうるものを可能ならしめるような程度のものでなければならない」として「特定の国の特定の時期的段階における生活状況の中ではやはり客観的、一義的に存在し、科学的、合理的に算定可能のものと考えられる。したがってそれは年々の国家の予算額や政治的努力の如何によって左右されるべきものでないことは当然である」とし、憲法で保障された権利は全ての国民に保障されなければならないと判決しています。
私たちは「医療費亡国論」と闘い続けてきましたが、コロナ禍を経て、「医療費亡国論」は大きな誤りであり、「医療費亡国論」こそ、国を亡ぼす議論であることが事実を持って示されました。
岸田首相は社会保障や教育の予算は抑制し、削減する方向を打ち出しています。一方でアメリカ政府から言われるままに軍事費を二倍に引き上げようとしています。しかも軍事費倍増の財源について問われても、明確な答弁ができないでいます。軍拡の財源が、社会保障費削減と消費税増税であることは明らかです。
「医療費亡国論」を払拭し、新自由主義路線からの抜本転換で、国民の命と健康を守る政治を実現したいと思っています。

(兵庫民報2022年7月3日付)11:30


平野喜一郎「異常な物価値上げの主犯はアベノミクスと黒田日銀総裁の「金融の異次元緩和」とそれを受けついだ岸田内閣である」

平野喜一郎さん

1 円安が物価騰貴をひきおこした

食料品を中心とした、すさまじい物価高騰の原因は何か? それは何よりも低金利による円安です。六月十三日には、一時百三十五円二十銭の円安になりました。
異常な円安の原因は何か? もちろん、コロナ禍で国際的な供給網が分断されたこと、「プーチン禍」で穀物や原油などの価格が急騰したことなどの影響も大きいのです。だが、最近の物価高騰の原因はなによりも円安による輸入品の高騰によるものです。他方、アメリカの中央銀行であるFRBは金融引き締めの方向へ舵を切りました。ゼロ金利政策を解除し、政策金利水準(誘導目標)の〇・五ポイント大幅利上を発表しました。さらに十六日には〇・七五ポイント引き上げを決めたのです。欧州の中央銀行ECBも量的緩和の縮小をしました。
一方で、日本の低金利維持、他方で、アメリカの大幅金利引き上げが、円売り・ドル買いを引き起こしたのです。金利の高い方に金が流れるのは当然のことです。お金は金利の高い国で運用する方が有利だからです。
円安の現状はすさまじいものです。二カ月前、一ドル=百十四円でしたが、いま百三十円台です。かつて一ドル=百円時代がつづいていましたし、二〇一一年には一ドル=七十五円三十二銭という、円高の戦後最高値をつけたような時代もあったのです。その頃、金利が高く、一九八〇年前半は実質金利が五%以上でした。定期預金すれば十年でほぼ倍になりました。いま一千万円を預けても年百円です。タンス預金が増えるのは当然です。

2 物価高騰の主犯は安倍と黒田

責任は何より第二次安倍内閣(二〇一二年十二月発足)のアベノミクスと、それを忠実に実行した黒田日銀総裁の金融政策でした。黒田の「金融の異次元緩和」こそアベノミクスの柱だったのです。二〇一三年、安倍は看板政策として「三本の矢」をかかげました。その第一の矢は「大胆な金融政策」つまり大幅な金融緩和、低金利でした。「異次元緩和」とは量的・質的な緩和であり、過去最大の二倍となるお金を増やすことです。安倍は「輪転機をまわして紙幣をどんどん印刷すればよい」といいました。当時、「紙幣じゃぶじゃぶ」といわれたものです。二〇一四年の第二次金融緩和では出回っているお金の量を八十兆円にふやす、といい、二〇一六年の第三次金融緩和ではマイナス金利が実施されました。円の値うちが下がるのは当然のことです。
アベノミクスは貨幣の減価によってインフレになり景気が良くなるというのです。これは全くまちがっています。原因と結果の取り違えで、正しくは、景気が好いと物がよく売れその結果インフレになるのです。だが「インフレになれば景気がよくなる」と原因と結果を逆転したアベノミクスは、二%の物価高騰を目標にしたのです。
二%の物価目標(インフレ・ターゲット)に当時の白川日銀総裁は反対しました。「物価の番人」である日銀が反対するのは当然のことでした。ところが後わずかの任期を残して白川氏をクビにし黒田氏を後に据えました。オセロゲームのように白を黒にかえたのです。白川総裁から「異次元緩和」の黒田総裁へ変わる事で、日銀は物価の番人から物価の破壊者になりました。

3 過ちを改めない安倍と黒田

今、超低金利によって物価高騰という悪い結果がでたのに、黒田は過ちをみとめず、超低金利の金融緩和政策を続行しようとします。先月の日銀経済政策決定会議は「短期金利をマイナス〇・一%、長期金利を〇%程度に誘導する大規模な金融緩和政策を維持」を決定しました。黒田は二%の物価目標の実現が重要だ、と発言しました。物価の番人がさらに物価を壊しているのです! そして、日銀法では日銀の独立性がいわれているにもかかわらず、安倍は日銀を政府の子会社だと発言しました。
安倍と黒田の低金利政策は裏目にでています。低金利は地方銀行を直撃しました。低金利だから金が株式に向かうと株高を期待したが株は上がっていません。
円安によって輸出産業が儲かるといいますが、今日では現地生産が進み、円安のメリットは、トヨタなどをべつにすれば期待されたほど大きくないのです。トヨタのような輸出産業は多国籍企業化し、円安によって巧妙にもうけを大きくしていますが、原料を海外に頼る中小企業は輸入原料の高騰で苦しくなっています。

4 貨幣の減価は資本主義を覆すというケインズの見解

黒田がすすめているのは円という貨幣の減価です。円という通貨の減価は困ると思うのは健全な常識から言っても当然のことです。海外旅行の際に、今まで、一ドルを得るのに百円払えばよかったのに、今、百三十円出さなければならないのですから。
貨幣の減価を通貨の堕落と考える経済学者ケインズが次の様に書いています。
「レーニンは、資本主義を破壊する最善の方法は、通貨を堕落させることだといったといわれる。レーニンは正しかった。現代の社会の基礎を覆すのに、通貨を減価させるほど巧妙で確実な方法はない」(「平和の経済的帰結」一九一九年)
この点でケインズは正しかったのです。貨幣は資本の基礎です。通貨を減価=堕落させれば、貨幣の上になりたつ資本主義も危うくなる、というのは容易に理解できます。
たしかにケインズは資本家階級の立場に立っていました。「貨幣改革論」(一九二三年)で、ケインズは資本主義を三階級から構成される社会として把握していました。①投資家階級、②企業家階級、③労働者階級―からなる階級社会と把握したのです。自分は労働者階級の立場には立たない、企業家階級の立場に立つ、一方で、投資家階級、つまり利子生活者には安楽往生を期待する、つまり、消えてもらいますといっているのです。そのケインズが、通貨を減価堕落させれば資本主義が危うくなるよ、と言っているのです。
一九三〇年代から一九六〇年代はケインズ経済学の時代でした。自由放任の資本主義では大恐慌になった、国家によって管理されるべきだと時代が要請したのです。
一九二九年にはじまる大恐慌で、三〇年代初期アメリカ資本主義は破壊され、アメリカは死んだといわれました。そこにルーズベルトが登場し、ニューディール政策を掲げました。直接にケインズを採用したのではないけれども、アメリカのニューディール政策もケインズと同じ方向をめざしていました。

5 新自由主義

一九七〇年代には反ケインズ主義が台頭しました。サッチャー主義、レーガノミクスの新自由主義です。新自由主義という名前は自由放任主義と言い換えた方がよく内容をあらわしています。
日本には少し遅れて九〇年代に新自由主義が動き始めました。小泉の郵政民営化がそのシンボルでした。推進者は小泉内閣のブレイン竹中平蔵氏(現在人材派遣会社会長)でした。最悪の「自由化」は雇用の「自由化」であり、それまで労働者を護ってきた労働法が改悪され、労働者の四割が非正規社員になったのです。そのため、この三十数年、何より賃金が上がらなかったのです。また成果主義になったので、すぐれた技術者は海外へ流失していきました。新自由主義は日本の大企業をも弱くしたのです。トヨタ以外の日本企業は「トップ50」から転落しました。自動車以外に海外に打って出るすぐれた商品がなくなったのです。

6 輸出超過が国富を生むというのは二百五十年前に否定された謬論である

黒川日銀総裁らの、円安で輸出が増え、その結果国が富むという考えは、十七、十八世紀の重商主義の考えたことであって、すでに否定された説です。
重商主義は、十七世紀、絶対主義の経済政策として提唱されました。総貿易差額を輸出超過(出超)にすれば、英仏などの絶対主義国が豊かになるという経済政策です。これに反対したのがアダム・スミスです。
アダム・スミスは、国富が貿易差額によって生ずるとする重商主義に全面的に反対しました。『国富論』全編にわたって諸国民の富は労働者の労働によって生み出されることを明らかにしました。重商主義こそスミスの敵だったのです。

おわりに

黒田総裁は六月六日の講演で「家計の値上げ許容度は高まっている」と発言し、国民の批判が集中しました。「値上げは受け入れていません」「もういっぺん言ってみろ」「日銀総裁不適格なことは明らか」と怒りの声がまきおこりました。彼は謝罪し、撤回したもののなお批判が続きました。
岸田首相のいう「新しい資本主義」は、黒田総裁のインフレ期待説と、その背後にあるアベノミクス、さらにその源流である新自由主義を批判も否定もしていません。間違いが証明済みの過去の説を批判し、否定してこそ真に新しい資本主義といえるでしょう。過去の誤謬を否定しないのならば、当面の物価値上げの主犯は岸田内閣といえるでしょう。
(三重大学名誉教授・経済学)

(兵庫民報2022年7月3日付)11:00

亀井洋示「もの上がり」



(兵庫民報2022年7月3日付)10:30

特別障害者手当:制度の周知徹底と普及を――もっと多くの人が受けとれる

特別障害者手当は、著しく重い障害があり、日常生活に常時特別な介護が必要な二十歳以上の人に月二万七千三百円(二〇二二年度)が支給される国の制度です。制度の周知徹底と普及が大きな課題になっています。
支給手続きは、市町の窓口(障害福祉など)。医師の診断書などが必要です。障害者手帳がなくても受給でき、介護保険の要介護四、五の人も受け取れる可能性があります。
厚生労働省のホームページでは支給対象者について「在宅」と説明していますが、自宅だけでなく、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅なども対象です。
また在宅で受給中の方が入院や老人保健施設、介護療養型医療施設に入所されても、三カ月を超えなければ支給が止まることはありません。特別養護老人ホームは対象外です。
介護保険の要介護四、五の人は全国で約百四十六万人です。対象外の特養ホーム入所者(約三十九万人)を除いても約百万人です。手当の受給者は十二万八千七百五十七人であり、もっと多くの人が受け取れる可能性があります。

「普及率かなり低い」:県内自治体に聞き取り:神戸女子大客員講師の阿江さん

神戸女子大学客員講師で兵庫県高齢者生協理事長の阿江善春さんが兵庫県内九自治体の担当課に手当受給状況を電話で聞き取りました(表)。
要介護四、五の人の合計人数から推定在宅者数(全国的な平均=重度要介護者数の約半数)を計算。推定在宅者数を分母にした、手当受給者の割合がカッコ内の数値です。受給割合が低い自治体は一四%、いちばん高い自治体でも三七%です。〔森勇治〕

阿江善春さんの話

介護度の重い方は同時に障がいの重い方ですから、施設入所以外の在宅療養の方はこの手当の受給対象となりますが、表を見ていただければおわかりの通り、推定の対象者に対する普及率はかなり低いです。在宅・地域福祉の推進や福祉予算の費用対効果を考えても、この手当の受給拡大をすることは通所介護、訪問介護、福祉用具レンタル、短期入所等の自己負担を軽くし、在宅の療養を介護者を含め援助することにつながります。また同時に、在宅の安定は、入院や入所を減らすことを通して結果的に国保や介護保険、後期高齢者医療保険の支出を減らすことにもつながります。

兵庫県内9自治体の手当受給状況
人数はいずれも2020年度または21年度末時点のもの
要介護4 要介護5 推定在宅者数 手当受給者数
尼崎市 3 163 2 426 2 795 518(18%)
西宮市 1 901 1 767 1 834 686(37%)
伊丹市 1 565 1 382 1 476 247(16%)
宝塚市 1 488 1 102 1 295 300(23%)
神戸市 11 071 6 985 9 028 2 279(25%)
加古川市 1 474 884 1 180 201(17%)
篠山市 350 245 298 49(16%)
姫路市 3 336 2 248 2 792 547(20%)
豊岡市 731 536 634 89(14%)

(兵庫民報2022年7月3日付)10:00

フードバンクとあわせて相談会も:加古川で実行委員会がとりくむ


フードバンクとあわせ今月から相談会を実行委員会でとりくむことにし、六月二十六日午後二時から四時までいつもの加古川駅前の空き地で行いました。
レトルトパックのご飯、缶詰、カップ麺など食品や、歯ブラシ、トイレットペーパーほかの雑貨をスタッフ三人で用意しました。
高砂からいつも車で二人乗せてくるNさんは、「作りたてよ」と言って、大きなおはぎを届けてくださいました。お隣の餃子屋さんからは、今日もカンパと冷たいコーヒーをいただきました。
また、二十分前から待っていたというリピーターの男性は、「もっと早く開けてくれたらいいのに」と言いながらターフの組み立てを手伝ってくれました。
蒸し暑い日でしたが九人ほどの方が来られ、「ありがたい」「カップ麺は何種類ももらっていいの」「レトルトパックのご飯はすぐ食べれるからいいね」「缶詰は日持ちするのがいいね」など話して物資を受け取りました。来月も第四日曜日に行います。
〔櫻本美都恵=加印革新懇〕

(兵庫民報2022年7月3日付)9:30

観感楽学


古い話で恐縮だが、一九六〇年頃、兵庫運河の根元辺り、高松橋のところにたくさんの伝馬船がもやってあり、気軽に貸してくれた。私はよく父親と二人で船を借り、苅藻島から外海に漕ぎ出し、遠矢浜沖から兵庫港へ。のんびり釣り糸を垂れながら、テンコチやベラ、キスなどを釣り、港内に入ってぐるりと兵庫運河を一周していた。時には朝早く渡船に乗り一文字防波堤にわたってチヌ釣りを楽しんだこともあった。海岸近くに暮らしていたせいかもしれないが、こうして子どもの頃から海に親しみ、自然を感じながら生きてきた▼しかし近年、海岸線一帯はほとんど埋め立てられて工業地帯となり、神戸港の突堤も鉄条網で水際には近寄れず、海釣りを楽しむのは渡船に頼るしか手立てがなくなってしまった。ところが昨年、神戸市は神戸港で渡船業を営む業者に対して神戸港にある十一の防波堤すべてを立ち入り禁止にすると通知し「防波堤に侵入した場合は拘留または科料に処す」とした▼この通知により生活が成り立たなくなりすでに廃業した業者も。「釣り」は文化の一つであり、防波堤の安全確保に努めながら多目的に利用するという長年培ってきた伝統をしっかりと将来に引き継ぐのも、港を預かる自治体の責務だと思うのだが、どうだろう。(D)

(兵庫民報2022年7月3日付)9:00